「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

春隣船が通りし瞳かな 菅原 祥 「滝」7月号<瀑声集>

2013-07-14 04:41:05 | 日記
 たぶん、その瞳は船を追っているのではない。海を見てい
るのだ。震災句かと思う。本来は春が近いという喜びが感じ
取れるはずだが、海岸に立ち尽くす人に春の近いことは、辛
い記憶を新たにすることであるのだろう。「春隣」という客
観的な物言いが船に想いを与えない巧みな表現として配され
た句だと思った。(H)