私は、議案や予算にこだわって議会活動しています。
最も大切な議員の仕事の一つが、この議会での言動だと思っているからです。
区民の皆さんの声を聴くのが大切なのも、ここでの発言が区民生活をうつしたものでなければいけないからです。
税金をどう使うか、社会のしくみをどう作るか、ここに問題があるから、お金の流れが変わって、格差や貧困がうまれ、努力が適正に反映評価されない社会をつくっていきます。運不運もありますけど、政治の責任は大きいです。
ただ、今は、グローバル化で、日本だけの問題でなくなっているから、難しいですね。
少なくとも、与えられた地方議員の役割は、しっかりと果たしたいと思います。というわけで、第四回定例会の主な議案についてご紹介します。
いま、日本全体が、社会システムを抜本的に変えようとしています。
それは、DXデジタルトランスフォーメーション、デジタル革命、
新しい資本主義、などの言葉からもわかりますね。
政治家が革命という言葉を使うと、危険人物になるのでしょうか?
ところが、国が「革命」というのは許されるのですね。
誰に対する、何に対する革命?行き先の示されない電車に乗り込まされてしまったみたいに感じます。
だから、反対が多いです。
賛成してると、悪い方へ加速してしまいます。
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ご参考
主な議案と簡単な説明
個々の議案に対する考え方は、別途報告いたしますが
文末に、議案に対する討論をまとめて掲載しておきます。見にくくてごめんなさい。
議案82
令和4年度大田区一般会計補正予算(第5次)
子育て世帯への国、都、大田区の財源による総額約21億円を超える現金給付
83大田区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例
マイナンバーに個人情報を紐づけるための条例改正
84 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
新空港線蒲蒲線の施設整備のために大田区が61%出資して設立した羽田エアポートライン株式会社に職員を派遣できるようにするための条例改正
86 大田区積立基金条例の一部を改正する条例
新空港線整備資金積立基金の目的に区の総合的なまちづくりに必要な資金も含めるための条例改正
87 大田区大森北四丁目複合施設条例
入新井小学校敷地内に建設した複合施設のための条例
88 大田区田園調布せせらぎ館条例の一部を改正する条例
田園調布せせらぎ公園内に建設したせせらぎ館の一部として新たに建設する体育施設も含めるための条例
89 大田区新蒲田区民活動施設条例の一部を改正する条例
あらたに大田区の施設に区民活動施設という分類を作るための条例
91 大田区大森南四丁目工場アパート条例を廃止する条例
工場アパートを民営化するための条例を廃止
93 大田区自転車等の適正利用及び自転車等駐車場整備に関する条例の一部を改正する条例
混合用途の建物への自転車駐車場の設置義務を大きくするための条例改正
94 大田区廃棄物の減量及び適正処理に関する条例の一部を改正する条例 廃棄物手数料の引き上げ条例
議案100-102
100 大田区青少年交流センターの指定管理者の指定について
指定管理者を指定
101 大田区立平和の森会館の指定管理者の指定について
指定管理者を指定
102 大田区立大森東福祉園の指定管理者の指定について
指定管理者を指定
議案103
103 鉄道と魅力的なまちづくり宣言
"鉄道ネットワークをさらに
充実させ、夢あふれ誰からも選ばれる都市「おおた」を目指した魅力的なまちづくりに取り組むための宣言"
議案104-106
104 大田区個人情報の保護に関する法律施行条例
国の個人情報保護法制定に伴い、国が事業者から個人情報を守るのに対し、行政(大田区)から個人情報を守るために条例制定
議案107-110
民間給与と公務員給与の負のスパイラルになっている【官民格差の是正】に偏重した給与改定の考え方 - 大田区議会議員 奈須りえ フェアな民主主義を大田区から! (goo.ne.jp)
第82号議案令和4年度大田区一般会計補正予算(第5次)に反対の立場から討論いたします。
今回の補正予算には、子育て世帯への国、都、大田区の財源による総額約21億円を超える現金給付が計上されています。
