「ブッダ」を昔のえらい人の名だと思っているなら、それは大きな勘違い

2012年09月23日 15時58分12秒 | Weblog
【第1回】
「ブッダ」を昔のえらい人の名だと思っているなら、それは大きな勘違いでしかないブッダは空気のようなもの。気づけるか、気づけないか、ただそれだけ。

毎日2万人以上が訪れる人気ブログ「いまここ塾」を主宰し、
全国で開催されている講演会はいつも満員御礼という阿部敏郎氏と、
大手企業に就職するも29歳で得度し、
以来、長く禅寺の住職を務める向令孝氏が、
禅とスピリチュアルの両面から“悟り”について赤裸々に語る!

二人の共著『みんながブッダ』付属CDに収録されている対談から
一部抜粋・編集して全4回にわたってお送りします。
「本当は、あなたはそのままですごい存在なんですよ」
っていうことを伝えたいだけ

阿部:考えてみたら、もう向さんと会って、15年以上?もっと経つ?
僕が最初に向さんと会ってお話うかがう中で、交流分析をちょうど当時勉強しているというので、「なんでそういうのを勉強しているんですか」って聞いたら、禅には伝統の素晴らしさはあるけれど、敷居が高くなっていて一般の人には届きにくくなってる面があるから、自分としては同じ視点に立つために、こういう心理学的な面も取り入れたいと思ってるんだ、っていう話もしてくれて、面白い人だなって思いましたよ。
僕自身もそういう心理学をもとにしたセミナーをやっていたんで、なんか通じるところもあるんじゃないかっていうところからいろんな話が盛り上がって、ある時、「一緒になんかやってみましょう」って話になって、それで企業の人たちなんかに向けた僕たち独自のプログラムを立ち上げて、そして一緒にDMを作って、封筒に入れて…

向:写真も撮ったね、そのための。

阿部:撮りましたね。僕なんてあのとき、着たことのない背広を着て、企業訪問しました。営業までやりましたね。
それで、いろんな企業の方たちが来てくれて、僕たちの会を経験してもらったわけだけれども、その中で結局、僕らがやったことっていうのは、すごい教えっていうようなものを皆さんに提供したわけじゃない。
最初から、来た皆さんに、「本当はあなたはすごい存在なんですよ、本来OKなんだよ」。誰と比較する必要もないし、あなたはあなたによって素晴らしいものとして生かされている、ということに気づいてもらおうということに尽きました。

向:そうそう。だから「OK!」って、みんなとやった。

阿部:二泊三日だとしたら、おそらくその間、百回くらいは二人で大きな声で、「OK!」「ユー・アー・オッケー!」って言い続けました。
なんで言い続けたかっていえば、OKだからですよね。
ところが、みんな、ずっと競争とか比較とかいった中で育ってきたから、どうしても自分の足りないところとかばかり見せられてきて、親とか教師は、その人にモチベーションをあげてもらうために、「今のままのお前じゃだめだ、だから頑張れ!」みたいなダメ押しするから、それがどこか潜在意識に染み付いちゃって、「自分は今頑張って何とか生きているけれど、でも、ほんとはダメなんだ」っていう感覚だけが抜け切れない。

向:今はそう、多いね、そういう人が。

向:別にほめられようが、何かできようができまいが、もともとOKなんだという、存在としてあるがままでOKなんだというところに、みんなが気づくということが本当に大事なこと。

阿部:そうすると、みんな力が抜けて、初めて自分を生きるっていうことが、できてきますよね。

向:自分を信頼できるし、それは完全にリラックスして自分はOKと感じるものだから、周りも信頼できる。そこから本当の人間的な交流というのが始まって、新しいことが展開していく。

阿部:それまでっていうのは、お互いに様子をうかがいながらディフェンスがあって、お互いに壁があって、それで、当たり障りのないことをちょこちょこ言いながら、何とかお互いの一致点を見出して人間関係を作っているけれども、そんなものも本当はいらないんだよねぇ。

向:もともと一致しているというところからスタートすればいいんだけれども。

阿部:そうだよね。そうすると人間関係なんかも風通しがよくなって、ストレスもないし、それで、そこにはもう、相手に対する判断っていうものが少なくなっているよね。
お前はそういうやつだから、っていうようなものが自分の中で消えていくから。

向:あるがままでOKなんだから。裁かないんだから。自分も裁かないし、相手も裁かない。

阿部:そうそう。そのOKは、単なる及第点まであなたが到達していますよ、っていうOKじゃなくて、ホントのところのOK!

