ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

上原ひろみ×熊谷和徳 TOUR 2017 発表!

2017-04-20 19:09:17 | ジャズ
矢野顕子さんとの「ラーメンな女たち」ツアーが盛り上がっている最中の上原ひろみさんですが、さらに「上原ひろみ×熊谷和徳 TOUR 2017」が発表になりました。12月16日のNHK大阪ホールを皮切りに、12月28日の倉敷市芸文館まで、各地を廻るツアー。詳しくは、上原ひろみさんのオフィシャルサイトをチェックして頂くといたしまして、東京は以下の2公演です。


12月20日(水) 渋谷 Bunkamuraオーチャードホール
12月21日(木) 渋谷 Bunkamuraオーチャードホール

チケットはどちらも、S席7,100円、A席6,070円(各税込・全席指定)とのことですが、発売の詳細は5月13日に上原ひろみさんのオフィシャルサイトにて発表されるそうです。



これは行きたいですね〜。何せ昨年のサマソニ、ガーデンステージで観たお二人のステージは、ホント素晴らしかったですからね。あれは私の年間ベストアクトの一つでした。しかもあの時は、本来、上原ひろみ トリオ・プロジェクトが出演するはずだったところ、メンバーのアンソニー ・ジャクソンとサイモン・フィリップスが健康上の理由で出演キャンセルとなり、急遽、上原ひろみ×熊谷和徳 としての出演になったんですよね。ある意味、急ごしらえだった訳ですけど、それであれだけ素晴らしかったんですから! いやはや、上原さんと熊谷さんのソウルの交歓の神々しさときたら! そして今回は、しっかりと準備してのツアーですから、さらなる高みに達してくることでしょう。これは楽しみですね!

またあの2人のパフォーマンスが観れると思うだけで、ワクワクしてきます!! と言っても、まだ半年以上も先の話なんですけどね…。




*写真は2011年のブルーノート公演の時のもの。古い写真ですいません…。しかも今回はブルーノートは無いんですけどね…。




~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 2016年 サマソニ ベストアクト!

サマソニ日程別ラインナップ発表!

2017-04-19 18:38:36 | フェス、イベント
サマーソニックの日程別ラインナップが発表になりました。とりあえず、今回の追加アーティストは11組。

Above & Beyond
Hey Violet
Kaleo
miwa
Mrs. GREEN APPLE
MAN WITH A MISSION
BLUE ENCOUNT
さユり
TOTALFAT
マキシマム ザ ホルモン
Nothing's Carved In Stone

*東京のみ、大阪のみのアーティストも含まれてますのでご注意ください。




邦楽アーティストが中心ですが、そんな中、アイスランドのブルース・ロック・バンド、カレオは気になりますね~。

そして気になる日割りです。詳細はオフィシャル・サイトを確認して頂くといたしまして、どうでしょう? 色合い的に割とはっきり分かれた印象ですよね。東京会場については、土曜日が、ダンスやブラックも含めた全方位のポップ系。日曜日がラウド勢を中心にしたロック系。もちろん、まだまだ追加がありますから、この先、混沌としてくるんでしょうけどね。まあ、今の時点で「ルーツな日記」的に観たいアーティストはそれほど居ないという現状なので、まだあまりドキドキしないんですけどね〜。

とは言え、ブラッド・オレンジ、ホセ・ジェイムス、ケラーニ辺りのブラック勢が土曜に固まったのは嬉しい。今年は土曜のみ参加という線もあるかな?




