■岐阜から福島へと連続した県政の汚染は、宮崎県に飛び火する前に和歌山県を経由?しております。
和歌山県発注工事を巡る談合事件で、知事の木村良樹容疑者(54)(逮捕)が再選された知事選を控えた2004年4月、元出納長の水谷聡明(さとあき)被告(60)(再逮捕)が当時の県幹部職員に、所管する業界団体に木村容疑者の推薦を要請するよう指示していたことが、大阪地検特捜部の調べでわかった。……木村容疑者が水谷被告らに各団体の推薦取り付けを命じていた疑いがあるとみて、公職選挙法違反(公務員の地位利用)容疑……知事選を約4か月後に控えた04年4月ごろ、当時の幹部職員は、水谷被告(当時は審議監)から「知事が選挙のことを気にしている」などと、農協への推薦取り付けを要請されたという。
読売新聞 - 11月19日
■「自民党をぶっ壊す」過程と同時進行していたのが、地方分権の儀議論でした。更に「財政再建」を目指して公共事業はばっさりと削られ、道路公団の民営化も決定して行きましたから、ハコ物・道路・新幹線を頼りにしている地方自治体は小さなパイを激しく食い合うことになりました。
和歌山県の談合事件で、逮捕直後「容疑についてはよく思い出してから話をしたい」と供述していた県知事の木村良樹容疑者が、きょう、事件への関与を否定する内容の話をしていることが分かりました。……木村良樹容疑者(54)は昨夜、任意同行に応じた後、談合の疑いで逮捕されました。……選挙で支援を受けた土建会社「丸山組」を県発注の下水道工事に参入させるよう、前の出納長・水谷聡明容疑者(60)に指示した疑いです。木村容疑者はきょう接見した弁護士に対し、談合事件には一切関与していないと、全面的に否認する説明をしたということです。一方、県庁の秘書課や知事公舎からは、数百万円以上の使い道の判らない現金や、1個数十万円以上する高級腕時計も多数見つかっています。特捜部は、現金は木村容疑者が自由に使えるものだったとみていて、今後は収賄容疑での立件も視野に調べを進める方針です。
朝日放送 - 11月16日
■和歌山県では「論より証拠」の現金や高級時計がごろごろ出て来て、いくら御本人が「覚えていない」などと白を切っても無駄だったのでした。選挙対策には地元の支持が必要で、それも明確な票数が分かる組織である必要が有りまして、それも再選を狙うとなれば鎌倉幕府以来の「御恩と奉公」が最大の武器となります。田舎の組織と言えば、土木関連企業と農協関連の右に出るものは無いでしょうから、摘発が始まると建設会社の経営者が逮捕され、それが県庁内の側近へと連なって県知事の足元に火が回わり、マスコミが殺到する中で「知らぬ、存ぜぬ」の決まり文句が使われて、数日後には辞職か逮捕という段取りです。それを追跡して報道するのがマスコミなのですが、取材対象に接近し過ぎて取り込まれる愚か者も居るもので、大きな事件が解明される過程で、とんだトバッチリを受ける人まで出て来るのですなあ。
朝日新聞社は16日、大阪本社社会部の男性記者(41)が02年と04年、和歌山県発注の土木工事を巡る談合事件で起訴されたゴルフ場経営会社元社長の井山義一容疑者(56)=所得税法違反容疑で再逮捕=から、転勤祝い10万円と出産祝い5万円の計15万円を受け取っていたと発表した。同社は「取材先との適正な関係を逸脱し、記者のモラルに反する」として、同日付で管理本部付に異動させた。……記者は社会部の堺支局に勤務していた00年ごろ、オオタカの営巣を取材するため、井山容疑者が実質経営するゴルフ場「天野山カントリークラブ」(大阪府河内長野市)を訪問。同容疑者と知り合い、地元建設業界や談合情報、関西圏の裏事情に詳しいことなどから付き合うようになった。
■ここまでは彼が有能な新聞記者だったらしい事が伺えます。しかし、地方特有の濃密な人間関係と言うのでしょうか、取材対象との距離を取りながら関係を維持するのは難しいようです。盆暮れの「付け届け」から冠婚葬祭の「挨拶」をきっちりと守る習慣が有る所では、個人的な親睦がだんだん「魚心あれば水心」となって、最後は職業上の不正を犯す事が「義理を返す」ことになったりしまうからなあ。
02年8月、異動で大阪を離れることになったため、ゴルフ場へあいさつに行った際、「御転勤御祝」と書かれた封筒……大阪勤務に戻った04年9月にもあいさつに立ち寄り、子供が生まれたことを知った井山容疑者から「御出産御祝」と記された封筒……いずれも封を切らず、カバンに入れたままにしていた。大阪を中心に発行されている情報紙に15日、「大手紙記者に現金100万円」との記事が掲載されたため、本人が申し出て発覚。同社が聞き取り調査をした。その結果、記者はもらったままの封筒を上司に提出し、「固辞したが押し切られた。関係を維持したいと考え、返すと強く言えず、時間が経過した。反省している」と説明したという。
■大阪の情報紙に記事が出なかったら、この人はどうする心算だったのでしょう?「封を切らずに保管」というのが本当なら、優柔不断を責められつつも同情の余地は有りそうです。事件の発覚は間が悪かったの一言ですが、付き合っている誰が記事のネタになるのか分からないのがジャーナリストの宿命ですから、ケジメは付けておかないと拙(まず)いでしょうなあ。
