旅限無(りょげむ)

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宮崎県の「天の声」 其の七

2006-12-05 15:17:17 | 政治

……宮崎県警は29日夜、部下に談合を指示したとして、江藤隆・県出納長(63)を競売入札妨害(談合)容疑で逮捕した。江藤容疑者は容疑を認めたうえで「自分の意思でやったわけではない」などと供述しており、県警は、安藤忠恕(ただひろ)知事(65)の事情聴取も視野に入れ、捜査を進める。……
読売新聞  11月29日

■きっと知事さんは大韓航空機を爆破した北朝鮮工作員の女性が記者会見でべらべら喋ったのを聞いて激怒した金正日将軍様の心境でしょうなあ。


……出納長逮捕に拡大したことを受け、安藤忠恕(ただひろ)知事(65)は29日夜、県庁で記者会見したが、報道陣に事件への自身の関与を問われると「私の知らない世界がある」「天の声があちこちで出回っている」など、県政の最高責任者としての責任を転嫁する発言を繰り返した。一方、逮捕された出納長の江藤隆容疑者(63)が大筋で容疑を認めていることを報道陣に伝えられると「信じられない。指示は全くしていない」と表情を曇らせた。……
毎日新聞) - 11月30日

■「知らない世界」とは名言です。御自身は「高天原(たかまがはら)」に住んで下界を見下ろしている気分でおられるのでしょうなあ。会見の中で「完全に裏切られた」と気色ばんだそうですが、それは県民の台詞でしょ!?県知事さんの「知らない世界」では、同日午後2時から開かれた県議会緊急本会議が、出席議員39人による全会一致で辞職勧告決議案を可決したのだそうです。


宮崎県の官製談合事件で、安藤忠恕前知事(65)に談合を指示されたと供述している前出納長の江藤隆容疑者(63)が、前知事に対し「やってはいけないことだ」と抵抗した、と話していることが5日、分かった。……受注希望を伝える窓口役は、今年4月に江藤容疑者から環境森林部長税所篤三郎容疑者(58)に代わっていた。県警捜査2課は、安藤前知事の「天の声」が両容疑者を経由して業者に伝わったとの見方を強めており、前知事の関与について詰めの捜査を急ぐとともに、窓口役が変更された経緯についても調べている。 
時事通信  12月5日

■こうした仲間割れは実に醜いものです。罪を被せた側近から、倍にして罪を送り返されたようなものですから、4日に辞職を発表した知事さんにも思うところが有ったのでしょうなあ。悪事を働くにも、仲間は選ばないと行けませんなあ。出納長さんも、早く「内部告発」に踏み切っていれば、次の知事選に「県政刷新」の旗を立てて立候補できたかも?


宮崎県警は、情報処理・建設コンサルタント業、ヤマト設計(本社・東京)に業務を落札させるよう県幹部に指示したとして、4日、競売入札妨害(談合)容疑で、安藤忠恕(ただひろ)前知事(65)(4日辞職)の逮捕状を請求した。5日にも取り調べ、容疑が固まり次第、逮捕する。
読売新聞 - 12月5日

■こうして宮崎県の田舎芝居の幕が下りたというわけです。福島県にしても、自民党推薦の候補が落選はしたものの、県議会はそっくりそのまま残り、県庁内の人事も手付かずなので、「2度有ることは3度あるべなあ」と県民は感じているはずです。選挙戦がぜんぜん盛り上がらなかったのが何よりの証拠でしょう。岐阜にしても宮崎にしても、知事さんのキャラクターだけが違うだけで、何処も同じ金太郎飴であります。嗚呼、これから「わたくしがぁ~県政を刷新しぃ~、○○県を生まれ変わらせる使命をぉ~、身命を賭してぇ~」と捻り鉢巻に襷掛け姿で声を嗄らす日々が始まるのですなあ。頑張れ!全国のオンブズマン!次は何処の県でしょう?

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宮崎県の「天の声」 其の六

2006-12-05 15:16:53 | 政治

2003年8月の安藤知事就任後、ヤマト設計の受注実績は03年度がゼロ、04年度は3件で契約総額は約3200万円……談合事件の舞台となった宮崎市の橋の設計業務(当初契約額約724万円)を含め、05年10月以降、同年度内に7件、当初契約総額約5100万円分の県発注事業を受注するなど急増……業界内には、東京からの進出業者である二本木容疑者のあからさまな発言に反発する声も強かったが、受注実績と符合することに「天の声」の存在を感じ、不満をのみこんでいたという。……
西日本新聞  11月28日

■さてさて、こうなりますと二本木容疑者には東京にバックが存在していなくては辻褄が合わなくなりますなあ。その黒幕まで特捜部の捜査は及ぶのでしょうか?