Kaleo Performs Way Down We Go

現在はオースティンに拠点を置くというカレオ。ジャクワイア・キングをプロデューサーに招いた新作も話題。そんなカレオも東京は土曜日。

ノラ・ジョーンズ @武道館

2017-04-18 18:37:20 | SSW
4月13日、日本武道館にて、ノラ・ジョーンズを観て参りました。武道館3Daysの初日、1階西スタンド。良い席とは言えませんでしたが、それでもノラの魅力をたっぷり堪能して参りました。

オープニングアクトのAloysius 3 は、ピート・レム(organ)、グレッグ・ヴィツォレク(ds)、ダン・リード(g)の3人によるバンドで、ピート・レムとグレッグ・ヴィツォレクの2人はザ・キャンドルズのメンバーでもあり、ノラ・ジョーンズのバックも務めるであろう人達。オルガンを前面に出したルーツ指向のインディー・ロックといった風情でなかなか良かったです。ダン・リードのエレキ・ギターやスティール・ギターにも光るものがありましたが、やはりピート・レムのオルガンでしょう! インスト主体なこともあり、オルガン・ジャズ的な雰囲気も濃厚に感じられました。ある意味、新作でジャズ回帰に舵を切ったノラの趣向にも、充分対応出来るジャズ・フィーリングを見せつけたような、そんなステージでもありました。

しばしの休憩を挟み、バンドメンバーと共にいよいよ主役、ノラ・ジョーンズの登場。ピアノの前に座り、1曲目は「I’ve Got to See You Again」。いきなりデビュー・アルバム「COME AWAY WITH ME」収録曲に静かに胸躍りましたね。その歌声の、若かりし頃とはまた違う、芳醇な味わいにうっとりでした。最新作「DAY BRAKE」より「Tragedy」、「LITTLE BROKEN HEARTS」から「Out on the Road」、「THE FALL」から「Waiting」、アルバム未収録の初期曲「Something Is Calling You」、再び「DAY BRAKE」よりニール・ヤングのカヴァー「Don’t Be Denied」と、各時代からヴァラエティ豊かな曲が並びながらも、現在のノラ・ジョーンズの魅力に統一されている印象。5年振りに生で聴くノラの歌声と、飾りすぎない卓越したアレンジをさりげなく聴かせるバンドの演奏も良い。そのバンド・メンバーは、おそらく、ザ・キャンドルズから、ジェイソン・ロバーツ(g)、ピート・レム(organ)、ジョシュ・ラタンジ(b)、グレッグ・ヴィツォレク(ds)という面々か? 「LITTLE BROKEN HEARTS」のツアーからノラのバック・バンドを務めている彼ら、ノラとの親和性は増々高くなっているようです。

ちなみに「Something Is Calling You」はジェシー・ハリスの01年作「CROOKED LINES」でノラがピアノを弾いていた曲で、「COME AWAY WITH ME」のデモ録音ではノラのヴァージョンも録音されていたものの、アルバムからは外されていた曲。当時もライヴでは歌っていたようですが、そんなレア曲が聴けるとは!!少々驚きました!

「Chasing Pirates」からはさらに表情豊かな楽曲が並びます。プスンブーツのロックンロール「Don’t Know What It Means」で弾け、「NOT TOO LATE」からフォーキーな「Wake Me Up」でチルアウト。そのチル感を引き継ぎながらジワジワと高揚感を上げていく「Nightingale」は、デビュー作リリース時のオーガニックな浮遊感を残しつつ、よりロックなエモ感を増したアレンジが格好良かった!終盤のギタリストさんによる長尺ギター・ソロも圧巻でした。そして待ってましたの「Don’t Know Why」という、そんな緩急付けた展開も見事でしたね。ノラはステージ中央のキーボードを弾いたり、エレキ・ギターやアコースティック・ギターを弾いたり、またピアノに戻ったりと、頻繁に楽器を持ち替えながら、ノラらしい、柔らかくも深遠な世界を作りあげていきます。

ほぼピアノ弾き語りのような雰囲気で披露された「Don’t Know Why」が素晴らしかったのはもちろん、ここから数曲は、ドラムやベースが入ったりしながらのアコースティック・セクションな感じで、一層ノラの繊細な歌声が滲みるようでした。特に「FEELS LIKE HOME」収録ヴァージョンより静けさを増したような「Humble Me」の素晴らしかったこと!ノラの消え入りそうな歌声に見も心も奪われましたね。Aloysius 3からダン・リードのスティール・ギターも良い塩梅でした。またピアノ弾き語りによる「Little Broken Hearts」も味わい深かったですし、デビュー作からの「Painter Song」も良かった!!

