第1回 人生の迷いを断ち切る アドラーの思想とは?

2014年05月22日 22時48分52秒 | Weblog
http://diamond.jp/articles/-/46500
欧米ではフロイト、ユングと並び「心理学界の三大巨頭」と称され、絶大な支持を誇るアルフレッド・アドラー。名著『人を動かす』のデール・カーネギーら自己啓発のメンターたちにも多大な影響を与えた彼の思想は、日本ではまだあまり知られていない。
そこで今回、日本アドラー心理学会顧問の岸見一郎氏とライターの古賀史健氏がタッグを組み、哲人と青年の対話篇形式によるまったく新しい古典『嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え』を刊行した。いったいアドラーとはどんな人物で、どんな思想の持ち主なのか、共著者の古賀史健氏が解説する。
時代を100年先行した
知られざる巨匠

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」

 20世紀の初頭、そんなことを唱えはじめた心理学者がいました。欧米でいまなお絶大な支持を誇り、フロイト、ユングと並ぶ「心理学界の三大巨頭」と称されるオーストリア出身の精神科医、アルフレッド・アドラーです。

 欧米におけるアドラーの受け入れられ方は、フロイトやユングとは若干違います。たとえば、世界的ベストセラーの『人を動かす』や『道は開ける』で知られるデール・カーネギーは、アドラーのことを「一生を費やして人間とその潜在能力を研究した偉大な心理学者」と紹介し、彼の著作にはアドラーの思想が色濃く反映されています。また、スティーブン・コヴィーの『7つの習慣』でもアドラーの思想に近い内容が語られています。つまりアドラー心理学は、堅苦しい学問としてではなく、人間理解の真理、または到達点として、広く受け入れられているわけです。

 しかし、「時代を100年先行した」といわれる彼の思想には、まだ時代が追いつききれていません。日本における知名度も、フロイトやユングと比べたらかなり限定的なものでしょう。彼の考えは、それほど先駆的なものでした。

 本書『嫌われる勇気』は、そんなアドラーの画期的な思想を、架空の「哲人」と「青年」による対話篇のかたちを採りながら解き明かしていく一冊になります。それでは具体的に、アドラーはどんな思想の持ち主なのでしょうか?

 もし、彼の思想をひと言で要約するなら、次のようになるかもしれません。

「世界」を変えるのは、他の誰でもない「わたし」である。

 アドラーの思想を理解し、実践することができれば、確実に「世界」が変わります。そして「世界」を変えるのは、どこかの国の大統領でもなければ一部のエリート層でもなく、ただただ「わたし」なのです。

 本書の中で哲人は、こんな話をしています。

哲人 いま、あなたの目には世界が複雑怪奇な混沌として映っている。しかし、あなた自身が変われば、世界はシンプルな姿を取り戻します。問題は世界がどうであるかではなく、あなたがどうであるか、なのです。

青年 わたしがどうであるか?

哲人 そう。もしかするとあなたは、サングラス越しに世界を見ているのかもしれない。そこから見える世界が暗くなるのは当然です。だったら、暗い世界を嘆くのではなく、ただサングラスを外してしまえばいい。そこに映る世界は強烈にまぶしく、思わずまぶたを閉じてしまうかもしれません。再びサングラスがほしくなるかもしれません。それでもなお、サングラスを外すことができるか。世界を直視することができるか。あなたにその“勇気”があるか、です。

青年 勇気?

哲人 ええ、これは“勇気”の問題です。

 人は誰しも客観的な世界に住んでいるのではなく、自らが意味づけをほどこした主観的な世界に住んでいる。それがアドラーの考え方です。つまり、たとえば過去のつらい出来事に対しても「なにがあったか」が問題なのではなく、「どう解釈するか」が問題なのだと考えます。ニーチェ的にいえば「客観的な事実など存在せず、主観的な解釈のみが存在している」とすることもできるでしょう。

 この発想は、アドラー心理学の大きな特徴である「目的論」という考えのなかで、より鮮明になります。

 たとえば、自室にずっと引きこもっている人がいたとき、フロイト的な発想では「不安だから、引きこもっている」というように考え、「両親に虐待を受け、愛情を知らないまま育った。だから他者と交わるのが怖いのだ」と結論づけるなど、その人が引きこもるに至った「原因」に注目します(原因論)。

 しかしアドラー心理学では、その人が隠し持つ「目的」を考えていくのです(目的論)。再び本文から哲人と青年の対話を引きましょう。友人が引きこもりになっているという青年に対して、哲人は次のように語ります。

哲人 アドラー心理学では、過去の「原因」ではなく、いまの「目的」を考えます。

青年 いまの目的?

哲人 ご友人は「不安だから、外に出られない」のではありません。順番は逆で「外に出たくないから、不安という感情をつくり出している」と考えるのです。

青年 はっ?

哲人 つまり、ご友人には「外に出ない」という目的が先にあって、その目的を達成する手段として、不安や恐怖といった感情をこしらえているのです。アドラー心理学では、これを「目的論」と呼びます。

青年 ご冗談を! 不安や恐怖をこしらえた、ですって? じゃあ先生、あなたはわたしの友人が仮病を使っているとでもいうのですか?

哲人 仮病ではありません。ご友人がそこで感じている不安や恐怖は本物です。場合によっては割れるような頭痛に苦しめられたり、猛烈な腹痛に襲われることもあるでしょう。しかし、それらの症状もまた、「外に出ない」という目的を達成するためにつくり出されたものなのです。

青年 ありえません! そんな議論はオカルトです!

 引きこもりの人は「外に出ない」という目的をかなえるために、不安や恐怖などの感情をつくりあげている。これは即座に納得できる議論ではないでしょう。作中の青年も、すぐさま反発します。

青年 そこまで強くおっしゃるのなら、しっかり説明していただきましょう。そもそも、「原因論」と「目的論」の違いとはどういうことです?

哲人 たとえば、あなたが風邪で高熱を出して医者に診てもらったとします。そして医者が「あなたが風邪をひいたのは、昨日薄着をして出かけたからです」と、風邪をひいた理由を教えてくれたとしましょう。さて、あなたはこれで満足できますか?

青年 できるはずもないでしょう。理由が薄着のせいであろうと、雨に降られたせいであろうと、そんなことはどうでもいい。問題は、いま高熱に苦しめられているという事実であり、症状です。医者であるならば、ちゃんと薬を処方するなり、注射を打つなり、なにかしらの専門的処置をとって、治療してもらわなければなりません。

哲人 ところが原因論に立脚する人々、たとえば一般的なカウンセラーや精神科医は、ただ「あなたが苦しんでいるのは、過去のここに原因がある」と指摘するだけ、また「だからあなたは悪くないのだ」と慰めるだけで終わってしまいます。いわゆるトラウマの議論などは、原因論の典型です。

青年 ちょっと待ってください! つまり先生、あなたはトラウマの存在を否定されるのですか?

哲人 断固として否定します。

青年 なんと! 先生は、いやアドラーは、心理学の大家なのでしょう!?

哲人 アドラー心理学では、トラウマを明確に否定します。ここは非常に新しく、画期的なところです。」


○トラウマを否定する
「目的論」とは

 そう。いまや日常語になった感さえある「トラウマ」という言葉、そこから受ける影響を、アドラー心理学では明確に否定します。これがどれだけ斬新で過激な主張であるかは、おそらく心理学を専門に学んでこなかった方々(わたしもそのひとりです)にも理解していただけるでしょう。哲人はこう続けます。

哲人 たしかにフロイト的なトラウマの議論は、興味深いものでしょう。心に負った傷(トラウマ)が、現在の不幸を引き起こしていると考える。人生を大きな「物語」としてとらえたとき、その因果律のわかりやすさ、ドラマチックな展開には心をとらえて放さない魅力があります。
 しかし、アドラーはトラウマの議論を否定するなかで、こう語っています。「いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない。われわれは自分の経験によるショック――いわゆるトラウマ――に苦しむのではなく、経験の中から目的にかなうものを見つけ出す。自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのである」と。

青年 目的にかなうものを見つけ出す?

哲人 そのとおりです。アドラーが「経験それ自体」ではなく、「経験に与える意味」によって自らを決定する、と語っているところに注目してください。
 たとえば大きな災害に見舞われたとか、幼いころに虐待を受けたといった出来事が、人格形成に及ぼす影響がゼロだとはいいません。影響は強くあります。しかし大切なのは、それによってなにかが決定されるわけではない、ということです。われわれは過去の経験に「どのような意味を与えるか」によって、自らの生を決定している。人生とは誰かに与えられるものではなく、自ら選択するものであり、自分がどう生きるかを選ぶのは自分なのです。

 トラウマなどない。われわれは過去の経験に「どのような意味を与えるか」によって、自らの生を決定している。それがアドラーの主張であり、目的論です。

 それでは具体的に、引きこもりの人はどんな「目的」を持って自室に引きこもっているのでしょうか。

青年 どうして外に出たくないのですか? 問題はそこでしょう!

哲人 では、あなたが親だった場合を考えてください。もしも自分の子どもが部屋に引きこもっていたら、あなたはどう思いますか?

青年 それはもちろん心配しますよ。どうすれば社会復帰してくれるのか、どうすれば元気を取り戻してくれるのか、そして自分の子育ては間違っていたのか。真剣に思い悩むだろうし、社会復帰に向けてありとあらゆる努力を試みるでしょう。

哲人 問題はそこです。

青年 どこです?

哲人 外に出ることなく、ずっと自室に引きこもっていれば、親が心配する。親の注目を一身に集めることができる。まるで腫れ物に触るように、丁重に扱ってくれる。
 他方、家から一歩でも外に出てしまうと、誰からも注目されない「その他大勢」になってしまいます。見知らぬ人々に囲まれ、凡庸なるわたし、あるいは他者より見劣りしたわたしになってしまう。そして誰もわたしを大切に扱ってくれなくなる。……これなどは、引きこもりの人によくある話です。

 引きこもることによって、周囲(特に家族)の注目を集め、特別な存在になろうとする。もし引きこもりをやめてしまったら、自分は誰からも注目されず、どこにでもいる「その他大勢」になってしまう。アドラー心理学の目的論は、過去の「原因」ではなく、いま現在の「目的」から人間理解を進めていくのです。


○過去になにがあったかなど関係ない

 引きこもりの事例だけでは納得できない方のために、もうひとつの事例を挙げておきましょう。不登校やリストカットなどの問題行動についての考察です。

哲人 親から虐げられた子どもが非行に走る。不登校になる。リストカットなどの自傷行為に走る。フロイト的な原因論では、これを「親がこんな育て方をしたから、子どもがこんなふうに育った」とシンプルな因果律で考えるでしょう。植物に水をあげなかったから、枯れてしまったというような。たしかにわかりやすい解釈です。
 しかし、アドラー的な目的論は、子どもが隠し持っている目的、すなわち「親への復讐」という目的を見逃しません。自分が非行に走ったり、不登校になったり、リストカットをしたりすれば、親は困る。あわてふためき、胃に穴があくほど深刻に悩む。子どもはそれを知った上で、問題行動に出ています。過去の原因(家庭環境)に突き動かされているのではなく、いまの目的(親への復讐)をかなえるために。

青年 親を困らせるために、問題行動に出る?

