いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

私的な小田和正検証。 private verification about k. oda

2011-09-16 19:50:10 | 日記
 小田和正さんというミュージシャンも正体不明像のよくわからないところがある摩訶不思議な存在の方です。東北大学から早大大学院で建築専門学を学び、しかしその道には進まずに(off course)音楽の世界に進んだ。

 当時大学院に進むとは資格取得か学究への道ということだ。しかし、道は違っても建築と音楽の創造プロセス、構図は同じだ。単なる興味、関心だけではない構造的な共通性がある。
 中世ヨーロッパでは建築と音楽融合のバロック(baroque)建築音楽様式による宮廷芸術もある。

 団塊の世代真っただ中で、その後日本の高度経済成長期を支えた世代としては建築専門学をいかして活躍する未来余地の開けたステージは整っていたにもかかわらずに、逆に歩いたのは成功持続する確率も不透明な音楽のステージだった。
 学生時代からフォークグループ(オフコース)で音楽活動をしていたので、それほどに音楽にも強い関心と魅力を抱いていたということなのだろう。

 福岡代表のチューリップ(発展的フォーシンガーズ)も参加した当時のヤマハライトミュージックコンテストで2位になったことがキッカケでプロミュージシャンの道に進むことになったと思われますが、建築専門と音楽の人生を賭けた冒険対効果を考えるとはなはだ冒険の好きなかなり思い切りのいい決断力のある大胆な性格の持ち主とお見うけします。

 現在とは違って、黎明期をむかえる可能性に満ちあふれた日本社会構図を前にしての決断です。やり直しの効く相当の自信家とも言えますが、建築専門と音楽の構図は同じとはいえそれまでの準備のプロセスからの進む方向性のギャップ、当時の社会建設志向の世相の中での針路変更の決断です。
 なぜなら、当時の社会情勢に乗ったそのための大学院に進んでの建築専門学への進路でもあったはずです。本来のもしあったとする志望が叶わなかったとすればの比較となると、何んとも言葉にできない世界だ。

 小田さんの音楽の志向は、メロディ優先というよりリズム、テンポ中心のわかりやすい力強い明快なポップスサウンドと言うところでしょう。バロック音楽(明るく明快な通奏音楽)に通じるものがある。

 ハイトーンボイスですがよくのびる声質というよりは、力強く押し切るはき出すハイトーンボイスです。同世代の財津和夫さんの水あめのようによくのびて、メロウな透明感のあるハイトーンボイスとは異なります。
 小田さんの声量は力強くて、現在もテレビでお見かけするところでは年令的な変化はあまり感じられません。

 音楽的には、異論もあるとは思いますが、財津和夫さんの創りだすメロディ中心の転調の効いたアレンジも含めて流れるように揺れてリンクする美しいメロディラインの技法が優れていると思いますが、小田さんの音楽には明快なわかりやすい発信力、テーマ力があります。
 ポップスの特徴をとらえた明快さ軽快さ快適性で自分の世界に引き込ませるサウンド効果はあります。テレビドラマの主題歌にもよく起用される音楽性です。
 プロデュース力(個人的に楽しんでいるようにも見えます)もあって、若手ミュージシャンとのコラボも何の違和感もなく積極的にやってのけます。小田さんの魅力、人間力の大きさを感じるところです。

 サービス精神も旺盛で、ステージング(ホール中央に長い通路、自転車によるホール内周回)にも工夫を凝らして、聞くところによると観客全体への気配り、セットリストにも変化、配慮、工夫もあって感心します。
 小田さんのコンサートは、財津さんがゲストで出演した野外コンサート(台風一過のコニファーフォレスト)1回のみの参加ですが、大きな野外会場の真ん中に設定した円形ステージで等距離間を演出してそこから最後席を見て「あそこも同じ料金ではかわいそうだ」と言う言葉が印象的です。

 他のミュージシャンの歌も器用に歌いこなす実力、積極的な交流、コラボも信頼される人柄を示してまたその通りに見えて、絶大な人気の高さを実証しています。
 60才を過ぎても今でもドームを満員にする破格の人気度、アルバム発売も含めて音楽活動にはいつも最年長記録がついてまわるほどの実力、人気です。

 これも異論はあるとは思いますが、他のミュージシャンへの楽曲提供、その注目度(ヒット)からも財津和夫さんの音楽性の高さ(松田聖子・沢田知可子)は突出したものがありますが、小田さんの音楽に対する思い、思考、工夫、サービス、人柄があってのゆるぎない絶大な人気です。その思いの背景には、建築専門学から音楽へのオフ・コースへの決断があると考えられます。

 観客に伝える音楽の手法、考え方の違いです。小田さんは、観客の志向、一体感、サービスを重視し、財津さんは、自分の音楽観をまず伝える音楽性、責任優先です。
 小田さんは、わかりやすく言えば誰のところにも飛び込んでいく自由奔放、ポピュリズム、プロデュース力で主張し、財津さんはどちらかと言えば孤高です。

 小田さんは海外(アジア)公演も積極的で、視野の広い多様な音楽活動の中に小田和正さんの実体像が徐々に浮かびあがってきます。

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