いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

新しい資本主義。 new capitalism

2021-11-10 20:22:21 | 日記
 (1)岸田首相が打ち上げた「新しい資本主義」は成長と分配の好循環であり、経済成長による財源を賃上げに投資するというもので、賃上げ企業には優遇税制するというもので、これまでの経済原理、原論であり「新しい資本主義」はこれではみえてこない。

 (2)経済成長も高度経済成長時代は団塊世代の潤沢な労働力により、インフラ、モノを製造して国民に目に見える利益を与えていたが、今日的社会は少子化で労働力が減少して、創造するのは情報、価値であり直接国民には目に見える利益ではなく、国民、社会がIT、デジタル情報、価値をどう生活、利益に変換していくのか努力がともなうもので待っていてもやってくる経済成長はなく、デフレ不況が長引き安定不況時代といわれるものだ。

 (3)その中でも気候変動問題で化石燃料からの転換を迫られて、再生可能エネルギーの活用で新しい産業構造が生まれて「新しい資本主義」につながる期待はある。岸田首相は「新しい資本主義実現会議」を設置して、経済再生に向けて年末に向けての90兆円規模の大型補正予算の成立を目指すということだが、賃上げ企業への優遇税制が目につく程度で抜本的な目新しい経済政策、対策は伝わってこない。

 (4)企業はコロナ社会前から内部留保を積み上げて、デフレ不況から経済再生、将来の経済構造への展望が描けない中でなかなか累積的に企業の負担増となる賃上げには積極的ではなく、政府の成長と分配の好循環は見通しが立たない。

 (5)トマ・ピケティの「21世紀の資本論」は世界が一致して大企業、富裕層に課税強化して格差社会を解消する必要性を指摘したが、岸田首相の「新しい資本主義」では当初の大企業、富裕層への株取得など金融課税強化はその後見送ることになり、これまでの安倍元首相の経済政策を引き継ぐ成長論偏向に軸足を置く姿勢が目立つ。

 (6)豊富な企業の内部留保を活用する大企業課税強化策が打ち出せるのか、原油高、円安による輸入高で国民生活の負担、影響も大きくなっており「新しい資本主義」への転換、出番のようにみえて中身はこれからで、これまでの自民党連立政権の経済政策の踏襲では期待倒れになりかねない。

 (7)漠然とした「新しい資本主義」も輪郭、理論を示して国民の理解と納得の上での取り組み、目標、目的でなければ何も生み出さない。富の集中が格差世界、社会、気候変動、秩序崩壊につながっており、富の公平で公正な再配分は政治、経済、社会の大きな実現課題だ。

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