哲人 そうです。たとえばリストカットをする子どもを見て「なんのためにそんなことをするんだ?」と不思議に思う人は多いでしょう。しかし、リストカットという行為によって、周囲の人――たとえば親――がどんな気持ちになるのかを考えてみてください。そうすれば、おのずと行為の背後にある「目的」が見えてくるはずです。

青年 ……目的は、復讐なのですね。

 フロイト的な原因論を否定し、トラウマの影響を否定し、自分の行動を目的論の立場でとらえなおすことは、かなり厳しい作業だと思います。

 極端な話、原因論に立てば「いまの自分がこうなのは、親のせいだ」とか「生まれ育った環境のせいだ」と、責任転嫁することができます。

 一方、アドラー的な目的論は、責任転嫁を許しません。「こんな自分」を選んだのは他ならぬ自分であり、なんらかの目的――たとえば努力をしたくないとか、失敗して恥をかきたくないとか、「やればできる」という可能性を残しておきたいとか――をかなえるために「こんな自分」であり続けている、と考えるのが目的論だからです。正面から受け止めるには、かなりの時間と勇気とを必要とする議論でしょう。

 しかし、こう考えてください。アドラーの目的論は「これまでの人生になにがあったとしても、今後の人生をどう生きるかについてなんの影響もない」といっているのです。過去など存在しないし、トラウマも存在しない。あなたは「いま」、ここで自分の人生を選ぶことができるのだと。

 われわれはタイムマシンで過去にさかのぼることなどできません。原因論の立場に立って「あんな家庭に生まれ育ったから」とか「あんな大学しか出てないから」と考えていたら、物事は一歩も前に進まないはずです。

 原因論を切り捨て、目的論を受け入れる勇気を持ちえたときにこそ、はじめて自分を変えるチャンスが出てくるのです。

 前編となる今回は「目的論」の話だけで紙幅が尽きてきました。次回の後編では、冒頭に紹介した「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」という言葉を出発点に、人生の悩みを一気に解決させる具体的方策を紹介していきたいと思います。

【編集部からのお知らせ】

岸見一郎/古賀史健著『嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え』

【内容紹介】
定価(本体1500円+税)、46判並製、296ページ、ISBN:978-4-478-02581-9

 世界的にはフロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨匠とされながら、日本国内では無名に近い存在のアルフレッド・アドラー。

「トラウマ」の存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善していくための具体的な方策を提示していくアドラー心理学は、現代の日本にこそ必要な思想だと思われます。

 本書では平易かつドラマチックにアドラーの教えを伝えるため、哲学者と青年の対話篇形式によってその思想を解き明かしていきます。

【本書の主な目次】
第1夜 トラウマを否定せよ
第2夜 すべての悩みは対人関係
第3夜 他者の課題を切り捨てる
第4夜 世界の中心はどこにあるか

砂川事件の最高裁判決で看破されていた「自衛は他衛、他衛は自衛」という相互依存こそ防衛の本質だ

2014年05月22日 21時34分41秒 | Weblog
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140516-00000001-gendaibiz-int

「日米安保条約で米軍に基地を提供したときから日本は集団的自衛権を容認してきた」という論点を、5月2日公開コラムで紹介した。今回はその続きを書く。


*** 米軍基地と「戦争巻き込まれ論」 ***
まず1960年に改定された日米安保条約を確認すると、第6条で「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」とある。

ここで条約は「日本の安全」とともに「極東における国際平和と安全」にも寄与する、と定めている。とはいえ当時、日本側の主たる関心は「日本自身の安全」だった。一方、米国側は日本はもとより、極東の平和にも重大関心を抱いていた。米国は韓国、台湾と相互防衛条約を結んでおり、西側自由陣営の盟主として韓国、台湾が共産勢力の手に落ちるのは絶対に阻止しなければならなかった。

日米の関心のズレが明確になるのは、その後、沖縄返還交渉が始まったときだ。波田野澄雄・筑波大学名誉教授(外務省の日本外交文書編纂委員長)が2013年12月に外交史料館報に書いた「沖縄返還交渉と台湾・韓国」という論文によれば、当時の佐藤栄作首相は「極東防衛と日本防衛のバランスについて発言のぶれが目立つ」という。

つまり、韓国と台湾という極東の安全が日本にとって重要と認識しつつも、国内では「日本防衛以外の目的で基地が使用されれば、日本が戦争に巻き込まれる」という国民感情が強かった。

そこで、佐藤は政府要人や外務省幹部に対して「(沖縄の基地は)『日本の安全のために必要』という考え方の徹底が必要なり」と説いていた、という。

「戦争巻き込まれ論」はいまに始まった話ではない。沖縄返還をめぐる交渉時にも「日本が戦争に巻き込まれる。だから基地は日本だけのために使え」という議論が起きていたのだ。



ちなみに、当時の巻き込まれ論は「基地は日本だけのために使え」論だったが、いまの巻き込まれ論は「武器は日本だけのために使え、友邦のために使うな」である。両者はどこが違うかといえば、使用する武器弾薬は日本の基地で補給されるのだから、戦う相手側からみれば、本質的に違いはない。

さらに言えば「基地や武器を日本だけのために使え」論なら、日本防衛のために使う基地や武器という話になるから個別的自衛権で説明できる。ところが友邦のためにも使うとなると、集団的自衛権でないと説明できない。


*** 沖縄返還時には極東防衛のための基地使用を容認 ***
脱線した。本論に戻す。

日米の関心は当初、日本だけか、それとも極東をどう含めるかでズレていたが、結局、日本は極東、すなわち韓国や台湾にも沖縄の基地は重要と認めて、沖縄返還交渉をまとめる。

それが先のコラムでも触れた佐藤首相のナショナル・プレスクラブ演説だ。つまり、朝鮮半島有事に基地が必要になったときは「前向きに、かつすみやかに態度を決定する」と表明した。事実上、基地の使用はOKと米国に譲歩したのだ。

極東の範囲についても議論になった。日本は朝鮮半島有事を想定していたが、米国は当時、台湾や戦争中だったベトナムも含めるべきという立場だった。結果的に日米共同声明や佐藤演説で言及されたのは韓国と台湾だけだ。

とはいえ、日本は沖縄返還後もベトナムに出撃する米軍に基地使用を認めてきたのは事実である。極東の範囲には過去の議論で想定されていた韓国、台湾、フィリピンのほか、ベトナムも周辺地域として含めることを事実上、容認していた。

つまり何を言いたいか。日本は日米安保条約で日本だけでなく極東の平和にもコミットしたが、沖縄返還時には具体的に一歩踏み込んで、朝鮮半島有事でも基地の使用を認めた。認めなければ、沖縄が戻ってこなかったからだ。

先のコラムで紹介した岸信介首相や内閣法制局長官の国会答弁(1960年3月31日、参院予算委員会)は、目的を日本防衛に限ったうえで「米軍への基地提供は集団的自衛権とも考えられる」という内容だった(東京新聞の署名コラムlも参照)。



だが、それから10年以上を経た72年の沖縄返還のときには、日本防衛だけでなく極東、とりわけ朝鮮半島の防衛にも基地の使用を容認したのである。そうであれば、ますまず集団的自衛権の容認にならざるをえない。

繰り返すが、波田野論文にあったように佐藤首相は当初、日本防衛が主眼である点を強調しようとしていたが、それはあくまで国内向けだった。最終的には、演説で述べたように韓国防衛にも基地の使用を認めた。韓国防衛が日本防衛につながるからだ。


*** 「砂川事件」最高裁判決の慧眼 ***
時間が前後するが、こういう考え方は1959年に下された砂川事件の最高裁判決で、田中耕太郎最高裁長官の補足意見にも示されている。やや長いが重要な点なので、そのまま引用する。

ーーーーーー
およそ国家がその存立のために自衛権をもつていることは、一般に承認されているところである。自衛は国家の最も本源的な任務と機能の一つである。しからば自衛の目的を効果的に達成するために、如何なる方策を講ずべきであろうか。その方策として国家は自国の防衛力の充実を期する以外に、例えば国際連合のような国際的組織体による安全保障、さらに友好諸国との安全保障のための条約の締結等が考え得られる。


そして防衛力の規模および充実の程度やいかなる方策を選ぶべきかの判断は、これ一つにその時々の世界情勢その他の事情を考慮に入れた、政府の裁量にかかる純然たる政治的性質の問題である。法的に認め得ることは、国家が国民に対する義務として自衛のために何等かの必要適切な措置を講じ得、かつ講じなければならないという大原則だけである。


さらに一国の自衛は国際社会における道義的義務でもある。今や諸国民の間の相互連帯の関係は、一国民の危急存亡が必然的に他の諸国民のそれに直接に影響を及ぼす程度に拡大深化されている。従つて一国の自衛も個別的にすなわちその国のみの立場から考察すべきでない。


一国が侵略に対して自国を守ることは、同時に他国を守ることになり、他国の防衛に協力することは自国を守る所以でもある。換言すれば、今日はもはや厳格な意味での自衛の観念は存在せず、自衛はすなわち「他衛」、他衛はすなわち自衛という関係があるのみである。従つて自国の防衛にしろ、他国の防衛への協力にしろ、各国はこれについて義務を負担しているものと認められるのである。
ーーーーーー

安全保障の専門家でもない最高裁長官が、安保改定前の59年の時点で「今日はもはや厳格な意味で自衛の観念は存在せず、自衛はすなわち『他衛』、他衛はすなわち自衛という関係があるのみである」と言い切っているあたりは、まったく慧眼というほかないと思う。



さらに、次のような節もある。

ーーーーーー
要するに我々は、憲法の平和主義を、単なる一国家だけの観点からでなく、それを超える立場すなわち世界法的次元に立つて、民主的な平和愛好諸国の法的確信に合致するように解釈しなければならない。自国の防衛を全然考慮しない態度はもちろん、これだけを考えて他の国々の防衛に熱意と関心とをもたない態度も、憲法前文にいわゆる「自国のことのみに専念」する国家的利己主義であつて、真の平和主義に忠実なものとはいえない。
ーーーーーー


*** 自衛は他衛、他衛は自衛 ***
4月25日放送のテレビ朝日「朝まで生テレビ! 」で集団的自衛権をめぐって討論した際、私はこの部分に触発されて「個別的自衛権に示されるような、自国のことのみに専念する考えは憲法前文にある国際協調主義に反するのではないか」との趣旨を発言した。

いまもその考えは変わらない。もちろん、どの国でも自国の利益に基づいて行動する。一方で「巻き込まれ論」は田中長官が言った「自国のことのみに専念する国家的利己主義」と紙一重の面があるとも思う。いまや、防衛の本質は「自衛は他衛、他衛は自衛」つまり「私はあなたのために、あなたは私のために」という相互依存関係にあるのだ。


夫にDVの傾向が…離婚を考える女性派遣社員へのアドバイス

2014年05月22日 21時33分24秒 | Weblog
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140511-00632337-sspa-soci


週刊SPA! 5月11日(日)16時21分配信

【佐藤優のインテリジェンス人生相談】

“外務省のラスプーチン“と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

◆「離婚前に一人で生きていけるよう資格を取りたい」sakura(ペンネーム) 派遣社員 女性 31歳

 今の旦那と結婚して2年目ですが、喧嘩が絶えません。私がたまに友人と飲んで帰りが遅くなると不機嫌になり、言いがかりをつけてきてはキレます。言葉だけならいいのですが、半年ほど前から物を投げつけてくるようになりました。食器、イスなどを投げられたことがあります。そのうちDVに発展するのは目に見えています。

 私は近い将来、離婚することを決めました。しかし、実家は妹夫婦が越してきたこともあって帰れません。一人で生きて行くために、何か手に職をつけたいと思っています。不本意ながら今の旦那に養ってもらいながら、資格を取りたいと思っています。女性が一人で生きていくには、どんな資格を取り、離婚に向けてどんな準備をしたらよいでしょうか? アドバイス頂けますと助かります。

◆佐藤優の回答

 どうも人間は、年をとるにつれ、身体が時間に追いつかなくなるようです。芥川賞作家の藤原智美氏はこう言います。

<高齢者のほうが子供より体内時計の進み方が遅い。体内時計が遅いと、現実の時間が早く感じられる。逆に子供は体内時計が早く進むため、現実の時間を遅く感じる。歳をとるごとに時間が早くたつと感じる理由は、そこにあるのだという。

 身体が時間に追いつかない、そのような焦燥感が、予期せぬ「待たされる」時間に遭遇すると、自分を見失うほどに怒りに転化する。病院や駅や銀行で「待たされる」とき、日ごろかかえている焦燥感が発火点になる。>(『暴走老人!』73~74頁)

 あなたの御主人は、待つことが苦手なようです。半年前から物を投げるようになったというのは、既に赤に近い黄信号です。初期のDV(家庭内暴力)であるということを冷静に認識しておいたほうがいいと思います。このままだと大けがをするのは時間の問題です。刃物が飛んできて、刺さる場所が悪いと命を失う危険すらあります。将来、離婚するというあなたの決断は正しいです。ただし、現在の夫に扶養してもらいながら、資格を取るという考えは、二重の意味で甘いです。

 第一に、一緒に住んでいる夫は、あなたが内心、離婚を考えていることに気づきます。そういう男は執拗にセックスを求めてきます。あなたが拒絶し続けると、相手は暴力を行使するようになります。DVになるのが嫌なのでセックスを続けていると、妊娠して、生活設計が変化する可能性があります。

 第二に、資格を取ったからといって、それがすぐに正社員への就職やキャリアアップに繋がるわけではないからです。最難関資格である法曹資格や公認会計士試験に合格しても、運が悪いと年収100万円程度の低賃金しか得られません。

 まず、あなたの両親に、夫にDVの傾向があるので離婚するということを伝え、実家に戻る許可をもらいます。そして、必要な荷物を実家に移動してから、夫に離婚するという意思を伝えます。夫が強く未練を持つようでしたら、直接協議することは避け、弁護士を間に立てるといいでしょう。あなたが住んでいる都道府県の弁護士会に電話をすれば、離婚調停に詳しい弁護士を紹介してくれます。お金もそんなにかかりません。

 資格を取るよりも、安定した収入源を確保することが重要です。あなたは派遣社員ということですが、身分は安定していますか? 身分が安定しているならば、当面、今の仕事を続け、正社員の道を探すことです。不安定ならば、ハローワークを使って正社員の職を探すことです。零細企業を丹念に探せば、必ず見つかります。あるいは、結婚相談所に登録して、婚活を行って、バツ1のよいパートナーを見つけ、専業主婦になるという道もあります。

【今回の教訓】

夫はあなたの離婚願望に気づきます

◆募集

佐藤優さんへの相談を募集中。匿名希望の方はペンネームを記入してください。採用者には記念品をお送り致します。

⇒応募はコチラから https://nikkan-spa.jp/icol_form

【佐藤優】

’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『読書の技法』『日本国家の神髄』など著書多数 (※写真はイメージです)
.日刊SPA!