向:もともとOKなんだよ、っていうことなんだよね。

阿部:その「もともとOK」だっていうことを、ちょっと難しい言葉で、“ブッダ”って言うんじゃない?

阿部:“ブッダ”っていうと、どこかにいるえらい人みたいに思うかもしれないけど、本来、われわれはそのブッダのエネルギーによって生かされている。

向:そうそう。それを自覚している人が“ブッダ”ということなんだ。空気みたいなものなんだね。

阿部:自覚していようといまいと、ブッダであることは変わらない。

向:そうそう。いつもみんな空気を吸っているけど、その空気を「あー、空気を吸えてありがたいなあ」と思えるのか、その空気を吸えることの恩恵を忘れているか、ということやね。
みんな空気を吸っている。空気がないことには生きてられない、空気によって生かされている。でも、そのことに気づかないで、空気はどこだー、空気はどこだー、って走り回っているのが普通の人じゃないかな。
でも、本来は、新鮮な空気にちゃんと包まれていて、はぁー、空気ってこんな新鮮で、おいしいな、ありがたいな、というふうに思える、それが「自覚」というもの。
もともと空気に生かされているわけだけれど、それに気づくか気づかないか、というちょっとしたポイントの違いだよね。

阿部:今、空気っていうたとえ話になったけど、それはわれわれを生かしている、ブッダである大いなるエネルギー、それに対する自覚。
これは空気みたいなもので、自分そのものだから気がつかないけれど、そうなんだっていうことを自分たちが思い出せば、また全然、自分に対する認識が変わりますよね。

向:あまりにも空気と一緒で、つねにあって当たり前すぎるから気づかない。

阿部:そうなんだよね。人間って、失くさないと気がつかない。

向:そうそう(笑)。前に一回言ったことがあるけど、真空状態の部屋にみんなで入って…

阿部:空気を抜く!

向:そうそう、ゆっくり。そうすると、だんだんみんな、苦しくなる。

阿部:アーッ!何だ、ここはっ!?何とかしてくれー!苦しい!空気がほしい! ぎりぎりまで追いつめて、もうこれは死ぬかもしれない、っていうタイミングを見計らって、新鮮な空気をサーッと入れる。

向:あー、空気だー!って感動するわけ(笑)。結局、修行っていうのは、あえてそういうシチュエーションに追い込んでいるんじゃないかな。

◆ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ◆

『みんながブッダ』好評発売中!
人気スピリチュアル・ブロガーと禅僧が「禅とは」「悟りとは」「空(くう)とは」「霊性とは」「供養とは」……そんな問いに、二人がそれぞれの立場で答えながら悟りの真髄をわかりやすく説き明かしてくれます。また、坐禅の基本から、「般若心経」「延命十句観音経」といった代表的な5つの経の意味や解釈を紹介し、付属CDに収録された向禅師の読経とともに実践できます。
聴くだけで目覚めを感じる読経&瞑想CD付!

http://diamond.jp/articles/-/24686?page=3

内臓脂肪減らす大さじ1杯の酢

2012年09月18日 09時05分36秒 | Weblog
 「体に良い」と言われるお酢。ドリンクとしてとることができたり、料理に取り入れたり、用途はさまざま。身近な調味料であるだけに、効能を最大限に生かせるよう効率的に取り入れたい。お酢の効能にはどんなものがあるのか、また、どのようにとるのが良いか、5つの疑問に答えながら、「お酢の秘密」について明らかにしていこう。

Q.お酢の効果にはどんなものがある?