宮崎…県警は28日、江藤隆出納長(63)が県土木部長の藤本坦(ひろし)容疑者(59)に「ヤマト設計」(東京都)が受注できるよう談合を指示した疑いが強まったとして、29日にも競売入札妨害容疑で逮捕する方針を固めた。藤本容疑者の供述などから、ヤマトに関する「天の声」が現場レベルまで伝わる過程での、江藤出納長の介在が濃厚となり、事件は県庁ナンバー3に波及する見通しとなった。……05年11月の鰐塚山(わにつかやま)災害復旧関連の橋りょう設計業務入札を巡り、藤本容疑者=当時土木部次長=は安藤知事ら上層部の関与をほのめかしていた。

 その後の調べに、藤本容疑者は江藤出納長から直接、ヤマトに総額約5000万円の枠で設計業務を受注させるよう指示されたとの趣旨を供述した。藤本容疑者はこの「総枠」の範囲内でヤマトに受注させる業務を選定し、部下の柴岡博明容疑者(58)=当時宮崎土木事務所長=にヤマトが落札できるように工作を指示していた。……江藤出納長は毎日新聞の取材に「設計業務の入札については一切知らない。指示もしていない」と関与を否定している。江藤出納長は67年に県庁入り。県東京事務所長や企画調整部長を経て03年11月に出納長に就任した。……安藤知事は「安藤県政でそれをやっちゃいかんと言ってきた」などと江藤出納長や自らの事件への関与を全面的に否定している。
毎日新聞  11月29日

■出納長が以前に「東京事務所長」を務めていたというのは耳寄りな情報ですなあ。この人が東京の誰かさんと仲良くなったか手下になって、二本木容疑者がエージェントとして宮崎県に入り込み、知事さんと東京の誰かさんとの仲介役をしていたのかも知れません。


……29日、県警から事情聴取された県庁ナンバー3の江藤隆出納長(63)は、毎日新聞の単独インタビューで、「『天の声』なんてあるはずない」と関与を否定したが、業界内で繰り返される談合については「業者にとって『頼母子講(たのもしこう)』のような感覚」と存在を認めていた。一方、安藤忠恕(ただひろ)知事の関与についても「絶対ないのが安藤県政だ」と強く否定した。……
毎日新聞) - 11月29日


■この記事には出納長への単独インタヴューが付いていまして、「知事側から政治コンサルタント料5000万円の提供を受けた石川鎮雄容疑者(68)との面識は?」との問に対して、「私が県東京事務所長時代(99~01年)に、参院議員秘書をしていたというのを聞いた。ほとんど会ったことはない。県庁に出入りしていたのを見たこともない。付き合いがなくてよかった。」と、無駄に否定辞を重ねる不自然な答え方をしているのが印象的です。ここに「参院議員」の影が浮かんでおりますぞ!さて、この人は誰なのでしょう?


……江藤隆出納長(63)が事情聴取を受けた29日、安藤忠恕知事は……記者団に囲まれ「残念なこと。県民がどうなんだろうという(疑念の)気持ちを強くされたと思う。私は(出納長の)関与はないと信じている。信頼回復に全力を挙げたい」と硬い表情で語った。また、自身の進退について「管理、監督者としての責任は感じるが(来年8月までの)任期を全力で全うしたい」と辞職する考えがないことを改めて強調した。知事の談合への関与についての質問に「指示するわけないでしょ。『天の声』ってなんですか、と逆に聞きたい」と声を荒らげる場面もあった。
毎日新聞  11月29日

■本人が「天の声って何?」質問しているんですから、新聞記者の皆さんは声を揃えて怒鳴り返したら良かったのに!「あんたが談合の指示をした命令の事だよ。分かったか?」と詰問を続けて欲しかったですなあ。知事さんはエライ人なので、自分の事を棚に上げてマスコミ関係者をゾンザイに扱う傾向が有ります。選挙中に若い娘さんの体を触りまくって恥を掻いた大阪の元漫才師も、舞台の上と同じように茹蛸みたいに真っ赤になって「知事を虐めて面白いか?!」と逆上した姿が全国に流れた事が有りました。権力者を吊るし上げるのは面白い見世物ですし、いい年をして小娘に告発されておろおろする権力者の醜態は、下手な漫才よりもずっと面白い!それが人情と言うものでしょう。

宮崎県の「天の声」 其の伍

2006-12-05 15:16:26 | 政治

……安藤忠恕知事(65)が2003年の就任直後、県が入札参加者を募集するため工事の概要などを掲示した公告を中止するよう当時の土木部幹部に求めていたことが28日、分かった。公告中止は極めて異例のため幹部は拒否したが、知事は要請の理由を述べなかったという。……幹部は「いったん公告したものを中止することはできない」と拒否。「知事は情報公開が公約だったはず。公告は情報公開の最先端ではないのか」と反論すると、安藤知事は「やっぱり無理か」と納得したという。 
時事通信 - 11月28日

■「県政の浄化」を公約して当選した知事さんが、就任直後から入札制度を闇で執り行おうとしたという事ですが、たった一人しか聞いていないこんな情報が漏れて来るようでは、もう駄目ですなあ。


……安藤忠恕知事(65)は28日、競売入札妨害容疑で逮捕されたヤマト設計社長の二本木由文容疑者(56)について、知事公舎で面会していたことを明らかにした。同容疑者からの受注依頼に関しては否定した。……安藤知事は同日朝、報道陣の取材に対し「あまり覚えていないが、1度くらい来た」と述べ、公舎での面会を初めて認めた。……「公共事業のコストダウンを最大限検討したらいいんじゃないかと強く言っていた。この点では、良いことを言うと思った」と説明。面会の時期は「分からない」とした。二本木容疑者は、安藤知事の後援会長が知事の「政治指南役」で元国会議員秘書の石川鎮雄容疑者(68)=同容疑で逮捕=に5000万円を渡した際、「運び役」を務めていた。二本木容疑者がこの問題を持ち出して受注を迫ったとの見方に対し、安藤知事は「ございません」と否定した。
産経新聞 - 11月28日