アントニオ猪木の「元気ですかー!」は、どうやって英語に訳すのか?-会議通訳者・高松珠子氏インタビュー

2014年05月22日 21時32分29秒 | 英語
http://blogos.com/article/85539/

アントニオ猪木の「元気ですかー!」は、どうやって英語に訳すのか?-会議通訳者・高松珠子氏インタビュー

橋下徹大阪市長、アントニオ猪木議員といった政治家から福原愛、浅田真央といった国民的アスリートまで、多くの日本人のスピーチを外国人記者に向け、流暢な英語に変換する一人の女性。報道に興味がある人ならば、一度は彼女の姿を見かけたことがあるのではないだろうか。日本外国特派員協会(FCCJ)での会見でおなじみの高松珠子氏は、数多くの国際会議などで活躍するフリー通訳者だ。

先日のオバマ大統領の訪日をめぐる報道でも見られたように、異なる言語での発言は誤解やミスリードを生みやすい。だからこそ、通訳の仕事は重要であり、重圧も大きい。今回は、高松氏に通訳という仕事の中身や苦労について語ってもらった。(取材・執筆:永田 正行【BLOGOS編集部】)


同時通訳は事前に “予測”できないと実践できない技術
-高松さんは、どのようなきっかけで通訳になったのでしょうか?

高松珠子氏(以下、高松):私は日本生まれなのですが、教育はすべてアメリカで受けました。大学を少し早めに卒業して大学院に行く前に、やはり自分のルーツを知りたいということで、1年程度のつもりで日本に戻ってきたのがそもそもです。

その際に、私の遠い親戚にあたる指揮者の小澤征爾さんからお電話をいただいて、「自分のマネージャーが日本に来るので、ちょっと通訳してもらえないか」と。不安でしたが、「せっかくだから」ということで引き受けました。

その方はニューヨークにあるクラッシック音楽のマネジメント会社の社長で、様々なコンサートホールでのイベントに関わり、サントリーホールの杮落としなども手がけたのですが、私はそういう仕事の日本駐在員のような役回りをやっていたんです。とても楽しかったのですが、子どもが生まれて、夫が関西に赴任することになったのを機に一度仕事をやめて10年ぐらい子育てをしていました。

下の子が小学校にあがったら、また仕事を始めたいと思っていたのですが、ちょうどその頃に阪神大震災が起こりました。それが原因で家を空けるのが少し怖くなってしまい、いろいろ悩んでるいるうちに、「結局フリーの通訳ぐらいしかできないのかなぁ」と思って、この仕事を始めたんです。

-私たちもよく外国特派員協会の会見に参加させていただくのですが、政治家の会見などは、内容がデリケートなもの多いですし、周辺知識についても相当の勉強が必要だと思うのですが。

高松:通訳はよく「料金が高い」と言われるのですが、拘束時間が30分でも3時間でも、勉強する時間はまったく変わりません。ものによっては準備に何十時間も掛けて、何冊も本を読みます。今はインターネットで様々な情報を集められますから、皆、可能な限りの周辺情報をインプットして臨みます。

今ちょうど同時通訳(※話者とほぼ同時に訳出を行う通訳)の起源について様々な本を読んでいるのですが、いつかご存知でしょうか?ニュルンベルクの国際裁判(第二次世界大戦時にドイツによって行われた戦争犯罪を裁く国際軍事裁判)の時だというんですね。

この時に初めて4ヶ国語(英語・フランス語・ドイツ語・ロシア語)で裁判をやるということになったのですが、これを逐次通訳(※相手の話を数十秒~数分ごとに区切って順次通訳していく)で進めていると、もう大変なことになるということで始まったそうです。

それまでの通訳は、基本的には全部逐次だったので、「それは無理だ」とか「フェアな裁判にはならない」といった声もあり、非常に論争にもなったそうです。同時通訳で、どこまでできたのかというのは、(編集された速記官の記録がありますが)当時の通訳の音声が残っていないのでわからないのですが、おそらく被告の取り調べに立ち会うなど、事前にある程度周辺知識を勉強していたと思うんです。

日本における同時通訳については、西山千さん(※アポロ11号月面着陸の際に、テレビ中継の交信を通訳したことで知られる同時通訳者)の存在が大きいと伺っています。日英は構文が逆なので、「同時通訳には適さない」と長く言われてきたそうですが、ある会議が延々と続いたため、西山さんが「無理かもしれないけどやろう」と提案して始まったようです。この辺りの話は私自身、まだ勉強中なのですが、西山さんはGHQや米国大使館に勤めた経験から、日常的に外交の話題に触れていたそうで、そういう事前知識があったからこそ対応できたと思うんです。

例えば、自分の夫や妻が原子力政策について話すというならば、だいたい何を言うかわかるじゃないですか。そんな風にある程度予測できないと実践できない技術なんです。同時通訳は特にそうですし、逐次でもスピーカーの考えをある程度事前に把握してないと苦しくなります。


通訳はその場の流れや雰囲気を壊してはならない

-国際会議などは専門的なものが多いので、“知的体力”の消耗というのは凄まじいでしょうね。

高松:同時通訳は30分もちません。10~15分が限界です。例えば、プレゼンテーション資料を事前にもらって、だいたいそれに沿ってということであれば20分くらいできるかもしれませんが、それ以上は集中力が落ちてしまいます。

詳しくはわからないのですが、日本では同時通訳のほうが、レベルが高いというイメージがあるようですが、ヨーロッパでは逐次通訳の方が、料金が高いそうです。同時通訳は流れもありますから、ある程度意訳が許される部分もあるのですが、逐次は100%の通訳が求められますし、チェックされる方も多いので、非常に緊張します。また、記憶力も必要になりますから。

-どうしても伝えるのが難しい表現もあると思います。例えば、アントニオ猪木議員の「元気ですかー」といったフレーズは、どのように伝えているのでしょうか?

高松:猪木議員の「元気ですかー」みたいなフレーズであれば、決まっている意訳があるのかということを事前に調べます。あの時は、意訳は見つからなかったのですが、英語の記事でもローマ字でそのまま表記した上で、カッコ書きで説明していたりしたものですから、訳さずにそのまま言って貰って、私が意味をつけくわえるみたいな対応をさせて頂きました。

このように時と場合、その場の雰囲気といった要素を考慮してベストなやり方を決めていきます。例えば、本人が立って力をこめて発言しているからといって、通訳まで立ち上がったりしたらおかしい場合もあります。その方特有のフレーズが出てきそうになったら、「どうぞ!」といった感じで発言を促して、その後に今何をいったのかを簡単に付け足したりします。相手がそこにいて、聞いている人たちは、みんな笑っているわけですから、やっぱり通訳はその流れとか雰囲気を壊しちゃいけないと思います。

流れの読み間違い、聞き間違い、勘違いが一番怖いので、それを避けるためにも事前に大量に勉強して、「この方はどういうお考えをもっているのか」「どういうときに決め台詞を使うのか」「どういう意味があって、そういうことをいうのか」といったことをインプットしておきます。

-それこそ政治家の発言の通訳は国際問題にもなりかねないリスクがありますよね。

高松:確かに、プレッシャーは感じますよね。ただ、そこは最終的にはすべてチリに戻ると思ってやらないと(笑)。

緊張すると、相手にもそれが伝わります。通訳が緊張していると、「通訳は政治家の話している内容がおかしいから緊張しているんじゃないか」と勘ぐられてしまったりするんです。よくコミュニケーションにおいて、話している内容自体がどの程度相手に影響を与えるかという研究があります。私は専門家ではないですが、話の内容は、実は10%ぐらいで、非言語的コミュニケーション、つまり、ジェスチャーなどほかの要素が非常に重要だという話です。相手が一生懸命何かを訴えているのであれば、通訳は変な緊張や自我を捨て、、その方の熱意が伝わることだけを考えないといけないと思います。



●ダボス会議の安倍首相スピーチは何故誤解されたのか?

今年行われたダボス会議では安倍首相の発言が通訳の間違いによって、「現在の日中関係を第一次大戦前の英独関係に例えた」と報道されて話題になりました。

高松:語順や日本の方特有の文章の作り方にも多少関係があると思います。有名な通訳の方も書いているのですが、日本の方の場合、起承転結というのか最初は少し関係ない話から始める方が、エレガントだというイメージを持っているのではないでしょうか。例えば、レストランにいって「スープあるいはサラダはいかがですか」と聞かれているのに「いや、人間の食事って面白いんですよ」みたいなところから話を始めてしまうようなイメージです。

先日も特許専門の日本の弁護士とアメリカの会社のCEOの商談に、通訳として参加した際、CEOが「これは日本の会社が特許を侵害していると思う。裁判を起こしても良いか」とイエス・ノーの質問をしたのに対し、弁護士が延々と「特許というのは国によっていろんな違いがあるんですよ」という話を続けました。通訳していると、だんだんCEOがイライラしてきているのがわかりました。同席していたバイリンガルのスタッフが「先生、お願いだから結論をいってください」と割り込んだぐらいでした。

ダボス会議の発言の模様については、すべての音声が公開されていないのでよくわかりません。ただ、一般論をいうと、起承転結的な、日本人的なあいまいな答えを同時通訳でそのまま訳して、「通訳が元の質問をちゃんと訳してないから、全然関係ないことを答えてるじゃないか」と思われてしまうことが頻繁にあります。そのため、「これは全然違うように聞こえるかもしれませんが、最終的に今のご質問と関係があるんですよ」と一言いっておかないと、聞いている外国の方がイライラしてしまうんですね。そのような話法の違いが今回起こったのでしょうか。。。通訳は皆、このニュースを聞いて落ち込んでいると思います。

-「これはさすがに訳せない」とか、あえて訳さないといったケースはあるのでしょうか?

高松:通訳は、あまり“編集”してはいけないと思っています。よく、逐次通訳をする際に、「ほとんどの方が英語をわかっているので、適当に要約して」といったリクエストを受けるのですが、基本的にはお断りしています。何を省いていいのか、は我々外部から来ている人間には判断できないからです。その分、早くしゃべるといった形で対応しています!

