旅限無(りょげむ)

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事実は映画より奇きかも? 其の弐

2006-12-01 13:28:39 | 外交・世界情勢全般
■11月29日に一挙に「怪死事件」の全貌が見えるような報道が相次ぎました。

ロシア連邦保安局(FSB)元中佐、アレクサンドル・リトビネンコ氏の不審死事件で、英捜査当局は29日、ロンドン・モスクワ路線などに就航していたブリティッシュ・エアウェイズ(BA)のボーイング767型旅客機2機の機内から、放射性物質を検出した。事件に関与した人物が残した疑いが強く、事件解明に向けた手がかりになると見られる。検出された物質が、リトビネンコ氏の体内から見つかったポロニウム210かどうかは、発表されていない。英捜査当局は、モスクワの空港で、BA社の別のボーイング767型1機を調べている。BA社のスポークスマンによると、捜査当局が、10月25日以降、事件に関与した人物が搭乗した可能性がある旅客機を調べる中で、放射性物質の有無の検査が行われた。
読売新聞 - 11月30日

■「放射性物質」と一言で報道されても、半減期が数時間やら数日という物から、1万年を越えるなどという物まで様々ですから、その正体が発表されないのは非常に嫌な感じですなあ。それも、「10月25日以降」という割と長期間に亘って、放射性物質が国際線の旅客機の中に存在していた!という衝撃的な事実を、こんなにさらりと報道しても良いのでしょうか?そもそも、そんな物騒な物を一般の旅客が利用する交通手段の中に持ち込んで、うろうろしている奴が居ると考えるだけで不愉快ですなあ。当初の報道では、ロンドンで検出された放射性物質のポロニウムは、10センチほどしか飛ばないアルファ線しか出さないから、紙一枚でも防げるとの話でしたのに、飛行機内発見されたのは放射線ではなくて「物質」と言うのですから、恐ろしい微粒子か何かが1箇月以上もジャンボ旅客機の中で、目に見えない危険な放射線を出し続けていたという事なのでしょうか?

■新型のテロリズムには、ワクチンの無い伝染性の病原菌を植え付けた兵士を放って、公共交通機関の中を移動させるというトンデモないアイデアが有るとは聞きましたが、厳重な対テロ警戒体制の網に掛からない微量の放射性物質をあちこちにパラパラ播かれたら、お手上げですぞ!これでプーチンさんが命令したかどうかは兎も角、ロシアとイギリスの間で危険な物質を運んだ者が居た事だけは確かになったというわけですが……。


ロシアの情報機関、連邦保安局(FSB)元中佐、リトビネンコ氏の怪死事件で、29日付の同国紙イズベスチヤは、ロンドンの同氏の立ち回り先数カ所で放射性物質ポロニウム210が検出されたことは、誰かに売るために自ら持ち歩いていた可能性を示していると報じた。
 同紙によれば、ポロニウム210を運ぶ際には完全気密の小容器に入れる。この容器が何らかの原因で損傷してポロニウムが漏れ、皮膚を通じてリトビネンコ氏の体内に入り、変死の原因になった可能性があるという。 
時事通信 - 11月29日

■それが本当なら、リトビネンコさんは指や掌(てのひら)にポロニウムを付着させたまま、ロシアとロンドンを少なくとも2回往復したという事になりますぞ。すっかり言論統制が行き渡ってしまったロシアのマスコミですから、政府が主張している「ロシアは無関係だ!」という話を前提にして報道が続いておりますなあ。イズベスチヤ紙の仮説は、ロシア国内から少なくとも2度に亘って放射性物質を運び出した人物の存在を、逆に証明している事にもなるのですが……。


ロシアの元情報機関員アレクサンドル・リトビネンコ氏がロンドンで怪死した事件で、29日付の英紙インディペンデントは、同氏が倒れる直前にすしバーで会ったイタリア人学者マリオ・スカラメッラ氏が、「リトビネンコ氏は核物質密輸を行っていた」と発言していると報じた。同紙は事件発覚直後、スカラメッラ氏にインタビューした。それによると、すしバーで出会った際にリトビネンコ氏は「2000年に自分が中心となってロシアからチューリヒへ核物質を密輸した」と打ち明け、ロシア連邦保安局(FSB)のために密輸を行ったと話したという。 
時事通信 - 11月29日