■この二本木容疑者という人物は、相当に怪しい人らしく、かつまたヤクザまがいの迫力有る人でもあったようです。知事公舎に乗り込んで来て我が物顔に振舞うのが面白かったのでしょうが、そこは悪巧みをするのには適さない場所ですぞ。建設業者の親玉と知事が公舎で「会っただけ」というのを誰が信じるのでしょう?逃げ回らないのは良いところですが、喋る事が全部ウソだと直ぐに分かることばかりなのは、ちょと情けない知事さんです。


官製談合事件で逮捕者を出した宮崎県土木部が2005年度中に発注した公共工事の平均落札率は、96.6%と高率だったことが28日分かった。発注件数は2227件で、予定価格約731億円に対し、落札金額は約707億円だった。県が同日、議会に報告した。 
時事通信 - 11月28日


二本木さんと「公共事業のコストダウン」について1度だけ相談したと知事さんが言っているのに、日本で一番高い落札率が記録されています。調べれば簡単に分かる事なのに、どうも間が抜けていますなあ。結局は水増し請求して抜き取られた裏金やキックバック資金は、全部税金ですし、その半分以上が国からの交付金で、絵に描いたように国会議員に資金が渡っているのですから、特捜部も解明のしがいが無いのではないでしょうか?


県土木部長らが逮捕された宮崎県の官製談合事件で、競売入札妨害(談合)容疑で逮捕されたヤマト設計社長二本木由文容疑者(56)が昨年夏ごろ、「自分は知事の爆弾を持っている。知事にも仕事を回してくれるよう直談判に行った」などと複数の業界関係者に話していたことが28日分かった。二本木容疑者は、安藤忠恕(ただひろ)知事後援会が後援会元幹部の石川鎮雄容疑者(68)=同容疑で逮捕=に5000万円を渡した運び役で、この5000万円提供問題を「爆弾」に、知事側に工事受注の圧力をかけていた疑いが強まっている。

■「爆弾」とは穏やかでない表現です。でも、扱いに失敗すると暴発して自分だけが傷付いてしまいますし、追い詰められたら相手を巻き添えにして自爆するしかなくなりますから、取り扱いには充分な注意が必要です。仮に知事さんの弱みを握っているのなら「複数の業界関係者」になど吹聴しては行けませんなあ。ぜんぜん脅迫になっておりません。


関係者によると、二本木容疑者は、「安藤知事を支援してきたのに全く仕事が来ない」と周囲に漏らしていたが、昨年夏ごろ、「『爆弾を持っている』と知事公舎や県庁に出向き、県事業を受注できるよう知事本人に働き掛けた」などと複数の関係者に吹聴していたという。このころ後援会長を貸し主に、借り主欄に安藤知事や二本木容疑者の名前が入った5000万円の借用書コピーが出回ったといい、業界内では「爆弾」は借用書のことだと理解されたという。

■こんな物的証拠を残してしまっているのに、知事さんはそれでも頑張っておりました。二本木容疑者の方も、こんな危ない紙切れをひらひらさせたり、人の目を避けようともしないで県庁に乗り込むとは悪人にしては間抜けであります。5年間に8日しか出勤しないで白いポルシェでせっせと「談合」に通っていた奈良市の誰かさんみたいですなあ。

宮崎県の「天の声」 其の四

2006-12-05 15:15:56 | 政治

全国市民オンブズマン連絡会議がまとめた昨年度の公共工事の落札率ランキングで、宮崎県は95・8%と全国最悪の1位だった。これが90%以上の工事は談合の疑いが濃厚という。全国最良の長野県は74・8%だった。「県に談合体質があったのでは」という報道陣の質問に、安藤知事は「それをなくすため(知事就任後)3年間指導してきた」と語った。逮捕された土木部長は、5月の「土木部長マニフェスト」で「入札の透明性の確保、公正な競争の促進などの視点から、入札・契約制度の見直しを進める」と公約していた。……<宮崎支局長 大島透>
毎日新聞 - 11月20日

■長野県は田中前知事が面白くない辞め方をしましたが、地元のしがらみが無かった知事だからこそ、談合体質の改善には大きな功績を残したようです。そんな知事をいびり出した後の長野県政が、談合事件を起こしたりしたら悪い冗談みたいな話ですぞ!それはともかく、「落札率」という便利な指標が道路公団民営化騒動を切っ掛けにして広く知られるようになったのは良い事です。その証拠がまた一つ増えたというわけであります。「95・8%」は平均値でしょうから、限りなく100%に近い落札額が続出していたのでしょう。そして談合犯罪が摘発されたというわけですから、「火の無い所に煙は立たない」という永遠の真理が再確認されましたぞ。県知事さんは、「煙がぼうぼう上がっていても、火は無い!」と言い張っていたようですなあ。


宮崎県の官製談合事件で、宮崎県警捜査2課は20日、同県の安藤忠恕知事(65)の関与の疑いが強まったとして、談合での立件も目指す方針を固めた。知事は設計会社に仕事を受注させる見返りに元国会議員秘書に現金を提供させた第三者供賄の疑いも持たれており、同課は談合に絡む知事の一連の疑惑の解明に全力を挙げる。また、この日は同県議会の自民党などが、安藤知事への辞職申し入れについて協議したが、意見がまとまらず、とりやめた。

