いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

土地の私権制限。 restriction of private right on land

2021-06-03 20:05:13 | 日記
 (1)特に問題となる必要性があったわけでもなく、突然という形でコロナ対策に追われる国会で「重要土地利用規制法案」が審議されて、与党の強行採決で衆院を通過した。よくみると安全保障上の重要施設周辺や領海にかかわる国境離島の土地利用を政府が規制する内容で、違反者には刑事罰を科すものだ。

 (2)「10時間ちょっとの質疑で強行採決」(報道)に対して立憲などは「廃案を求めていく」方針だ。立憲の前身の09年民主党政権では当時石原都知事が国が尖閣諸島を国有化しないのなら尖閣諸島の一部の地主から東京都が土地を買い上げると圧力をかけて迫り、当時民主党野田政権が尖閣諸島を国有化して中国の強い反発を買い今日に続く中国との尖閣領有権対立問題に発展した。

 当時尖閣領域は領有権問題を棚上げにして日中石油、天然ガス共同開発事業が進行中で、日本政府の尖閣国有化で一気に日中対決が高まることになり、仮に「重要土地利用規制法」があれば日中対立激化が回避できたのか、立憲としては苦い経験知のある問題だ。

 (3)北海道など豊富で良質な水資源、山林資源のある地域では、かなり以前から海外の特に中国投資家からの豊富な資金力による土地買い占めが話題になり、日本の豊富で良質な水、山林資源の保存について問題、必要性が指摘されたことがある。

 今回の「重要土地利用規制法案」はたとえば防衛省や米軍基地隣接の個人所有の土地を軍事対立する外国側が買い取り所有して、安全保障上の情報収集、監視することがあっては国防、防衛上の機密保持が脅かされるなどの懸念を示すものだが、これは個人土地所有者の売買停止、私権制限(restriction of private right)につながるものであり、国防、防衛上の機密保持、利益を名目とした国民の私権制限をみだりに正当化するもので改憲による緊急事態条項の制定で首相に権限の集中一元化をはかる私権制限につなげる意向がみえる。

 (4)コロナ社会での緊急事態宣言でも外出、移動の自粛、企業、事業者の営業自粛、中止の要請も私権制限をともなうもので、コロナ社会で国民の命、健康を守るためコロナ感染拡大の中ではやむを得ない措置ではあり、対策として企業、事業者への給付金、補償により生活保障をするとしている。

 今国会で審議中の「重要土地利用規制法案」はまるまる私権制限のともなうもの、規制であり、なぜこのコロナ感染拡大社会のなかで突如としての同法案審議なのか、自民党の改憲に向けた喚起のアプローチにみえる。

 

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