それにしてもノラ・ジョーンズの歌声、じっくりと聴くと、1曲の中でも、柔らかかったり、ブルージーだったり、ちょっと毒気が入ったり、様々に移ろっていくような、その繊細な表現力は、やはり生歌ならでは。ノラは来日中に風邪を引いてしまわれたとのことで、体調や、歌声への影響が心配されましたが、私はまったく気になりませんでしたね。CDで聴く以上に濃密な歌声でした!もちろんピアノも味わい深かった!


さて、再びバンドが戻っての最新作から「Flipside」と「Carry On」。最後は「The Fall」から「Stuck」。私は案外、ノラの弾くエレキ・ギター、特に独特のタイム感で紡がれるリフが好きなのですが、ようやくそれが聴ける曲の登場。ノラがイントロをやり直す場面もあったりしましたが、それもご愛嬌。良い演奏でした。もちろん歌も。最後はギタリストさんによる鋭角的なギターソロが炸裂し終了。

アンコールはメンバーがそれぞれ楽器を持ってステージ前に集まり、1本のマイクを囲ってのアコースティック・セッション。と言っても、ピート・レムはピアノを弾いてましたけどね。曲は「Sunrise」、「Creeping’ In」、「Come Away with Me」の3曲。このアンコールは前回の来日の時もやっていた趣向でしたが、その時は本編でバンドスタイルでやっていた「Creeping’ In」が、今回はここで聴けたのは嬉しかったですね!


いやはや、さすがノラ・ジョーンズ。ただただその歌声に聴き惚れた1時間30分強。もちろん、ひとつのショーとして極上でした。バンドの演奏も良かった!単独来日も決まったザ・キャンドルズは、今後注目されるでしょうね。




この日のセットリストはこんな感じ↓

01. I’ve Got to See You Again
02. Tragedy
03. Out on the Road
04. Waiting
05. Something Is Calling You
06. Don’t Be Denied
07. Chasing Pirates
08. Don’t Know What It Means
09. Wake Me Up
10. Nightingale
11. Don’t Know Why
12. It’s A Wonderful Time For Love
13. Humble Me
14. Little Broken Hearts
15. Painter Song
16. Flipside
17. Carry On
18. Stuck
---------------------------------
19. Sunrise
20. Creeping’ In
21. Come Away with Me



ノラ・ジョーンズの来日ツアーも、終わりが近づいてきて、各公演のセットリストも上がってきてますが、結構、その日、その日で変えてきてるんですよね。1曲目から「Peace」だったり、「Carry On」だったり、「Burn」だったりと様々。いやはや、面白いですね~

アラン・ホールズワース R.I.P.

2017-04-17 19:58:21 | ジャズ
ALLAN HOLDSWORTH GROUP / THEN!

プレグレ、ジャズ、フュージョン界において、唯一無比の個性とテクニックで、その名を轟かしてきたアラン・ホールズワースが亡くなられたそうです。享年70歳。

1946年、イギリス・ウェスト・ヨークシャーの生まれ。70年代にテンペスト、ソフト・マシーン、ゴング、UK などを渡り歩き、80年代以降はソロ・アーティストとしても活躍しつつ、数々のプロジェクトに招かれてきました。その個性と、技巧において、間違いなく世界ナンバーワン・ギタリストの一人です。


私は若かりし頃(80年代半ばくらいかな)、ハードロック/ヘヴィメタルが大好きで、ほぼそれ以外の音楽は認めない!というほど偏狭な聴き方をしていました。当然、音楽界において最も上手いギタリストはヘヴィメタのギタリストであると信じ込んでいたんです。リッチー・ブラックモアとか、マイケル・シェンカーとか、イングヴェイ・マルムスティーンとか、スティーヴ・ヴァイとか。そしてエディ・ヴァン.ヘイレンです。まあ、中学生の頃の話ですよ。そしてどんなに上手いジャズ・ギタリストがいたとしても、聞く耳持たなかったのです。ですが、アラン・ホールズワースだけは別でした。