■これが11月20日段階での宮崎県議会の動きです。政権与党の自民党が、この時期に逡巡しているのは滑稽です。決断力の無い議員など、まったくのゴミみたいなものですぞ。


談合事件ではヤマト設計社長、二本木由文容疑者(56)や元国会議員秘書の石川鎮雄容疑者(68)、県土木部幹部らが逮捕されている。……二本木容疑者は「仕事が受注できるよう要請した際、知事から『石川容疑者に相談しろ』と言われた」などと供述。……捜査2課は安藤知事が石川容疑者を通じて受注業者選定の「天の声」を出したとみている。

■高千穂の峰から発せられた「天の声」は、宮崎県の中枢に今でも余韻を残しているようですなあ。宮崎県民の善良さでしょうか?逮捕された人達はぺらぺらと良く喋ってくれるようです。腸(はらわた)が煮えくり返っているに違いないのに、県知事さんは驚くべき落ち着き払った態度で頑張っておりましたなあ。あれも宮崎県人の特徴なのでしょうか?


……逮捕された県土木部次長、柴岡博明容疑者(58)が、業者選定を「上層部の意向と聞いた」と供述したが、柴岡容疑者を含め県側の3人の容疑者は、知事からの指示を示す明確な供述をしていないという。……知事は、二本木容疑者に「石川に相談するように」と指示する一方、毎月80万円の顧問料を石川容疑者に支払うよう求めたとされ、……ほかにも知事に絡む不透明な資金の流れがないか捜査を進めているもようだ。……談合容疑で逮捕した県土木部長、藤本坦容疑者(59)らの共犯として、新たに県測量設計業協会会長で国土開発コンサルタント社長の志多克彦容疑者(65)=宮崎市=を逮捕した。逮捕者は11人目。
産経新聞 - 11月20日

■知事さんが「関与していない」と言っている「談合」と、芋ズル式に逮捕者が続出している「談合」とは、別物なのかも知れません。つまり、あれこれと指示を出している本人は、まったく違法の「談合」をやっている感覚が無く、宮崎県知事の職務の一部として対応していたのではないでしょうか?「談合」が談合として認識されないという事は、犯罪が犯罪として認識されないという事ですから、宮崎県政には法律が無いようなものです。「俺が法だ!」などと漫画みたいな妄想が現実味を持ってしまうほど、地方自治体の知事というものは恐るべき権力を掌握しているのかも知れませんなあ。


宮崎県…議会は20日、全員協議会を開き、安藤忠恕知事(65)に経緯の報告を求めた。安藤知事は談合への関与を繰り返し否定し、辞職する意思がないことを表明した。しかし、ヤマト設計社長、二本木由文容疑者(56)から受注依頼があったことは認めた。 
毎日新聞 - 11月20日

■元側近やら取り巻きが、べらべら喋っているのに知事さんだけは「関係ない!」と言い張っていました。それが全国放送に流れて宮崎県の評判はがた落ちになっているのも気にならないようでしたなあ。県民の皆さんも激怒しているような報道は無いし、所詮、県と言う行政組織は人間の日常的な感覚からは程遠いもので、知事さんは昔の殿様みたいなものなのでしょうなあ。本当は県民の1票で選出されているのに、いつの間にか「業界」や「後援会」だけが自分の支持者だと思い込んでしまうのでしょうなあ。投票率がどんどん下がってしまう所以です。

最近のチャイナ 一触即発 其の弐

2006-12-05 11:44:57 | 外交・情勢(アジア)

英国は現在、64基の米国製の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)トライデント(射程約1万2000キロ)とミサイル搭載潜水艦4隻、約200発の戦略核弾頭を保有している。これらのシステムは2024年には更新時期を迎え、新たな開発に時間がかかることから、英政府は開発計画の早期策定に取り組んできた。

■英国は1950年代に自力で原爆製造に成功しているので、米国の世界戦略に上手に便乗しようと、核弾頭を運ぶSLBMシステムは米国から借りて経費を節約しつつ、核弾頭を載せるか載せないかは「自分で決める」という言い分を米国に飲ませているそうですなあ。つまり、米国が某国と全面核戦争に突入してしまった場合、英国も同盟関係を持っているので助っ人には出ますが、「おい、お前のところからもミサイルを打てよ!」と言われれば打たねばなりませんが、「核弾頭なし」でぶっ放して某国と対する最後の義理を果たせるという仕掛けなのでしょう。ですから、日本のように米国の核の傘に隠れて日向ぼっこしているわけではありません。政治家は常に「核を使うべきか?」を考え続ける責務を負っているのであります。


ブレア首相は政府方針で、北朝鮮やイランの核開発問題がくすぶり、将来の核抑止力をめぐる世界情勢は不透明だと指摘し、「核抑止力の放棄は賢明な判断ではない」と述べ、現在の核システムを保持する重要性を訴えた。ただ同時に核軍縮への取り組みとして、現在の潜水艦4隻を3隻に減らすことが可能かどうかを検討していく一方、核弾頭の数を約20%削減して160発以下とする案を提示した。

