オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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1977 Sega Price List (6):ピンボール系

2021年04月11日 20時40分38秒 | メーカー・関連企業

1977年のセガのプライスリストの記録もいよいよ最終回となりました。最後を飾るのは、フリッパー・ピンボールです。ページの画像は例によって、推奨サイズでなるべく大きく表示できるよう、各ページは上下に二分割しています。

このプライスリストの中でフリッパー・ピンボールが掲載されているのは、4ページと、10~11ページです。このうち、4ページにはセガの製品が、10~11ページには米国製の輸入品が掲載されています。

順番が前後してしまいますが、まずは10~11ページの輸入品のページを先にご紹介します。



10ページ目。Williams社製の製品が掲載されている


11ページ目。Bally社とGottlieb社の製品が掲載されている。

10ページには「Cabaret」や「Expo」など、また11ページのBally製品の中にも、やはり「Ballyhoo」や「Rockmaker」など、1960年代の機械の名が見えます。いかに製品寿命が長かった時代とは言え、さすがにこれらの生産が続いていたとは考え難く、下取り品や自社で運営する店舗間のローテーションから外れた在庫品ということなのだと思います。

しかし、それはともかくとして、70年代半ばと言えばIC技術の普及が進み、メカを伴うゲーム機にもICが採り入れられるようになり始めた時期です。フリッパー・ピンボール機では米国のAllied Leisure社が1975年に初のSS機を発表しているのですが、このリストに見える機種の中にはSS機が見当たりません

次は4ページに戻ります。このページには、セガの自社製ピンボール機が掲載されています。


4ページ目。セガの自社製フリッパー・ピンボール機が掲載されている。

セガが自社製のフリッパー・ピンボールを開発販売するようになったのは1971年(関連記事:初期の国産フリッパー・ピンボール機:カーニバル(セガ、1971))のことで、以降1973年までの3年間で9機種のEM機を世に送り出しましたが、その後セガは一旦フリッパー・ピンボール機の開発をやめてしまいました。

それから3年後の1976年、セガは再び、今度はSS機のピンボール機を開発販売するようになります。今回取り上げている1977年5月のプライスリストはその翌年のものですが、この時点で7機種もの自社製SS機が掲載されています。

ここまでを整理しておきます。
1971年:セガ、初の自社製EMフリッパー・ピンボール機「ウィナー」、「カーニバル」、「サッポロ」を発売。
1973年:セガにとって8~9機種目となるEM機「アリババ」、「ギャラクシー」を発売したが、その後沈黙する。
1976年:沈黙からの3年後、初の自社製SS機、「ロデオ」を発売。
1977年:5月のプライスリストに、自社製SS機7機種を掲載。

セガは早くからエレメカゲームにIC技術を導入することに積極的で、1974年に発売したメダルゲーム機「ハーネス・レース」(関連記事:初期の国産メダルゲーム機(3) 競馬ゲームその1・ハーネスレース(セガ, 1974))で既に「ミニコンピューター」を謳っています。フリッパー・ピンボール機への導入も、米国の大手三社よりも早いです。

一方でセガは、このカタログの中で、「STANDARD」と称して1973年以前のEM機も掲載しています。これらもおそらく中古品だと思いますが、ひとつだけ妙な機種があります。それが、ページの右下に見える「Arabian Night」です。何が妙かと言うと、セガはこの「Arabian Night」とほぼ同じ機種を、「Alibaba」というタイトルで、1973年に既に発売しているのです。


Arabian Nightの拡大図(左)と、フライヤーから切り取ってきたAlibaba(右)の比較。

Arabian Nightは、バックグラスの女性の顔をベールで覆っていること、それにコインシュートの料金表示など、「Alibaba」とは外見的な違いが僅かにありますが、どちらも2P用であることや、プレイフィールド、さらにフライヤーに書かれている説明から察せられるゲームルールまで、違いがあるようには見えません。

「Arabian Night」の発売年をIPDBを調べると、1976年3月9日の日付が記された検品ラベルが掲載されています。1973年に作られたAlibabaを、3年後の1976年までの間に、どういうわけで「Arabian Night」に作り替える必要があったのかは、永久に判明しないであろう謎として残ってしまいました。

このカタログに掲載されているセガ製のピンボール機のいくつかについては、単体のフライヤーを所持しているので、いずれ機会を見て「初期の国産ピンボール機」のカテゴリーとして取り上げてみたいと思っています。