いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

IS打倒のその後。 after the overthrow IS

2015-12-21 19:55:34 | 日記
 (1)今年は1月からISがらみのパリ週刊誌発行元襲撃テロ事件にISによる日本人ジャーナリスト2名のネット公開殺害に始まり、年末のパリ競技場、劇場、レストランなど無差別同時テロ事件とISがらみの過激テロの1年だった。

 ISがらみの過激テロにはシリア一部を支配地域に置くIS拠点からの出撃というよりは、自国に帰った戦闘員また自国でISに影響を受けた若者による過激テロ、いわゆるホーム・グローン・テロ(home grown terro)が特徴だ。

 (2)米国、ロシア、EU諸国がシリアに支配地域を展開するISへの空爆を実施しているが、1年たっても効果的な成果は出ていないといわれている。
 シリア国内はアサド政権と反政府組織が激しい内戦を繰り広げてISと三つ巴(どもえ)の分断支配内戦の中で、アサド政権も支配地が限られてIS打倒の攻撃力、支配力を持たないことがISに対する空爆成果があがらない要因だ。

 米国では空爆に加えて地上軍のシリア派遣投入の是非も論議されたが、米国内、国民にはえん戦気分(海外戦闘拒否)が強く、シリア内戦への本格参加にはオバマ大統領をはじめ否定的な意見(報道)が多い。

 (3)米国はイラクで政府軍地上部隊の戦闘能力訓練の指導を強化してIS打倒を進めようというのが当面の戦略だが、使えるまでには時間を要する作戦のようだ。
 仮に米国、ロシア、EUの空爆が効果、成果をあげてシリアに展開するIS勢力を打倒(overthrow)したとしても、その後のシリア政府が国内を実効支配できなければ再びテロの温床となって復活することになるのは、イラクの混迷実態をみればあきらかだ。

 (4)国民の支持を受けた政府の樹立による国内治安安定、実効支配が国際テロ打倒には必要であり、現在のシリア・アサド政権では国民を化学兵器使用で内戦の犠牲にしてきた経緯からもその期待は皆無に等しいものだ。

 アサド政権はロシア・プーチン大統領がこれまでの両国の支援協力関係から支持してこれに反対する米国と対立しており、IS打倒に対しては米国、ロシアが軍事(空爆)協力しながらシリア国内の治安安定にはほど遠いのが現状だ。

 (5)国民の支持が離れたアサド政権に代わる国民の期待を集める、背負えるネイティブ(native)な政治勢力が樹立できるのか、結集できるのかがシリア安定とテロ撲滅につながる唯一の方法論(native)だ。

 米国では来年11月の大統領選に向けて民主党候補者の中でひとり高い支持率を維持して独走しているヒラリー・クリントン候補は、シリアへの米軍地上軍の派遣を否定して米国のイスラム教徒との協力をあげて「(ISを)封じ込めるのではなく、打ち負かす計画がある」(報道)と強調して、イスラム教徒の一時的な入国禁止の強硬発言で批判を受けている共和党支持率トップのトランプ候補を批難している。

 (6)米国の政治が今後シリア内戦、ISテロ問題解決に向けてどちらに向かうのかは大統領選の結果次第でわからないが、IS打倒だけでは国際過激テロの撲滅にはつながらない。

 内戦、紛争地域での国民の支持を受けた政府による自治能力、実効支配をどう支援するのかは、国際政治、社会に求められる問題解決への大きな課題である。

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