■何処かの暢気な国のように、何に使うかを真面目に議論しないで算盤勘定だけで兵力を増減させているのとは訳が違います。確かに経費削減という大目標が有っての「160発」なのでしょうが、いざ!という時に「あそこと、あそこと、あそこに其々何発必要か?」という恐ろしい積算根拠が「国家の最高機密」として存在しているのでしょうなあ。


新たなシステムの開発には250億ポンド(約5兆5000億円)以上かかると予想され、議会では政府方針を基に今後3カ月をかけて審議し、来年3月に開発の是非を問う投票をへて次世代核兵器開発の方向を定める見通しだ。
産経新聞 - 12月5日

■先ごろ、ロンドンの冷房設備も無い地下鉄が、来年1月から値上がりしまして、初乗りで「910円」になるとの報道が有りましたが、核を廃棄して地下鉄を無料にしろ!などという意見は出ていないようです。日本の地下鉄や電車は綺麗で冷暖房完備、実に快適ですなあ。痴漢野郎の跋扈は困りますが……。
実は、ここからが本題です。時は先月半ばの事、日本のお目出度いテレビや新聞はほとんど取り上げなかった大ニュースに関連したお話です。


沖縄近海を航行中の米空母「キティホーク」が中国海軍の潜水艦に追跡された問題で、中国訪問中のラフェッド米太平洋艦隊司令官は17日、中国軍当局者から潜水艦の活動は公海上であり、領海侵犯などには当たらないとの説明を受けたことを明らかにした。AP通信が伝えたもので、問題となった潜水艦の活動を中国側が確認したのはこれが初めて。中国外務省の報道官は、事態を最初に伝えた米紙ワシントン・タイムズについて「報道は正確ではない」と指摘していた。説明に当たった中国軍当局者は明らかにされていない。中国側の発表によれば、ラフェッド司令官は同日、中国軍の葛振峰副総参謀長と北京で会談していた。

■これは11月19日の産経新聞の記事なのですが、一体、何の話だ?と思う唐突なニュースです。2001年の4月1日に、海南島の南の空域で、米軍の電波情報EP3と人民解放軍のF-8戦闘機が接触して、戦闘機は海上に墜落して米軍機は緊急着陸する事故?が起きましたが、空や陸上で起こる事故や事件は隠しようもないものです。しかし、「潜水艦」となると事は面倒であります。


同紙の伝えた洋上での事態は、中国のソン(宋)級潜水艦が航行中の米空母を約8キロの魚雷射程圏内まで追跡するという挑発行動に出たというもので、公海上かどうかは問題となっていなかった。このため、軍当局者の説明の真意や、報道のどの部分を不正確だとしているのかなど、中国側の意図は依然不明だ。中国海軍の潜水艦では、2004年にハン(漢)級原子力潜水艦が石垣島周辺の日本領海を侵犯し、日中間の外交問題となっていた。中国軍当局者は、この領海侵犯事件を念頭に活動海域の合法性を強調した可能性もあるようだ。

■かわぐちかいじさんの『沈黙の艦隊』に、日米合同演習で海江田艦長が指揮するディーゼル潜水艦が第7艦隊の航空母艦を、ピンガー音波で「撃沈」した後、艦隊のど真ん中に浮上するという、劇画ならではの場面が描かれていましたなあ。まさか、海賊版コミックスが人民解放軍の潜水艦に装備されていたりしないでしょうな?!映画『男たちの大和』の撮影用オープン・セットとして部分的に建造された実寸大の大和を写真に撮って、日本が大型戦艦を建造した!などというヨタ記事を売るような国ですからなあ。心配です。

最近のチャイナ 一触即発 其の壱

2006-12-05 11:44:10 | 外交・情勢(アジア)
■日本の防衛庁が「省」に昇格するとか、迎撃ミサイル・システムの配備が前倒しされたとか、はたまた「核武装」議論まで飛び出して、何かと日本の防衛問題が取り上げられるようになったのは、「唯我独平和」の夢を醒ますには真に結構な事だと思います。しかし、こうした物騒な議論が表沙汰になった切っ掛けが、北朝鮮による拉致事件・ミサイル開発・地下核実験の3点セットだったというのは気になる所です。どうして普通の国防論議や独立国家としての世界戦略が語られなかったのか?と改めて考えてみますと、最近の議論が逆立ちしている事に気が付きます。

■文字通り掌(てのひら)を返したように、北朝鮮が「地上の楽園」から「邪悪な陰謀国家」にころりと変わったマスコミの論調に易々の乗せられるのも癪に障ります。この豹変の原因と経緯を真摯に自己点検するのを嫌うマスコミの、特に御高齢の御歴々には、今更自分達が長々と書いたり主張したりして来た内容を一つずつ検証して輝かしい?業績に自分の手で傷を付けるのは堪えられない事でしょう。しかし、後は気楽な老後を楽しみにしている人達とは立場がまったく違う後に続く世代は、そんな気遣いに付き合っている暇は有りません。