■ロシアが喜んで良いのか、怒らねばならないか迷うような記事です。ソ連崩壊以来、旧ソ連時代の核兵器や関連物質の管理が杜撰で、原材料や廃棄物どころか、アタッシュ・ケース型の小型原爆が行方不明!などという背筋が凍るような噂まで流れていますからなあ。更に、この記事を信じるのならスイスには核物質を扱う闇市場が存在する事にもなりますぞ。折角、違法な闇資金のマネーロンダリング疑惑を払拭し掛けたというのに、またまたスイスが美しい景観に隠れて行っている醜悪な闇ビジネスが注目されそうです。リトビネンコさんが運んだ「商品」は何だったのか?それを買ったのは誰なのか?そして、それは今どこに有るのか?早急に調べなければならない問題が続出であります。それにしても、6年も前に関与した密輸が原因で今頃になって急に死亡するものでしょうか?

続・北の原爆50年史 其の四拾八(最終回)

2006-12-01 11:29:40 | 歴史

米誌ニューズウィークが11日発表した世論調査結果によると、ブッシュ大統領の支持率は31%で、中間選挙前の今月初旬の調査より4ポイント低下した。また、大統領は残り任期の2年間で「大した仕事はできない」とする回答は66%に上った。調査は9、10の両日、約1000人を対象に行われた。中間選挙で民主党が上下両院を制覇したことについて、過半数の51%が「良いことだ」と評価。また、2008年の次期大統領選で民主党勝利を望むとの回答は48%に上り、共和党勝利を望むとする28%を上回った。 
時事通信 - 11月12日


■民主主義国家の米国ですから、世論調査の動向は絶大な影響力を発揮します。専門的に調査方法の研究をしている学者や業者がたくさん居るそうで、質問の仕方を徹底的に分析して聞き手の性別や年齢、質問の順番、選択肢の並べ方などなど、幾らでも調査結果をがらりと変える方法は有るそうですなあ。一種の洗脳、誘導尋問みたいなものです。それでも、米国には特殊な国民性が土台となっていて、それは、皆が大統領が大好き!という強烈な感情です。初代大統領のワシントン以来、軍の最高司令官として絶大な権力を占有している人物ですから、その人が命令したら必ず戦争に参加しなければなりません。常に正義は自国に有り、邪悪な敵は必ず打ち倒さねばならない!という困ったコンセンサスが脈々と続いていますなあ。

■世論調査の結果を左右したイラク戦争にしても、それが正しい戦争だった事にはほとんどの国民は疑問を持っていないでしょう。但し、下手くそな戦争、無駄な戦争、儲からない戦争などの不満が噴出し始めると支持率がどんどん下がってしまいます。それでも、大統領に対する悪口雑言はタブーで、マイケル・ムーアさんのような人は異常な存在と見なされてしまいます。歴代の米国大統領の中には、恥ずかしくて外国の人には知られたくないような人物も居るのですが、短い歴史しか持たない米国では、基本的に大統領の列伝は『偉人伝』になるようです。それが米国の民主主義の特異性と言えるでしょうなあ。正直なところ、そんな感情には付き合い切れません!米国はイラク戦争を否定し始めたのでも反省しているのでもありません。ただ、飽きて来たのです。付き合わされた国々は早々に引き上げを予告しておりますが、ちょっと遅れて参加してさっさと引き上げて来た日本は、賢かったのか、単に運が良かっただけなのか?

■もしも、ブッシュ大統領の「完全勝利宣言」を信用せず、必ず泥沼の内戦になるぞ!と見通していた人物が政府内に居たのなら、ちょっと自慢しても良いかも知れませんが、対北朝鮮外交での影の薄さを考えますと、一寸先は闇の複雑な中東情勢を見通していたとは思えませんなあ。「非戦闘地域」などという架空の場所が実在していたいという当たり前の事実を誤魔化し切れなくなっただけなのでしょう。


北朝鮮外務省の姜錫柱(カン・ソクジュ)第1次官は22日、6カ国協議は間もなく再開されるとした上で、北朝鮮が米国に対しまず金融制裁を解除するよう要求するのは当然のことだとの考えを示した。モスクワに滞在していた姜次官は同日、15日ぶりに北京国際空港に姿を見せた。核開発プログラム廃棄の要求に対する北朝鮮側の姿勢について問われると、「核をどうして放棄できようか。放棄しようと作ったものだと思うか」と反問し、不快感を示した。

