(1)そろそろ今年の10大ニュースの季節になってきたが、今年はコロナ2年目を迎えて春からワクチン接種も始まって夏の東京五輪後に感染急拡大して過去最大の感染者数を記録したが、ワクチン接種も欧米並みに進んで今は感染者ヒト桁台がほとんどの自治体で落ち着きをみせている。
(2)今年の日本は「異例尽くし」の日本事変(japan disturbance)だった。まず最初に記憶に深いのは、当時菅首相が就任1年で辞任して岸田首相が誕生したことだ。菅首相が続投に意欲を示して安倍元首相も支持して決まりかと思われたが、それまで発信力が乏しく目立たなかった岸田文雄元外相がいち早く自民党総裁選に立候補を表明して、5年以上にわたって自民党内で権勢を誇ってきた二階幹事長を意識した党役員1年1期、3年を超えない党改革案を示してこれに菅首相が反応して二階幹事長の交代、内閣改造に踏み切ろうとしたがそれまで支えてきた党内派閥からの協力が得られずに勝算がないとして総裁選への立候補を取りやめて辞任した。
(3)総裁選では国民的人気は高いが改革性が党内で警戒された河野行革相(当時)、安倍元首相が推した保守思想の強い高市元総務相などを倒して安定した岸田元外相が勝利して第100代の岸田首相が誕生した。
自民党内には二階幹事長の長年の党内支配体制に不満の声もあり、これに乗じて役員任期制限の党改革案を打ち出した岸田元外相に注目が集まり、それまでの安倍元首相、菅首相への国民不満、支持率低迷もありその本流から外れた新鮮な岸田元外相に支持が集まった結果の「異例」の岸田首相誕生だった。
(4)それまでの国民の声に耳をかたむけない安倍、菅政権に代わって、国民の声を「聞く力」が特技とする岸田首相に変化と期待を求めてのものだが、岸田首相の出だしとは裏腹に党役員、内閣人事では安倍、麻生色の色濃く出たもので岸田カラーは政策も含めて後退がみえるのは不安材料だ。
その後の茂木外相の幹事長起用、後任に林芳正外相就任では、安倍、麻生陣営の不満にも岸田首相の信念を貫いて岸田内閣支持率も上昇した。
(5)秋篠宮眞子さんと小室圭さん婚姻は、皇室行事としては婚姻の儀式は重要で華々しく注目される一大行事であるが小室家側に問題があり、儀式はすべて取りやめになり、眞子さんは皇室からの一時金も辞退して婚姻の記者会見は眞子さんの体調不安もあり眞子さん、小室圭さんが用意した内容を読み上げるだけの10数分で終わり、初めから終わりまで「異例尽くし」で終わった。
皇室の婚姻となれば国民の祝福を受けてのあたらしい門出、出発であり、しかし眞子さんと小室圭さんの婚姻は賛否両論があり、皇室、皇族継承、女性天皇、女性宮家問題にもつながるあたらしい皇族の姿、あり方としても注目された。
(6)米国在住(プリンストン大上級研究員)の真鍋淑郎さんが今年のノーベル物理学賞を授賞した。気候変動を科学的にいち早く予測し、地球環境を立体棒状構図にして示し、気候変動が起きるメカニズムを立証した。専門の気象学がノーベル物理学賞に選ばれるのは「異例」のことと伝えられた。
(7)1年延期して今年7月に開催された東京五輪は、コロナ対策で海外訪日客を認めず、国内観戦者もなく無観客で開催されるという「異例」の事態で開催された。