■今回の北朝鮮が火種になった、所謂「右傾化」現象に一定の歯止めを掛けたのは、日本国内の政治家や優秀なジャーナリストや学者の言論ではありません。実に不思議な事ながら、真剣な議論が展開するかと思ったら青菜に塩をふったように萎(しぼ)んで行ったのは、46年も前に結ばれた「日米安保条約」の存在でした。吉田茂さんが独立回復の秘策として練り上げた対米外交戦略の精華とも言える「日米安保」を、岸内閣が「改訂」したとは言っても基本的な日米関係と日本の防衛政策の骨格は変わっていません。そのまま半世紀もの間、最もその恩恵を受けたのは政治家の皆さんでしょうなあ。政治家が必死で考えねばならない問題は、内政・外交の諸課題で、外交問題の主要課題は「仮想敵国」との交渉のはずなのに、この難問を一切考えなくても良かったのですから、これほど気楽な職業も無いでしょうなあ。「平和憲法」が政治家や学者の怠慢の言い訳に使われるのは国家の悲喜劇です。

■日本は地図の上でも国際政治の舞台でも「海洋国家」です。これは神代の時代から変わりません。江戸幕府も明治維新政府も、欧化政策を考えた時にモデルとしたのは大英帝国だったのは、その立地条件がそっくりで、当時は大国ロシア帝国を東西から挟み付けて、その恐るべき膨張圧力を抑えるという宿命も共有していたからです。そして、何度かの大きな戦争が起こり、英国も日本も米国との軍事同盟を強化する事でロシアとの共存を続けております。英国にはEUの中核国家のフランスとドイツという競争相手が居て、日本にはチャイナが対峙している構図も同じです。そこから、東アジアにもEUを作ろう!という明治以来の伝統に則った乱暴な欧化政策の焼き直し提案が出て来るのでしょうなあ。ちょっと冷静になって、中世以来の欧州史と、少なくとも唐あたりからの東アジア史の要点を比較してみれば、「そんな無茶な!」という結論が得られそうなものです。

■さて、北朝鮮にばかり目を奪われていると、間抜けなゴール・キーパーみたいに裏を掻かれて、切り返しパスから死角にシュートを決められて無様にひっくり返る心配が有ります。勿論、拉致犯罪・密輸犯罪・核の恫喝などには厳しい態度で臨まねばなりませんが、「6箇国協議」の裏側で米中間の隠密交渉が続けられ、下手をしたら米中国交正常化の衝撃と同じ醜態を日本が演じる可能性さえ噂される今日この頃なのですから、視点を変えて見る必要が有りますぞ。


ブレア英首相は4日、核兵器搭載の新型原子力潜水艦の建造など、今後も独自の核戦力を保持する姿勢を明確にする一方、現在保有する戦略核弾頭を20%程度削減する方針を盛り込んだ次世代核戦略に関する白書を発表した。英国が核兵器の更新を決めたのは冷戦時代の1980年以来、26年ぶり。

■「26年」という時間は、日米安保体制が誕生してから経過した時間のほぼ半分に当たりますなあ。本当は日本の政治家も「1980年」前後に、大きな仕事をして置かねばなりませんでした。80年前後と言いますと、大平首相が党内のイジメに遭って憤死して、誰も知らなかった?鈴木善幸さんが首相となり、何が何だか分からない内に「シー・レーン防衛」という新しい言葉が飛び出して、まだまだ元気だった日本社会党が奇妙な屁理屈を振り回して、議論の核心がまったく見えない空騒ぎをしていたのでしたなあ。その後に登場したのが中曽根さんで、長々と「ロン・ヤス」外交を展開したものの、その後の竹下政権以降は、とても高尚な政治学の研究対象になどならない痴話喧嘩みたいな政局が続いたのでした。嗚呼

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

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最近のチャイナ 続・薬物汚染

2006-12-05 07:31:44 | 外交・情勢(アジア)
■チャイナの麻薬事情に関して、法律や処罰制度についての詳しい記事が有りました。これを参考にして麻薬を楽しもうとか、商売にしようと思う愚か者は居ないとは思いますが、そんな妄念が湧いてしまったら、ちょっと古い映画ですが、『ミッドナイト・エクスプレス』というトルコを舞台にした麻薬犯罪の末路に関する実話を映画化した作品がありますから、とっくりと鑑賞して反省して欲しいものです。その映画が制作された1978年は、まだHIVの感染問題は起こっていなかったのですから、今時の麻薬事情は更に凄惨で惨めで恐ろしいものだと胆に銘じるべきでしょうなあ。

……中国の刑法第347条によれば、違法性薬物の密輸、密売、密造グループの中心人物は死刑か無期懲役あるいは懲役15年のいずれかの刑が科され、財産を没収される。しかしこれは違法性薬物を「一定以上の量」、すなわち大量に扱った場合に限られており、その量に応じて3年以上の有期懲役か罰金が科される。薬物の量に応じた量刑の違いはヨーロッパの一部にも見られるが、日本より量刑は重いのである。さらに、大量の所持、犯罪者の隠匿、薬物の隠匿、ケシや大麻の栽培、違法性薬物使用の教唆も刑事罰の対象となる。

■つまり、チャイナの法律は、組織的かつ大量に麻薬を扱う、言ってみれば昔ながらの密売組織を念頭に刑罰が定められているという事です。現地のテレビで放映される「摘発現場」の映像に出て来るのは、死刑か無期懲役に値する悪質な犯罪に限られているようですが、年に一回の「犯罪撲滅キャンペーン」で市中引き回しの刑?に引っ張り出される若者達の中には、正式な組織の構成員ではない者もたくさん含まれているようです。


