(1)岸田首相は防衛費を5年間で43兆円(GDP2%)増額する方針を示して、日本が英国、イタリアと共同開発をする次期戦闘機は当然日本の防衛力強化のための開発と理解するものだが、今自民、公明の「防衛装備移転三原則」見直しWTでは英国とイタリアとの共同開発の次期戦闘機を「第三国に直接移転できるようにすることが望ましい」とする見解(報道)を示した。
(2)これでは、政府は国民投資(税負担)を使って開発した次期戦闘機を第三国に売却して利益を上げる「政商」になろうとしているとしか考えられない方針の間違いだ。合わせて殺傷能力のある武器の一部の移転を認める考えも示している。
日本国憲法第9条は戦力を保持せずに、交戦権を有しないと規定して、かねてから武器輸出三原則で兵器の輸出を禁止してきたが、日本の軍事技術開発力、能力維持を名目にいつしかなし崩しに武器輸出を認める方針転換をしてきた。
(3)背景には米国など西側諸国同盟国との軍事協力関係、連携強化が考えられるが、武器輸出解禁は憲法の精神、個別的自衛権の容認範囲を超えるものであり、安倍元首相が独自の憲法解釈で集団的自衛権の行使容認(非戦闘地域の参加)を決めた内容にも一致するものではない。
こういうもののために国民投資(税負担)から防衛力強化名目で43兆円もの防衛費増額をするということであれば、国民投資としてはあってはならない理不尽なおかしな話だ。
(4)岸田首相の政治手法は防衛費増額は決めて、中身、財源は示さずに先送りしておいて、米国など同盟国の要請に応えようとするものだ。防衛費増額GDP2%(43兆円)も欧米西側諸国の基準にあわせたもので、防衛費増額方針も国民、国会に説明する前にG7国訪問外交で先に説明して回った筋違い、順序違いがある。
(5)日本の防衛、軍事は安倍元首相の集団的自衛権の行使容認から、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有、防衛費増額に次期戦闘機の第三国直接移転となし崩しの憲法観無視の政策拡大が続いており、これを制御、批判すべき国民が国際情勢不安の影響を受けて容認する方向にあることが問題ともなっている。