雇用が不安定になっている中、コロナに加え物価の高騰で困窮する区民に現金給付は助かる予算だと思います。しかし、プッシュ型献金給付には、これまでと同様そもそも反対ですし、雇用や所得の問題は、一般質問で明らかにしたように、構造改革で税負担や税の使い方、雇用の在り方が大きく変わったことが原因です。給与所得者の中間所得層に税負担が重くなっているうえ、給与所得者の上位2割が所得を減らしている=つまり高額所得層が減る構造を政治が作っている中、そこから集めた税のうちの一部を現金給付しても、全体でみれば、超高額所得者層との格差は是正されません。そもそも、国が構造改革が格差をまねいたと言っているのに構造改革の1つ地方分権の舞台である大田区が、その影響を把握していないばかりか、国の構造改革に関する格差に関し区として答える立場にないと答弁しているのですから、原因を是正できるはずがありません。原因を放置しお金だけ配れば、給与所得者全体が低所得化し投資家との格差が広がるばかりなので反対です。合わせて計上されている呑み川合流改善の立坑設置の補正予算は、住民への説明や合意形成に時間がかかり、工事を次年度以降にするための補正です。悪臭の原因が東京一極集中による密集化にもかかわらず、そこを是正せず、大規模な対症療法になっていることに問題があります。工事規模が大きくなれば、住民との合意に時間がかかりますが、十分な説明が行われていません。地元業者の受注機会を減らすことにもつながり何重にも問題があると考え反対です。
第83号議案は、マイナンバーに個人情報を紐づけるための条例改正であり、反対です。
第84号議案は新空港線蒲蒲線の施設整備のために大田区が61%出資して設立した羽田エアポートライン株式会社に職員を派遣できるようにするための条例改正です。
三セクと言えば、公的な印象ですが、株式会社であるうえ、投資は、都市鉄道関係で最も手厚い国の補助に支えられています。鉄道整備する実施主体は、デベロッパーなので、大田区も委員機で答弁した通り、利益を上げるのは、デヴェロッパーの株主です。大田区職員が第三セクターに行って、デベロッパーの株主利益のために働く構図であり、全体の奉仕者として大田区に戻ってくることを前提とした職員派遣はふさわしくないと思います。反対です。
第86号議案 大田区積立基金条例の一部を改正する条例、は新空港線整備資金積立基金の目的に区の総合的なまちづくりに必要な資金も含めるための条例改正です。
そもそも、まちづくりなどインフラ投資は、単年度会計の原則や世代間の負担の公平から、基金によらず公債で負担すべきです。しかも、大田区は答弁でこれからの税収が減ることに言及しているうえ、基金を活用したまちづくりを考えていると言っています。税収が増えないのに、基金を使うと言うことは、福祉にも使える財政基金を新空港線の整備に限らない区の総合的なまちづくりに使うと言っているに等しく、今後のインフレなどから考えても基金は区民生活に使うべきで反対です。
第104 号議案大田区個人情報の保護に関する法律施行条例について反対の立場から討論いたします。
大田区は住所、氏名、家族関係、収入や所得、健康、障害、介護、成績、本の貸し出し状況から思想ほか、あらゆる極めて重要な個人情報を持っています。これらは、企業にとっては、大きなビジネスチャンスにつながる情報であり、使い方を間違えれば、個人の基本的人権を侵害することになりかねません。だからこそ、これまで、国に先んじ自治体が独自に個人情報保護条例をつくり守ってきたのだと思います。ところが、今回の条例改正により、これまで大田区が国に先んじ守ってきた個人情報のうちの事業者から守る部分を国にゆだねることになります。
匿名加工情報は個人情報を復元することができないものですが、仮名加工情報は他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できませんが、裏返せば、企業などが保有する番号情報から個人を特定できる情報です。昨今、保険証、免許証、銀行口座などとマイナンバーを紐づけようと言う動きは広がっており、様々な場面で、マイナンバー提示を求められる場面も増えていますから、企業が情報をつき合わせると個人を特定できることになります。国の法律で区民の個人情報を守ることはできませんし、区がこの条例で区民の個人情報を守ることもできません。全体的な個人情報の取り扱いの流れを見れば、個人情報が営利目的に使われるのが見えてきますから反対です。
第95号議案区民プラザ特定天井拐取その他工事請負契約について、反対の立場から討論いたします。