もちろん明らかに「訳さないで」と言われた場合、つまり商談中に内輪で日本語で相談したいという場合があれば尊重しますが、例えばお客様が半分外国人、半分日本人という中で、日本人だけにわかることをいって、「訳さないでね」といわれるとそれはフェアじゃないと思います。それだけでなく、理解している人だけ笑って、理解できない人は笑えないといった状況は、相手に疎外感や不信感を与え、発言者のマイナスイメージに繋がってしまうと思います。全体的に、通訳において「省く」というのはよい対応じゃないと思います。聞いている人たちの中でも、あの通訳はは全部訳さなかった、と怒る人も出てくるでしょうし。

だから、逆に加えることを考えるんです。例えば、橋下大阪市長の会見の時の慰安婦の英訳である“COMFORT WOMAN”と“SEX SLAVE”という言葉。これには賛否両論ありますから、とりあえず“COMFORT WOMAN”といった後に、さらに訳を付け足していきます。「これは欧米では“SEX SLAVE”などと訳されていますが、日本ではこういわれています」みたいなイメージです。そうやって聞いている方々の理解を全体的にレベルアップさせようとするわけです。

“COMFORT WOMAN”という訳が正しいかどうかは皆様で議論すればいい話です。何が問題点なのか、何が争点なのかというのは聞いている側に預けるべきで、通訳が自分で整理するものではないと思います。

-省くのではなくて、足していくわけですね。

高松:“Paraphrase”(パラフレーズ)とよく言うのですが、ひとつの訳がぴったりじゃなければ、できるだけたくさん訳します。聞いた人たちが「わかった」という顔をしてくださったら、そこでストップするという感じなんですね。だから、通訳はみんな早口です。ときどき「どうして訳が長くなるのか」と聞かれるのですが、こういう背景があるんですね。

これは通訳の間では有名な昔話なのですが、会議でアメリカ人が非常に長くて複雑なジョークを言ったんですね。複雑だから、どうやって通訳が訳すのかなと心配していたのですが、通訳が一言チラッと言ったら、みんなドッと笑ったというんです。

後で、「君はどうやってあの複雑で長いジョークをこんなに簡潔にまとめたのか?」と聞いたら、「いや難しすぎて説明していたら、延々と時間がかかるので、『アメリカ人がジョークをいったので笑ってください』」と。そういうのも1回ぐらいは許されるかもしれませんけどね(笑)。

●通訳という仕事は早く日本から消えるべき
-「グローバル化」が叫ばれて久しいですし、日本でも「英語教育に力を入れよう」といった議論が現在でもされています。

高松:私自身、現在、通訳学校で「通訳になりたい」という方々に授業やアドバイスをしているのですが、本当は通訳という仕事は早く日本から消えるべきだと思っています。

多くの人が英語を使いこなせるようにならないと、日本はどんどん衰退していくんじゃないかと、非常に不安に感じています。日本がここまで成長できたのは、優秀な先輩通訳たちが、努力して努力して努力してきたからだと思いますが、その反面、日本の多くの方たちが英語なしでやってこれてしまった面があると思います。今海外に行きますと、韓国や中国の方たちの方が英語はペラペラです。

国際会議や様々な商談では、通訳がどんなに頑張っても0.数秒の遅れが発生してしまいます。それは話が常に遅れているということなんですね。日本の方が内容を消化してから話そうと思っても話が変わってしまっていることもあります。だから、やっぱり英語で直接コミュニケーションできるような人が増えてもらいたい。切実にそう思います。


英語のテレビドラマをテロップ付きで見るべし
-英語を学ぶ上でのアドバイスや日本の英語教育に対する意見はありますか?

高松:英語というのは日本では特殊なものとして扱われているように感じるのですが、あくまでツール、手段に過ぎないわけです。成績と深く関連しているからなのか、上手い・下手というのが必要以上に重要視され、みんな「自分が英語うまくない」と思っているように感じます。

例えば、外国人ばかりの部屋に日本人が一人いる状態であれば、どんどん英語でしゃべっているのに、その部屋に日本人がもう一人入った途端、恥ずかしくなってしゃべれなくなってしまう。お互いに評価を気にし過ぎなんです。

教育については、いろんな試みがあって賛否両論ありますが、様々な専門家が議論すればよいでしょう。ただ、私が伝えたいのは英語のように広く使われている言語をマスターできれば、世界が広がるということです。自分の人生がこんなにも広がるということを理解してもらいたいと思うんですね。

私のお勧めの勉強法は、英語のテレビ番組を見ることです。映画よりもテレビドラマのシリーズがお勧めです。私は責任ある立場の方に会うたびにお願いしているのですが、法律を変えてでも、英語の番組を放送する際には英語のテロップを流すことを義務付けてもらいたいと考えています。今、私の家はケーブルテレビに入っているのですが、バイリンガルの放送はやっていてもテロップは日本語だけなんですね。英語を聞きながら、日本語を読んでも何の意味もありません。言葉と音が一致することによって勉強になるんです。

欧米では、元々難聴者のためのテロップが存在するのですが、調査したところ、実際にこのテロップを見ているのは難聴者の方よりも移民が多かったそうです。移民の方々が語学取得のために使っているということです。日本人は中学から英語を勉強していて、たくさんボキャブラリーを持っていますから、ちょっと耳の慣れが必要なだけで、読みながら音を確認していけば、どんどん上達するはずです。

字幕があっても、どうしてもスピードが速くて聞き取れないとか、きちんと読みたいと思ったら、番組の名前とscript、脚本といれて検索すれば、脚本がアップされていたりしますから、そういうものをダウンロードしてみればよいでしょう。

なぜ私が、テレビのシリーズものを勧めるかというと、映画の場合、背景知識や時代設定、各登場人物の情報を知るために時間を使いすぎてしまうからです。テレビシリーズであれば1回で終わって、後はストーリーが進んでいくだけですから、楽だと思います。最初の2~3回は、脚本をダウンロードして、登場人物がどういう人で、どういう社会的地位にいるのかといった設定を飲み込んでしまえば、後はだんだん脚本に頼らず、見ることができるようになると思います。

また、テレビシリーズにはたくさんの番組があるので、好きなものが選べます。弁護士モノやホワイトハウスが舞台のドラマであれば、ハーバードを出た人たちが機関銃のようなスピードで難しい言葉を話しますし、「ゴシップ・ガール」とか、高校生や若い女性向けの話であれば、もう少しやわらかい英語を聞くことができます。やはり、先生が押し付けで「これを見なさい」というのではなくて、自分の好きなものを選ぶのが一番です。最終的には自分の好奇心、「これ何と言っているのか知りたい」というところから、学びが始まると思うので。

面白いものが見つかるためには、いろんな番組をたくさん公開して、全部英語の字幕をつけて、好きなものを見られるようにするのがいいと思います。逆に日本語のテロップ、日本語の音を提供しないぐらいの方がいいと思います。でも、これはそれこそ法律で義務付けるぐらいじゃないと、放送局もやらないでしょう。テロップ流すのに追加コストがかかるかもしれませんし。

また、日本語や日本文化を大切にすべき、との議論も別にあると思います。ただ、ここで申し上げたいのは、英語習得の方法として、英語を「勉強する」というより、「内容をとてもとても知りたいのでその手段として英語を理解しよう」という気持ちにさせるアプローチを提案しているのです。

仮に、こういうことが実現しますと誰が一番得するかというと、中学校などの英語の教師だと思います。政策として、教師の方々に研修を受けさせるといった話がありますけど、彼らはすごく忙しいし、ご家族と過ごすような時間もない中で少し研修を受けたところで、劇的に上達するとは思えません。生の英語に触れる機会が少なかったそういう先生たちが、自分が夢中になれる番組を選んで徹底的に見れば、耳も口もかなり早く上達すると思います。教える側が更にうまくなれば、生徒の英語力も上がるでしょうし、それが全体的な語学力を向上させる方法として、一番手っ取り早いと私は思います。

また、言葉そのものだけでなく、どういう状況でどのようなフレーズを使うのか、或いは話すタイミングや使うべき表情や音域など、非言語的コミュニケーションも自然に学べると思います。



最後に今後自分の英語力をあげたいと考えている読者にメッセージをお願いします

高松:英語は勉強と思わない方がいいと思います。エリートや帰国子女といった一部のアドバンテージがある人が、特別な言語を使って得をするという社会は出来れば早くなくなってほしいです。インターネットを一部の人たちにしか使わせないというのと同じだと思います。英語ができるようになるというのは、“大きな図書館の鍵”を渡されるようなものです。一人ひとりの人生にいろんな可能性を与えてくれます。

また言語を学ぶことで、情報だけではなく元気ももらえると思うんです。英語がわかれば、日本の社会だけではなく、海外の起業家がどんな風に活躍しているのか、といった話題も知ることが出来ます。そういう事例をたくさん知るようになれば、中には自分でもできそうなものが見つかるかもしれません。英語がしゃべれるっていうのは、そういうことだと思います。どうも偉そうにすいません(笑)。


プロフィール

写真拡大高松珠子(たかまつ たまこ):オーバリン大学卒業後、クラシック音楽関係の米系企業の日本駐在などを経て、フリーランス通訳者。日本外国特派員協会の記者会見通訳を数多く手がけている。FCCJ名誉会員。


脳の活性化も 「よくかむ習慣」の様々な効用

2014年05月22日 21時31分08秒 | Weblog
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO70687690S4A500C1W13001/

脳の活性化も 「よくかむ習慣」の様々な効用

食べ物をよくかむことは、消化や吸収を助けることはもちろん、肥満の予防や脳の活性化といった様々な効果が報告されている。子どもの頃につけたしっかりかむ習慣は、年齢を重ねてからの生活にいい影響を与えるかもしれない。

 かむことの効用は、子ども、成人、高齢者それぞれの世代にとって少しずつ違う。

 子どもの乳歯が永久歯に生えかわるのは小学校低学年ごろから。あごの筋肉も発達してくる。飯田女子短大教授(長野県飯田市)の安富和子さんは「3~4歳になったら、しっかりかむ習慣をつけ始めるのが大事だ」と説明する。

 安富さんらは保育園年長児の給食で、かむ回数と姿勢などの関係について調べた。園児たちにかむ回数をカウントする装置をつけてもらい、(1)体が正面を向いている(2)背筋がまっすぐ(3)いすに寄りかからない(4)足の裏が床についている(5)足がそろっている(6)茶わんをもっている(7)箸を正しくもっている――の7項目を調査した。


■早食いは禁物


 食事を始めて10分後。「700回以上かめたグループ」では、7項目すべてに問題がなかった園児の比率が約4割あった。「400回以上700回未満」だと約2割、「400回未満」はゼロになった。正しい姿勢でないと力が入らず、かんでも数えられないケースが多いようだ。これは大人でも同じだ。

 安富さんは「親が子どもによくかみなさいというだけでは、食事が楽しくなくなって逆効果。いい姿勢でよくかめば食べ物がおいしくなることを教えてほしい」と話す。ほかに食事で気を付けたいのが早食いをしないこと。一口でたくさんの食べ物を入れすぎないことも大事だ。我慢しきれずにのみ込んでしまい、かむ回数が減る。

 成人になると、よくかむことは生活習慣病の予防との関わりでも軽視できなくなる。満腹中枢に働き掛けて食べ過ぎを防ぐほか、ストレスを軽減させる効果がある。成人男子に満腹になるまでおにぎりを食べてもらった実験がある。一口50回以上かんだ場合、普段と同じように食べたのと比べて食事時間は約2倍かかったが、茶わん1膳分少ない量で満腹になった。




 歯科関係者などは一般的に一口あたり30回かむことをすすめている。ただ、食べ物によってやわらかさが違う。30回はあくまでも目安だ。のみ込む前にあと10回追加してかむのことを意識したい。また食事をする少し前にガムをかんでおくことも食べ過ぎを防ぐ効果がある。

 東京医科歯科大学教授の水口俊介さんは、成人は「歯の組織が未成熟な子どもや唾液の量が少なくなる高齢者に比べて虫歯になりにくい。口の中の環境やしっかりかむことへの意識が薄れがち」という。しかし「この時期の取り組みが高齢になった時に残る歯の数や糖尿病などにかかるリスクに差をもたらす」と指摘。よくかんで食べることや、歯磨きを欠かさず、定期的に検診を受けることが重要と説明する。


■記憶力も左右


 かむことの効果がとくに大きいのが高齢者だ。神奈川歯科大学などの研究チームによる調査では、2分間ガムをかんで記憶力に関する調査を実施したところ、60~76歳の高齢者では約2割で記憶力が顕著に上がった。若者はそれほど変わらなかった。様々な器官から刺激を受ける子どもや若者よりも、高齢者は口から受ける刺激が大きいと見られる。

 高齢になるとかむ力が衰えるが、神経質にならなくていいそうだ。日本歯科大学教授で同大の口腔(こうくう)リハビリテーション多摩クリニック院長の菊谷武さんは「巧みに口の中を動かせるかがより大事」と話す。