何故かというと、エディ・ヴァン・ヘイレンがアラン・ホールズワースに対して多大なリスペクトを示していまして、そもそもエディが有名なライトハンド奏法を生み出したきっかけと言うのが、アラン・ホールズワースをコピーする際に、弦を押さえる左手の指が届かなかったため、右手の指でタッチしたということらしいのです。これは当時の私にとってとてつもなくインパクトのある話でした。なにしろアラン・ホールズワースはエディ・ヴァン・ヘイレンが出来ないことをやっている訳で、しかもとんでもなくテクニカルなギタリストだというじゃないですか!

そんないきさつで、当時のハードロック系のギター専門誌等にも、長髪ギラギラなギタリストに交じってアラン・ホールズワースが紹介されていたように記憶しています。中学生の私にとっては、ジャズ・フュージョンという未知なる世界にいるスーパー・ギタリストというイメージで、強い畏敬の念を抱いていました。その思いは今でも変わりません。


アラン・ホールズワースさん、安らかに。



写真は、1990年5月の東京公演を収録したライヴ盤。メンバーはアラン・ホールズワース(g)、スティーヴ・ハント(key)、ゲイリー・ハズバンド(ds)、ジミー・ジョンソン(b)の4人。アラン・ホールズワースのユニーク且つ超絶的なギターをたっぷり堪能出来ますし、メンバーそれぞれのプレイや、そのケミストリーも素晴らしい!!

今週のあれこれ

2017-04-16 20:17:14 | 今週のあれこれ

さて、今週も色々ありました。

まずはノラ・ジョーンズですよね〜。4月13日からの3日連続の武道館。私はその初日に観に行きましたが、流石に素晴らしかったです。ジャズ回帰作「DAY BRAKE」リリース後と言うことで、ジャズ指向の強いサウンドになるかと思いきや、バックはザ・キャンドルズの面々ですし、雰囲気は5年前の前回とそんなに変わらない感じ。ただ、前回はこれが ”今のノラジョーンズ!” という印象を強く与えるものでしたが、今回は、より "円熟” した深みを感じさせられるような、そんなステージでした。ただ、私の席は1階の西スタンドだったんですが、ピアノが東向きなので、ノラがピアノを弾くと、後ろ姿しか観れなくなってしまうんです。それが凄く残念でしたね…。あと、ノラは風邪をひいてしまっていたそうなんですが、元々、スモーキーな声質ですし、武道館の音響のせいもあってか、ほとんど気にならずに、味わい深い歌声を堪能させて頂きました。ノラ・ジョーンズのツアーはまだ続きます。これからご覧になられる方々、お楽しみに。


4月15日(土)、静岡市民文化会館から、矢野顕子×上原ひろみ TOUR 2017「ラーメンな女たち」がスタートしましたね。東京は、4月18日(火)、4月19日(水)の東京文化会館2Daysです。ですが私、残念ながら今回はパスなんです。とりあえず、レコーディングライヴを観れて、CDも買ったので、それで我慢しようと思っています。って言うか、ほぼ財布の事情ですけどね…。今週はコリーヌ・ベイリー・レイも諦めましたし…。この4月はノラ・ジョーンズと、来週のスペンサー・ウィギンスに賭けてますから!!

そのスペンサー・ウィギンス、いよいよ公演が迫ってまいりましたが、来日メンバーのイーライ "ペーパー・ボーイ" リードの出演がキャンセルになってしまったそうです。アーティストの都合によりとのことですけど、これは残念ですね〜。もちろん、それでもスペンサー・ウィギンスとホッジズ・ブラザーズを中心にしたバック・メンバーが素晴らしいことには変わりありませんけどね。


日本時間の15日朝から、YouTubeによるコーチェラの生配信が始まってます。いきなりPreservation Hall Jazz Band のステージが観れてワクワクしちゃいました。とても全部は見れませんが、Sampha、The Lemon Twigs、Bonobo、Father John Misty、The xx など、フジロックに出演予定のアーティストも出てるので、チャンネル切り替えながら楽しみました。配信は明日もあるようです。

フジロックは、ロン・セクスミスの土曜から日曜への出演日変更というマイナーチェンジがありました。個人的に日曜に観たいアーティストが集中しがちなので、そこへロン・セクスミスも加わって被りが心配です。サマソニはブラック・アイド・ピースが追加され、ロック・イン・ジャパンも第1弾が発表されて、夏フェスが賑やかになってきました。




今週のセレクト!