区民プラザは、多摩川線に沿って立地しています。平成29年1月、国土交通省は改定踏切道改良促進法に基づき、改良すべき踏切道の第二指定を行い、下丸子1号、2号踏切が指定されています。
この踏切対策と合わせ、駅周辺のまちづくりついて検討も昨年度より始まり、蒲蒲線整備も動こうとしています。
ところが、区民プラザが蒲蒲線や駅周辺のまちづくりにおいて、今後どうなっていくか明らかになっていません。少なくとも、計画が動き始めるまでの5年、10年、15年など、一定期間は区民プラザは現在のまま活用するなどの方針を作るべきだと思いますし、それがなければ無駄な工事になるかもしれません。大田区が蒲蒲線やまちづくりを受け、区民プラザをどうしていくのかの長期的計画、展望が無いことが問題であり、反対致します。
第89号議案 大田区新蒲田区民活動施設条例の一部を改正する条例
について反対の立場から討論いたします。
本条例が改正されることで、あらたに大田区の施設に区民活動施設という分類ができました。議案質疑で、区民活動施設とは、区民活動をどのようにとらえた施設で、他の施設の設置目的との違いは何かについて質疑したところ、具体的な使途については、文化活動、地域活動、生涯学習など、既存の施設とあまり大きな違いは無かったのですが、文化、地域、障害など、各活動の相互交流という新たな考え方があることに加え、乳幼児から高齢者まで様々な世代が利用し連携することで、「地域のにぎわいの創出」や「地域課題の解決」に貢献できる拠点という新たな目的を示しました。旧入新井図書館・出張所と現在のラズを土地交換して大森地域庁舎を移転させる計画だったのを今のラズに方向転換したときに使われたのがこの「にぎわい」という言葉でした。
結局、ラズ大森は、50年の定期借地で企業に貸し出され、J―REATという民間投資の対象になっています。
あらためてぎわいという言葉で議事録を紐解くと、西野前区長の「魅力のあるまちへの方向性はできるけれども、そこににぎわいをつくり出すのは区役所の力ではない。まちの人々がいかにそこで企業活動、営業活動を行うかということによってでき上がってくる。その方向性を皆さんとともに議論をし、つくり出せるのは我々の仕事である」という発言をみつけました。かつてのにぎわいの主体は企業や事業者でそれを方向付けるのが行英の役割でしたが、いまや公民連携という名があらわしている通り、行政が企業が一体となって、企業投資利益のために働いているわけです。課題解決という言葉は利潤を追求して良い公民連携デスクの目的と同じです。課題解決のための区民活動施設が、企業の営利活動のためになっていくように読み取れます。いずれにしても、説明が抽象的であり、区民の利益が担保された説明になっていませんので反対いします。
第87号議案大田区大森北四丁目複合施設条例も、入新井第一小学校内に建設される大森北四丁目複合施設に区民活動施設部分があり反対です。また、この施設は、入新井第一小学校内に建設される複合施設です。
小学校の複合化は、長期化する、一時期に建設コストが集中する問題や、学校の環境を過密化させるなどの問題があり反対です。
第88号議案田園調布せせらぎ館条例の一部を改正する条例は、せせらぎ公園内に新たに建設される体育施設をせせらぎ館の一部として位置付けるための条例改正です。本来公園は、誰もがいつでも無料で憩える貴重な空間であり、特に過密化した大田区のような都市部においてはなおさらに貴重な自然を満喫できる場です。その公園の貴重な平地部分を開発し過密化させ、また高額な使用料を支払わなければ利用できないスペースとするため反対です。
第90号議案区民プラザ条例の施設供用停止に関する条例は、区民プラザの大規模改修に伴い1年2か月という長期間の供用を停止するものです。長期間の改修が増え問題であることに加え、蒲蒲線の工事や改良すべき踏切道に指定されていることなどから、隣接する区民プラザの長期的活用計画が無いままに大規模改修工事をするのは問題で反対です。
第91号議案 大田区大森南四丁目工場アパート条例を廃止する条例
に反対の立場から討論いたします。
この条例案は、区立区営の大森南四丁目工場アパートを区立民営にするため条例を廃止する議案です。大田区は、所有する土地と建物をアパート運営事業者に貸し出し、事業者は入居者に賃料をとって工場アパート運営を行います。