 固いものを強くかみすぎると、顎関節症や歯の破折が起きて逆効果になることもある。かむことは咀嚼(そしゃく)という口全体の運動の一部。かんだ食べ物に舌をからめたり、頬を動かしたりしながら食べ物を口の中でまぜる――。高齢になるほど一連の動きをなめらかにできるかがポイントとなる。入れ歯にするとかみにくくなるが、慣れれば、かみ方を工夫できるようになる。




 歯科医に行けば、ガムなどを使って咀嚼能力を判定してくれる。まず自分の咀嚼力やどういった部分が衰えているのかを知っておきたい。そのうえで菊谷さんは、家でも舌や頬を動かすトレーニングをすることを勧める。いつまでもおいしく食べ物を味わうには、日ごろからの鍛錬も欠かせないということか。


◇            ◇


■精神面にもプラスの効果

 高齢者では、食べ物をよくかめなくなることで引きこもりがちになったり、体調を悪化させたりするケースも多い。神奈川歯科大学の木本克彦教授は「食事を通して人とコミュニケーションを取ることはとても大事。社会参加できるようになり、認知症の予防効果も期待できる」と話す。

 しっかりかめることが栄養面だけでなく、精神面でもプラスに働くことはほぼ間違いないようだ。木本教授は「かめないとあきらめるのではなく、義歯などをしっかり活用してほしい」と訴える。現時点でかむことと認知症予防の直接の関係ははっきり解明されていないが、今後一段と研究が進みそうだ。

(高田哲生)


[日本経済新聞夕刊2014年5月3日付]

何故お金も掛からない究極の健康法を避けて

2014年05月22日 21時30分13秒 | Weblog
http://lifehack2ch.livedoor.biz/archives/51469675.html

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:31:18.17 ID:fNBW1kk+0
お金出して無駄な健康法するのか俺には分からない



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:32:18.21 ID:1Cjm9IvU0
ウォーキング最強



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:32:34.60 ID:YlQeeKyR0
他にお金の使い道が無いから




5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:34:04.08 ID:fl74A4yc0
そのお金も掛からない究極の健康法とやらを教えろください



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:34:27.91 ID:fNBW1kk+0
究極の健康法は呼吸だ
息を吸う時に交感神経が働き
息を吐く時に副交感神経が働く
なのでその人の浅い呼吸を大きな呼吸にクセづけてやれば
嫌でも健康になる



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:40:45.83 ID:gG6ONCmd0
>>6
肋骨周りの筋肉がガチガチで浅い呼吸しか出来ない人が結構多い
特に猫背のおばあちゃんの呼吸の浅さを見ると怖くなる



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:34:56.12 ID:ojdLxHlAP
外で、運動できる敷地があれば十分なんですけどね

だから、部活やっていればいんですよ



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:34:59.94 ID:Ho+bQOMQ0
健康が目的じゃなくて自己満足が目的だし
金出したほうが満足度高いんだよな

健康のためなら死んでもいいのか?


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:36:18.55 ID:fNBW1kk+0
呼吸というシンプルな健康法じゃお金にならない
だからああだこうだ後付でお腹を引っ込めるだ丹田を意識するだ
こういうポーズをとるだの一番大切なシンプルな呼吸から目を逸らさせる



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:38:12.00 ID:YTRdZRTe0
バランスのとれた食事
適度な運動
十分な睡眠
規則正しい生活



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:39:04.81 ID:fNBW1kk+0
うつ病や病人など不健康な人の呼吸はまさに虫の息というぐらい
呼吸が浅い
そこを無視して余計なポーズだの丹田だの複式呼吸だのアホだ
シンプルな呼吸を極めろ
これが究極なんだ



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:41:50.60 ID:fl74A4yc0
>>12
シンプルな呼吸kwsk



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:39:24.11 ID:Ho+bQOMQ0
テレビも雑誌も金目当てだし
金のかかる健康法を健康だとずっと宣伝してるんだよね
そういうのに影響されれば当然金をかけて当たり前と洗脳される
売ってる会社はそれで儲かるから宣伝してるんだし



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:40:41.83 ID:fl74A4yc0
やっぱ呼吸か
食事は余程のことがない限り栄養失調にも過多にもならない現在で
大切なのは呼吸
みんな呼吸浅すぎ



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:41:04.19 ID:mtBUk+AQ0
運動して汗を流すことを嫌うような不健康な精神の奴が健康な肉体を得られるわけがない



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:41:59.62 ID:fNBW1kk+0
ストレス社会でネットでも現実でも熱くなり無駄にストレスを貯める現代人は
本当に呼吸が乱れてる
そらうつ病も精神異常もキチガイも量産されるわけだ
シンプルな呼吸を極めろ
全てを手に入れられるだろう



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:42:29.84 ID:DuBNA10y0
ストレッチと正しいフォームでの生活。
まず歩き方がおかしいだけで全部駄目になる。
動物の体というものはうまく重力を分散できるようになっている。
が、合わない靴やキモイ歩き方だとまず足の裏にかかる重力の消費がアンバランスになる。
そして偏平足や外反母趾とかの足の病にかかる。
そうして狂った重力は膝や腰の一部の筋肉を酷使して処理する。
つまりO脚や腰痛、股関節通になる。重力処理の失敗のつけは上へと上へと登り噛み合わせの問題までに至る。
重力処理の失敗のしわ寄せは必ずどこかで体のゆがみを作り出し汚い肉体を作る。そしてスパイラル。



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:43:15.71 ID:gG6ONCmd0
でもヨガだの丹田だの複式呼吸だのは深い呼吸を手に入れるのに効果あるよ



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:46:33.60 ID:fNBW1kk+0
一心乱れぬ呼吸
すなわちシンプルな呼吸を極めると
何時でもどんな時でも呼吸が乱れない
これこそが心身にとって最も重要なんだ



26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:47:47.99 ID:LDxPGGeU0
マジレスすると片足立ち

TV見ながらでも出来るし
普段鍛え辛いバランス感覚と内股の筋肉を鍛える事が出来るし
骨への圧力が高いので骨粗鬆症予防にもなる



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:48:18.17 ID:fNBW1kk+0
呼吸の乱れはそのまま自律神経の乱れになる
一心乱れぬシンプルな呼吸を極めればそれだけで完璧でいられるんだ



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:49:27.73 ID:5ZWfiXye0
波紋か



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:55:19.08 ID:ZXHVNbo90
『呼吸法』だと?フーフー吹くなら…このおれのためにファンファーレでも吹いてるのが似合っているぞッ!



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:58:06.44 ID:fNBW1kk+0
呼吸法というと難しいイメージしか無い
シンプルな誰もが普段行える呼吸をそのまま極めればいい
乱れから心身が崩れていく
心の安定とはまさにシンプルな呼吸の安定によってもたらされる
呼吸の乱れだけに気を使い
究極の呼吸をマスターして欲しい
何も難しいことではない
まぁ呼吸を乱す事に慣れすぎた現代人には時間がかかるだろう



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 13:58:42.48 ID:fl74A4yc0
ニートだから一日中呼吸気を付けてよう



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 14:03:42.88 ID:gG6ONCmd0
衆人は喉で、哲人は背骨で、真人は踵で呼吸する



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 14:09:44.55 ID:fNBW1kk+0
極めると踏み台昇降をしてても普段と変わらない呼吸が出来る
普段の呼吸を見出さないだけで肉体も精神も究極に近づくという証明だ
安定したシンプルな乱れない呼吸が持つ力は無限大である



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 14:21:34.41 ID:a7q1OJZ10
シンプルってからには
自分にちょうどいいゆったりしたリズム守って
深くスーーハーーてな感じでいいんじゃね?



46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 14:27:37.48 ID:fl74A4yc0
>>45
レスthx
基本が鼻―鼻呼吸ってのはわかってるんだ
寝てるときのリズムがリラックスしてるしベストなのかな



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 14:29:42.30 ID:a7q1OJZ10
>>46
どうだろうな
寝てる時は究極リラックスだから
なんか気を張りつめてやる時は違うような気もするが
リラックスして集中できるのが一番なわけだから
それでいいのかな



47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 14:28:27.43 ID:RZms+O2n0
なんだかんだで普段の呼吸は1分間2回ぐらいになってるけど
滅多に風邪を引かないぐらいでこれといったことはないよ。



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 14:36:32.25 ID:fl74A4yc0
>>47
それはゆっくり深い呼吸してるってこと?
それとも無呼吸症候群?

>>48
1がシンプルな呼吸しか言わないからわからんな
結局知識ひけらかして実践したければ金出せってタイプなのかな…



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 14:43:08.64 ID:a7q1OJZ10
>>49
ちがうといいなwwwww
まあそれ以上のことがあると言ってないとこみると
本当にこれだけシンプルに言って去りたかったのかwww



52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 15:01:06.17 ID:RZms+O2n0
>>49
なんかいろいろ呼吸法を試し続けていたら
いつのまにかそうなったw
まぁ、無理は厳禁だね。



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/03(水) 14:44:11.61 ID:a7q1OJZ10
とりあえず昼寝で試してみるわ

実はカンタン! 「怒らない技術」10のコツ

2014年05月22日 21時29分16秒 | Weblog
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140427-10012441-pfamily-bus_all

プレジデントファミリー 4月27日(日)10時15分配信

■怒ることを選んでいるのは親自身

 子育てをしていると、言うことを聞かないわが子にイライラし、ついカッとなって怒鳴ってしまうことがある。

 たとえば慌ただしい朝、子供を学校へ送り出し、家事をすませて仕事に向かわなければならないのに、「早く食べなさい」と何度催促しても、子供がのんびり食事をしているとき。ましてや兄弟でふざけてみそ汁でもひっくり返そうものなら「どうして怒らせるようなことばかりするの! 」と怒鳴りたくもなるだろう。

 しかし、80万部を超える「怒らない技術」シリーズの著者で、怒りをコントロールする技術の普及に努めている日本アンガーマネジメント協会の理事も務める嶋津良智氏は、「“怒る”ことを選んでいるのは親自身」と言う。

 「仮に、子供の学校も自分の仕事もない日で、何時までに家を出なければならないという時間的制約がなかったとしたらどうでしょうか。子供がのんびり食事をしていても、それほどイライラすることはないと思います。気持ちにゆとりがあれば、子供がみそ汁をひっくり返しても、冷静に対処できるはずです。このように、子供がしたことに対して、どう反応するかを選んでいるのは親自身なのです。そして、さまざまある反応の中から怒ることを選んでしまう理由は、実は、親の“心の枠”に原因があります」

 心の枠とは、誰もが持っている自分なりのルールや価値観、思い込み、期待、思惑などを指す。そして、この枠の中におさまる事態であれば冷静に対応できるが、枠から外れた事態に出くわすと、イライラしたり、カッとなったりしてしまうという。

 前述の例でいえば、何時に家を出るには、何時までに後片付けを終えて、外出する準備にとりかからなければならないかが、親には経験からわかっている。母親なら化粧の時間も加味される。これが、「自分なりのルール」に当てはまる。毎朝のことなのだから子供も理解しているはずだという思い込みや、「ウチの子ならできる」といった期待も含まれているだろう。

 「ところが、子供は思ったとおりには動いてくれないものです。その結果、イライラして、怒りがこみ上げてくることになります。また、心の枠の大きさは、いつも同じとは限りません。機嫌が悪いときは枠がグッと狭くなり、普段なら笑ってやり過ごせることでも、腹が立ってしまいます。逆に、気分が良いときは心の枠も大きくなるため、細かいことに目くじらを立てることもありません」

 こうした怒りのメカニズムを理解して、イライラや怒りを上手にコントロールする方法が、次に紹介するコツ“怒らないスキル10”である。

■怒らない秘訣は、反射しないこと

 嶋津氏によれば、怒りをコントロールするうえで大切なことは、「イライラや怒りの感情に反射して、すぐ怒りださないこと」だという。

 「脳の機能には、思考系と感情系があります。思考系とは、断片的な情報をつなぎ合わせ、連想し、合理的な判断をしようとする機能で、感情系とは、食欲や睡眠欲などの生理的な欲求全般に関する機能です。イライラや怒りは、感情系が優位になっているときに生まれやすい。ですから、イライラや怒りを鎮めるには、その兆しを感じたときに、何らかの方法によって思考系を優位にするのが効果的です。一度、怒りだすと、怒りはどんどんエスカレートして、思考系を優位にすることが難しくなってしまうからです」

