旅限無(りょげむ)

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欲しいけど要らないノーベル平和賞 其の弐拾八

2008-11-24 14:24:40 | チベットもの
■でも、国際社会では五輪大会を「大成功させた」という既成事実が作られると、その国の政府は肩で風を切って歩けるもののようですなあ。

2008年11月9日、中国の胡錦濤国家主席は8日夜、オバマ次期米国大統領と電話で会談し、両国の今後の関係発展に向けて話し合いをもった。……胡主席は「国交樹立30年の間に、中米両国間に確かに紆余曲折はあった」と認めながらも、「総じて前向きに関係を発展させてきた」と評価。「世界最大の発展途上国と世界最大の発展国として、中米両国は世界平和と発展に貢献するという共通の重要な責任を負っている」……「両国トップレベルでの対話を続け、2国間の交流や協力範囲を拡大しながら、台湾問題などデリケートな問題をさらに踏み込んで話し合いたい」と語った。

■この電話会談には興味深い裏話があるのですが、それは後述。胡錦濤主席が言う「紆余曲折」には、核使用の可能性さえあった血みどろの朝鮮戦争もソ連と黒幕競争をしたヴェトナム戦争も丸ごと含まれているのは明らかで、それで済むなら日本の「村山談話」でも「天皇陛下のお言葉」でも、しっかり借用させて頂きたいものですなあ。この「紆余曲折」が「国交樹立30年」という期間を限定して使われている所にも注意が必要でしょう。蒋介石が率いた中華民国にこそ米国は多大な軍事援助を続けていたのですから、後の国共内戦時代には毛沢東率いる共産党軍は米国製の武器弾薬で多大なる犠牲を払ったことは封印されているわけです。日本も同じ外交手法は使えないのでしょうか?いろいろと名目を作ってはいくらでもカネを出すような国に対しては、これほど気を使った言葉遣いはしないのでしょうなあ。

■それにしましても「世界最大の発展途上国と世界最大の発展国」とは、何とも上手な表現であります。発展途上国だと言い張ることで、世界最大の地球温暖化ガスを好き放題に放出できますし、一方の世界最大の発展国はイラク戦争で泥沼に嵌まって身動きが取れない足元で、金融危機のクラスター爆弾が破裂したのですから、破片が飛び散った世界は大変な迷惑を蒙っております。まったく「世界最大」というのは傍迷惑なものですなあ。


これに対しオバマ氏は「中国は偉大な国家であり、中国の発展と成功は米国の利益に繋がる。現在の国際状況を考えると、米中関係の発展は両国にとってだけでなく世界にとっても有益」と述べ、治安や異常気象、地球温暖化などの問題に両国が協力して積極的に取り組むことを求めた。

■京都議定書を蹴っ飛ばした国と、議定書の「最大の欠陥」を利用して迷惑なガスを出し続ける権利?を主張する自称・途上国の首脳同士が、地球環境をネタにして互いに当て擦りを演じているように見えないこともありませんなあ。本当に「協力して積極的に取り組」んでくれると嬉しい!


「今回の世界的金融危機は国際金融システムのほころびを露呈した」と話す胡主席は、「国際社会はこれを教訓にして、国際金融システムに必要な改革を推し進めていくべきだ」と主張。オバマ氏も世界的金融危機について中国首脳とのトップ会談の必要性を認める発言を行った。
2008年11月10日  Record China

■「教訓」にするのは危機を回避した後です!オバマ新大統領としては「トップ会談」で大穴が更に開がってしまった米国経済の穴埋めに、チャイナが貯め込んだ外貨を使いたいのが本音でしょうが、何処かの島国とは違って既に巨額のドル国債を売り払って見せた相手ですから、米国政府としても口の利き方には最新の注意が必要でしょうなあ。今のところ、オバマ新大統領の口からはチベット問題に関する具体的な発言は出ていないようですが、積年のアメリカの壁を崩した人物として人権問題の解決に何処まで迫れるか?まだまだ本音は見せない新大統領であります。

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