いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

変なこじつけ論。 doubtful farfetched theory

2015-12-30 19:38:33 | 日記
 (1)人間はたとえ実行犯であろうと証拠がなければ裁かれない。法定刑罰主義の大原則だが、だからといってこじつけがましいことをしては反感を買う。
 11月23日に靖国神社の公衆トイレで「爆発音がして不審物が見つかった」事件で、事件当日近くの防犯カメラに写っていた韓国籍の男性が容疑者として浮かび、事件当日に韓国に出国して数日後に再び日本に再入国しようとして羽田空港で同事件関連容疑で逮捕(報道)された。

 逮捕起訴容疑は「11月23日に正当な理由がないのに靖国神社の敷地内に侵入した」(報道)という建造物侵入罪だ。いわゆる別件逮捕で、東京地検は今後来年1月には事件核心の火薬類取締法違反容疑で再逮捕(同)する方針だ。

 (2)とりあえずは防犯カメラの映像証拠にもとづく証拠能力のある建造物侵入罪での立件起訴となった。本人は靖国神社内トイレの爆破にかかわったとの証言もしているとの報道はあるが、その後は黙秘を続けているということだ。

 この靖国神社内トイレに立ち寄ったことが「正当な理由がないのに同敷地内に侵入した」ということになれば、誰もが必要に応じて靖国神社内の公衆トイレを利用することなど出来ないことになる。

 (3)その後参拝したかどうかの立証もむずかしく、中には必要に応じて公衆トイレだけを借りる人もいることは想像できてそれまで不法侵入では、このこじつけ論(farfetched theory)は司法判断としてはこっけいでもあり、そうとは言ってられない司法による国民、人間の自由の法による拘束という人権侵害問題にもかかわるものだけに、法的手法の問題性はある。

 本人は黙秘しているとのことだが、このまま仮にトイレに立ち寄ったことが建造物侵入罪に問われるということになれば、裁判では捜査権の強権行為として不問に附されることが考えられる。

 (4)深い起訴内容はわからないが韓国籍の男性だからといって靖国神社に立ち入ることが「正当な理由がない」はずもなく、国内外を問わずに不特定多数の参拝者あるいは目的も様々多様(見学、トイレ利用、購買など)な来訪者をとらえて「侵入者」呼ばわりされても、あるいは誰もが「侵入者」になり得る司法判断という不条理性(unreasonableness)を生むだろう。

 当の韓国籍の男性は再入国の際に黒鉛、配線とか爆破装置に利用できるものを持っていたといわれており、申告もなく(多分)そういう危険物を所持していたことを理由に拘束できなかったのか、こちらのこじつけの方が合理的に見える。

 (5)別件逮捕の危うさは思わぬことで被害者になりうる犯罪意思能力とはかかわらない司法の強権性、利己主義性であり、法定刑罰主義の理念にそぐわないものでこれまでも批判、批難を浴びてきた。

 事件当日の状況、その後の容疑者の不可解な行動(事件当日の出国、数日後の再入国)を見れば靖国神社内トイレ爆破に関与した可能性は高いと見られるが、韓国籍の男性で日本での捜査のために身柄の確保がまず優先されるという事情はあっても、それ相応の容疑事実がなければ司法の強権性、行き過ぎが目に余ることになり、司法の信頼性にかかわる問題となる。

 (6)司法の捜査の苦肉の策で個人の自由、権利、人権が拘束、侵害されることがあってはならずに、誰もが確固たる証拠、理由がなければ法による自由拘束されることはあってはならないのが、法治国家としての使命であり責任である。

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