 この「思考系を優位にする」技術が、怒らないスキルなのだという。そこでまずは、“怒らないスキル10”のうち、イライラや怒りを感じたとき、とっさに実行することで思考系を優位にできる方法を5つ、嶋津氏に紹介してもらおう。

 1.ストップシンキング

 怒りに反射しないためには、“間”をとって一度気持ちを落ち着かせ、思考系を働かせるチャンスをつくることです。その最も簡単な方法が、イライラを感じたときに頭の中で「1、2、3」と3つ数える「ストップシンキング(思考停止)」です。

 2.タイムアウト

 カッとなって、脳の感情系が暴走しそうになったときは、その場から離れることで、強制的に“間”をつくる。これが、タイムアウトです。

 子供が悪さをして怒鳴りそうになったら、「ちょっとトイレに行ってくる」「お茶を入れてくる」と断って、10秒間だけでもその場を離れます。目の前に怒りの対象がない場所に行くと、冷静さを取り戻すことができます。そして子供にどのように話せば、悪いことをしたと理解してもらえるかを考えられるはずです。
. 3.コーピングマントラ

 コーピングマントラとは、イライラしたときに唱える魔法の呪文を持つというスキルです。

 おすすめの呪文は、「きっと何か理由があるはず」です。たとえば、子供がなかなかお風呂に入らないとき。「さっさと入りなさい」と怒鳴らずに、「きっと何か理由があるはず」と口にします。もしくは、子供に「何か理由があるの? 」と聞いてもいいでしょう。子供からは論理的な答えなど返ってこないかもしれませんが、そう問いかけることで「子供がすぐにお風呂に入らない理由」を脳はいろいろと考えはじめ、自然と思考系が優位になっていきます。

 私の場合はよく「それはちょうどいい」を使いますが、自分なりの魔法の呪文を見つけたいなら、普段意識せずに使っている言葉を探してください。たとえば何かを諦めるときに「しょうがないか」とよく口にするなら、それを魔法の呪文にします。

 4.ポジティブフォーカス

 イライラの原因から目をそらして、子供の良いところに目を向けるのが、ポジティブフォーカスです。

 誕生日に子供が手紙をくれたとか、子供をいとおしいと感じたエピソードを思い出します。そのために、日ごろから子供の良い部分をたくさん書き出しておいて、怒りそうになったらそれを見返しても良いでしょう。

 私の場合は、トイレやリビングなどに、息子が生まれたばかりのころの写真を飾っています。この写真を見ると、生まれたときの感動があらためて浮かび、怒りを忘れることができるからです。

 5.クロスポジション

 学校から帰っても、なかなか宿題をしない子供に、「早く宿題をしてしまいなさい。宿題もしないからテストの成績が悪いのよ! 」などと叱っていませんか?  しかし、もしあなたが、子供から毎日「もっとおいしいご飯をつくってよ! 」と言われ続けたらどう思いますか?  「○○ちゃんのママは英語を学び直して英会話教室の先生をしているんだって。ママも早く仕事探しなよ」などと比較されて、「よし、頑張るぞ! 」と素直に思えるでしょうか。

 このように、感情にまかせて怒りそうになったら、子供の立場になって(クロスポジション)「自分が言われたらどう感じるのか」を考えましょう。そうすれば、子供に伝わる話し方を工夫するはずです。

■普段から準備できる5つの怒り回避法

 ここまでは10のスキルのうち、怒りが込み上げてきたときにとっさにできる方法を紹介してきたが、怒らない体質にするためには、日ごろからのトレーニングも必要だ。そこで普段から気をつけておきたい5つのスキルについて、解説していこう。

 6.キープメンター

 子育ての悩みを理解してくれる良き相談相手――メンターがいるだけで、イライラはかなり軽減できます。子育ての先輩やママ友など、悩みを何でも言いあえる相手をつくり、不満をアウトプットすることで、イライラが募るのを防ぐのです。身近でメンターが見つからない場合は、子育て支援センターやインターネット上の子育て支援サークルなどを活用する方法もあります。日記やブログに怒りを書き出すだけでも効果があります。

 7.リロケーションアイ

 イライラがおさまらないとき、思い切って気分を変える方法が、リロケーションアイです。

 あるお母さんは、皆が寝静まったのを見計らい、夜中に1人でドライブへ出かけるそうです。日中とは違う特別な空間に身を置いて、車内では大きな声で不満を叫ぶ。時間にして20分ほどでも、胸の内にたまっていた不満がスーッと消えるとのことでした。

 やったことがない新しい習い事に挑戦するとか、普段と違う道を通るなど、日常体験していない、少しストレスがかかるくらいのチャレンジをするのがポイントです。

 8.アクトカーム

 「今日は絶対に声を荒らげない」などと決めておけば、カッとしたときに怒りの暴走を抑える力になります。

 このように「○○しない」と決めるスキルをアクトカームといいます。「『早くしなさい』と言わない」など、イライラしたときについ口にしてしまうセリフを禁止してみましょう。急にはできないので、「今日の午前中だけ」とか「2日間だけ」など、目標を決めて徐々に延ばしていくといいでしょう。

 9.リフレーム

 イライラや怒りを感じる原因となっている心の枠を変えてしまおうというスキルが、リフレームです。

 たとえば、5歳の兄は朝からご飯をたくさん食べるのに、4歳の弟は半分近く残すうえに、食べるのが遅い。これがイライラの原因だったとします。この場合、「上の子が食べ普段から準備できるるのだから、下の子も食べるはずだ」という心の枠があるのかもしれません。そこで、「兄弟でも、食べる量やスピードが違うのは当たり前」だとリフレーム(考え直し)するのです。

10.ファーストファクター

 イライラや怒りには、そのもととなる第一の感情があります。たとえば、連絡もないまま娘の帰りが遅いとき、父親はイライラして、「帰ったら叱りつけてやろう」と考えるかもしれません。このときの第一感情は“心配”です。それがわかれば、娘を怒鳴るのではなく、心配していることを伝えて、遅くなるときには連絡するように諭せばいいのだと気づくはずです。

 このように、不安や悲しみ、ストレスなど、怒りのもととなる第一感情がわかれば、怒鳴ることなく、親の気持ちを伝える方法がわかります。

■自分に合うコツを1つ使えばいい

 それぞれのスキルをどう使い分ければいいかもよくわからない、と思う方もいるだろう。しかし、「そんな心配は無用」と嶋津氏。

 「怒らないスキルは、シチュエーションに応じて使い分けるものではなく、気に入ったものを1つ使い続けるだけで効果があります。1つを使いこなせるようになったら、必要に応じて、スキルの数を増やせばいいのです。大切なのは、使い続けること。繰り返し使うことで、感情系に流されにくくなり、思考系を活性化する力を伸ばすことができるからです。それから、『子供は親の言うことを聞くものだ』という心の枠をなくして、子供には自分の言っていることのほとんどが伝わっていないのだと理解しておきましょう」それだけで、イライラの大半は抑えることができ、粘り強く何度も話す必要があると考えることができると言う。

 常に笑顔を絶やさない嶋津氏だが、「私はかなりの短気です。でも、怒りにまかせて怒鳴り散らしても、良いことは全くないことに気づいてから、変わろうと思いました」。イライラや怒りを感じる頻度は、接触回数の多さに比例し、怒りは上から下に流れるため、母親にとっていつも身近にいて、自分が産んで育てた子供は、イライラや怒りを特に感じやすい対象になりやすい。

 「私にも息子がいるので、お母さんたちが子育て中にイライラしてしまう気持ちはよくわかります。それに親が子供のために怒るべき場面というものも確実に存在します。そのため、怒ることのすべてを否定するつもりはありませんし、怒りを無理やり抑えつける必要もないと思います。しかし、怒りの8割は、相手のためを思ってのことではなく、怒りを相手にぶつけてスッキリしたいなど、自己満足のためです。怒りを上手にコントロールする“怒らないスキル”を身につけ、その理由が自己満足の場合は怒りをそらし、残る怒るべき場面では、その怒りを上手に表現することが大切なのです」

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嶋津良智 
リーダーズアカデミー学長、日本リーダーズ学会代表理事、日本アンガーマネジメント協会理事。早稲田大学講師。『怒らない技術』『子どもが変わる 怒らない子育て』がシリーズで80万部を超え、国内外で「おこらない子育てセミナー」を開催する。
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.八色祐次=文 教える人:嶋津良智(リーダーズアカデミー学長)


英語って何から覚えればいいの? ――「使える英語」を身につけよう!

2014年05月22日 21時28分06秒 | 英語
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140430-00000270-cakes-life

cakes 4月30日(水)16時48分配信

「使える英語」を手に入れる方法は、ただひたすら、覚えたその日からその言葉を繰り返し使っていくという、きわめて単純なもの。……と言われても、「いったい何から覚えればいいのか?」と思うかもしれません。答えは簡単。赤ん坊のように、「自分の欲求」を表現するところから始めればいいんです。


前回は英語を身につけるには、使った初日から使い始めよう。わからないことがあってもオッケー。そして英語は英語のまま理解しようというお話をしました。

 でも、そんなことを言われたって、何から身につければいいのか、わからない…… そんな人もたくさんいるのではないのかと思います。単語は何から覚えればいいの? 言い回しは? 文法は?

 答えは簡単です。自分の欲求を表現できるようになること。それが、もっとも大切な第一歩です。トイレに行きたい。ご飯が食べたい。眠りたい。最低そのくらい言えないと、何にも始まりません。日本以外の国では、自分の欲求を口にせず、いつか誰かが、よきに計らってくれることを待っていると、永久に何もしてもらえないことがよくあります。ですから欲求を伝えられるようになるのが、まず最初なんです。日本ほど他人がおせっかいを焼いてくれる国は、多分あんまりありません。

●“Can I~?”と“I want to”でスタートしよう!

 そもそもコミュニケーションって、自分の欲求を口にするところから始まります。

 僕は保育園を経営していますが、まだ言葉が出てこない子だって、指差ししたり泣いたりしてそれなりに欲求を表現します。そして欲しいオモチャがあると、無言で他の子からもぎ取ったりします。とられた子は泣いたりするわけですが、ここがコミュニケーションの始まりです。ぶんどった子には「 “Can I use it?” って言ってごらん」、と促し、とられた子には「オモチャを貸してもいいなら“Sure”って言ってごらん」、「今はイヤだったら“No. Later.” って言ってごらん」と、シンプルな言葉から少しずつ憶えさせるんです。

 まだ言葉が出ない頃は、お水が欲しければ黙ってカップを差し出します。でもずっとそのままじゃ次のステップに進めません。だから最初は “Please” って言わせる。それができたら次は“Can I have water please?” って言わせる。簡単なところから、少しずつ複雑にしていく。“Can I have a cup of water?” じゃないか?って思った人もたくさんいるでしょう。そんなことどうでもいいんです。“a cup” なのか、そうじゃないか迷ってダンマリになるくらいなら、正しさにこだわらず、まずは意思を欲求を伝えること。それが最初の一歩なんです。

 もうひとつごく初期に覚えるべき表現は “I want to ~~” っていう言い方です。“I want to go to the bathroom.”、 “I want to have some snacks.”、“ I want to play with that Sina.” そんなふうに子供たちは単語を増やしていきます。大人だって “I want to have some coffee.”とか “I want to kiss you.” とか ”I want a nice car.” とか “I want to get some raise.” とかなんとか、欲求を表現すべきシーンはたくさんあります。黙ってニコニコしていても始まらない。観光だって、ビジネスのシーンだって自分の欲求を伝えなければならないシーンはたくさんあります。“I want to~” を “I need to~” に入れ替えてみる。「これが必要だ!」って。子供もそんなふうに覚えていきます。

 そうそう。学校では教えてくれないけど、“want to” は “wanna”、“going to” は “gonna”、“got to”は “gotta” なんて縮めて言うし、3歳児でもそう言います。これはとっても重要ですので、是非覚えてくださいね。

 自分の欲求が言えるようになったら、次は、人の欲求を聞いてみましょう。“Do you want to drink milk?”、“Do you want to take a walk?”、“Do you want a hug?”、“Do you want a boyfriend?” そんなふうにしてちょっとずつ会話らしくなっていきます。

 “Let’s~~!” も子供たちが真っ先に覚えていく表現です。“Let’s ride bikes!”、“Let’s have some snacks!”なんてね。これも一種の欲求の表現です。仲間に声がけする。大切なことですよね。

●好き嫌いを表現しよう

 欲求が言えたら、次は好き嫌いです。え? なんか動物的すぎるって? 当たり前です。なんだってベーシックなことからスタートです。それにですね、アメリカでは自分の欲望や好みをよく訊かれるんです。だから言うのにも慣れておいた方がいいんです。だから、子供にかえって好き嫌いを大胆に表現してみましょう。“I like bananas.”、“ I like rock 'n' roll.” なんて具合に、好きなものや、好きな食べ物、好きな音楽、好きな遊びなどを表現してみる。そしたら次は嫌いなものです。「嫌い」と言えば “hate” ですけど、“hate” ってとっても強い「憎む」といった感じの言葉ですから、まずは “I don’t like” でスタートです。“I don’t like coffee.”、“I don’t like him.”、“I don’t like root beer.” などなど。そして、次はその理由を言ってみます。“I like Tony because he is kind. ”、“I don’t like Sam because he is mean.“、“I like the teddy bear because it is soft and feels nice.”

