(1)今度は先の衆院選で議席を減らして辞任した立憲枝野代表に代わる代表選だ。立候補者はそれぞれに野党一本化を評価して「協力で一定の成果を出した」、「1対1の構図は非常に大事だ」などと総括している。それなら枝野代表は辞任しなくていいことになる。
(2)先の衆院選では立憲と共産が選挙協力で野党候補一本化をはかり与党自公と争ったが、各地で善戦はしたが結果として立憲は20議席近く議席を減らして、比例代表でも立憲の獲得票を減らして敗北した。
立憲と共産の選挙協力は防衛、安保、憲法という国の基本的政策で違いがあきらかな中でそれを棚上げしての野党一本化であり、立憲が政権を取れば共産は閣外協力するというあいまいなもので国民には立憲と共産がどう協力して政治を動かしていくのかわからない、選挙目当ての数合わせの共闘に映ったことだろう。
(3)衆院選で国民の立憲と共産の選挙協力に不信、反対の意思表示が示された中で、あたらしい代表を目指す立候補者はそれでも「1対1」の構図にこだわる姿勢をみせているのは、それ以外では自民党に対抗できない政治事情があるからだ。
国民の自民党支持率は30%台で他の野党支持率はヒト桁台という比較にならない弱小野党であり、選挙後も議席数では野党第1党の立憲を抜いて選挙で躍進した維新支持率が10%台半ばで野党第1党の立憲より高いという逆転現象が起きている。
(4)日本の政治は検証をしない政治だと書いたが、枝野立憲の衆院選敗北を受けてのこれまでの党の路線の検証、反省もしないで今回の選挙協力体制の評価をくり返すだけでは、とても国民の信頼、支持の回復は見込めない。
「1対1」の選挙構図にこだわるのなら、どういう構図、組み合わせでいくのか、できるのかが問題であり、衆院選の結果を受けての取り組み、体制づくりの目指す方向性、スキーム(scheme)がまず語られなければ意味、説得力がない。
(5)立憲と共産の野党一本化、選挙協力は国民からわかりづらいとして否定され、選挙前はヒト桁台の政党支持率の維新、国民に政権批判票が集まり躍進、議席を増やしており、国民の求める政治の安定、方向性について慎重に分析、検証して対策、方法論(methodology)を考え、示さなければならない。
(6)政界再編を目指すのも方法論ではあるが、維新、国民とは基本政策の違う共産を交えた協力関係はむずかしく、またこれまでのリベラル色の強い立憲体制には距離感もみられて、野党再編も困難だ。
背景には09年民主党政権が保守、右から革新、左まで寄せ集めの党体制で、党内対立をくり返して「決めれない政治」として批判を浴びて3年半で政権崩壊した失敗がその流れを汲む立憲に国民の不信が向けられている。
(7)立憲出直し代表選では、もっと基本的な抜本的な政治姿勢、理念、提言、決意からの出直し論が必要だ。