いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

50年目の日韓合意。 an agreement between japan and korea on the fiftieth years

2015-12-29 19:44:45 | 日記
 (1)今年戦後70年を迎えるにあたって、これから100年に向けての30年の新しい時代、課題のスタート、方向性を決める年だと書いたが、安倍首相が70年前の戦争責任を将来の世代に背負わせてはならないと言ったのは正しい判断だった。

 1965年に日韓請求権協定の基本条約で従軍慰安婦の賠償問題は解決済みとの立場をとってきた日本政府であるが、韓国は朴クネ大統領が日本の責任と謝罪、おわび、反省を強く求める対立を続けてきた。

 (2)50年前の請求権協定による女性基金設立による日本の賠償責任対応では、当時の韓国政府による韓国元慰安婦への受け取り拒否対策もあって韓国側からすれば戦後処理は未解決のままという主張があった。

 今年に入って日韓首脳会談が両首脳就任以来初めて開かれて、今回の28日の外相会談で一応の決着をみることになった。

 (3)日韓外相会談の合意(agreement)では「慰安婦問題が『最終的かつ不可逆的』に解決されることを確認し、今後互いに非難や批判を控える」(報道)ことを確認して、日本政府は予算から韓国政府が元慰安婦を支援する財団設立に10億円拠出(同)して責任とおわび、反省を示すことで決着した。

 合意は「日韓両外相共同記者発表」(報道)として文書で示された。両国政府の正式な合意文書でないところがどれだけ拘束力を持つことになるのかは実はわからないが、韓国政府の慰安婦支援財団事業が日韓合意にもとづいて進展することによって問題は確実に解決に向かって前進することになるのは間違いないところだ。

 (4)韓国政府が強く求めた日本の「法的責任」は合意内容では取り上げられずに、安倍首相もその後の朴大統領との電話会談では「財産請求権問題は1965年の協定で最終的かつ完全に解決済み」(報道)と伝えており、日韓双方がそれぞれの主張を棚上げした形での完全合意となった。
 日本の法的責任まで認めれば、アジアのほかの国への戦争賠償責任問題に発展する可能性が大きいことになる。

 (5)韓国側の財団設立による元慰安婦支援事業に日本政府が直接予算から拠出することで、50年前の日本側の女性基金設立による慰安婦賠償責任問題とは一線を画した形での決着となったことは一定の前進があったということで、事実上の日本政府のこの問題での責任の所在(予算からの10億円拠出)を明らかにしたということだ。

 これで韓国内の元慰安婦支援対策は日本政府の10億円拠出により韓国政府の国内問題として解決に向かうという政治決着(political settlement)になって、解決負担は今後韓国政府の責任遂行に移ることになる。

 (6)ある意味ではこれまでの朴政権の強硬姿勢から見て韓国政府側の譲歩ともいえる今回の合意解決であったが、韓国内の一部世論、元慰安婦の感情論での反発も考えられるところだ。

 ただ韓国内にもメディア、国民の中にこの問題を契機に日韓対立が3年半以上も続いていいかげん何とかすべきだとの気分も伝わってきており、これまでのようにこの問題がこれ以上蒸し返される〔50年前の協定も「完全かつ最終的」(報道)と謳っておりながらの今回の対立〕可能性はないというのが通常の見方だろう。

 (7)日本政府は韓国政府との安易な妥協は、この問題でのアジアのほかの国における日本のアジア侵略戦争責任論に発展することを危惧して、安倍首相もなかなかおわび、反省による責任を明確にしてこなかった。

 日本のアジア侵略植民地支配による戦争責任問題がこれでおさまりを見せるのか、やはり中国との関係改善が大きな課題として残されている。

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