旅限無(りょげむ)

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欲しいけど要らないノーベル平和賞 其の参拾

2008-11-25 13:37:13 | チベットもの
中国共産党中央統一戦線工作部の朱維群副部長は(11月)10日記者会見し、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世に対し、「中国政府の要求に歩み寄り、生きているうちに国家や国民に有益な行動をとってほしい」……「歴史に汚名を残してはならない」と強く批判した。中国側は10月31日から今月5日まで訪中したダライ・ラマのロディ・ギャリ特使らと協議したが、朱副部長は「依然大きな相違がある」と語り、実質的進展がなかったと指摘した。 
11月10日 時事通信

■「生きているうちに」だの「汚名を残すな」だの、もう少し物の言い様というものがあるでしょうに?!まるで自分の国の建国者が晩年に何をしたのか知らないかのようですなあ。大成功だと自画自賛している北京五輪大会にしても、相当の「汚名」が世界中に広まったはずですが、そういう事は都合よく忘れるのが北京流なのでしょうなあ。その五輪大会が終わったのを幸いに、堰を切ったように好き放題な発言が目立っております。

■聞く耳持たない言いたい放題の交渉相手に対し、さすがに嫌気が差しているチベット側からも、だんだん堪忍袋の緒が切れ掛かった発言が目立つようになりました。来日中の2008年11月2日午前に行われたダライ・ラマ14世のインタビューにも、随分と率直な表現が散見されたのでした。前にも取り上げた内容も含まれていますが、そうした箇所も削除せずに引用します。


--3月のチベット騒乱以来、中国政府との話し合いが2回行われたが、その結果はどうだったか。

「話し合いは今年5月と7月に行われたが、中国側はチベットの現実をまったく無視しており、チベットの問題を直視しようとしていない。3月の大規模デモ以来、チベット内部の状況はまったく変わっていない。中国の温家宝首相も最近、米誌『ニューズウィーク』とのインタビューで、『ダライ・ラマはチベットを中国から分離させようとしている』などと私を激しく批判したが、私は温家宝首相に直接、その根拠をただしたい。私は分離させようとは思っていない。

温首相が本当にそう思っているのならば、中国政府はインドのチベット亡命政府に人員を派遣して、私が本当にそういうことを言ったのか、調査をしてほしい。私は講演のテープや文書など必要な資料はすべて提供しようと常々言ってきたのに、中国側はそれすらもしていないのだ。私がチベットを中国から分離させようとしていないのは、米国も、国際社会も、中国政府を除いてすべての人が知っている」

■「分裂主義者」というのはチャイナでは極悪非道のテロリストと同義ですから、こんなレッテルを貼ったままで五輪大会を招致したいがために問題解決の努力をしますとIOCに約束したのですから、本来ならダライ・ラマ法王は五輪大会に反対しても良い立場でした。しかし、全面的に開催を支持して成功を祈っていたのでした。分離主義者としては最悪の態度と申せましょうなあ。「中国政府を除くすべての人」が知っているという構図は、日本が抱える北朝鮮による拉致問題とも似ています。実行した張本人だけが知らなかったり、解決済みだと言ったりしていますからなあ。

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