大田区が区民からの寄付を財源とした「子ども生活応援基金」を創設しました。
自治体財源に寄付を組み入れようというものです。
一見、こどものための寄付を集めて、こどものために使おうというのは良いように聞こえますが、民間が行うのは問題ありませんが、自治体財政に組み込むことには次のような問題があり、反対しました。以下、議案に対する討論もご報告いたします。
本来自治体は、議会で決めた税に基づき運営されるものです。
寄付という、お金のある人が、したいときに下さるお金を【歳入】として扱うことは、
●憲法83条の財政を処理する権限は国会によるという「国会議決主義」、
●84条の税金は法律または法律の要件による定めるという「租税法定主義」
など財政に関する憲法の原則に反するものだからです。
条例は、区民の寄付を原資とした「子ども生活応援基金」を設置するための条例改正です。
こどもの暮らしは、大人の生活が安定してこそ安定します。
大田区は、財政法定主義に基づき、議会で定められた税制に従い集められた基幹財源を歳入として、住民福祉を担うべきです。
こどもの生活を支えるための財源は、寄付という不安定な財源で担うべきではありません。
寄付文化を醸成させることを目的としていると説明がありました。
いただいた寄付を大切に使うことはあったとしても、いたずらに、寄付をあてにし、寄付文化を醸成、気運を作り出すことは大田区の仕事ではありません。
そもそも、経済的余裕のない人は、寄付することができません。
税制ではなく、お金を持つ人が、もっていない人より、より大きく、大田区の個別具体的な施策に影響することになるのは、問題です。
寄付はすべきという機運が高まれば、議決なき第二の強制的財源の徴収にもなりかねず、これが行き過ぎれば、寄付しない人が排除、批判される社会ができてしまうのではないかと危惧します。
しかも、多額の寄付者の要望で作った子育て関係の箱モノを大田区に寄付したら、維持管理費で大田区の財源が圧迫されたりするかもしれません。逆に寄付をあてにして始めた区民生活に欠かせない重要な事業を終わらせることができず、寄付が強制に近くなることはないでしょうか。
安定的な財源にならない寄付は、民間が集め、民間が使う市場経済の中で使うべきです。
寄付と大田区行政とが関るとしても、世田谷区のトラストなど、外郭団体などの事例に学ぶべきでしょう。よって反対です。