和歌山県発注工事を巡る談合事件で、知事の木村良樹容疑者(54)(逮捕)が再選された知事選を控えた2004年4月、元出納長の水谷聡明(さとあき)被告(60)(再逮捕)が当時の県幹部職員に、所管する業界団体に木村容疑者の推薦を要請するよう指示していたことが、大阪地検特捜部の調べでわかった。……木村容疑者が水谷被告らに各団体の推薦取り付けを命じていた疑いがあるとみて、公職選挙法違反(公務員の地位利用)容疑……知事選を約4か月後に控えた04年4月ごろ、当時の幹部職員は、水谷被告(当時は審議監)から「知事が選挙のことを気にしている」などと、農協への推薦取り付けを要請されたという。
読売新聞 - 11月19日
■「自民党をぶっ壊す」過程と同時進行していたのが、地方分権の儀議論でした。更に「財政再建」を目指して公共事業はばっさりと削られ、道路公団の民営化も決定して行きましたから、ハコ物・道路・新幹線を頼りにしている地方自治体は小さなパイを激しく食い合うことになりました。
和歌山県の談合事件で、逮捕直後「容疑についてはよく思い出してから話をしたい」と供述していた県知事の木村良樹容疑者が、きょう、事件への関与を否定する内容の話をしていることが分かりました。……木村良樹容疑者(54)は昨夜、任意同行に応じた後、談合の疑いで逮捕されました。……選挙で支援を受けた土建会社「丸山組」を県発注の下水道工事に参入させるよう、前の出納長・水谷聡明容疑者(60)に指示した疑いです。木村容疑者はきょう接見した弁護士に対し、談合事件には一切関与していないと、全面的に否認する説明をしたということです。一方、県庁の秘書課や知事公舎からは、数百万円以上の使い道の判らない現金や、1個数十万円以上する高級腕時計も多数見つかっています。特捜部は、現金は木村容疑者が自由に使えるものだったとみていて、今後は収賄容疑での立件も視野に調べを進める方針です。
朝日放送 - 11月16日
■和歌山県では「論より証拠」の現金や高級時計がごろごろ出て来て、いくら御本人が「覚えていない」などと白を切っても無駄だったのでした。選挙対策には地元の支持が必要で、それも明確な票数が分かる組織である必要が有りまして、それも再選を狙うとなれば鎌倉幕府以来の「御恩と奉公」が最大の武器となります。田舎の組織と言えば、土木関連企業と農協関連の右に出るものは無いでしょうから、摘発が始まると建設会社の経営者が逮捕され、それが県庁内の側近へと連なって県知事の足元に火が回わり、マスコミが殺到する中で「知らぬ、存ぜぬ」の決まり文句が使われて、数日後には辞職か逮捕という段取りです。それを追跡して報道するのがマスコミなのですが、取材対象に接近し過ぎて取り込まれる愚か者も居るもので、大きな事件が解明される過程で、とんだトバッチリを受ける人まで出て来るのですなあ。
朝日新聞社は16日、大阪本社社会部の男性記者(41)が02年と04年、和歌山県発注の土木工事を巡る談合事件で起訴されたゴルフ場経営会社元社長の井山義一容疑者(56)=所得税法違反容疑で再逮捕=から、転勤祝い10万円と出産祝い5万円の計15万円を受け取っていたと発表した。同社は「取材先との適正な関係を逸脱し、記者のモラルに反する」として、同日付で管理本部付に異動させた。……記者は社会部の堺支局に勤務していた00年ごろ、オオタカの営巣を取材するため、井山容疑者が実質経営するゴルフ場「天野山カントリークラブ」(大阪府河内長野市)を訪問。同容疑者と知り合い、地元建設業界や談合情報、関西圏の裏事情に詳しいことなどから付き合うようになった。
■ここまでは彼が有能な新聞記者だったらしい事が伺えます。しかし、地方特有の濃密な人間関係と言うのでしょうか、取材対象との距離を取りながら関係を維持するのは難しいようです。盆暮れの「付け届け」から冠婚葬祭の「挨拶」をきっちりと守る習慣が有る所では、個人的な親睦がだんだん「魚心あれば水心」となって、最後は職業上の不正を犯す事が「義理を返す」ことになったりしまうからなあ。
02年8月、異動で大阪を離れることになったため、ゴルフ場へあいさつに行った際、「御転勤御祝」と書かれた封筒……大阪勤務に戻った04年9月にもあいさつに立ち寄り、子供が生まれたことを知った井山容疑者から「御出産御祝」と記された封筒……いずれも封を切らず、カバンに入れたままにしていた。大阪を中心に発行されている情報紙に15日、「大手紙記者に現金100万円」との記事が掲載されたため、本人が申し出て発覚。同社が聞き取り調査をした。その結果、記者はもらったままの封筒を上司に提出し、「固辞したが押し切られた。関係を維持したいと考え、返すと強く言えず、時間が経過した。反省している」と説明したという。
■大阪の情報紙に記事が出なかったら、この人はどうする心算だったのでしょう?「封を切らずに保管」というのが本当なら、優柔不断を責められつつも同情の余地は有りそうです。事件の発覚は間が悪かったの一言ですが、付き合っている誰が記事のネタになるのか分からないのがジャーナリストの宿命ですから、ケジメは付けておかないと拙(まず)いでしょうなあ。