■金融制裁の解除という獲物を手に入れるために、どれだけの餌(妥協)で足りるのか?北朝鮮はそればかりを必死に探っています。もしも、米軍が目算通りにイラクのフセイン体制を電撃的に壊滅させ、それに呼応して「イスラム民主主義」などという不思議なイデオロギーを共有する集団が湧き出して、米軍に感謝を述べつつ米国の注文通りに「中東民主化」運動の先陣を切って愛すべき米軍を涙で見送ってくれる。そんな、まるで御伽噺のような結末になっていたら、その勢いで北朝鮮を次の標的に設定も出来たかも知れませんが、核兵器も大量破壊兵器も持っていなかった旧イラク軍を、まったく別次元の高性能兵器で簡単に葬り去ったと言うのに、その後は原始的な爆弾テロとライフル銃による狙撃などで犠牲者が増え続けるなどという醜態を演じてしまっては、全土をかつての硫黄島以上の地下要塞化していると言われている北朝鮮に攻め込む事など、さすがのブッシュ大統領も考えられないでしょうなあ。

■イラクが駄目なら北朝鮮だ!それは余りにも残酷な代償を必要とする「恥の上塗り」ですからなあ。


中国外務省の姜瑜(きょうゆ)副報道局長は23日の定例会見で、北朝鮮の核問題を巡る6か国協議の調整でヒル米国務次官補が26日にも訪中することに関連し、「中国は米国を含む協議関係国とさらに意見交換する」と語り、6か国協議で北朝鮮代表を務める金桂寛(キム・ケグァン)外務次官がこれに合わせて訪中し、米朝協議が行われる可能性を示唆した。一方、22日訪中した金正日総書記側近の姜錫柱(カン・ソクチュ)北朝鮮第一外務次官は23日、北京空港から帰国した。(中国総局)
読売新聞 - 11月23日

■モスクワから北京に降り立った北朝鮮の外務次官が、ただの乗り継ぎだけで帰国したというのが本当なら、既にロシアと中国との間で次なる展開のシナリオが合意されていると考えざるを得ません。もう、ブッシュ大統領は、これ以上の失点を重ねたくない!という一念だけで引きつった笑顔を維持しているのですから、北朝鮮問題に関しては米国の方が「俎板の上の鯉」にされつつあるようです。下手をすれば、クリントン政権よりも大きな譲歩をしなければならなく可能性さえ出て来そうな気配です。誰か外務省のエライ人が、ブッシュ大統領に「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」という諺を教えて上げねばなりませんぞ!今にして思えば、イラク攻撃に参加する時、交換条件として北朝鮮に対する共同外交戦略をしっかりと練ってブッシュ大統領と「約束」をしておくべきでしたなあ。

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続・北の原爆50年史 其の四拾七

2006-12-01 07:50:34 | 歴史

ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は9日、北朝鮮の核実験実施を受けた国連安保理の制裁決議に基づき、同国に対する自動車販売を中止したことを明らかにした。同社によると、北朝鮮に対しては2004~06年に、約500台の自動車を販売した。取引は北朝鮮の企業との間で行われ、すべて現金決済だったという。 
時事通信 - 11月10日

■金正日将軍様の御用達はベンツではないのか?と思った人も多いでしょうなあ。我らがワーゲンが禁輸してもそれほど困らないのではないでしょうか?それに3年間に「500台」などという規模なら、会社側も国際社会に同調している姿をタダで宣伝出来るのですから、こんな発表は幾らでもしたいところでしょうなあ。本当に北朝鮮を締め上げるには、中国と韓国の協力が欠かせないのですが……。


北朝鮮の朝鮮中央テレビは10日、米国の中間選挙結果で共和党が惨敗したとして、議席数などを挙げながら比較的詳しく報じた。また、ブッシュ米大統領がラムズフェルド国防長官を更迭した事実も伝えている。米上下両院で選挙結果が確定した日のうちに報道されたことは、選挙結果に対する北朝鮮の関心を表す。2002年の中間選挙で共和党が勝利した際には、選挙結果に直接には触れていない。
YONHAP NEWS - 11月11日

