【第1回】
「ブッダ」を昔のえらい人の名だと思っているなら、それは大きな勘違いでしかないブッダは空気のようなもの。気づけるか、気づけないか、ただそれだけ。
毎日2万人以上が訪れる人気ブログ「いまここ塾」を主宰し、
全国で開催されている講演会はいつも満員御礼という阿部敏郎氏と、
大手企業に就職するも29歳で得度し、
以来、長く禅寺の住職を務める向令孝氏が、
禅とスピリチュアルの両面から“悟り”について赤裸々に語る!
二人の共著『みんながブッダ』付属CDに収録されている対談から
一部抜粋・編集して全4回にわたってお送りします。
「本当は、あなたはそのままですごい存在なんですよ」
っていうことを伝えたいだけ
阿部:考えてみたら、もう向さんと会って、15年以上?もっと経つ?
僕が最初に向さんと会ってお話うかがう中で、交流分析をちょうど当時勉強しているというので、「なんでそういうのを勉強しているんですか」って聞いたら、禅には伝統の素晴らしさはあるけれど、敷居が高くなっていて一般の人には届きにくくなってる面があるから、自分としては同じ視点に立つために、こういう心理学的な面も取り入れたいと思ってるんだ、っていう話もしてくれて、面白い人だなって思いましたよ。
僕自身もそういう心理学をもとにしたセミナーをやっていたんで、なんか通じるところもあるんじゃないかっていうところからいろんな話が盛り上がって、ある時、「一緒になんかやってみましょう」って話になって、それで企業の人たちなんかに向けた僕たち独自のプログラムを立ち上げて、そして一緒にDMを作って、封筒に入れて…
向:写真も撮ったね、そのための。
阿部:撮りましたね。僕なんてあのとき、着たことのない背広を着て、企業訪問しました。営業までやりましたね。
それで、いろんな企業の方たちが来てくれて、僕たちの会を経験してもらったわけだけれども、その中で結局、僕らがやったことっていうのは、すごい教えっていうようなものを皆さんに提供したわけじゃない。
最初から、来た皆さんに、「本当はあなたはすごい存在なんですよ、本来OKなんだよ」。誰と比較する必要もないし、あなたはあなたによって素晴らしいものとして生かされている、ということに気づいてもらおうということに尽きました。
向:そうそう。だから「OK!」って、みんなとやった。
阿部:二泊三日だとしたら、おそらくその間、百回くらいは二人で大きな声で、「OK!」「ユー・アー・オッケー!」って言い続けました。
なんで言い続けたかっていえば、OKだからですよね。
ところが、みんな、ずっと競争とか比較とかいった中で育ってきたから、どうしても自分の足りないところとかばかり見せられてきて、親とか教師は、その人にモチベーションをあげてもらうために、「今のままのお前じゃだめだ、だから頑張れ!」みたいなダメ押しするから、それがどこか潜在意識に染み付いちゃって、「自分は今頑張って何とか生きているけれど、でも、ほんとはダメなんだ」っていう感覚だけが抜け切れない。
向:今はそう、多いね、そういう人が。
向:別にほめられようが、何かできようができまいが、もともとOKなんだという、存在としてあるがままでOKなんだというところに、みんなが気づくということが本当に大事なこと。
阿部:そうすると、みんな力が抜けて、初めて自分を生きるっていうことが、できてきますよね。
向:自分を信頼できるし、それは完全にリラックスして自分はOKと感じるものだから、周りも信頼できる。そこから本当の人間的な交流というのが始まって、新しいことが展開していく。
阿部:それまでっていうのは、お互いに様子をうかがいながらディフェンスがあって、お互いに壁があって、それで、当たり障りのないことをちょこちょこ言いながら、何とかお互いの一致点を見出して人間関係を作っているけれども、そんなものも本当はいらないんだよねぇ。
向:もともと一致しているというところからスタートすればいいんだけれども。
阿部:そうだよね。そうすると人間関係なんかも風通しがよくなって、ストレスもないし、それで、そこにはもう、相手に対する判断っていうものが少なくなっているよね。
お前はそういうやつだから、っていうようなものが自分の中で消えていくから。
向:あるがままでOKなんだから。裁かないんだから。自分も裁かないし、相手も裁かない。
阿部:そうそう。そのOKは、単なる及第点まであなたが到達していますよ、っていうOKじゃなくて、ホントのところのOK!
向:もともとOKなんだよ、っていうことなんだよね。
阿部:その「もともとOK」だっていうことを、ちょっと難しい言葉で、“ブッダ”って言うんじゃない?
阿部:“ブッダ”っていうと、どこかにいるえらい人みたいに思うかもしれないけど、本来、われわれはそのブッダのエネルギーによって生かされている。
向:そうそう。それを自覚している人が“ブッダ”ということなんだ。空気みたいなものなんだね。
阿部:自覚していようといまいと、ブッダであることは変わらない。
向:そうそう。いつもみんな空気を吸っているけど、その空気を「あー、空気を吸えてありがたいなあ」と思えるのか、その空気を吸えることの恩恵を忘れているか、ということやね。
みんな空気を吸っている。空気がないことには生きてられない、空気によって生かされている。でも、そのことに気づかないで、空気はどこだー、空気はどこだー、って走り回っているのが普通の人じゃないかな。
でも、本来は、新鮮な空気にちゃんと包まれていて、はぁー、空気ってこんな新鮮で、おいしいな、ありがたいな、というふうに思える、それが「自覚」というもの。
もともと空気に生かされているわけだけれど、それに気づくか気づかないか、というちょっとしたポイントの違いだよね。
阿部:今、空気っていうたとえ話になったけど、それはわれわれを生かしている、ブッダである大いなるエネルギー、それに対する自覚。
これは空気みたいなもので、自分そのものだから気がつかないけれど、そうなんだっていうことを自分たちが思い出せば、また全然、自分に対する認識が変わりますよね。
向:あまりにも空気と一緒で、つねにあって当たり前すぎるから気づかない。
阿部:そうなんだよね。人間って、失くさないと気がつかない。
向:そうそう(笑)。前に一回言ったことがあるけど、真空状態の部屋にみんなで入って…
阿部:空気を抜く!