 えっ、くだらないって? でも、この程度のことが案外言えないんです。“I don’t like root beer because it tastes awful.”、“I like the car because it looks cool.”、“I don’t like Betty because she is weird. ” そんな感じです。なお “awful” は最悪!って言う感じでよく使います。“weird”は「変」って感じです。(発音はこちら)「あいつなんかちょっと変」なら “He is kinda weird.” です。“mean”は「意地悪」。“kinda” は “kind of”. これもよく耳にします。中1で教えるべき単語だと思いますね。

●Meanはこんなイメージで暗記!

 自分の好き嫌いを表現するのに慣れてきたら、次は他人の好き嫌いを聞いてみましょう。“Do you like spaghetti?”、“Do you like Jazz?”、“Do you like Sashimi?” などなど。“Yes./No.” って答えが返ってきたら、今度は Why? って理由を聞いてみるんです。こうやって少しずつ会話が広がっていきます。

 子供たちは、こんな感じで語彙や表現を増やしていって、「昨日はママと買い物に行って靴を買ってもらった」とか、いろいろと報告してくれるようになります。この頃の子供の語彙って、たぶん全部で100~200ぐらいじゃないかと思います。それでもけっこう複雑なことが言えるんです。新しい単語をたくさん覚えることも大切なんですが、中学の英語で習った単語がスラスラと使えたら、実はけっこう行けるんです。

●で、何から覚える?
 じゃあ、いったい何から覚えればいいんでしょうか? それはやっぱり使用頻度が高い順です。辞書で有名なOxford Exglish Corpus によると、最もよく使われる動詞25は下記の通りです。

1 Be
2 Have
3 Do
4 Say
5 Get
6 Make
7 Go
8 Know
9 Take
10 See
11 Come
12 Think
13 Look
14 Want
15 Give
16 Use
17 Find
18 Tell
19 Ask
20 Work
21 Seem
22 Feel
23 Try
24 Leave
25 Call

全部中1の単語ですねえ…。それから体の動作に密着した単語がほとんどです。

頭でやること>> think, know, want
目でやること>> see, Look, find
口でやること>> say, tell, ask, call
手でやること>> have, take, get, give, use, make, work
足でやること>> go, come, leave
感じること>> seem, feel

 残ったのは be動詞の“be”に、“do”、そして“try”。なお、この25のうちの20は、5世紀頃に話されていたOld Englishの頃から変わっていない、古い古い言葉なんです。一番必要なことって、時代を経ても変わらないんですね。

 ちなみに1500語あれば日常会話の75%くらいカバーできるって言われています。多いって? 中学校3年間で習う単語がだいたい1200ワードぐらいなんです。これってだいたいnative speakerの4歳児と同等です。つまり4歳児って家の中の会話の75%くらい理解というわけです。だから中学英語の単語がちゃんと聞けて話せれば、取りあえず生きていくくらい何とかなるわけです。

 では最後に今日のまとめ。そしてもっともよく使われる英単語100の紹介です。

●まとめ

- Can I ~~? で欲求を伝えよう
- I want to ~~.で欲求を伝えよう
- Let’s ~~.で要求を伝えよう
- I like ~~、I don’t like ~~. で好き嫌いを伝えよう
- I like ~~、because ~~で好き嫌いの理由を伝えよう
- want to は wanna
- got to はgotta - going to はgonna
- mean は意地悪
- weirdは「変」。シリコンバレーのエンジニアはweird な人でいっぱいです。
- kinda は kind of
- 中3までで1200語。もうちょっと足せば1500だ!
- 1500語憶えれば会話の75%はいける

よく使われる英単語100

1 the
2 be
3 to
4 of
5 and
6 a
7 in
8 that
9 have
10 I
11 it
12 for
13 not
14 on
15 with
16 he
17 as
18 you
19 do
20 at
21 this
22 but
23 his
24 by
25 from
26 they
27 we
28 say
29 her
30 she
31 or
32 an
33 will
34 my
35 one
36 all
37 would
38 there
39 their
40 what
41so
42 up
43 out
44 if
45 about
46 who
47 get
48 which
49 go
50 me
51 when
52 make
53 can
54 like
55 time
56 no
57 just
58 him
59 know
60 take
61 people
62 into
63 year
64 your
65 good
66 some
67 could
68 them
69 see
70 other
71 than
72 then
73 now
74 look
75 only
76 come
77 its
78 over
79 think
80 also
81 back
82 after
83 use
84 two
85 how
86 our
87 work
88 first
89 well
90 way
91 even
92 new
93 want
94 because
95 any
96 these
97 give
98 day
99 most
100 us

 Oxford Exglish Corpus によるとこの100語で世の中の活字の50%が埋まっているそうです。さて来週は、ベーシックな動詞の活用方法を考えてみましょう。それではまた。See you soon!
.松井博

大らかに育てたら、受験で負けない子になる

2014年05月22日 21時26分32秒 | Weblog
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140329-10012215-pfamily-bus_all

プレジデントファミリー 3月29日(土)10時15分配信

■中学生からは自由に泳がせるほうがよい

 オリンピックでメダルを獲るようなエリートを育てることは絶対必要です。でも、われわれには、そんな取り柄はない。それならば、「とりあえず勉強する」「どこに向かっているのかわからないけど、がんばる」でいい。だんだん磨きをかけていくうちに、「ここがこの子のいいところだったんだ」とあとになって気づく、そんな子育てで十分ではありませんか。私たちが生きるこの社会だって、何となくがんばっている人が支えているのですから。

 子供たちに際立った何かを望むより、ゴロンとした粗削りな学力をつけてやりたいと私は考えています。

 ある教え子は、文学部を卒業したのち、一念発起して1年の準備期間で国立大学医学部に合格しました。文系出身者が短期間で医学部受験を突破するのは難しいのですが、彼ならやれるかもしれないと思いました。いろんなことに興味を持ち、知識の幅が広い彼こそ、どんな場面でも応用可能で普遍的な学力を持っていたからです。

 そういった力をどう育めばいいか。まず、子供が中学生になったら、自分の世界を広げていくことに関して、親は監視の目をゆるめてやることが必要でしょう。常に目を配りつつも、ある程度「子供を自由に泳がせてやる」のです。

 そのなかで、子供はさまざまな体験をしていきます。好きなことをどんどん見つけてくる。新しい趣味や交友関係を持つようになる。気をつけないと、日本の学校生活では、学校・家・部活だけの世界になってしまいます。放っておくと、狭い世界に閉じこもってしまう。情報は無限に入り、モノも豊富な社会なのですから、自ら広げようと思って、物事に取り組めば、途端に世界は広がります。

 春は子供が自由に泳ぐ絶好のチャンス。中学でも、高校でも、大学でも、合格した直後の怖いものなしのタイミングですから。
. 好きなことをやらないと集中力は生まれません。何かに集中した体験によって、自分の中にモデルのようなものができ、ほかの場面でも集中できるようになります。何かに没頭した経験のある子は、根を詰めて勉強しなければならない山場で、がんばりが利く。遊びも精一杯やってきた子ほど、最後に集中力が出て、志望大学に合格していきます。中高6年間で培った集中力を、最後の半年で使っているようなイメージです。高校3年の夏まで部活や文化祭準備に奔走していた子が、そのあと猛烈に追い込んで、東大に現役合格するケースを幾度も見てきました。

 世界を広げた分、ある局面では最短距離ではないかもしれませんが、あとになって考えれば、これが一番合理的だったと、本人たちは感じるようです。大人は「最短距離」がベストだと思って誘導したくなりますが、子供にとってはそれが必ずしもベストな道筋ではありません。

 たとえば、私が教えている駿台予備学校のデータで、「5教科受験の生徒」と「3教科受験の生徒」の「3教科の成績」を比べると、「5教科受験の生徒」のほうがよい。本当は教科を絞ったほうが成績は上のはずですが、結果は逆になっています。

 教科同士はちゃんとリンクしていて、ある教科がほかの教科に対して「有効性ゼロ」ということはない。まるで関係なさそうな分野でも共通因子が潜んでいるのです。

 戦略的に教科を絞ることはオーケーですが、しかたなく絞るのはダメ。もし迷ったら、5教科を勉強したほうが結果はついてきます。

 効率を考えて、試験の傾向に合った勉強をすることもまた、逆効果につながります。典型的なのはセンター試験。

 センター試験は選択式なので、センター試験に特化した勉強を重ねると、「答えを選ぶ」ようになり、自分で「答えを作り出す」ことができなくなってしまうのです。

 成績優秀な生徒たちは、センター試験の現代文問題を、自分で答えを書くとしたらどうするかという姿勢で解いています。選択肢同士を比べて答えを出すというテクニックは使っていない。むしろ、面倒なことをやっています。

 東大文系受験者は数IIIを学ぶ必要はないのですが、勉強している子のほうが成績がいい。困難を抱える子のほうが伸びるのです。

 つまり、子供はさまざまなもの、あらゆることを抱えるほうがいい。抱えられるときに抱えられるだけ抱える。抱えることをいとわないことが大事なのです。しようがなく抱えるのではなく、平然と抱えるのがいい。抱えることでしか、ゴロンとした学力は身につかないのです。
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■親が答えを持っていても、教えなくてよい

 親にとって大切なことは、最短距離を進まない子供を「待てる」ことでしょう。親が待てる人なら、自然に子供も待てるようになる。わかることを焦らない、急がないようになります。問題演習で「自分で考えるから、答えを教えるのは明日にして」という生徒は成績がよく伸びます。

 もうひとつは、親バカになるべきです。行き過ぎるといけませんが、親の期待があるから、子供は知的好奇心を増幅させ、集中力をつけ、何かを成し遂げようとします。もし、親がわが子を褒めないとしたら、いったい誰がその役割を果たしてくれるでしょうか。子供にとってみたら、世界で一番褒めてくれる人がいなくなってしまいます。

 あとは、志望大学や将来の職業について、誘導しないことです。近年は、医学部志向が強くなっています。とくに、地方の名門公立校ほどその傾向が強い。将来性があり、ある程度安定した収入が得られ、しかも地元に留まってくれるという点で、保護者から見れば、医師は理想的な職業なのでしょう。気持ちはわかります。ですが、可能性は開いた状態でいたほうがいい。それに子供たちはどこの大学に行きたいか、どの学部に行きたいかという形を通して自分の人生を具体化していくしかありません。手探りのなかで、ようやく彼らの価値観が姿を現します。世間的な物差しで大学や就職を決めてしまうのはもったいないことです。

 わざわざ遠くの大学を選ぶ子がいます。親と距離を置いてやってみたいといった、本人でさえよくわかっていないような事柄を、志望大学の選択と結びつけて親に出してくる。親にすれば理由が見当たらない決断こそ、正しい成長過程なのだと思います。

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大島保彦 
1955年、群馬県生まれ。駿台予備学校英語科専任講師。東京大学文学部哲学科卒業、東京大学大学院博士課程(比較文学比較文化)満期退学。1984年から現在まで駿台の教壇に立つ。大学で哲学、倫理学、文明論などの非常勤講師も兼務した。
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100万円やるから、世界を旅してこいや!

2014年05月22日 21時25分13秒 | Weblog
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140330-10012219-pfamily-bus_all

プレジデントファミリー 3月30日(日)10時15分配信

 今年で81歳になるけどさ、俺はこういう雑誌を購読しているんだよ。「LEON」「Pen」、カード会員誌の「SIGNATURE」……。意外だろ? 