……密輸、密売、密造は犯罪行為として厳しく処罰する一方で、違法性薬物の使用は犯罪とはされていない。1990年に制定された「違法性薬物禁止に関する決定」第8条では、違法性薬物の使用は公安機関(警察)による15日以下の拘留、2000元以下の罰金、薬物使用のための器具の没収という処分がされる。しかしこれは「行政処分」であって「刑罰」ではない。この点は、所持も使用も売買も最高で10年の懲役刑となっているが、実際は執行猶予がついたり懲役でも3年未満のケースが多い日本とは大きく異なるところだ。

■ここを読んで、ちょっと麻薬で遊ぶのなら日本よりも楽ではないか?などと愚かな早合点をしては行けませんぞ。世界に冠たる大清帝国の屋台骨が大きく揺らいだ「阿片戦争」の経験を伝承している北京政府ですから、革命戦争の最中には戦費調達で麻薬の闇取引に関与したとか、しないとかの噂も有りますが、改革開放政策を進めている現在ですから、国の富が流出したり、課税から逃れて資金が闇経済に消えてしまう、その上、労働人口が減少し治安も悪化するという良い事など一つも無い麻薬犯罪に対して、日本とは比較できない厳しい態度で臨んでいる事を忘れては行けません。


……実は中国では、「刑罰」でこそないが、薬物乱用者に対しては日本には存在しない厳しい「措置」がとられるからである。強制治療措置である。この措置は1995年に制定された「強制戒毒弁法」の規定に基づいており、麻薬や覚せい剤、その他の薬物の乱用で「中毒患者」とされた者は、各地方政府の公安機関が中心となって運営する「強制戒毒所」に収容されるのである。……2000年の報告によれば、中国全土に746カ所設置されている。収容期間は3カ月から6カ月とされ、期間内は、薬物療法、精神療法、法制教育、道徳教育などが施される。入所料は自己負担で1200元程度で、入所者はライターの製造や自動車修理などの作業で得られる報酬からそれをまかなっている。

■一般の刑務所でも必要経費は自弁とされている国ですから、人権思想が浸透している日本の収容施設とはまったく違う物なのです。


家族からここに送り込まれたケースも少なくないというが、併設の志願者用治療施設には、台湾や香港、マカオからも治療を望む中毒者を迎えており、ロシア人が入所申請してきたことさえあるという。……中国の強制戒毒所には日本人が数人いたという……真偽は明らかではない。……治療機関ではなく矯正施設の色彩が濃い強制戒毒所の実態は想像を絶している。……入所経験のある中国人はかつて私にこう語ってくれた。

「強制戒毒所は刑務所よりも怖いところですよ。管理する役人の数が少なくて、収容者同士でいくつもグループができているんです。リンチは見えないところで毎日行われていますし、毎日誰かが自殺していました。これに懲りて薬物をやめる者もいるほどですから、とてもこの世とは思えない場所だということがお分かりでしょう」

■生命の危機を感じさせて心身を覚醒させるという手法は、戸塚ヨット・スクール方式にも通じる過激な教育思想でもあるでしょうが、麻薬犯罪を犯した上での治療ですから、手厚い保護は期待できません。恐怖と後悔を自発的に感じさせて再犯を防止しようと言うのは、最も安上がりで危険な手法であります。民主国家でも、刑務所内では暴力沙汰や陰湿な虐め、そして不審死事故が起こるのですから、「自覚」を促す強制施設となれば、その凄まじさは想像を絶します。


しかしそれでも、一度出所した後にまた薬物に手を出した者が行く「戒毒労働教養所」からみれば、強制戒毒所はまだ天国らしい。再犯率が50%以上ともいわれる薬物依存だが、強制戒毒所に入るのは初犯のみで、再犯者はすべて「戒毒労働教養所」に収容されるのである。この“the last place”ともいわれる薬物乱用者の終着駅は全国に168カ所あり、およそ12万人が収容されている。その実態は明らかではなく、入所期限や入所中の生活について知る者も少ない。そもそも出所者の数は皆無に近く、また出所者がいたとしても、出所後は何も話さないからだという。
サーチナ・中国情報局 - 11月23日

■最近、日本国内で怪しい腎臓を使った移植手術が問題になりましたが、その裏側で多くの日本人がチャイナに行って臓器移植手術を受けているという実態が報道されました。注文通りの臓器が、注文通りの時期に用意されるという、まるで豊田自動車のカンバン方式みたいな便利な仕組みが有るのだそうです。寿司屋のカウンターでもあるまいし、注文されて新鮮な臓器が出て来るには、それなりの際どいシステムの存在が予想されます。その前には、「人体の不思議展」とか言う奇怪な展覧会が日本各地を巡回して盛況だったそうですが、使用された「人体」のほとんどは、メイド・イン・チャイナだったという話も有りましたなあ。まさか、麻薬犯罪の再犯者が利用されているのではありますまいな?!ちょっと心配です。

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チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事

