やる気はどこから出てくるの?

2009年11月11日 11時52分49秒 | Weblog
脳の構造を「思考系」「感情系」で分類してみると、思考系の中枢が大脳新皮質、感情系の中枢が大脳辺縁系。文中「大脳辺縁系は他の領域より強く」とありますが、実際、脳外科医である築山先生は「脳が衰えていくときでも感情系の機能はなかなか落ちない」という患者さんをたくさん見てきたそうです。
やらなければいけない仕事は山ほどある。なのに、なかなか“やる気”が出てこなくて、一向に仕事がはかどらない…。そんなことって誰でもありますよね?

これって脳の問題だと思うんですが、どうにかならないのでしょうか? ベストセラー『脳が冴える15の習慣』で知られる、脳神経外科医の築山節先生に聞いてみました。

「脳は基本的に怠け者で、隙あらば休もうとします。といっても、脳全体が休んでしまうのではなく、体の機能と直結した“運動系”、好き嫌いを司る“感情系”と呼ばれる部分は動いています。怠け者なのは、やる気や意欲と深いかかわりを持つ“思考系”と呼ばれる部分で、この部分を活発にするには何らかの変化を脳に与える必要があります」

ダラダラとテレビを見る、ネットで仕事とは関連のないサイトばかり見るといった行為は、思考系の脳にとってまるで変化のない状態。「こんなに変化がないなら出番はない。休んじゃおう」となってしまうのだそうです。しかし、ダラダラをやめない限りやる気は出ないといわれても、やる気が出なければダラダラをやめることはできないし…。

「そういうときは、少しずつ脳のスイッチをオンにしていけばいいのです。テレビを見ることがやめられなくなってしまったなら、まず目線をテレビから外して、違う景色をしばらく見ます。それだけでも脳にとっては変化です。さらにキッチンに行ってお茶を入れ、手と足を動かすようにするなど、少しずつ大きな変化に脳を対応させていくのです。そのころには思考系が優位になり『テレビを消そう』という理性が働いて、実際にテレビを消せるはずです」

運動系を働かすことで思考系が活発になるのは、脳の構造によるもの。手足や口などを動かす運動系の機能は脳の中でも表面中央部に分布していて、その部分を活性化すると、脳全体の血流を良くしてくれるといいます。意識的に手足を動かしてやることで、やる気を司る大脳も活発になるのです。

築山先生が特に大切だと話していたのが、歩くこと。足を動かすための機能は、脳の中でも頭頂部に近い領域が担っているので、歩くと血流が脳の高いところまで汲み上げられることになります。それによって脳全体の血流が良くなり、思考系が活発になるのだそうです。

また、好きなことならばできて、嫌いなことだとなかなかやる気が起きないというのも、脳の構造の問題なのだとか。感情系を司る大脳辺縁系は他の領域より強く、「やらなきゃ」と自分を律する思考系より、「快/不快」「好き/嫌い」という感情系が強く働いてしまうため、嫌いなことだとなかなか行動できなくなってしまいます。

それでも理性によって感情を抑制できるのが人間。「ちょっとイヤかも」くらいのことを積極的にやるということを繰り返し、「我慢はそんなにイヤなことではないよ」と脳に言い聞かせれば、徐々にイヤなことでもクリアできるようになるそうです。

「視線を動かす」「歩く」「ちょっとイヤなことを我慢する」くらいなら、誰でもすぐにできそう。やる気が出なくてお困りの人は、すぐに実践してみましょう!

http://r25.jp/b/report/a/report_details/id/110000007855


脳の“やる気スイッチ”は
どうやってオンにする?

北品川病院院長 築山節医師。92年には脳疾患後の機能回復を図るための「高次脳機能外来」を設立。脳神経外科専門医として数多くの診断・治療・研究に携わってきた経験から、数々の“脳に良い生活習慣”を提唱している。
呼吸を含む全身の運動や感情、思考を司っている脳。どんな機能にもしっかり働いてもらいたいものですが、ビジネスマンたるもの、特に“やる気”や“集中力”が高まる脳であってほしい! そこで、脳神経外科医である築山節先生に、やる気の出る脳になる方法を聞いてきました。

「“やる気”を出すためには、休んでいる脳のスイッチをオンにする必要があります。特に大切なのは、朝の過ごし方。朝、起きたばかりの脳はぼんやりしていて、活発に動くまでには2時間ほどかかります。たとえば朝9時から仕事ならば、少なくとも7時には起き、脳を含む全身の血流が良くなるように体を動かしましょう」

駅までの道のりを少し長めに歩いたり、エスカレーターを使わずに階段を上がるようにすると、血液が脳までポンプアップされて、頭がすっきりするのだそうです。また、口を動かすこと、声を出すことも脳のアイドリングには効果があるので、会社に着いたら元気よく挨拶し、ちょっと雑談を交わす。これで始業時間とともにバリバリ仕事を始めることができます。

朝早く起きるためには、当然、夜早く寝ることも大切。寝ている間は脳も休んでいると思われがちですが、実は、睡眠中は記憶の定着や思考の整理が行われています(大脳などは疲労回復のために活動を止めていますが)。なので、最低6時間くらいは眠らないと、その日に蓄えた情報を整理する能力が下がり、思考を司る大脳も疲れたまま…。「忙しいから」と睡眠時間を削ると、かえって仕事の効率を下げてしまうのだそうです。


50万部を超えるベストセラー『脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める』(NHK出版生活人新書)、最新刊『脳から変えるダメな自分 「やる気」と「自信」を取り戻す』(NHK出版)。どちらも、タイトルを見ただけで「読まなきゃ!」という気にさせます。
さらに、昼間は仕事のやり方にメリハリをつけることで、集中して仕事ができるようになると築山先生はいいます。

「企画を考えたり、難しい計算をしたり、脳に高度な仕事をさせるのは1時間が限度。それ以上やっても脳が疲れてしまって十分には働きませんから、適度に休ませて、またスタートすることです。仕事の中には単純な打ち込み作業や慣れている仕事など、それほど高度ではない作業が結構ありますね? やる気が出なくて困っているときは、とりあえずそういう作業を進めます。そうすると、その作業によって脳の思考を司る部分が活性化し、やる気が出てきますから、そのときを見計らって高度な仕事をすればいいのです」

学生時代、試験勉強をする気になれないので机の周りを掃除してみたら、やる気になったという経験はありませんか? これは、意欲の発生と深い関係があるといわれている大脳辺縁系の「側坐核(そくざかく)」という器官が活性する「作業興奮」によるもの。仕事でもこの原理を利用して、簡単な作業で達成感を得て、脳を活性化させようというのです。

このように、きちんと働く脳であるための基本は、早寝・早起き・適度な運動・整理整頓。これに加えて、3食きちんとバランスの良い食事をとることも大切だと築山先生はいいます。バランスのとれた食事は、脳が必要とする様々な栄養を吸収すると同時に、生活のリズムを整えたり、よく噛んで脳に刺激を与えるためにも重要なのです。

結局、規則正しい日常生活が何よりも大切。脳もカラダの一部なのですから、健康的な生活が一番ということのようです。

http://r25.jp/b/report/a/report_details/id/110000007855/part/2