 こんなオシャレ雑誌を俺みたいなジイさんが読むなんて。ファッション、インテリア、旅行、いろんな分野のトレンドがどうなっているのか気になるんだよ。

 自分の仕事に直接役立つわけじゃない。でもね、刺激を受けるんだよなあ。雑誌をパラパラめくって、そこに載っている情報にピンとくることがある。「あ、これは本物だ」ってね。考え抜いて、作られた優れたモノやサービスだってわかる。すると、俺も負けてらんねぇ、いいモノ作らねえといけねえって、不思議とやる気がむくむくと湧き上がってくるんだな。

 子供のためになるお金のかけ方――。今回のテーマを聞いて声を大にして伝えたいのは、とにかく子供にこそ、「本物」を見せたり、体験させたりしてほしいってことだ。テレビやインターネットでわかった気になってちゃダメだ。子供には五感で本物を味わわせて、感性を磨いてやるべきだよ。磨けば磨くほど、勘が鋭くなって利口になる。

 利口ってのは勉強の成績の良しあしとは関係ないよ。生きていくうえでの知恵のようなものだ。俺は、大企業のお偉いさんやNASAの頭のいい人たちとも一緒に仕事をしてきたけどさ、本当に仕事ができる奴っていうのは感性が違うんだよな。俺が今も「LEON」とか読むのは、感性を鈍らせたくないっていう理由もあるんだ。

 ところで、本物って一体なにか。ここが問題だが、そう堅苦しく考えることはねえよ。

 例えば、チェーンの回転寿司店ではなく、ちゃんとした寿司屋で食べさせるということも、本物体験の1つだよな。
. 以前、地方からやってくる中学校の修学旅行生の一部をウチの工場で受け入れたことがあったんだ。たぶん旅行の行程の中の「自由時間」なんだろうな。多くの子供は東京ディズニーランドやお台場なんかに行くんだろうが、変わった子もいて、書籍やテレビ番組で知った俺の工場を見学したいと熱心に申し出るケースがあるんだな。

 もちろん工場内を見せてやるんだけど、それだけで帰してしまうんじゃ、つまらねえ。そこで工場見学のあと、ウチの裏にあった江戸前寿司屋で生徒に予告なしでご馳走してやるんだ。「トロでもイクラでも、好きな寿司を好きなだけ食べていいぞ。でもな、ビールは飲むなよ」なんて言って、俺はわざといなくなって遠慮なく食べさせたわけだ。

 もちろん、支払いは俺が全部持ったよ。カウンター席で好きなネタを職人に注文して、その場で握ってもらう。そんな体験は初めての子も多かっただろうな。職人と対面する独特の緊張感と、新鮮なネタとシャリの旨さを存分に味わった子供からはたくさん感謝の手紙をもらったね。きっと学校では絶対に習わない「授業」になったんだろう。

 俺の勝手な考えだけど、安いもので腹を満たしてばかりいると、どうも人間的な魅力が失われてしまうように思うんだ。身も心も、100円ショップのようになっちまってさ。世の中には、いい風体の人と悪い風体の人がいて、本物を知っている人ほど風体がいい。見る目があるし、品もある。

 ふだん節約することの大切さや小遣いの使い方を教えるのと同様に、ときには、一流のサービスを受けてパーッとお金を使う経験をするといいと思うよ。

 言うまでもないけれど、旅も子供を成長させるいい機会だ。実際、俺の娘2人(長女:水泳コーチを経て、主婦。次女:外資系航空会社の客室乗務員を経て、主婦)には、「20歳まではやりたいことはなんでもやらせてやる」と宣言していた。毎年3、4回は家族で海外旅行に出かけていたよ。よく行ったのは日本と趣の違う自然豊かなアジアの島、それに発展途上国だ。途上国は、エネルギーに満ち溢れていて街の成長を肌で感じることができる。だから社員旅行でも、もっぱらそういう国々で、欧米へは一度も行ってないな。

 次女は大学時代に南米を一人旅したいというから、(1970年代後半で治安がまだ不安定だったゆえ)安全も考えて、「行ってもいいが、超一流ホテルに泊まれ」と言ったんだ。当然、そのほうが次女にとって身になる経験値を上げられると踏んだからだけど、旅行費はなんと計200万円!  正直、ずいぶんかかったなあ(苦笑)。でも、今で言うセレブな人との出会いやその後の進路(航空会社)を思えば、娘への投資は決して高いとは思わないね。
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 かわいい子には旅をさせよ、って言うけど、あれ本当だな。ひと回りもふた回りも精神的にたくましくなって帰ってくる。塾代に金をかけるのも悪くないけどさ、俺なら「100万円やるから、世界を旅してこいや」って言うな。

 孫も、小学2年生のときから、どじょうすくいが面白くなったからと、夏休みになると本場・島根の先生のところへ泊まり込みで行かせた。どじょうすくいの練習以外にも、草むしりや掃除などいろいろ手伝いをやらされてね。そうやって他人に教わったり自宅以外で経験したりすることで子供はグンと成長する。

 子供時代は、俺も日々、冒険旅行だったよ(笑)。俺はこの東京の下町に生まれ育ったけれど、戦前から戦後にかけては、この辺りが今の「六本木」のような最先端の街だったんだ。玉の井の色街もこの辺りにあった。周囲が焼け野原なのにそこだけは煌々(こうこう)と明かりが灯る不夜城でね。まさに永井荷風の『墨東綺譚(ぼくとうきたん)※』の世界だよ。戦後しばらくすると、資生堂や花王石鹸(現・花王)、ライオン石鹸(現・ライオン)など大手の工場を含む一代工業地帯もできた。

 玉の井ではきれいなお姉さんの使い走りなんかをして小遣いを稼いだり、工場ではモノ作りの工程をじっくり観察したりしてね。風鈴、コップ、ガラス、ゴム……。職人の技は何時間眺めていても飽きなかったな。

 当時はまだきれいだった荒川の向こう岸を友達と泳いで渡ったりもしたな。日時によって、目に見えない、川の流れがあって、それを考えながら最短距離で泳いだ。

 地元でそうした社会見学や工場見学を勝手にして「本物」に触れたことや、隣町へ遠征してのちょっとした冒険や失敗をたくさんしたことで、俺は今の俺になったわけだ。

 俺は、終戦の年に小学6年生で、今の制度でいえば中学中退になるんだけど、この年になるまで何とかそれなりにやってこられたよ。考えてみれば俺の場合、金は全然かかってねえけどな(笑)。時代が違うと言ってしまえばそれまでだけど、つまり、金はかけなくても本物体験はできるってことだ。

 とにかく感性を磨くこと、そして失敗もさせること、これが子供を利口にする方法だと思うよ。

 ※本来の表記は「墨」が左にさんずい

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岡野雅行 
岡野工業代表社員。1933年、東京都生まれ。痛くない注射針やリチウムイオン電池ケースなどを開発した金属深絞り加工の世界的職人。NASAをはじめ国際的な企業とのコラボも多い。『学校の勉強だけではメシは食えない! 』など著書多数。
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なぜTTP交渉が難航しているのか --- 後藤身延

2014年05月22日 21時21分40秒 | Weblog
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140424-00010016-agora-pol
アゴラ 4月24日(木)17時42分配信

TPP交渉が難航しているようです。今週、オバマ米国大統領が来日することで、交渉の進展を期待する声もあるようですが、元々、昨年末には交渉妥結を目指していたはずです。交渉事であるので予想以上に時間のかかる場合もあると思いますが、早くTPPを成就させたい米国政府、オバマ大統領にとっては芳しくない進捗ではないかと想像します。この状況において日本の対外的な交渉、外交における課題を考えたいと思います。

まず、日米両国のTPPの真意を推察したいと思います。米国の真意は自らが主導する自由貿易協定を環太平洋地域或いは中国を含めたアジアで推進させることにあると思います。

米国の太平洋戦略は、19世紀後半、当時すでに衰退していたスペイン帝国との戦争(米西戦争)に勝利して、カリブ海、太平洋のスペイン統治領であったキューバやフィリピンを統治するようになった辺りから本格的になっていると思います。その後、ハワイを支配下に置き、フランスからパナマ運河建設を引き継ぎ、太平洋艦隊を創設するなどすべて、太平洋における制海権、シーレーン確保の動きであり、アジア地域の商圏獲得、米国主導で経済支配の実現という戦略があると思います。そして、最終的には中国とどのような形で対峙するかということではないかと推察します。

では、日本の真意はどうなのでしょうか。日本はバブル崩壊後、経済的には一時期の勢いを失ったもののまだ経済大国であり、貿易立国であることには変わりません。であるなら、産業によるメリット、デメリットはあるとしても、全体としては自由貿易協定に加わることで日本に利するところは多いはずであり、TPPを締結することは良い選択であるとなります。でも、本当にそうなのでしょうか。ではなぜ、なかなか合意できないのでしょうか。

この現状をみると2つの事がみえてきます。まず、日本の国家的な戦略が曖昧もしくは国内での意思統一、共有がなされていないことです。

明治維新から第2次世界大戦までは、欧米列強の植民地にされないこと、更にはアジアの大国になることが基本戦略でした。そして、敗戦後は東西冷戦下で西側陣営の中での物質的な豊かさを取り戻す、経済的に自立することが基本戦略でした。

しかし、バブル崩壊後は何を基本に将来のビジョンを描くのかが国として描ききれない或いは国内で共有されていない状況にあると思います。各産業がそれぞれにメリット、デメリットを論じてTPPの是非を問うことは仕方のないことですが、各省庁がTPPの経済効果をそれぞれに試算して論じることは国として戦略が共有されていない証拠であり、対外的な交渉事としては非常に危ういことと思います。

非常に極端な例ですが、第2次世界大戦前の当時の日本政府内の状況と似ています。外務省、陸軍省、海軍省の思惑、想定がばらばらであり、かつ情報共有もなく、最終的には開戦という選択肢しかない状況に追い込まれています。

貿易協定と戦争の可能性を含む外交問題とを同列に論じるつもりはありませんが、同じ交渉事として考えた場合、自らの基本姿勢が不明確な状況で交渉に臨むことは、相手との利害の均衡点、妥協点を見出すことを困難にし、悪戯に交渉を長引かせることになり、如いては相手側を苛立たせ、交渉がまとまらないこととなりかねません。TPPを推進したい政府としては何とか国内の反対勢力を黙らせたいと考えているはずですので、日米首脳会談で首脳同士の合意をすることで国内をまとめるという手法がなされる可能性があると想像します。

国内の意思統一に外圧や対外的な公約を使う手法は日本政府がよく使う手ですが、交渉相手からみると今までの交渉過程が無意味なものと捉えられる可能性もあり、今後、同様な交渉をする際の悪しき事例になりうると考えます。それでも、首脳同士の話し合いで合意がなされるならよいですが、妥協点が見出せないようだと交渉の決裂のみならず、今後の交渉事項にも影響を及ぼすのではないかと危惧します。

もうひとつの可能性として見えるのは、政府の真意がTPPへの参加が絶対的なものではなく、条件次第で参加を考えるという流動的なものである可能性です。政府の日本国民に対する説明は一環して参加が前提の交渉ではないということでしたので、説明通りの交渉であり、交渉が難航しても有利な条件を引き出すための交渉術であると言えるかもしれません。

しかし、このような交渉が国際社会、米国相手に通用するのでしょうか。米国主導の自由貿易協定であるTPPへの参加の是非は議論のある事と認識しますが、交渉のテーブルに着いた段階では、方向性をはっきりとさせて望まないとならないのではないでしょうか。また、交渉相手の不信感に対してそれを払拭するだけの説明ができるのでしょうか。

日本が対外的な交渉において、交渉相手から信用されない、もしくは誤解される点は、日本的な思考ではないかと思います。

日本語は、主語と述語の間に形容詞や副詞を入れる体系です。それに対して英語を初めとする外国語は主語、述語、その後に形容詞や副詞がくる体系です。よく、プレゼン資料でも結論をはじめに持ってくるのかどうかが問われますが、この点は非常に日本的な思考であり、主語のあとに述語がある言語をもつ人たちには分かり難い印象をもたれると思います。また、本音と建前の使い分けや湾曲した言葉での表現(例えば、「調査捕鯨」「敗戦を終戦」「撤退を転進」など)することは、日本人同士なら理解できることですが、外国との交渉では通用しないことと思います。

後藤 身延