■一応、儒教の伝統が色濃く残る「礼儀の国」との自負があるようですから、敗北したブッシュ大統領を悪しざまに罵るのは慎んでいるようですが、将軍様が側近グループと祝杯を挙げている様子が目に浮かぶようですなあ。


米国議会を掌握した民主党が対北朝鮮政策を展開し北朝鮮と核交渉を行えば、実際に北朝鮮が核を放棄するのだろうか。民主党政権を率いたクリントン前大統領は8日、ブッシュ政権の対北政策を批判し、「北朝鮮との直接対話の窓口さえ開いておけば、北朝鮮の核問題は1年以内に解決可能だ」と主張した。同氏は北朝鮮が経済的保障さえ受けられれば核を放棄し、それでも北朝鮮がウソをつき通すのなら「それで終わり」と語った。これは民主党の考え方をそのまま反映したもので、金大中(キム・デジュン)前大統領の主張とも通じるものだ。

■これは韓国の新聞からの引用です。クリントン元大統領がこんな発言をしていたと日本のマスコミは報道しなかったのではないでしょうか?北朝鮮にウソをつかれた御本人が言っているのですから、最後の対話を仕掛けるべきだという提案は本気でしょう。しかし、やはり騙された張本人ですから、直接対話を始めれば「1年で」問題が解決するというのはウソでしょうなあ。間も無く、奥さんが本気で次期大統領を狙うようになったら、ダメ亭主の口を塞いでしまうでしょう。別に殺害するという意味ではありませんので、念のため。


韓半島(朝鮮半島)での第1次核危機は、クリントン氏が大統領在任中の1993年3月、北朝鮮による核拡散禁止条約(NPT)脱退にさかのぼる。米国と北朝鮮は直接の交渉を行い、翌年10月にジュネーブ合意を引き出した。ところが北朝鮮は実際には核開発を続けていた。99年にはペリー元国防長官が北朝鮮を訪問し、「ペリー報告書」を議会に提出。2000年には北朝鮮の趙明祿(チョ・ミョンロク)特使とオルブライト国務長官の相互訪問も行われた。ジュネーブ合意当時、米国側代表だったジョージタウン大学のガルーチ学長は、10月の北朝鮮による核実験直後に行われた朝鮮日報とのインタビューで、「北朝鮮は米国をあざむいた。パキスタンの援助でウラン濃縮まで行った」と語った。つまり北朝鮮と対話をすれば核問題は1年以内に解決可能というクリントン氏の発言は現実的ではないということだ。

■こうして元側近だった人にもバカにされているくらいですから、ブッシュ大統領でも選挙に勝てた理由が良く分かります。米国は貴重な時間を無駄にしたのですなあ。クリントン時代は、もっぱら日米間の経済問題ばかりに熱心でした。ユーゴ問題もアフリカの地域紛争も、クリントン時代にぐしゃぐしゃになってしまいましたが、ブッシュ大統領はもっと大きく米国の世界戦略を傷付けてしまいました。そんな米国に必死で付いて行った日本はどうなるのでしょう?


……北朝鮮がクリントン前大統領の考え通りに、経済の活性化やエネルギー・食料の支援を受けられれば核兵器を放棄するのだろうか。これについては北朝鮮が核兵器を体制維持の道具として開発した点から、絶対に放棄しないだろうとの見方がある。京畿大の南柱洪(ナム・ジュホン)教授は「北朝鮮にとって改革開放は直ちに脆弱な首領体制の崩壊を意味することから核を選択した。まして現在の国際社会はジュネーブ合意のような核の凍結ではなく、解決を望んでいるため合意はより困難だ」と主張した。世宗研究所の宋大晟(ソン・デソン)首席研究員も「北朝鮮の大量破壊兵器開発は、金正日(キム・ジョンイル)体制の維持、韓国赤化、交渉力強化が目標だ。北朝鮮が核を放棄するのは理論的にはともかく、現実的にも不可能だ」と指摘した。

