(1)終戦(敗戦宣言)から78年を迎えた。戦後日本は憲法第9条で戦力を保持せずに、交戦権を有しない平和憲法のもとに民主主義国家としてあたらしい時代のスタートを切った。この憲法解釈を巡っては解釈もそれぞれで、国際紛争を解決する手段としての戦力であり交戦権として保持せずに有しないとして政府はこれまで個別的自衛権に限って自衛のための戦力を保持するとしていたが、安倍元首相が当時の第2次政権時代に独自の憲法解釈で集団的自衛権の行使を容認し同盟国米国などと自衛隊の海外派遣を認める法制化をした。
(2)安倍元首相は憲法第9条に自衛隊を明記する憲法改正にも意欲を示していた。この安倍元首相の集団的自衛権の行使容認は多くの憲法学者が違憲として反対し、世論調査では国民の過半数が反対の意向を示している。
今年のメディアの高校生に聞く調査では、日本が戦争に巻き込まれる危険性を感じる意見が多く聞かれ、戦力を保持せずに、交戦権を有しない憲法では起こりえない国際社会、関係にも複雑な思いを語っている。
(3)岸田首相も防衛費増額、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を決めて、安倍元首相の憲法観を踏襲する姿勢を示している。こうした政府の憲法第9条のなし崩しの憲法解釈の変更拡大に若者の中にも日本が戦争に巻き込まれる危険が高まっている現実感がみられる。
(4)当面問題となりそうなのが台湾有事といわれるもので、当時のペロシ米下院議長が中国の反対を押し切って訪台した時には中国が台湾周辺での大規模軍事演習で圧力をかけ、中国本土から発射されたミサイルが与那国島近くの日本のEEZ内に撃ち込まれたこともある。
岸田首相も南西諸島に自衛隊駐屯地を設営して、ミサイルを配備して防衛体制を強化した。
(5)露のウクライナ軍事侵攻からすでに1年以上が経過してウクライナ軍の反攻で一進一退をくり返し、中東、アフリカでは内戦、紛争、クーデターが継続中で世界から戦争がなくなる気配はみられない。
国際社会は米中の覇権争い、経済対立が収まらずに、中国は海洋進出、領土拡大を強めて、中国を抜いて人口世界1位のインド、アフリカ、南米などグローバルサウスが台頭してきて第3極を構成して権利を主張して複雑化し、イラン、北朝鮮も米国への挑発、対立を強めている。
(6)世界どこでも戦争は起こり得る状況がみられて、日本だけが憲法第9条で守られて戦争から回避されるという問題ではない。
ただし、唯一の戦争被爆国で敗戦国の日本が果たす役割は防衛費増額や台湾有事で「戦う覚悟です」(訪台時の麻生発言)ということでいいのか、日本が戦争に巻き込まれる危険が高いと感じる若者観に政府は責任ある回答を示さなければならない。