 お酢の効果はいくつかあるが、代表的なものは6つだ。

・疲労回復・食欲増進
・カルシウム吸収の促進
・内臓脂肪の減少
・血糖値の上昇抑制
・血圧降下

 まずは、疲労回復効果。暑い夏空の下で活動して汗をかくなど、この時期はどうしても疲れがたまるもの。この「疲れ」の原因の1つが、体内のグリコーゲンの減少だ。このグリコーゲンを補充することで、疲労回復につながるというわけだ。「疲れたと感じるのは体内のグリコーゲンが足りていない状態。このグリコーゲンの原料がご飯などに含まれる糖です。この糖分をお酢と一緒にとるとグリコーゲンの再補充効果がアップします」(東京農業大学教授 醸造科学科発酵食品化学研究室 小泉幸道氏)。

 夏の疲れと同様に、この時期に困るのが食欲の減退。ここでも酢が一役買ってくれる。酢の香りと酸味が人間の嗅覚と味覚を刺激し、脳の摂食中枢に働きかけ、唾液を分泌。これにより、脳が「食べたい」と思い、食欲が増進するというわけだ。ただし「香りだけだと食欲増進効果は半分程度。味覚として酸味を取り入れることによって、効果がしっかりと表れます」(小泉氏)。

 酢を使った料理を作る場合、カルシウム吸収を促進できるというメリットもある。カルシウムはなかなか充足が難しいとされており、日本人にはもっとも不足しがちな栄養素とも言われる。丈夫な骨を作るだけでなく、貧血を予防するのに役立つとされている。酢をそのまま摂取するよりも、たとえば、肉や魚介類をその骨や貝殻ごと煮るとさらに効果がある。殻つきしじみを酢で煮ると、普通に水煮するより4倍以上ものカルシウムがスープに溶け出したという実験結果もある。骨や貝と一緒に食材を煮込むことで、骨などのカルシウムが煮汁に溶け出すのを酢の成分が助けるためだ。

 昨今メタボリックシンドロームなどで注目される内臓脂肪にも効果があることが実証されている。「実験により、食酢の主成分である酢酸が、脂質の合成抑制および燃焼促進を誘導し、肥満気味の方の内臓脂肪を減少させることがわかっています」(ミツカングループ本社 中央研究所の伏見宗士氏)。女性は男性よりも内臓脂肪が少ないとされていはいるものの、生活習慣病に関連しているケースも多く、健康管理においてチェックするのは欠かせない。毎日継続してお酢をとることで、より効果が高まる。

 酢には、糖の吸収を穏やかにし、食後の血糖値の上昇を緩和させる作用もある。血糖値が急上昇するとインシュリンが過剰に分泌される恐れがあり、それはすなわち、脂肪の合成を促すことにつながる。また、酢に含まれる酢酸には血管を拡張させる作用があると考えられるため、血圧が高い人の血圧低下作用がある。

Q.お酢の種類によって効果は違う?

 冒頭で述べた「お酢の効果」は、お酢に含まれる「酢酸」の効果だ。一般的なお酢に含まれる主な成分のは、水分、酢酸などの有機酸、アミノ酸、糖分。その中のアミノ酸は、お酢によってその割合が違うという。穀物酢、米酢、純米酢、黒酢、の順番にそのアミノ酸の量は多くなる。たとえば、黒酢の原料である玄米は精米をしないため、アミノ酸が多い。「食酢100ミリリットル中、アミノ酸の含有量は、」穀物酢で約50~80ミリグラム、黒酢で約600ミリグラム。一般的に黒酢が体に良いイメージがあるのは、代謝を上げてくれるなどの効能があるアミノ酸を多く含んでいることからでしょう」(小泉氏)。ただし、アミノ酸の含有率が変わるものの、それによって冒頭に述べた酢酸の効果がなくなるといったことはないので、ご安心を。

Q.どれくらいとるのがベスト?

 最低1日大さじ1杯(15CC)が目安。高血圧対策など、その効果によっては、大さじ2杯ほどとったほうが効果が上がるケースもある。飲用としてお酢をとる場合は、原液でとる、とのどを痛めたり、胃などの消化器官に対して刺激が強いことがあったりするため、5倍前後に薄めて飲もう。「これ以上飲んだからといって、効果が倍増するといったことはありません。逆に、蜂蜜などの糖分が入っている場合、それらを多量に摂取することにもなるので、気をつけてください」(小泉氏)

Q.いつとるのがよい?

 ミツカンの伏見氏によると、それぞれの効能を効果的に得るためのタイミングがあるという。「食後の血糖値上昇抑制を期待するなら食前もしくは食事前半がおすすめです。疲労回復効果を期待するなら疲れを感じた運動後に糖分と一緒に摂る。カルシウム吸収を期待するのであれば食事に食酢を取り入れて摂っていただくのがよいでしょう。そのほかの効果についてはどんなタイミングでも構いません」。ただし、食前といっても、朝起きた直後の空腹時には刺激が強すぎるので、朝食時には食事前半で、料理の中でとるのがおすすめだ。

Q.体がやわらかくなるという噂は本当?

