旅限無(りょげむ)

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ソマリア沖海戦 其の四

2008-11-25 13:37:35 | 外交・世界情勢全般
■日本は海洋国家でないらしく、飛行機の「ハイジャック」や海外での交通事故などは大きく報じられるのに、不思議に「海賊」と聞いてもピンと来ないのか妙に扱いが小さいようです。だからと言って国の首相まで寝惚けていては行けませんぞ!

麻生太郎首相は(11月)18日、尾形武寿日本財団理事長や中谷元・元防衛庁長官らと首相官邸で会談し、アフリカ東部ソマリア沖で頻発する海賊対策について「日本の船舶が海賊に襲われたり、人質になってからでは遅い。早急に対応を検討しなければならない」と述べ、海上自衛隊艦艇の活用などを念頭に、法整備を検討する考えを示した。
11月19日 産経ニュース

■飽くまでも「日本の船舶」の心配をした発言のようです。既に日本人が「人質」になっているのです。「早急に」という言葉も切迫した状況に比して妙に呑気な響きがありますなあ。これから「法整備を検討」するのなら、海自艦艇を動かすにはどれほどの時間が必要なのでしょう?インド洋での給油活動は「シーレーン防衛」の意味が有る!と政府は言い張っていたはずなのに、漁船であろうとタンカーであろうと、船種を選ばずに襲って来る海賊が跋扈して実情を知ってか知らずか、前の総理大臣は何をしていたのか?これから「対応を検討」している場合ではないでしょう。


アフリカ・ケニア沖で海賊に乗っ取られた中国天津市のマグロ漁船「天裕8号」の船長、久貝(くがい)豊和さん(53)=沖縄県八重瀬(やえせ)町=の留守宅には16日までに、久貝さんら乗組員の無事を知らせる連絡が船を所有する「天津市遠洋漁業」からあった。ただ、詳細な状況は不明。……久貝さんは4、5年前から中国の漁船に乗船。「天裕8号」には昨年から乗っていた。……
毎日新聞 2008年11月17日

■原油価格が高騰した時にだけ、マスコミは日本の漁業が瀕死の状態だと騒いで見せましたが、沿岸漁業が壊滅し200海里問題や排他的経済水域の設定などもあり、日本の漁師は驚くほど遠くに出掛けて魚を追うようになったのは随分と前の話。チャイナの漁船に雇われる日本の漁師がどれほど居るのか?大食い番組やグルメ番組を辟易するほど放送している日本のテレビ局はまったく報道しませんなあ。

■江戸前寿司のマグロの多くが地中海産なら、紅海は日本の魚市場と直結していることを意味しているわけで、原油価格が落ち着いても日本の漁業と食糧の問題は一向に解決には向かわないでしょうし、船乗りという職業が絶滅の危機にあることも変わらないのでしょう。もう少し海に視線を向けて日本の将来を考えるべきなのでしょうなあ。就任したばかりの麻生コロコロ首相が何もかも完璧に対応しなければならぬ!とは言えませんが、「早急に対応を検討」を指示した3週間も前に国際機関は警鐘を鳴らしていたのです。


国際海事局(IMB)海賊情報センター(クアラルンプール)は(10月)23日、今年1~9月にソマリア沖と同国北部アデン湾の海域で海賊事件(未遂も含む)が計63件発生し、前年同期比で27件増加、世界全体(199件)の約3分の1に上ったと発表した。この海域には、アジアやペルシャ湾岸とスエズ運河を結ぶ重要航路が通っている。IMB幹部は「すべての国に海賊とその母船の活動阻止を自国海軍に指示するよう要請する」と述べた。
10月23日 産経ニュース

■こんなに大変な状況になっているのに、嗚呼、残念ながら日本国には「海軍」が有りません!

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