■当たり前の話ではありますが、韓国にも優れた研究者はちゃんと居るというわけです。しかし、今の大統領には充分すぎる任期が残っているのが頭の痛いところでしょうなあ。


一方、北朝鮮の核を交渉用と見て、核兵器を放棄しても北朝鮮の体制維持が可能との見方もある。慶南大のキム・グンシク教授は、「北朝鮮は米日との関係改善の過程で、外部からの莫大な資金が手に入れば、改革開放や(韓国での)朴大統領式経済開発が可能と判断している」との見方を示した。また東国大の高有煥(コ・ユファン)教授は、「このままでは北朝鮮は経済危機で内部崩壊するので、核放棄の条件として対米関係改善を要求してくる可能性がある」との分析を提示した。しかしながら高麗大の南成旭(ナム・ソンウク)教授は「米国が多くの譲歩をすれば可能だろうが、現実とは距離がある話だ」と主張した。
朝鮮日報 11月12日

■誰も「もう一度だけ騙される覚悟」で外交交渉をする事など有り得ません。少なくとも報道の自由が保証されているマスコミと、言論の自由が有る世論が存在している国では、そんな気紛れな王様みたいな事は不可能です。その道理が北朝鮮には分からないのでしょうなあ。

続・北の原爆50年史 其の四拾六

2006-12-01 07:50:04 | 歴史
■今のところ、主導権が中国に執られているとは言っても、イラクで手一杯だったブッシュ政権がそれを望んでいたのですから、特に失点とカウントされる謂われは有りません。そうなると、このままだらだらと残りの任期2年間はイラクの後始末に集中したいブッシュ大統領は、北朝鮮問題を塩漬けにしてしまう公算が高くなってしまいます。せっかく拉致問題で名を揚げた安倍さんが総理大臣になったのに、肝腎の米国が日和見になったら身動きが取れませんぞ。

……外交通商部のある関係者は「1990年代、北朝鮮の核施設に対する先制攻撃論を主張したのは民主党政権だ。民主党であれ共和党であれ、対北朝鮮政策の基本姿勢は変わらない」と指摘した。また別の関係者は「北朝鮮が6カ国協議に前向きな態度を見せない場合、民主党が共和党よりもさらに強硬姿勢に出てくる可能性もある」と分析した。
朝鮮日報 11月9日

■確かに、民主党の大統領が就任するような事になったら、「自分はクリントンとは違うぞ」とばかりに、勇み足のような強硬路線を打ち出すかも知れません。そんな事くらいは百も承知の北朝鮮は、ブッシュ大統領が自国を無視してしまわないように、しっかりと手を打っているようです。


北朝鮮・最高人民会議の崔泰福(チェ・テボク)議長が9日、平壌からイランに向け出発した。崔議長はイランで開催されるアジア国会平和連合の第7回総会に出席した後、イラン公式訪問日程に入る予定だ。北朝鮮とイランはともに、核開発問題をめぐり米国と対立しているため、崔議長の訪問中に両国で協調策が話し合われるかが注目される。イランのアフマディネジャド大統領は先月16日、北朝鮮制裁に関する国連安全保障理事会決議を拒否する意思を示し、米国を非難すると同時に北朝鮮支持を表明している。
YONHAP NEWS - 11月10日

■米国が6箇国協議で北朝鮮を包囲しようとして失敗しているのですから、それを更に遠巻きにして逆包囲してしまおうと言うのが北朝鮮の大戦略なのでしょうか?そう言えばマレーシアだのミャンマーだの、チャイナの南側に位置する国々との関係を大急ぎで強化しているような動きも見せている北朝鮮ですから、インド洋を通り越して直接中東諸国と結び、米国を翻弄する一手なのかも知れませんなあ。イランと中国はとても仲が良いことで有名ですから、6箇国協議は中東と言う裏口から異分子を呼び込んで、地球を一周して米国を挟み撃ちするような異様な会議になってしまう可能性さえ有りますなあ。


7日夜にロシアを急きょ訪問した北朝鮮外務省の姜錫柱(カン・ソクジュ)第1次官が、中国・北京に向かわず、体の治療のため現在もモスクワに滞在していることが分かった。現地消息筋が9日に明らかにした。姜次官は、ロシアの大統領や閣僚らが治療を受ける、行政室の下で運営される病院で眼科疾患の手術を受けたとみられる。同病院にはエリツィン前大統領も心臓手術のため入院していた。

■経済制裁が強化されて医薬品さえも密輸しなければならない北朝鮮ですから、政府高官がロシアの病院に行くのは不思議ではありませんが、緊急性の無い病気の治療に行くには最も疑心暗鬼を呼び起こすタイミングを見計らったものです。たった一人の役人を飛行機に乗せて移動させるだけで世界のマスコミの目を奪ってしまうのですから、感心するばかりです。