宮崎県の「天の声」 其の参

2006-12-05 07:31:17 | 政治

……「記者は一連の談合事件の取材には直接携わっていないが、年表作成や現場からの原稿のとりまとめなどはしていた」と説明。一連の事件が発覚した後、記者が井山容疑者の携帯に電話したが、つながらなかったという。井山容疑者は00年9月の和歌山県知事選で、現知事の木村良樹容疑者=2日に辞職表明、15日に競売入札妨害容疑で逮捕=の擁立に深くかかわり、木村県政下で官製談合の“フィクサー”として活動。業者の受注希望を業界のまとめ役だった大林組元顧問の日沖九功(ちかのり)被告(64)=競売入札妨害罪で在宅起訴=や県側に口利きする見返りに、数千万円単位の謝礼をゼネコンから受け取っていたことが分かっている。

■「フィクサー」役を務めていたのなら、この記者はその事実をまったく知らなかったとは思えませんぞ。狭い地方の人間関係であれば、選挙でも各種イベントでも、まとめ役や顔役は容易に特定されるものですからなあ。

 
…▽松本正・朝日新聞社広報担当の話 社会通念を超えるせんべつやお祝いを受け取ったことは、取材先との適正な関係を逸脱しており、元社長の逮捕後も社に報告していなかった。記者としてのモラルに反する行為であり、厳しく処分する。……(毎日新聞) - 11月17日

まあ、本当に受け取った時に困ったのなら、上司に相談するべきでしたでしょう。昔から言われる通り、「李下に冠を正さず、瓜田に履を納れず」は永遠の真理ですからなあ。最近の学校では古典を教えないのかも知れませんが、「リカニカンムリヲタダサズウデンニ…」などと言っても、得たいの知れない外国語だと思われる「美しくない国」になっているのでしょうか?


和歌山県発注の土木工事談合事件で逮捕された県知事、木村良樹容疑者(54)が初当選(00年9月)直後、県内企業約10社からなる「翔樹会」という非公式の支援団体を結成、必要な届けをせずに月3万円の会費を集めていたことが分かった。就任以降の無届け資金は5000万円近くに膨らむ可能性がある。
毎日新聞 - 11月17日

■国家が定める法律よりも、地元の「掟」が優先すれば、この程度の「非合法組織」を結成するのも朝飯前ということでしょう。この種の組織が炙り出されれば「脱税」事件として取り扱われることになります。最近の地方自治体の話題と言えば、談合の連鎖ばかりでなく、北海道夕張市の「財政破綻」が有ります。地方自治体には帳簿に現れない隠れ借金が莫大な額になっている事が改めて指摘されるようになったのも、この夕張市の惨劇が切っ掛けです。市議会で組まれる年間予算の外側に、一時は大いに期待された「第3セクター」やら外部団体やら、有象無象が自治体の裏側に空いた穴から実質的な借金となる資金を吸い取って財政本体を蝕んでいる!そんな破綻構造は日本中に有るのだそうです。裏に隠されていたら有権者にはさっぱり分かりませんし、調べる気になれば幾らでも調べられる立場の総務省も面倒臭いのか、恐ろしくて蓋を開けられないのか、ずっと放って置いたそうですなあ。どんどん重みを増している地方自治体ですから、そこに空いた大穴の深刻さは生半可なものではありません。

■お話はいよいよ宮崎県に響いていた「天の声」に入ります。


昨年9月の台風14号は甚大な被害を宮崎県に与えた。死者13人を出し、約500棟の住宅が全半壊した。床上浸水は約5500棟にのぼり、一瞬に財産を奪われた人々は失意に沈んだ。山間部のあちこちで土砂崩れが起き、高千穂鉄道の列車の音は消えたままだ。泥水を吸った家具や畳を泥まみれのボランティアたちが家屋から搬出した。台風被害の復旧にみんなが懸命の汗を連日、流していた。――ちょうどそのころ、こうした被害の復旧に使われる税金を、県庁幹部たちは食い物にしていたようだ。

■高千穂の峰は天孫降臨の聖地だと言われていますから、宮崎県の「天の声」と聞きますと、変に古式ゆかしいものを感じてしまいます。神代の時代を偲ぶには、近畿地方ではなく九州の大分や宮崎に行かねばなりませんが、そんな古代の香りを観光資源にしている場所で、『貧窮問答歌』でもあるまいし、民から搾り取った税金を好き勝手に使う役人が生息しているのなら、何とも悲しい話であります。


宮崎市田野町の鰐塚(わにつか)渓谷では大規模な土砂崩れが起きた。被災した橋の設計を巡り、土木部長ら県幹部3人と業者7人が談合した疑いで県警に逮捕された。……しかも今回は県幹部が談合に手を貸していたという。落札者を調整するため、業者らは「天の声」を発する役人などの裁定者を求めがちだ。業者から裁定者へは、談合成功の見返りがある場合が多い。福島県、和歌山県知事が逮捕され、捜査当局の関心は自治体の腐敗摘出に向けられているように見える。

■天災に襲われた県民は、一刻も早い復旧と緊急の援助を必要とします。それを食い物にするとは見下げ果てた人達であります。阪神大震災の大災害の直後にも、記念写真を撮ってはしゃいでいた馬鹿者や、住民が避難した後の瓦礫を漁(あさ)ってパチンコ台のロム・カードやら金目の物を漁っていた悪人の姿が見られたそうですが、それはマスコミの目に晒される分、糾弾もされるし怒りの対象にもなります。しかし、復旧事業を談合のタネにしている税金に集(たか)るシロアリの姿は、悔しい事に見えません!