いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

前科の証拠能力とは。 what a evidence power of criminal records

2012-09-08 20:45:54 | 日記
 (1)裁判の大前提に「疑わしきは被告の利益に」という信念、信条がある。人が人を裁く不条理性の中で、刑法罰則が「自白」至上から「物的証拠」主義に証拠能力の根拠基準が重点を移行した結果の厳格適用制の精神性を示したものだ。

 自白至上主義時代の自白強要による誤審、えん罪をいくつか生んでその後の歴史検証、裁判で無罪になるなど、動かぬ「物的証拠」による疑いようのない犯罪構成要件の証明が立証の大原則となっている。
 これに近代科学捜査技術の導入でDNA鑑定が時間と空間を超えて事件の解明立証に貢献することになる。

 (2)そういう物的証拠主義でDNA鑑定の近代科学捜査の解明立証時代を迎えて、何んと「前科(criminal records)」を証拠採用して、その後の犯罪の立証要件(proof points)」とする判決が出た。
 上告を受けた最高裁で、前科による推定推論(reasoning)立証を厳しく制限すべきだとの判例が示され、前科歴を証拠採用すべきだとの2審判決を破棄して差し戻した。
 
 捜査の努力、工夫、意欲の不十分、不足を「前科」の常習性の因果関係に求めた安易な捜査手法で、かっての「自白」至上主義で強要によるえん罪を生んできた歴史的背景を想起させるあってはならない裁判手法だ。

 (3)民家に不法侵入しての窃盗罪のうえに放火したとされる事件で、被告は住居侵入と窃盗は認めたが放火は否認していた。放火の直接証拠はなかったが、同被告には11件の放火前科があった(報道)ため、しかも今回放火事件の手法と前科歴に類似性があったために「間接的な証拠」として採用するよう主張していた。

 最近の判決内容の特徴、傾向として、初めて採用された直接的証拠はないが推定推論で社会通念上それ以外に考えられないとして有罪判決を導き出す裁判手法がある。
 「生活」代表で元民主党代表の政治資金4億円の不実記載に問われた事件の「認識性」について、社会通念上の推定推論で有罪判決を受けた判例が印象に深い(現在控訴中)。

 (4)人が人を裁く不条理の裁判だからといって、またそうだからこそ「物的証拠」主義による立証能力が検察、裁判にも強く求められて当然で、そういう裁判観念、理念の中での「疑わしきは被告の利益」理論の正当性だ。

 人間は過ちを悔い改め二度と過ちをくり返さないために「社会復帰」を目指す生き方、行動を国、社会が支援しなければ、健全に生きるエネルギーを結集する再生可能社会とはならない。
 再生意欲のある誰もが基本的に過去の「前科歴」などでいつまでも拘束され犯罪者にされる脅威、強迫観念などで生活することがあってはならない。
 それが大前提の「物的証拠」至上主義の立証能力、手法の法律理論だ。

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