いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

国家独立論。 independent state theory

2017-10-29 15:29:28 | 日記
 (1)個人としては独立したいけれど組織としては欠けるのは困るという根源的な命題(proposition)に直面しているのがヨーロッパを揺るがしている自治政府、州の独立問題だ。

 英国のスコットランドで独立の是非を問う国民投票が実施されて、英国残留、離脱伯仲の中でわずかに残留が上回った。スペインでもカタルーニャ自治州で独立問題が再燃してカタルーニャ州議会は独立宣言を採択したが、スペイン中央政府は認めずにカタルーニャ州議会を解散して議会選挙に打って出た混乱だ。

 (2)ともに背景にあるのは、自治政府、州の利益が国に統轄されて応分の利益が回ってこない「富の再配分」への不満とやはり「EU加盟」の是非を問う問題だ。
 同様の問題はイタリア、ベルギーでも起きている(報道)。英国は移民流入問題でEU離脱を決めたが、背景には世界の中心の金融市場を持ちながらEU債務国への負担増で英国に応分の利益再配分の効果が少ない不満もある。

 (3)その英国内でも英国政府とスコットランド自治政府との同様の不満を抱えての独立問題だ。しかし、国家としては一部地域が勝手に独立宣言して縮小化すれば経済、社会、安全保障に及ぼす影響は大きく、簡単には同意できることではない。

 スペインの場合は中央政府とカタルーニャ自治政府との全面対立となっているが、かっての独裁政権でのマドリード支配に対するバルセロナの不満、歴史的背景もあるようだ。

 (4)EU加盟国は英国離脱の影響拡大によるEUの結束にさらに問題が生じることから、相次いで独立を認めない反応(報道)を示している。
 EUもそうだがヒト、モノ、カネの自由往来を基本理念にした共同体構想だが、加盟国の歴史、伝統、文化の違いが結束に影を落としており、スペインでもマドリードとバルセロナでは風土、歴史、文化がまったく違うともいわれて国家としての結束に支障になっているともいわれる。

 (5)日本でも国内米軍基地の70%以上が集中する沖縄で、問題解決のためには一部で日本から独立する考えが表明されたこともあり、仮に問題が現実になれば英国、スペインのような問題は起きるだろう(沖縄はもともと琉球王国として独立していたものが日本に編入された)。

 特にEU、ヨーロッパ政治事情では極右勢力の台頭が顕著で、保守的思想が独立問題に拍車をかけているように思う。

 (6)政党政治も大政党から多党分散縮小化が進んで政治、社会が不安定化しており、国家も分断独立志向が続けば国際政治、社会、安全保障の安定性を欠くもので、冒頭のような根源的な命題に突き当たることにもなる。

 EUは政治、経済、社会、平和の壮大な実験場としてヒト、モノ、カネの自由往来という理念、理想の共同体として、国からの独立の流れとは正反対の思想、理念を持つもので、これからのEUの安定、発展が独立問題の鍵となるだろう。

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