いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

国の異常事態。 a state of emergency

2014-06-29 15:02:02 | 日記
 (1)尖閣諸島を巡る領有権問題で最近中国軍機と自衛隊機が数十メートルの異常接近するニュースが複数回伝えられて緊張が高まっている。
 直近のメディアの世論調査で過半数に近い49%がこの領域での予期しない戦闘が起こると思っている結果が出た。

 また安倍首相が意欲を示す集団的自衛権の行使容認によって71%が他国の戦争に日本が巻き込まれる恐れがあると感じていることがわかった。
 集団的自衛権の行使に58%が反対する中で、国民は日本を取り巻く戦闘、戦争に対して危惧し、危険を共有している実態だ。

 (2)尖閣諸島領有権問題は、そもそも日中間が政治解決を目指さず(棚上げ論)、東シナ海石油ガス資源の共同開発プロジェクトを進めてきた中で、当時の石原都知事が政府の対応に不満を持って所有者から東京都が買取る方針を示して、これに乗らされた当時の民主党政権が国有化を宣言して一気に日中の領有権問題が顕在化して今日の緊張関係を増幅させた。

 現実に日本が実効支配する尖閣諸島領域は日中石油ガス資源共同開発プロジェクトで円満におさまったのかは、南シナ海での中国の対応をみれば遅かれ早かれ尖閣諸島領有権問題が顕在化して今日の事態を招く可能性は考えられたが、少なくとも両国首脳が反目して話し合いも行われない異常事態(a state of emergency)、さらに軍事緊張がこれほどまでに拡大する事態にはならなかったことは推測される。

 (3)そういう意味では石原都知事に感化されての民主党政権の尖閣諸島国有化宣言は、歴史的にまずい選択であったといえる。
 今は野党となった民主党が集団的自衛権論議でカヤの外に置かれているのは幸いというべきか、民主党政権の3年半は政治理念、理論倒れの「失望(disappointment)」年代以上に、政治問題、経済問題の方向性を見失わさせた漂流の時代であった。

 (4)49%が尖閣諸島領域での日中軍事衝突の危険性を感じ、71%が集団的自衛権の行使容認で他国の戦争に巻き込まれると感じている政治、社会というのはかなりの「異常事態」といえる。

 これはほとんど宣戦布告に近い危険性を国民が危惧している、感じているということではないのか。国家、国民にとっては「異常事態」ではあるが安倍首相は国民の意思などは聞く耳を持たないし、むしろ判断能力のない国民を「正しく」導こうと言う意欲が強い。これは国民の安全のためだとして、しかしその国民は不安、異常に思っているパラドックス(paradox)だ。

 (5)かっての国連PKO平和活動への自衛隊の海外派遣も、当初は国民の過半数が反対したが今では世界平和に貢献していると胸を張る始末だ。
 国民からも世論調査の数字ほどの危機感は感じられない。現実の国民の声からは何か別世界の出来事のように映るから不思議だ。

 (6)経済、景気さえよければそれでいいという小市民的国民意識(petite bourgeoisie)では、国は成りゆかない。
 大胆な金融緩和策は国債保有率が日銀が民間を抜いてトップになり、つまり政府の借金増大を国の金融政策健全化をチェックする独立性日銀が代わりにまかなうという不条理(unreasonableness)、非常事態を招いている。

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