Kamasi Washington - Truth

カマシ・ワシントンの新曲「Truth」。この夏に発表されるという新作EP「Harmony of Difference」から。 

サマソニにブラック・アイド・ピース!

2017-04-15 15:45:48 | フェス、イベント
THE BLACK EYED PEAS / THE END

サマーソニックにブラック・アイド・ピースの出演が発表されました。07年にヘッドライナーを務めて以来、10年振りとのこと。サマソニにはビヨンセを始め、リアーナ、スティービー・ワンダー、ジェイ・Z 、ファレル・ウィリアムスといったブラック・アーティストがヘッドライナーを務めてきましたが、その先鞭をつけたのがブラック・アイド・ピースでした。ロックフェスで黒人音楽がトリを務めるということで、当時かなり驚いたのを覚えています。でも納得出来る程に、ブラック・アイド・ピースはポピュラーだったんですよね。それと同時に、何でもありなサマソニ!っていうイメージも強くなったような。

ブラック・アイド・ピースは、2011年に活動休止を発表しましたが、昨年、彼らの代表曲でもある「Where Is the Love?」をリメイクしたチャリーティ・ナンバー「#WHERESTHELOVE」を発表。去就が注目されていたファーギーも参加しているようでしたが、どうなんですかね? サマソニのアーティスト写真には男3人しか写ってませんけど。そう言えば、ファーギーは昨年サマソニに出ましたしね。

さて、今年はどの枠に登場でしょうか? 新しいポスター画像はヘッドライナーが3組いるような並びですけど、マリンのトリは埋まってますからね、マウンテンのトリ辺りでしょうか? 出演日も気になるところですが、日割りは来週発表予定だとか。BEPが出る日はブラック系が充実するような展開だと嬉しいのですが。


*写真は09年発表の「THE END」。大ヒットした「I Gotta Feeling」は大好きでしたね〜。まったくヒップホップではなく、ほぼEDMですけど。それがあの当時は凄く新しい感じがして、とにかく格好良かった!!

ノラ・ジョーンズ探検隊 その13

2017-04-14 22:21:23 | ワールド・ミュージック
SUPHALA / THE NOW

故アラ・ラカ、そしてその息子ザキール・フセインという、インドが誇る世界最高峰のタブラ奏者達に師事し、伝統を継承者しつつも、常に冒険を続けてきた女性タブラ奏者スファラ。彼女が05年にリリースした2nd作が「THE NOW」。このアルバムの1曲目「Transport」にノラ・ジョーンズがフィーチャーされています。

ノラ・ジョーンズがインド音楽?と驚かれるかもしれませんが、ノラのお父様はシタールの大家ラヴィ・シャンカール(アラ・ラカ、ザキール・フセイン親子も伴奏を務めていた)ですし、妹さんのアヌーシュカ・シャンカールもシタール奏者とし活躍し、ノラとも共演している程なので、そういう繋がりがあってもおかしくはありませんよね。ですがこのスファラ、実はニューヨークで活躍するタブラ奏者でして、この数年前にはDJロジックがローパドープから出したアルバム「THE ANOMALY」(ジョン・メデスキやエリック・クラズノーなども参加)にゲスト参加していたりもするので、そういうニューヨーク人脈からの繋がりと考えた方がすっきりするかもしれません。

