結婚に踏み切れない２６歳

　２６歳女性会社員。これからの人生に漠然と不安を感じています。結婚に踏み切れない私は、一生一人ではないかと思うのです。

　恋人はいます。今までいろいろな男性から告白を受けました。その中で、性格のよい人を恋人に選びました。人間は性格が一番で、顔や学歴、収入、家柄は二の次だと思ったからです。

　しかし最近、性格だけが取りえの彼と本当に結婚していいのか、考えてしまいます。今は性格もよく、全力で私を好きでいてくれる彼も、年月がたてば変化するのではないかと思うのです。

　私が二の次にしていた条件を満たし、告白してくれた男性が結婚したという話を聞く度に、後悔し、自分の選択は間違っていたのではないかと落ち込みます。そして、自分が選んだ彼との結婚に踏み切れず、これからが不安になり、誰とも結婚できないと思ってしまうのです。（千葉・Ｓ子）

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　まず、人は変わるものです。変わるのは人ばかりでなく、人を取り囲むすべての事象がです。今ここにあったこの時間は、もうこの世には存在しなくなるのです。永遠というものはありません。これを諸行無常といいます。

　若くて美しい時も、たちまち過ぎ去っていきます。楽しい時も過ぎ去っていきますが、つらくて悲しいことも時がたてば消えてしまうのです。だから私たちは生きていけるのですよ。若さに執着すれば、必ず消えるものにしがみついているわけですから、当然苦しくなります。その年齢によってその時の喜びがあるのですから、心配はいりません。

　あなたは時がたてば彼が変わるのが不安で、結婚を悩んでいるとのことですが、彼は必ず変わります。同時にあなたも変わるのです。二人して一緒に変わっていくのが結婚ですから、思い切って踏み出さなければ何も生まれません。

　まわりの人が変わっていくことに、目移りしてはいけません。今あなたがすべきことは、性格のよい彼と結婚して、お互いに影響をおよぼしあって生きていくことです。

　（立松　和平・作　家）

（2006年6月26日 読売新聞）
http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/danjo/20060626sy31.htm