大田区は工場アパート所有者は大田区なので区立であることにかわりないといいますが、条例が廃止され、根拠となる法令は無くなり、条例で守ってきた目的「工場の操業環境の整備及び新分野進出企業による研究開発事業の促進を図り、もって工場集積の維持発展及び地域産業の活性化に寄与するため」も失われます。そもそも自治体大田区は住民福祉の主体であり、区立の施設を検閲するのは公共性があったから税投入が可能だったわけです。どれが区が作るためモノなら目的や法的根拠を問わず区立となれば、区は単なる施設の維持管理更新費用を税金で負担するだけになります。公共性の無い施設が区立でしょうか。入居者は家賃が高くなり、支援などが受けられる担保も条例廃止による区民のメリットが見えず反対です。
第100号議案大田区青少年交流センターの指定管理者の指定、および
第101号議案大田区平和の森会館の指定管理者の指定については、
公の施設の維持管理を営利企業に委ねる指定管理者制度そのものに反対のため反対致します。
第102号議案大田区立大森東福祉園の指定管理者の指定について 反対の立場から討論いたします。
指定管理者制度に問題があり反対します。
一方、非営利法人である社会福祉法人に福祉を任っていただくということは、戦後日本が行ってきたことで、重要な役割を担ってきたと思います。とろが、昨今、社会福祉法人改革という名のもとに、社会福祉法人に地域貢献を求めるなどしていて、結果、内部留保をためにくい状況を作っています。
これは、背景に、営利企業が社会福祉法人への税制優遇について問題視し、そこに端を発し始まったことときいています。これでは、社会福祉法人という非営利法人の良さが、発揮できず、損なわれ、企業と同じ土俵での経営を強いられるようになるのではないかと危惧しています。企業の内部留保は積み上がり、問題視されながらも、放置される一方で、社会福祉法人がこうした状況に置かれることの問題についても指摘させていただき、反対といたします。
第103号議案 鉄道と魅力的なまちづくり宣言
について反対の立場から討論いたします。
住民福祉の増進が大田区の責務ですが、いつの間にか、他自治体とインフラ投資の競争をするようになっています。
この鉄道と魅力的なまちづくり宣言も、蒲蒲線をきっかけに、あらゆる鉄道の整備と区内の駅近くの整備を視野に入れた公的投資を行なおうとしています。公的投資は、不足する社会インフラを整備する場合に行われますが、日本はすでに鉄道網整備は20世紀に充足したと言うのが国交省の認識で、不足するインフラは無いと言っていい状況です。にもかかわらず、区は、利便性を理由に蒲蒲線整備をし、都営地下鉄、横須賀線などの延伸や新駅設置までも視野に入れ、加えてまちづくりまで行なおうとしています。公共投資となれば。原資は税金で、公共なので投資利益はありませんが、蒲蒲線の公的投資は、第三セクターを設立するので、区民の税金はじめ国・都の税金は民間開発の補助として使われます。実際、事業を行うのは、デベロッパーです。委員会で投資利益を上げるのは誰で、区民の利益は何か聞いたら、利益を上げるのは、デヴェロッパーの株主で、具体的な大田区民の利益は何かといえば、広場などができ恩恵を受けることだと大田区は答弁しています。区民は重い税と社会保険料負担に加え物価の高い大田区に住みさらに物価の高騰で手取りが減るばかりです。そうしたなかデベロッパーの投資利益が増える蒲蒲線と蒲蒲線のまちづくりに取り組めば、区民と株主の格差は、さらに広がり問題です。大田区は、住み続けたいまちづくりランキング23区中18位であることを例に、このランキングをあげることを、宣言を行う理由のひとつとしてあげています。住み続けたいまちランキングの上位になるまちには必ずと言っていいほど、大規模住宅開発があり、必ずしも本質的な住みたいまちとは限りません。不毛な不動産仲介業者の作った自治体間競争に一喜一憂することなく、区民の視点で住みたいまちをつくるべきだと思います。
私は、大田区の良いところは、河川や東京湾という自然環境に恵まれていることや、土地利用からみれば、すべての用途地域を持っていることからわかるように、多様な機能を持っていることだと思います。ところが、産業の空洞化が問題になっていますが、タイの工場アパートなど、大田区自ら、町工場の海外移転を後押しして流出を促してきましたし、区内の町工場の集合住宅への転換をまちづくり施策で守ることもしてきませんでした。商店街の縮小には大規模店舗の進出が関係していますが、国の法改正に問題があったとはいえそれさえ、守ろうとせず、住宅街の中に大規模店舗ができることも、民泊ができることも抑止してきませんでした。