さて、この「THE NOW」は、スファラのタブラが縦横無尽にグルーヴを紡ぎつつ、独特の情緒を演出するヴァイオリンやトロンボーン、フルートなど、そして打ち込みのビート及びシンセ音がフューチャリスティックな世界を作りあげる、多分にクラブ仕様なタブラ in ニューヨーク的作品。ノラ・ジョーンズが参加した「Transport」は、タブラの細かいビートにサイケデリックな意匠が絡むトライバルなダンスナンバー。ノラの歌は、歌と言うより、即興かつ本能的に言葉を発しているかのようでもあり、声そのものをサンプリングしていじってるようでもある。どちらにしろ、ディレイ&エコー的なエフェクト処理をされたノラの声が幻覚のように飛び交うという、ノラ参加作品のなかでもかなり珍しいタイプ。それゆえ、ノラの歌声が醸す繊細な情緒など微塵もありません…。

ですが私は、初期の頃のノラの歌声って、どことなく陶酔感があって、うっすらとサイケ的だとすら思っていますので、これはその魔力を増幅したようでもあり、特にヘッドフォンで聴くと、タブラのビートと共にノラの声が脳内をグルグル回るようで、なかなか刺激的です。





~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 12.11.08 ノラ・ジョーンズ@日本武道館(2012年の来日公演レポ)

 12.10.15 ノラ・ジョーンズ探検隊 その1(RAY CHARLES / GENIOUS LOVES COMPANY)
 12.10.16 ノラ・ジョーンズ探検隊 その2(THE DIRTY DOZEN BRASS BAND / MEDICATED MAGIC)
 12.10.21 ノラ・ジョーンズ探検隊 その3(VA / LIVE FROM BONNAROO)
 12.10.23 ノラ・ジョーンズ探検隊 その4(CHARLIE HUNTER / SONGS FROM THE ANALOG PLAYGROUND 他)
 12.10.31 ノラ・ジョーンズ探検隊 その5(RODNEY CROWELL / KIN: SONGS BY MARY KARR & RODNEY CROWELL)
 12.11.08 ノラ・ジョーンズ探検隊 その6(VA / THE LOST NOTEBOOKS OF HANK WILLIAMS)
 12.11.14 ノラ・ジョーンズ探検隊 その7(JIM CAMPILLONGO / AMERICAN HIPS 他)
 12.12.25 ノラ・ジョーンズ探検隊 その8(VA / A VERY SPECIAL ACOUSTIC CHRISTMAS 他)
 13.06.06 ノラ・ジョーンズ探検隊 その9(JESSE'S BOX / JESSE HARRIS AND THE FERDINANDOS 他)
 13.11.09 ノラ・ジョーンズ探検隊 その10(VINICIUS CANTUARIA / INDIO DE APARTAMENTO)
 16.04.11 ノラ・ジョーンズ探検隊 その11(JOEL HARRISON / FREE COUNTRY)
 16.04.13 ノラ・ジョーンズ探検隊 その12(ADAM LEVY / GET YOUR GLOW ON)

ノラ・ジョーンズ探検隊 その12

2017-04-13 17:39:05 | ソウル、ファンク
ADAM LEVY / GET YOUR GLOW ON

初期ノラ・ジョーンズのギタリストと言えばアダム・レヴィ。ハンサム・バンドのリード・ギタリストとして、ノラ・ジョーンズの歌世界をサポートしてきました。1st作「Come Away With Me」から、3rd作「Not Too Late」まで参加していますが、スタジオ作以上にライヴDVD作品などで見せるジャジー&ブルージーなギター・プレイは、ノラのスモーキーな歌声と共に、初期のライヴ・サウンドをビターに彩る要となっていました。私はハンサム・バンド時代のノラのライヴを観ていないので、今となってはそれが悔やまれてなりません。ビデオで見られる、口を半開きにしながら官能的にソロを弾くアダムの姿、より感情が入ってくると舌をベロっと出しながら陶酔的にソロを弾く彼の姿は、そのエモーショナルな音色と共に、個人的にノラのライヴにおける見所の一つだったんですけどね。

