旅限無(りょげむ)

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北朝鮮の気になる鳴動 其の壱

2008-11-25 13:36:44 | 外交・情勢(アジア)
■米国の新大統領が就任するまで様子見に入ると思われていた北朝鮮が、何やらもぞもぞ動き始めているようです。有り難いことにブッシュ大統領は拉致問題についてオバマ新大統領に「申し送り」すると約束してくれたそうです。しかし、それを受ける側の麻生コロコロ首相は特に新しい事は言っていないようです。早くも麻生降ろしの風が吹き始めて自分の首筋がひんやりしているようですから、国会対策と経済対策との板ばさみで頭がいっぱいなのでしょう。APECでは大はしゃぎしていたようですが、チャイナに振り回される姿を世界に晒したのは大失敗でした。

■建国以来、一度も好景気というものが無かった国ならば、世界規模の金融危機が起こっても大した影響は受けないのでしょうか?そう言えば北朝鮮がせっせと刷っていた偽ドル札もハイリターンの証券化商品に投資されていたのかどうか、それに関する報道が無いというのも気懸かりで、マカオや香港では間違いなく資産運用をしていたはずですし、スイスあたりに隠してある亡命資金と目される秘密預金などは外為相場の暴落だけでも大損害を受けているはずなのですが、そんな話題も出て来ませんなあ。まさか日本円の偽札を大量に刷って不正な外貨商売をしているのではありますまいなあ?


韓国紙、東亜日報は24日、金正日総書記(66)の健康悪化説が伝えられる北朝鮮で、幹部職員らが所有する日本製自動車を11月20日から没収し始めたほか、2009年から各地の「市場」を閉鎖すると布告するなど、住民統制を大幅に強化していると報じた。……総書記に代わって権力をふるう義弟、張成沢・労働党行政部長が、自己の権威を高める目的から、統制を強化しているとの見方が浮上している。……没収の対象は乗用車や小型バス。……自動車の80%は日本製だが、幹部職員からも容赦なく取り上げているという。理由は不明で、日朝関係の悪化や、北朝鮮に進出した世界基督教統一神霊協会(統一教会)系の「平和自動車」の工場を救済する目的などが考えられるという。
11月24日 読売新聞

■将軍様の側近には高級ベンツが配給されていると聞きますから、日本製の車を所有しているのは中堅幹部たちだと思われます。建て前としては私有財産が認められていない人民共和国ですから、没収されても文句は言えないのでしょうなあ。日本の政府や国内の協力者たちに対する何らかのメッセージなのかも知れませんが、「市場の閉鎖」というのが非常に気になります。ますます闇の地下経済が盛んになって人々は餓えと貧困に苦しまねばならなくなるでしょう。

■北朝鮮では自動車が人身事故を起こした場合、責任は100%歩行者側に押し付けられるという話がありましたなあ。理由は簡単で上層幹部しか自動車は持てないし燃料も手に入らないから……。世界一厳しいカースト制度とも呼ばれているらしいですなあ。外人ブローカーの手を経て入手した中古車なども多そうですが、中には誰かが献上した新車も含まれているのでしょう。ロシアやチャイナに見かける業務用の塗装をくっきり残したまま使われている日本製中古車が平壌からの映像では見当たらないのは塗装を丁寧に消しているからか?それとも撮影禁止とされているのか?

■軍用にも多数の民生用日本製トラックが使われているのは有名な話ですが、まさか軍用車両を没収することはないのでしょうな。すると政府内で何らかの権力闘争が激化しつつある兆候の可能性が高まるわけで、没収した後に再び次の権力者から御下賜になるのかも知れませんなあ。少なくとも地球温暖化防止が目的ではないのは確かです。それにしても、こんなニュースの中に統一協会の名前が出て来るのはちょっと意外でした。あちらも?世襲による世代交代が間近に迫っているそうですから、祝賀行事に使う資金を掻き集め始めたのかも?

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