旅限無(りょげむ)

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近所迷惑を考える 其の壱

2011-04-06 16:01:50 | チベットもの
■放射性物質の拡散予測のデータを公表せずに仕舞い込んでいたり、事故を起こした原子炉の状況を示すデータも、誰かさんの都合の良いように取捨選択・加工・脚色などしていると思われている菅アルイミ内閣の仕事ぶりは、世界中で顰蹙を買い日本国民としては穴があったら入りたくなるほど低い評価が下されているようです。しかし、現内閣、民主党政権の支離滅裂さと信頼性の無さにつきましては、原発事故が起こるよりずっと前から日本国民は知っておりましたから、世界各国政府や国際機関から悪口雑言を浴びせられても、まったく驚きもしませんし悔しい思いにもなれないという事実は非常に悲しいことであります。

■今では自民党との大連立などという最強の延命装置まで手に入れられそうな菅アルイミ首相ですが、あの東日本大震災が国会議事堂を揺らしていた時を思い出せば、法律で禁じられている外国人からの政治献金を本格的に追及され始めており、自民党側は問責決議案を準備して「政治とカネ」問題の集中審議を仕掛ける直前だったくらいですから、同じ理由であっさり辞任した前原外相の後を追うのは確実で、問題は解散総選挙があるか無いかの一点でありましたが、不正政治献金問題など何処かに飛んで行ってしまい、内閣が最も苦しんでいたネジレ国会の状況もなし崩しに打開出来そうだと、菅アルイミ首相は自分の無能ゆえに苦しみを増している被災者の皆さんのことより、自分の政権の寿命がどんどん延びて行くのが嬉しくて堪らないような表情に見えるのは気のせいでしょうか?


東京電力が福島第一原子力発電所で行った低濃度の放射性物質の海への放出は、原子炉等規制法を根拠としている。ただ、同法には放射性物質の投棄を禁止する規定もあり、今回の放出はあくまで例外的な措置だ。一方、鹿野農相が、事前の連絡がなかったことに反発するなど、省庁間の連携の悪さも浮き彫りになっている。鹿野農相は5日の記者会見で、「水産業を所管する農水省に事前の連絡がなかった」と、不快感を示した。食品安全を所管する厚生労働省への連絡も発表の直前だったという。…… 

■挙国一致だの救国内閣だのと言っている民主党自身が党内でネチネチと小沢外しとグループに対する排除姿勢は相変わらずで、選挙区のある岩手県のみならず東北全体の復興を指揮する特命大臣にせよ!という外野からの声などまったく聞こえていないかのように、○○ちゃんが好き、××ちゃんは嫌い!と幼稚な喧嘩を続けているくらいですから、行政府の仕事が最悪の縦割り状態のままで空回りしてしまうのも当然なのでしょうなあ。こんな事を続けているから、日本の先行きに光が見えず、世界からも白い目で見られてしまうのでありましょう。


経済産業省原子力安全・保安院は、東京電力から福島第一原子力発電所の汚染水を放出する意向について4日午後3時に報告を受けた。保安院は原子力安全委員会の意見を聞いた上で、20分後に了承したとしている。ただ、放出は以前から東電と政府の対策統合本部で検討項目になっていた。副本部長の海江田経産相も「正式報告の前から聞いていた」と認めており、事前調整の時間的余裕はあったとみられる。
2011年4月6日 読売新聞 

■経済産業省原子力安全保安院・東京電力・原子力安全委員会は一つ穴の狢で、それに東電から莫大な資金を提供して貰っている学者と広告費で潤っていた大手マスコミを加えた「原子力村」は、そのカラクリが週刊誌などから次々と暴かれてしまって、最近は責任の擦り付け合いと内輪もめが絶えなくなっているそうであります。今回の法律を恣意的に拡大解釈して強行された汚染水の放出も、保安院の責任なのか?安全委員会の責任なのか?国民にはさっぱり分からないようにするために「20分」で即決されたようにも見えます。こんな重大な決断を下す場面でも菅アルイミ首相の影も形も見えないというのは問題であります。統一地方選で予測される惨敗の言い訳でも考えているのでしょうか?

■支持率がどれほど下がろうと、地方選挙で候補者がばたばた落選しても、「国難だ!国難だ!」と叫び続けている限りは大好きな総理大臣の椅子に座っていられると菅アルイミ首相は勘違いしているのかも知れませんが、漁業・農業だけでなく(無)計画停電に苦しんでいる工業界にまで風評被害が及んで来ますと、東日本全体から「菅ヤメロ!」の筵旗がにょきにょきと立って国会議事堂に押し寄せて包囲することになるかも知れませんぞ。安保改定問題で退陣した岸内閣の時代を学生として体験した菅アルイミ首相や仙谷ランボウ官房副長官が、今度は大規模なデモ隊に囲まれてしまうことになるかも?

■国内世論よりも先に国際社会からの圧力が先に高まって来ることも考えられます。フランスの哲学者ジャック・デリダという人が、最近、世界の迷惑になる日本の主権を侵害しても構わない!という物騒な論文を発表したそうであります。日本にも多くの読者がおりますが、こういう単刀直入に危機意識を見せ付けられますと、今、欧米の軍事介入を受けて逃げ回っているリビアのカダフィ大佐と我が国の菅アルイミ首相が同じ扱いを受けることになるのかいなあ?と妙に暢気に感じてしまうのであります。国際世論に退陣を迫られるという日本の歴史上初の最低最悪の総理大臣として日本ばかりでなく世界の歴史に恥ずかしい名前を残してしまう可能性さえありそうです。

■首相は自分の身分が安泰なことを喜び、国民は正確な情報不足に右往左往させられ、史上最悪の原発事故の先行きに怯えて暮らしている時に右手では援助、左手では拳骨で臨む隣国があることを忘れてはなりません。そんな困った隣人にさえ好き放題に嫌がらせを受けねばならないのは東京電力のせいなのか?原子力村全体のせいなのか?そんな気味の悪い癒着構造を放置して便乗さえしていた自民党政権が悪いのか?政権交代後に旧来のエネルギー政策の見直しもせずに温暖化ガス「25%削減!」などと軽々しく約束して原子力発電を能天気に信頼した民主党政権が悪いのか?と考えるのは時間の無駄で、皆がそれぞれ分担して悪かったのでしょうが、今回の原発事故も残念ながら民主党政権の最大の弱点だった外交政策に収斂して行くようだと、日本の復興も将来も明るくはなさそうでありますなあ。


中国環境保護省は1日、チベット自治区を除く全ての省、自治区、直轄市で同日、大気中から福島第1原発事故で放出されたとみられる極めて微量の放射性物質が検出されたことを明らかにした。中国中央テレビなどが2日伝えた。環境保護省は人体への影響はなく、いかなる防御措置も必要はないと説明している。
2011年4月2日 産経ニュース 

■東シナ海を越えて黄砂と逆コースで飛来した微量の放射性物質が「人体への影響」が重大だったら日本人は大量移住を始めているでしょう。現場で必死の作業を続けている人達の存在と、政権さえ変われば日本も何とかなるのではないか?という密かな夢を抱いて、日本人は列島内で踏ん張っているようなものですが、ほんの40年前までは日本列島に今の数百倍も強い放射能を降らせていた北京政府が、日本から飛来する放射性物質を心配するというのも不思議な話であります。

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