向:そうそう、ゆっくり。そうすると、だんだんみんな、苦しくなる。
阿部:アーッ!何だ、ここはっ!?何とかしてくれー!苦しい!空気がほしい! ぎりぎりまで追いつめて、もうこれは死ぬかもしれない、っていうタイミングを見計らって、新鮮な空気をサーッと入れる。
向:あー、空気だー!って感動するわけ(笑)。結局、修行っていうのは、あえてそういうシチュエーションに追い込んでいるんじゃないかな。
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向:写真も撮ったね、そのための。
阿部:撮りましたね。僕なんてあのとき、着たことのない背広を着て、企業訪問しました。営業までやりましたね。
それで、いろんな企業の方たちが来てくれて、僕たちの会を経験してもらったわけだけれども、その中で結局、僕らがやったことっていうのは、すごい教えっていうようなものを皆さんに提供したわけじゃない。
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向:そうそう。だから「OK!」って、みんなとやった。
阿部:二泊三日だとしたら、おそらくその間、百回くらいは二人で大きな声で、「OK!」「ユー・アー・オッケー!」って言い続けました。
なんで言い続けたかっていえば、OKだからですよね。
ところが、みんな、ずっと競争とか比較とかいった中で育ってきたから、どうしても自分の足りないところとかばかり見せられてきて、親とか教師は、その人にモチベーションをあげてもらうために、「今のままのお前じゃだめだ、だから頑張れ!」みたいなダメ押しするから、それがどこか潜在意識に染み付いちゃって、「自分は今頑張って何とか生きているけれど、でも、ほんとはダメなんだ」っていう感覚だけが抜け切れない。
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阿部:そうすると、みんな力が抜けて、初めて自分を生きるっていうことが、できてきますよね。
向:自分を信頼できるし、それは完全にリラックスして自分はOKと感じるものだから、周りも信頼できる。そこから本当の人間的な交流というのが始まって、新しいことが展開していく。
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向:もともと一致しているというところからスタートすればいいんだけれども。
阿部:そうだよね。そうすると人間関係なんかも風通しがよくなって、ストレスもないし、それで、そこにはもう、相手に対する判断っていうものが少なくなっているよね。
お前はそういうやつだから、っていうようなものが自分の中で消えていくから。
向:あるがままでOKなんだから。裁かないんだから。自分も裁かないし、相手も裁かない。
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向:もともとOKなんだよ、っていうことなんだよね。
阿部:その「もともとOK」だっていうことを、ちょっと難しい言葉で、“ブッダ”って言うんじゃない?
阿部:“ブッダ”っていうと、どこかにいるえらい人みたいに思うかもしれないけど、本来、われわれはそのブッダのエネルギーによって生かされている。
向:そうそう。それを自覚している人が“ブッダ”ということなんだ。空気みたいなものなんだね。
阿部:自覚していようといまいと、ブッダであることは変わらない。
向:そうそう。いつもみんな空気を吸っているけど、その空気を「あー、空気を吸えてありがたいなあ」と思えるのか、その空気を吸えることの恩恵を忘れているか、ということやね。
みんな空気を吸っている。空気がないことには生きてられない、空気によって生かされている。でも、そのことに気づかないで、空気はどこだー、空気はどこだー、って走り回っているのが普通の人じゃないかな。
でも、本来は、新鮮な空気にちゃんと包まれていて、はぁー、空気ってこんな新鮮で、おいしいな、ありがたいな、というふうに思える、それが「自覚」というもの。
もともと空気に生かされているわけだけれど、それに気づくか気づかないか、というちょっとしたポイントの違いだよね。
阿部:今、空気っていうたとえ話になったけど、それはわれわれを生かしている、ブッダである大いなるエネルギー、それに対する自覚。
これは空気みたいなもので、自分そのものだから気がつかないけれど、そうなんだっていうことを自分たちが思い出せば、また全然、自分に対する認識が変わりますよね。
向:あまりにも空気と一緒で、つねにあって当たり前すぎるから気づかない。
阿部:そうなんだよね。人間って、失くさないと気がつかない。
向:そうそう(笑)。前に一回言ったことがあるけど、真空状態の部屋にみんなで入って…
阿部:空気を抜く!
向:そうそう、ゆっくり。そうすると、だんだんみんな、苦しくなる。
阿部:アーッ!何だ、ここはっ!?何とかしてくれー!苦しい!空気がほしい! ぎりぎりまで追いつめて、もうこれは死ぬかもしれない、っていうタイミングを見計らって、新鮮な空気をサーッと入れる。
向:あー、空気だー!って感動するわけ(笑)。結局、修行っていうのは、あえてそういうシチュエーションに追い込んでいるんじゃないかな。
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