骨で聴く異世界

耳を使わずに「聴く」世界を旅します。耳をふさいでいても聴こえる世界です。

鳴沢湖を骨で聴く

2008-04-28 14:00:28 | 骨で聴く癒しの世界

 ゴールデンウィークです。
 行楽客が日本中を東へ、西へ、南へ、北へと移動します。春から初夏に向かう季節ですから湖のレジャー、休日というのも悪くないでしょう。

 鳴沢湖も立派な湖ですが、行楽客が遠方から大勢押しかけることはない場所だと想像されます。それは決して、この湖が魅力ないということを意味するわけではありません。

 鳴沢湖は群馬県にある人造湖で、農業用水の水源に利用されています。かつては高崎市の補助用水としても利用されていたといいます。実際、高崎の市街地からは決して遠くありませんし、山を分け隔てて行く場所でもありません。
 竣工は昭和二十五年、面積約十八ヘクタール、水深は最大で十七メートルです。

 ここではボートや桟橋でワカサギ釣りが楽しめますし、観光用のボートもあります。
湖畔の散策コースも整備されていて、水鳥たちと語らいながらのひと時は、凡人を詩人にしたり、哲学者にしたり、宗教家にしたりします。そんな湖です。

 周囲は小高い丘のようになっていて、山深い場所とまではいきません。地図から読み取ろうとしても、想像は裏切られるかもしれません。近くにある榛名山のイメージから、高い山を想像してしまいがちですが、ここは都市近郊のオアシスです。
 このギャップを越えると、何とも心地よい場所に思えてきます。おそらくわざわざ遠方からここへ来るという人はいないでしょうが、榛名観光や観音霊場のついで、軽井沢や草津温泉の途中に寄るには最適かもしれません。もし弁当があったら、ここで食べるというのもいいだろうと、想像が膨らみます。

 こんな静かな湖を骨で聴きます。⇒ 骨で聴くドットコム

              

指月殿を骨で聴く

2008-04-28 09:11:50 | 骨で聴く巡礼旅

 鎌倉幕府の将軍・源 頼家の冥福を祈り、母である政子が修禅寺に寄進したもののひとつが指月殿です。将軍・源 頼家は修善寺温泉で暗殺されたこともあり、この指月殿は修善寺を見下ろしながら、暗殺現場の対面側という絶好の位置にあります。

 指月とは経典を意味します。
 禅家が愛用している不立文字を解く言葉だといいます。

 修禅寺宝物館には、政子がこのとき一緒に寄進した大蔵経が現存しています。大蔵経とは、仏教典籍の叢書という意味で、数千巻にも及ぶものですが、現在残っているのは8巻だけのようです。その中で、放光般若波羅密多経の第23巻が静岡県指定文化財となっています。これには政子の墨書があります。

 その文字は、

 「為征夷大将軍左金吾督源頼家菩提、尼置之」

 さて、指月殿の中ですが。ここには実に珍しい形の丈六釈迦如来像が安置されています。

       

 釈迦像には通常、何の持物もありませんが、この像には右手に「ないはず」の蓮の花を持っているのです。特徴的名な珍しいものです。

 源氏の悲劇が眠る修善寺は骨で聴くに限ります。
 骨伝導を使って湯に浸かり、鎌倉時代に空想が飛んでいきます。

 ⇒ 骨伝導を知る