準工業、工業、商業、住宅、など特徴あるまちが、開発利益によってこわされていくこと、大田区の本来の良さが失われていることを守るどころか、支援してきたのが大田区です。
それが、鉄道と魅力的なまちづくりをかかげ、ても、本質的な魅力は得られず、区民の税金がデベロッパーの投資利益に流れるだけでしょう。
大田区のいうまちづくりも、民間自らの投資、開発ではなく、税制優遇や財政、まちづくりの優遇措置に支えられたものであり、結果、駅周辺とそれ以外の区民の財産価値を変え、区民の不公平を招くことにもなると思います。
しかもこの宣言は、いったん行えば半永久的で、そうなれば、このスパイラルを未来永劫続けることになります。まちは壊され、格差は経常的に拡大し、区民生活は疲弊します。
反対です。
第94号議案 大田区廃棄物の減量及び適正処理に関する条例の一部を改正する条例につきまして賛成の立場から討論いたします
ごみ処理費用は、すべての物価に影響するものであり、値上げに慎重になるべきである側面と、処理処分が適正に行われ、不法投棄につながらないようしなければならないという側面を併せ持っていると思います。
今回の処理単価は、民間処理処分事業者の経営もかかわる問題でもあり、適正処理の観点から賛成いたします。一方、燃料費高騰など等に伴い処理手数料を引き上げる条例改正ですが、算出の基礎には、23区の清掃工場の維持管理を行う東京23区清掃一部事務組合が算定した処理単価も含まれます。一組のごみ量予測が過剰であるという問題意識もあり、処理単価算出が適正であることを示すに足りる詳細な算出根拠を1組が23区側に示すよう求め賛成といたします。
第93号議案 大田区自転車等の適正利用及び自転車盗駐車場整備に関する条例の一部を改正する条例
について賛成いたしますが、ひと言申し述べます。
この条例の改正により、自転車に住所氏名を記載するよう努める規定を削りますが、記名は私たち個人の所有物の所有権を主張する最も基本的な手段であり、あえてこの項を削ることに違和感を覚えることを申し述べます。一方で、自転車の施錠について厳格化しながら、努力義務である住所及び氏名の記載をあえて外す必要は無いと思います。利便性が先行し行政が進めているシェアサイクルですが、シェアエコノミーとは、個人財産を持たない考え方です。選べる間は、あまり問題が顕在化しませんが、一定規模以上にシェアエコノミーが広がると、特に、行政と企業が一体化して進めているので、個人が財産を持てなくなる、持とうとするとコストが非常に高い時代が来るかもしれません。
大田区に個人の所有物であることは、自転車を番号登録しているのでそこで確認すると言っていますが、警察が番号で個人所有を確認することが前提の社会ではなく、日常のなかで個人が自己所有を確認できる社会が好ましいと思います。
特に昨今、個人が番号情報で管理される社会に変わってきていることとも合わせて考えると、住所氏名の記載を削ることが心配であることも指摘させていただきます。
一方
今回の条例改正で区民生活に一番大きな影響を及ぼすのが、混合用途施設の新築増築など施設ごとの規模の規定を外し、駐車所の規模要件から混合施設全体で20台以上の場合に設置義務を課すよう規定を変えるものです。
個々の施設で200㎡以上に満たなくても、対象になる施設がでてくるということで、これまでより規模の小さな施設も自転車駐車場の設置義務の対象になるということです。
自転車駐車場の設置義務は、車の駐車場が敷地外でることが許されるのに対し、敷地内での設置ができないと建築確認が下りない厳しい規定です。
自転車が安価な区民の移動の手段であることと、その置き場所の確保の在り方については、通勤通学、買い物、その他、公、事業や、所有者、誰が設置主体となるべきか丁寧に考慮すべきです。
混合施設への自転車駐車場の設置基準の変更は、自転車を利用する施設利用者にとっては好ましい改定である一方、施設所有者にとっては、使用できる床面積の一部を駐輪場として確保しなければならないため、財産権に関わる厳しい改定です。
特に昨今の大資本優遇策と併せて考えれば、比較的規模の小さな施設所有者の経営基盤を揺るがすことにもなりかねません。この変化がわかっているから大田区も条例改正の施行を議決後すぐではなく、約6か月先にしているのだと思います。
改定は、地権者の長期的な土地利用計画に関わることであり、大田区には、単に相談にきたら、説明するのではなく、可決後速やかに、対象施設所有者含め、土地所有者への周知を丁寧に行うことを求めます。