旅限無(りょげむ)

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欲しいけど要らないノーベル平和賞 其の弐拾九

2008-11-24 14:24:53 | チベットもの
■現時点でAPEC会議も終わって各国首脳はそれぞれ帰国の途についていますが、日中首脳会談を巡っては北京側に振り回された麻生コロコロ首相の苦労話?などが紹介されています。笑い話ではなく、予定になかった会談を出発間際に仕掛けられ、外務省スタッフは必死にスケジュールの調整に走り回らされたそうですが、最初から位負けの外交ならば当初の予定通り事務的に対処しても良かったのではないでしょうか?外交では何より面子を大事にしなければならないそうですからなあ。たとえ一本のお祝い電話でも……。

2008年11月9日、香港のニュースサイト「鳳凰網」は、米大統領選に勝利したバラック・オバマ氏が祝電のお礼に自ら電話を掛けた9か国の中に、中国が入っていなかったことを問題視する記事を掲載した。オバマ氏が自ら電話を掛けたのは、日本、フランス、英国などの9か国。……「世界の大国の中で、中国とロシアだけが外された」と不満を表した。昔から緊張関係が続いていたロシアは「外されても仕方がない」としたものの、「中国首脳は米国との良好な関係維持に並々ならぬ努力を続けてきた」と納得がいかない様子。お礼の電話をして来ないオバマ氏に再び自ら電話連絡を取った胡錦濤国家主席をも批判し、経済危機にある米国は中国の助けが必要なはずなのに「中国の怒りを買っても怖くないのか?」と息巻いた。

■当選を祝う電話をするのは当然の礼儀ですから、その段階では余程横柄な態度でも取らない限り儀礼的に対等関係が守られますが、香港メディアが目くじらを立てた返礼電話となると、時差の関係で失礼にならない配慮はするにしても、基本的には順番が特別な意味を持つでしょう。最初からリストに載っていなかったとしたら、オバマ新大統領もなかなかヤルものだと感心します。その一方で、「お礼の電話が来ませんが……」と電話を掛け直している胡錦濤主席は何を焦っていたのでしょう?記事が「中国の助けが必要なはず」と言うわりには、APECの会場ではそのような発言も提案も無かったようですなあ。麻生コロコロ首相がすったもんだの末に会場の隅っこで立ち話同然の首脳会談を20分ほどした時も、大金を拠出する日本に同調するように誘ったのに色よい返事は聞けなかったとか……。

■「怒りを買っても怖くないのか?」ぐらいの事を、たまには日本政府の誰かからも聞いてみたいものですなあ。勿論、見当ハズレの夜郎自大発言にならない場合に限りますが……。


記事はこの原因について、ブッシュ政権下で亀裂の入った同盟国との関係改善が優先された、と指摘。中国を冷遇することで日韓などの「恐中国家」に安心感を与え、米国の都合の良いように動かすつもりだ、と皮肉った。さらに、「新人」オバマ氏に対し、「何を重視すべきなのか、まだわかっていないようだ」と指摘。就任後、中国にお礼の電話をしなかったことを後悔することになろう、と締め括った。
11月10日 Record China

■読者は溜飲を下げて大喜びしたのでしょうが、米国民が読んだらさぞや腹を立てて根に持つことでしょうなあ。それに引き換え「恐中国家」と名指しされた日本では、この記事を取り上げて論評したメディアは無かったようです。大国の自信や寛容が理由ならよいのですが……。再び話はチベット問題に戻ります。

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