運転

　免許を取ったのは、一番上の子どもが生まれてから。
　
　間もなく夫の転勤で芦屋市に住んだが、社宅が駅から遠かったこともあり、車での生活だった。
　
　その次に住んだのが香港。ここでは、タクシー料金が安く、当初は、運転することなど全く考えていなかったのだが、香港に行ってすぐ生まれたのが双子だったこと。そして、行ってすぐに親しくなった日本人何人かが車を持っていたことから、香港でも車に乗ることを決めた。
　夫やこどもの送り迎えから、買い物、お稽古事など毎日のように車を運転していた。
　
　関西も香港も運転は荒く、今から思うとよく運転できたと思う。どちらの都市も、安全確保に必要な車間距離をとっていると、次々割り込まれ、精神衛生上大変よろしくない。
　
　香港にいたときには、降り際にドアを勢いよく開かれ、私が乗っていた車に傷つけられたので、抗議したところ、知らないと開き直られ、それはそれは驚いた。
　近くを歩いているおまわりさんに助けを求めたけれど、結局、その人は認めず・・・。
　おまわりさんは、私を気の毒に思ったのか、ごちゃごちゃとした市場での出来事だったが、なにやら店から持ち出して傷を目立たないようにしてくれた。
　おまわりさんの優しさに、あの時は本当に救われた。

　それが、今は、全くと言っていいほど運転から遠ざかっている。車すら持っていない。
　
　明日から実家の車を借りての小旅行。
　久しぶりに運転してみようかな。

＊旅行中、「ピッチ」は、折れた羽を野鳥だからと代金をとらずに直してくださった、動物病院の先生宅にお泊りです。