大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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指定管理者になって大田区の公共施設サービスは向上したか

2008年12月08日 | ├行政システム・公共調達

 大田区では、現在100の施設が、指定管理者制度という制度に基づき、民間によって運営されています。
 
 今回の議会において、47施設の事業者の更改があり指定に関する議決が行なわれました。
 
 過去の報告から
 ①指定管理者制度 
 ②指定管理者制度導入に際しての議会質問(平成16年第3回定例会代表質問)より

【指定管理者とは】
 指定管理者制度の目的は、多様化する住民ニーズに、より効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図ることです。

 ここでいう「公の施設」とは、住民の福祉を増進する目的を持って住民の利用に供するために地方公共団体が設ける施設をいいます。

 それまで、大田区が2分の1以上出資する法人や社会福祉協議会などの団体にしか許されていなかった、区の施設の管理について民間の参入が可能になり、
①民間の事業者
②NPO法人
③ボランティア団体(指定管理者は必ずしも法人格を取得していなくてもなれると定められています)
なども含めた多様な主体が、公の施設運営にかかわれるようになりました。

【大田区の指定管理者制度】
 平成16年4月1日から始まり、既に100施設が導入している大田区の指定管理者のうち、47施設が、来年3月に協定を終了し新たな協定を締結することになります。

 今回の47施設の更改は、指定管理者制度導入以来「男女平等推進セター」を除く初めての大規模な更改であり、大田区が導入した指定管理者制度の検証のよい機会であったと考えます。

【大田区の指定管理者導入3年間の総括】
 それでは、大田区が指定管理者制度を導入したこの3年間の総括や検証はできたのでしょうか。
 施設管理者が、大田区から「民間」にかわったことにより、当初の指定管理者制度の導入の目的を達成することができているのでしょうか。

 区は、来年から指定管理者となる事業者を選定した理由は説明しましたが、制度導入の目的である
1.多様化する住民ニーズに、より効果的にこたえることができたのか。
 どこか改善されどのような住民サービス向上がみられたのか

2.どこが効率的になったのか。また経費削減はどの程度達成できたのか。
についての説明は、なされませんでした。

 少なくとも、指定管理者制度を導入したことが、「住民サービス向上」と「効率的施設運営」につながったのか検証すべきです。

 また、そうした検証を前提に、3年間を通じてみえてきた民間活用の課題やそれについての解決策について示すことが必要です。
 
 今回、事業者決定にかかわり、東調布公園のプールを除くすべての施設において、モニタリングの結果をもって、現在の事業者評価としています。
しかし、モニタリングのデータとして採用しているアンケートは、
1.単に施設を5段階評価しているだけで、利用者の声をきく制度として採用するにはあまりに簡素なものです。
2.しかも、アンケートの募集や集計は事業者に任されているため、アンケート実施時期や日数、回答数にばらつきがあります。 
 
 区営住宅を1000戸以上管理しながら、回答数が5%に満たない43件で利用者満足度をはかることができるでしょうか。
 また、仮に、悪い結果を削除したとしてもわからない現在のしくみでは利用者の声を正確に反映することもできません。

 今回のモニタリングは、試行ですが、それを、指定管理者選定の根拠とするのであれば、アンケート方法にも改善が必要で、利用者全員にアンケートの機会を持つ、集計は、事業者ではなく、区が管理するなどの工夫が必要です。
 最も重要な評価も、評価項目や評価の指標である要求水準にもばらつきがあり、施設間で、共有できる評価と、施設の特性からくる評価を明確にする必要があります。

 また、区は、事業者に事業報告行わせていますが、報告を受けるのみで、改善のしくみがありません
 会議を持つのであれば記録を残すこと。また指導を行ったのであれば、それをきちんと記録に残すことが、サービス向上につながるとともに、次の選定の評価にもかかわってくるはずです。

【大田区指定管理者導入方針】
 経営管理部は、7月31日に「大田区指定管理者導入方針」を出しましたが、その時点では、既に選定がスタートしている部署があり、結果として、今回の更改に際しての統一基準があいまいになりました。
 各部署の指定管理者制度導入後の総括を受け、大田区としての方針は、もっと早い時期に出すべきではなかっだでしょうか。

 大田区指定管理者導入方針で経営管理部は、
1.原則として公募により複数の申請者から事業計画書などを提出させてプロポーザル方式により選定する
2.特命指定する場合には明確な理由に基づいて評価し選定する
 現指定管理者を再指定する場合には「協定内容の履行状況」「サービスの質」「経営の安定性」について評価・選定する
としていますが、新たに公募したのは、「賃貸工場」「中小企業者賃貸住宅」「区営住宅」のみで、結果として事業者がかわったのは「賃貸工場と中小企業者賃貸住宅」だけでした。

 また、今回のすべての指定を一覧表にしたところ、前回と同じ事業者になったところは、財団法人大田区産業振興協会、東京都住宅供給公社、大田区体育協会、東御市公社、それとアロマの駐車場管理の「パーク24」、プール管理の「協栄」です。
 「パーク24」「協栄」を除くと、元区長や幹部職員も含めた退職後の職員が従事していたり、大田区の職員が派遣されていたり、しているなど、大田区と関係の深い事業者がほとんどです。

 これらの関係事業者の管理運営能力や効率的運営能力を評価し、あるいは、それらを上回る政策的優位性を明らかにすることなく指定している現在の方法には問題があります。

 現在の指定管理者制度は、民間活力の導入と言いながら、協定金額が定められその範囲内での運営を強いられ、事業者の経営努力が、結果(=報酬)につながらないしくみになっているために、事業者のインセンティブがはたらかず、民間活力導入と言いながら、民間のノウハウを最大限活用できるしくみになっていません。

 特に大田区は、施設の開館時間も固定的で自主事業もほとんど認めず、「産業プラザ」と「アロマ駐車場」以外、利用料金制も採用していないため、民間運営による施設サービスの向上がどこにもみられません。

 経費削減がどの程度なのかも明らかにされていない、現時点において、明確になっているのが、区の負担の軽減だけでは、あまりにもお粗末です


なかのひと

 


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