別の消息筋も、モスクワ入りから2日間完全に消息を絶っている点を考え合わせると、姜次官は入院している可能性が高く、6カ国協議再開を控えた切迫した状況で留守にするほどならば健康状態が深刻なことを表すと話している。一方、ロシア当局は8日、姜次官のモスクワ訪問はプライベートなことで、ロシア側との会合などとは関係がないと説明している。
YONHAP NEWS - 11月10日

■北朝鮮と旧ソ連との関係も、決して常に公に進められたわけではなく、ロシアになってからもその流儀は変わっていないようです。海外渡航ばかりか、海外からの電波の受信さえも「プライベート」に許可されていないような国から、役人が「プライベート」な旅行をするはずが無いでしょうに!ロシアの誰かさんと直接会わねばならない用事が有ったに違い有りません!


李明博(イ・ミョンバク)前ソウル市長が10日、日本の安倍晋三首相と会談し、北朝鮮核問題や韓日交流・交流案などについて意見を交わした。同行したハンナラ党議員が伝えたところによると、李前市長は安倍首相に対し「北朝鮮の核放棄は韓国民の望み。6カ国協議がうまく運ぶよう国際協力に向け努力してほしい」と求めた。日本の核武装論議についても言及し「非核3原則に共感する」と述べたほか、韓国民が関心を持っている歴史、独島、靖国神社参拝という3つの問題について、未来志向的名解決に積極的に努めてほしいと呼びかけた。これに対し安倍首相は、日本は非核3原則を堅く守り核兵器拡散防止条約(NPT)にも加入していると強調し、決して核武装をせず、核保有論議が起きても結論を出すことは難しく実質的にはまったく問題がないと伝えた。

■何処の世界に隣国の核武装を要請したり喜んだりする政治家が居るのでしょう?第一、自国民の「65%」が核武装を望んでいる国が非核三原則に「共感」などするはずは有りますまい。それは「日本の」という前置きが有る話であって、自国が北朝鮮との統一によって自動的に核武装するのか、それが不可能となったらさっさと核開発に乗り出すのか、それこそ秘中の秘の「内政問題」なのですから、そんな時になって日本がじたばたしても、相手は聞く耳を持ってはくれません。本当に非核三原則に「共感」するのなら、日韓共同で非核運動を世界に広めましょう、と言うべきです。安倍総理の発言は真っ正直と言うべきか、思慮が欠けていると言うべきか、たとえ核武装する気が無くても、少しは言葉を濁したら如何でしょう?


また、韓国と日本は自由民主主義、市場経済、法治主義の基本概念を共有しており、協力強化の余地は多いと述べ、韓日間の経済関係が活発なように文化、政治交流の拡大も必要だとの見解を示した。安倍首相はまた、日本の韓流ブームについても触れ、映画やドラマなどの韓国文化はレベル・質ともに高く、今やブームを超え定着したと述べた。昭江夫人が間もなく映画観覧のため訪韓することや、読売ジャイアンツで活躍するイ・スンヨプ選手についても言及した。……YONHAP NEWS - 11月10日

■「ヨン様」ブームはとうの昔に去っておりますし、韓流ブームも間も無く跡形も無く消え去ると言われていますなあ。巨人軍で活躍しているイ選手にしても、来日する時に涙を流して国民に謝罪してから来たのでしたなあ。或るスポーツ関連メディアの話では、本当は米国の大リーグに行きたかったのに、韓国球界での成績はまったく評価されず、日本で実績を積まねばならなくなったから来日を決意したのだそうです。お陰さまでチームは最悪の成績でも、イ選手だけは評価をどんどん上げているので、米国に行かせたくない巨人軍としても弱みが有りますから莫大な年棒を約束してくれているそうです。イ選手は大喜びで日本に残留してくれたのを巨人ファンが余り感激していないのは、そんな裏事情を知っているからだそうですなあ。

■それにしましても、総理夫人が個人的に特定の国に好意を持っているなどと公言しても宜しいのでしょうか?映画『ローマの休日』でも観て、それなりの地位に有る人の受け答えを勉強した方が良いのではないでしょうか?小泉プレスリー首相の米国好きも異常でしたが、イタリアのオペラでバランスが取れていましたぞ。どうも心配な安倍総理夫妻の軽さであります。