いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

野望独断政治。 scheming politics by own authority

2015-12-20 19:55:42 | 日記
 (1)自民党1強時代といわれたけれど、いつのまにか今では安倍官邸1強時代に名前を変えた。軽減税率問題では、最初財務省のマイナンバー還付金方式を安倍首相は「やるならやったらいい」(趣旨報道)と様子見をしてこの案が連立公明党の反対を受けて、安倍首相が2017年4月軽減税率導入を表明して自民党と公明党幹事長の協議が財源規模で開きが大きいと見るやその間をとりもって8000億円規模を示唆して、結局は公明党の主張に沿った1兆円規模財源の軽減税率導入で与党合意に結び付けた。

 安倍政権の安定運営のために来年1月の宜野湾市長選、夏の参院選の公明党固定票頼りの選挙協力優先を考慮した安倍官邸の自民党、税調の主張を押し切った方針だった。

 (2)もうひとつ、今年11月に実施された大阪府知事、市長同日選では自民、公明党が総力をあげて大阪維新の会候補者と争った結果、府知事、市長選ともに大阪維新の会候補者に与党推薦候補者が大差で負けた。

 通常は大阪府知事、市長選ともに総力をあげた与党推薦候補者が大差で負けたとなると安倍政権にとっても政権運営で相当の痛手になるところが、その同日選の発端となった橋下前大阪市長が18日に退任するとすぐ翌日に安倍首相と菅官房長官が揃って橋下さんと東京都内で会談をしている。

 (3)おおさか維新の会は前幹事長で橋下さんに代わって代表についたばかりの松井大阪府知事も同席しているが、自民党幹事長の姿はなく官邸主導の会談だった。こういうこともこれまでの通常の政治図式では見られたことはなく、安倍内閣、官邸と与党自民党との距離、力関係、支配体制を強く印象づけるものであった。

 安倍首相としては理念主義の憲法改正で考えの近い橋下さんが影響力を持つおおさか維新の会の協力を得ておきたい意向が出たものといわれている。安倍首相と橋下前大阪市長の政治スタイルは似たもの同士でともに「野望独断」政治(scheming politics by own authority)」だ。

 (4)安倍首相は集団的自衛権の行使容認、拡大で軍事協力強化により自由主義圏の中でも日本の存在感を高めたい意向が強く、政治目的としては戦後政治体制の見直し改革の総決算として憲法改正、自主憲法の制定が自民党の綱領にも明記してあるように念頭にある。

 橋下前大阪市長は大阪都構想実現を政策中心として府知事から市長に転身してまで実現を目指した。議会との対立の末に公明党との選挙協力の取引きで何とか大阪市民による住民投票にこぎつけたが、わずかの差で否決され野望が潰(つい)えてこれで政界引退を表明した。

 (5)ともに国民、市民の人気、支持の高さを背景に政権、市政運営を担ってきた(いる)が、安倍首相は国会での圧倒的な与党勢力の数の力で自らの政策を着々と実現したのに比べ、地方政治の橋下さんは府知事、市長時代で自ら代表した大阪維新の会が議会の過半数を獲得できずに絶えず自民党、公明党多数の議会との対立の中で苦戦を強いられてきた。

 橋下さんは18日の退任会見では、嫌われることは全部自分がやった、これ以上やれと言われても無理と自身が指名した後任に「野望」を託したが、橋下さんの個性、人気頼りの中でこちらは議会対策を怠り(最初から個人人気頼りの確信主義)孤立していったのが、国会勢力の数の力で野望独断政治を実現させている安倍首相、国政(議会制民主主義)と地方政治(住民統治の直接民主主義的理念)との仕組みの違いによる結果帰結だった。

 (6)盟友の松井府知事は橋下さんをこうと決めたら一直線に向かう稀有(けう)な政治家(趣旨報道)と評価したが、政治、政策の戦略のち密さに欠けて橋下さんが8年間の在位で大阪に残したものは何か、結局はすべてが「中途半端」に終わった。

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