 「体が柔らかくなるから、酢の物を食べなさい」、こんなことを母親に言われた経験をお持ちの方は多いのではないだろうか。実は、これは嘘、と小泉氏は言う。「酢酸の『カルシウムの吸収を促進する』といった効果からそのような噂が出てきたのだと思います」。骨付きの魚を酢で煮るとカルシウム分を溶かしてくれるため、骨まで食べられるほど柔らかくなることがある。ただし、これはあくまで調理上のこと。人間が酢を多くとることによって体が柔らかくなったということはないという。

取材・文/染原 睦美(日経ウーマンオンライン編集部)
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/trend/20120829/133122/?ST=yahoo_headlines&yahoo

変わるために変わろうとしない「

2012年09月06日 15時49分01秒 | Weblog
 8月30日(木)の夕刊こころ面で、「マインドフルネス」の記事を書きましたので、再びブログで補足します(※「こころ元気塾」を参照)。

 前にも書きましたが、マインドフルネスとは「意図的に、今この瞬間に注意を向けること」。すごくシンプルです。

 でも、これがけっこう難しい。二つの意味で難しいのです。

 マインドフルネスの手法はいろいろありますが、たとえば5分間座って呼吸に意識を集中する瞑想を考えてみましょう。

 息を吸う。二つの鼻腔(びくう)から空気が入ってくる。それを鼻の中で感じ、徐々に移動して気管を通り、肺へと至る。それに伴って胸骨がやや広がり、横隔膜が下がって今度は腹部が膨らむ。息を吐くと、今度は腹部がへこみ…と、呼吸に伴う体の変化に意識を集中し、感覚を詳細に感じ取ります。

 ところが、すぐに心(意識)がさまよい始めます。

「あ、メールの返事を書くの忘れてた」

「昨晩の『アメトーーク!』で大笑いした話、何だっけ?」

「海に行きたいなあ」

「お、仕事のいいアイデアが浮かんできたぞ」

「無性にエンゼルパイが食べたい。それにしても、あのお菓子、私が小学生の時からずっとあるよなあ」

 もう、何の脈絡もなく、次から次に雑念が湧いてきます。

 「あ、雑念にとらわれてる」と気づいたら、慌てずに呼吸に意識を戻します。でも、すぐに別の雑念にとらわれてしまう。その繰り返しです。

 一つ目の難しさが、これ。「集中することの難しさ」です。

 そして、なかなか集中できない現実が、もう一つの難しさを産み出します。

 「ああ、雑念だらけで、5分の間に呼吸に集中できたのは、合計1分ぐらいしかなかった。なんか、全然ダメだなあ」と、つい、自分自身やマインドフルネスへのマイナス感情が芽生えてきてしまいます。

 しかし、マインドフルネスの考え方では、集中できなくてもいいのです。

 ダメでもOK。できなくても、それをそのまま受け入れて、毎日続ける。1週間、1か月、3か月続けて、まだ雑念だらけであったとしても、その自分をそのまま認めて、ひたすら「今ここ」に意識を向ける努力を続けるのです。

 マインドフルネスに興味を持ち、実際に瞑想をやってみる人というのは、自分を変えたいからやるはずです。「つまらないことに怒らないようにしたい」「もっと心を強くしたい」「うつ病を予防したい」など、動機は人それぞれでしょうが、今の自分に満足できず、自分を変えたいからこそ、マインドフルネス瞑想に取り組むわけです。

 それなのに、「ダメな今の自分を受け入れよ」というのです。

 二つ目の難しさが、これです。

 変わろうと思って努力しているのに、変わらない自分を受け入れ続けないといけない。ならば、そもそも変わろうと思わない方がいい(少なくとも、瞑想に取り組んでいる最中は)。理想と現実とのギャップに、かえってストレスが生じてしまうからです。

 つまり、「本当は変わりたいのに、変わろうという意図を持たずに続ける難しさ」が生じることになります。

 専門的な言葉を使うと、「変容」ではなく、「受容」の姿勢を保ちながら、ひたすら続ける。でも、続けることで、必ず変わってくる…らしいのです。変容を放棄して受容すれば、やがては変容につながる、ということでしょうか。

