いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

オバマ外交の漂流。 the drifting of obama diplomacy

2014-12-22 19:31:48 | 日記
 (1)「Gゼロ」時代ともいわれる国際社会でこれまでのような米国への過度の指導力を望むのも無理というものだが、それでも外交方針が定まらないオバマ政権の漂流(drifting of obama diplomacy)ぶりには不安を覚える。

 オバマ米大統領が11年に毅然とイラク駐留から完全撤退したときには、前ブッシュ政権の大義のなかったイラク侵攻からの決別を示すものとして評価される決断であった。
 その後は01年9月11日の米国同時多発テロ首謀者ビンラディン率いるイスラム過激派組織タリバンが支配を強めるアフガンに勢力をつぎ込んで11年にビンラディン容疑者を殺害して一定の目的を達成して、今月末には米軍はアフガンからも撤退する。

 (2)米国内の「えん戦」気分に緊縮財政の軍事予算の縮小による米国の世界戦略の見直しで、自分の国は自分で守るという主権国家のテーゼ(these)に寄り添うものだ。
 イラクにしてもアフガンにしても前ブッシュ政権時代に米国がテロ対峙として内戦に関与して侵攻し、しかし国内テロ活動、内戦状況では一向に沈静には向かわずに深刻化したままだ。

 Gゼロ時代といわれる所以(ゆえん)でもある。オバマ政権の外交方針(obama diplomacy)がおかしくなったのは、シリア内戦で化学兵器が使用されてこれをシリア・アサド政権の仕業だとして、オバマ大統領がシリア空爆に踏み切ることを決断、準備しながらシリアの後ろ盾のロシアの仲裁により国際管理下でのシリア政府の化学兵器の廃棄処分案に乗って、シリア空爆を直前になって中止したことからだ。

 (3)このオバマ大統領のシリア空爆の強硬策は結果としてロシアの仲裁による国際管理下の化学兵器廃棄処分という効果を招いたのだから評価されるべき強硬策であったが、直前になって実行を中止したことが米国内外から唯一の覇権国家米国のオバマ大統領の決断の優柔性が批判、非難された。

 米軍が撤退したイラクではイスラム国が勢力を拡大して米国人民間捕虜を公開処刑して、米国は再びイスラム国制裁攻撃のイラク空爆に踏み切る方針転換に迫られた。
 米国の大義なきイラク侵攻で内戦混迷に導き、隣のシリア内戦には関与せずに米軍のイラク撤退に乗じてイラク、シリア両域でのイスラム国の台頭を招いて、再びイラク空爆に関与するという米国オバマ大統領の外交戦略の定まらない優柔不断連鎖スパイラル(spiral)で方針は漂流するばかりだ。

 (4)今月末に撤退するアフガンでは隣国パキスタンでのタリバンによるテロ活動は活発化して、イラク同様の構図が展開されている。米国の展望なき中東関与、戦略だ。
 北朝鮮では核開発中止、国際監視団による検証体制の見返りにテロ支援国家の指定(経済制裁)解除に踏み切ったが、そもそも米国が招いた北朝鮮金第1書記暗殺をモチーフにした映画公開阻止で映画製作会社がサイバー攻撃を受けて、米国(FBI)はこれを北朝鮮の仕業だとしてオバマ政権内をはじめ米国内では北朝鮮のテロ支援国家の再指定を求める声も高まっている。

 これまた北朝鮮の思惑を見抜けない場当たり的な外交方針で、行き当たりばったりの出たとこ勝負の漂流ぶりだ。

 (5)唯一最近の半世紀上も続いた敵対国キューバとの国交交渉開始ニュースが救いだがあまりに唐突で、これも共和党優勢の議会からはキューバの民主化が進まないなかでの時期尚早(報道)との声も多く先行きは不透明だ。

 前ブッシュ政権がよかったわけではないが、オバマ大統領になってからの外交戦略(obama diplomacy)は指導力、一貫性を欠いて優柔的で、えん戦気分の米国民からも強い米国への願望もあり中間選挙での政権民主党の敗北につながった。

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