ホワイトカラー・エグゼンプションは、ホワイトカラーの従事する業務のうち、裁量性の高い業務について、労働基準法に基づく労働の時間規制を外し、成果に応じて賃金を支払う制度です。
サービス残業・ただ働きを合法化するものだとして、強い反発があり、政府・経済界は法案提出を断念しました。
しかし、今国会には、「労働契約法」案という、更に、働くものの権利を侵す法案が提出されようとしています。
私たちは、働く者としての権利を、「労働基準法」に守られてきましたが、この法律が通ってしまうと、労働契約を結び働いていた私たちの労働契約そのものが、形骸化する恐れがでてきます。
雇うものと雇われるものは、合意をして勤務条件を定めます。入社するときには、賃金、勤務時間、休暇、退職時期、出向・転勤などについて合意をしたうえで働くわけです。そして、これらの勤務条件は、雇うもの雇われるものの合意無しに就業規則を変更したり、働くものの不利益なるようにその条件を変更することができないとされています。
しかし、「労働契約法」案の恐いのは、この勤務条件の変更について、例外規定を設けていることです。
「労働契約法」案、第十条では、就業規則を変更すれば、勤務条件を変更できるとしているのです。
その際にその変更が合理的であればという但し書きはありますが、法律が就業規則の変更により、雇うもの雇われるものの合意無しに勤務条件を変更できてしまうと法律で認めてしまうのは非常に恐ろしいことです。
働く市民の弁護団代表で弁護士である清水建夫さん、ご自身のブログにおいて、
「現実の労使間の力に隔絶した差があり現実の労使間の力に隔絶した差があり、だからこそ憲法は勤労の権利と労働基本権を保障しました。規制改革・民間開放推進会議と労働政策審議会の答申は社会権としてのこれら権利を全面的に否定し、労働法で保護すべき労働者の権利を対等な市民間の契約である民事法の世界に移して、労働者を無保護状態にしようとするものです」と発言しています。
私たちの暮らしは、経済的安定という基盤の上に成り立っています。それは、揺るぎの無い事実です。
地域のなかでの様々な課題も、経済の安定や成長、雇用の確保あってのという判断がされることがあります。
「労働契約法」案も、企業が、企業間の、或いは、国際間の競争に勝ち残るために必要なことであるというのが政府のそして経済界の理由かもしれません。
しかし、それに対し、私たちは、勤める会社がつぶれてしまっては大変だからという理由でこうした法律を受け入れてしまってよいのでしょうか。
経済的安定も、雇用の保障も、その基盤には、私たちの権利が確保されて初めて成り立つものです。私たちの権利を侵害しなくては保障されない経済的安定や雇用はあってはなりません。
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