 なんだか禅問答みたいになってきましたが、マインドフルネスはもともと仏教の瞑想のテクニックですから、当然です。こうした姿勢は、曹洞宗の開祖である道元禅師が、「うまく座ろうと思うな。悟ろうとも思うな。ひたすら座れ!」と言った「只管打坐(しかんたざ)」そのものですね。

 ここまで「難しさ」をあれこれ書いてきましたが、しかし、マインドフルネスには非常にすぐれた長所があります。それは、いつでもどこでもできることです。

 ご飯を食べる時、考え事をしたりテレビを見たりせずに、味や食感をしっかりと感じてみる。通勤電車で読書をちょっとやめて、呼吸に意識を集中する。駅から会社まで歩く時には、足の裏の感覚や股関節の動きに意識を向ける。仕事には全身全霊を傾けて取り組み、帰宅したら家族との会話を精一杯楽しむ――。

 要は、「今ここ」の体と心に意図的に意識を向けて集中すればいいのです。

 ちなみに私は、週に数回しか座禅をしていませんし、座ってもいまだに雑念だらけです。でも、こうして「マインドフル」な姿勢が身に着いたおかげで、以前よりはつまらないことでイライラしなくなったし、逆に「自分を大きく見せたい」とか「もっと褒めてほしい」といった「我欲」にも気づくようになりました。前回書いたように、苦手な暑さにも強くなりました。

 でも、まだまだ未熟です。妻からは「すぐに怒るし、どなる。全然ダメじゃん」と言われています(苦笑)。たしかに、今でも感情的になることがあり、その都度、「ああ、自分ってちっちゃい人間だなあ」と自己嫌悪に陥ります。

 その未熟さから脱却したいと、私は11月に開かれる「マインドフルネス・フォーラム」の、2泊3日のワークショップに参加します。この体験記は後日、改めてブログに書きますので、興味のある方はまたお付き合い下さい。
 


 

山口博弥(やまぐち・ひろや) 1997年から医療情報部。胃がん、小児医療制度、高齢者の健康、心のケアなどを取材してきた。自称・武道家。



 山口博弥記者が担当した連載「医療ルネサンス[シリーズこころ]マインドフルネス」は、下記のリンクからご覧になれます。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=64531&from=yolsp

缶ビール1日1本で痛風発作の危険度は1.49倍に 米博士解明

2012年09月06日 15時23分38秒 | Weblog
 白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏が、痛風発作とアルコールとの関係について解説する。

 * * *
 痛風は、高尿酸血症が原因で関節炎を起こす疾患で、皮膚に風が当たっただけでも関節が痛むことから「痛風」と命名されたとされる。健康な状態でも血中には一定量の尿酸が含有されているが、この尿酸の濃度が著しく上昇すると、特に体温が低い足部などで尿酸が溶解しきれずに関節内で結晶化し、激しい痛みを伴った発作を誘発する。

 血中の尿酸値が高いからといって必ずしも痛風発作を起こすわけではないが、痛風患者の90%以上が男性で外食がちの成人に好発するのが特徴である。これまでの疫学的研究からアルコールが痛風発作を誘発することが知られ、最近の調査でも、特にビールがそのリスクを高めるのに対し、ワインはリスクを高めないことがわかってきている。
  
 マサチューセッツ総合病院リウマチ科のヒョン・コワ博士は健常な成人男性4万7150人を12年間追跡し、アルコールの摂取量と痛風発作との関連性を調査した。

 追跡した12年間に730回の痛風発作が観察されたが、アルコールを10~15グラム摂取する男性の痛風発作リスクはアルコールを全く摂取しない男性に比べて1.32倍、15~30グラム摂取する男性は1.49倍、30~50グラム摂取する男性は1.96倍、50グラム以上摂取する男性は2.53倍に上昇していた。

 中でもビールは発症リスクを最も上昇させるアルコール飲料で、1日あたりビール12オンス(約355ミリリットル)飲むと、痛風発作の危険度を1.49倍に上昇させていることがわかった。一方、ワインを摂取する男性のリスクは上昇していなかったことから、ビールとワインの差が注目されている。

※週刊ポスト2012年9月14日号
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120906-00000021-pseven-soci