さて、アダム・レヴィは、ノラとはデビュー作から関わっている最初期メンバーですが、そのデモ録音ともいわれる「FIRST SESSIONS」には参加していなかったようですね。ですがノラ曰く、「アダム・レヴィとはニューヨークで暮らし始めた最初の日に会った」とのこと。名刺を差し出して「ギタリストが必要なら僕に声をかけて」と言ってきたとか。そして実際にライヴにギターが必要になり、ノラはアダムを呼んだそうです。しかもノラにリー・アレキサンダーを紹介したのはアダムだそうなので、「FIRST SESSIONS」の頃も、すでにノラと音楽仲間だったんでしょうね。

ちなみに、その「FIRST SESSIONS」には、ジェシー・ハリスとも関係が深く、後々までノラの音楽を影で支えるトニー・シェアーが参加していますが、このトニー・シェアーは、当時ローパドープに在籍していたセックス・モブのベーシストでして、実はセックス・モブの98年のデビュー作「Din of Inequity」に、アダム・レヴィがギタリストとして参加しているのです。当然、トニー・シェアーとアダム・レヴィは旧知の仲だったと思われるわけで、この辺りの網の目のようなNY人脈は面白いですね〜。

さて、そんなアダム・レヴィ、03年のソロ作「Get Your Glow On」です。ちょうどハンサム・バンド真っ盛りの頃の作品ですからね、しっとりとしたジャジー&ブルージー・サウンドかと思いきや、これが意外とソウル寄りなんですよ。1曲目「Bib Front」からホーン隊が彩るファンキー・グルーヴ。ドラムはメンフィス・ソウルの敏腕スティーヴ・ポッツ!! ゴフィン&キング「No Easy Way Down」はホームズ・ブラザーズの参加を得て滋味溢れるサザン・バラードに。ボブ・ディランのカヴァー「Tonight I`ll Be Staying Here With You」はオーティス・クレイがディープ・フィーリングを散らつかせながら爽やかに歌う。良い塩梅に鳴るオルガンはノラ・ジョーンズ作品でもお馴染みのロブ・バーガー。ミーターズからの影響を伺わせる「Trash-Talking Pixie」や、待ってましたのブルージーなスロー「Pursuit of Happiness」など、インスト曲も味わい深い。全体的な印象として適度にポップな仕上がりですが、そんななか、ノラ・ジョーンズがエルヴィス・プレスリーの「Love Me Tender」をしっとりと歌い上げる。効きますね〜。魔法の様です。やっぱりノラの歌声が入ると、グッと染み入ります。

もちろん主役アダム・レヴィのギターもそこかしこで絶品のフィーリングを聴かせてくれます。エレキ・ギターによるブルージーなソロや、軽快なバッキングも良いですが、「Graveyardville」や「Acoustic Glow」でのアコースティックな味わいもなかなか。プロデューサーはジェイ・ニューランド。ノラ・ジーンズの初期作品にも関わっている人ですが、ブルースにも強い人ですね。


あ〜、それにしてもアダム・レヴィがいた頃のノラ・ジョーンズを見逃したことが返す返す悔やまれます。まあ、仕方ないんですけどね…。



そんなアダム・レヴィが、なんと、ノラ・ジョーンズの来日と時を同じくして来日です!!

4月15日 Adam Levy & 井上大地 "Tangled up in Guitars 2017" @青山 CAY
4月21日 Adam Levy & 井上大地 "Tangled up in Guitars 2017" @大阪 Music Bar SORa





~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 12.11.08 ノラ・ジョーンズ@日本武道館(2012年の来日公演レポ)

 12.10.15 ノラ・ジョーンズ探検隊 その1(RAY CHARLES / GENIOUS LOVES COMPANY)
 12.10.16 ノラ・ジョーンズ探検隊 その2(THE DIRTY DOZEN BRASS BAND / MEDICATED MAGIC)
 12.10.21 ノラ・ジョーンズ探検隊 その3(VA / LIVE FROM BONNAROO)
 12.10.23 ノラ・ジョーンズ探検隊 その4(CHARLIE HUNTER / SONGS FROM THE ANALOG PLAYGROUND 他)
 12.10.31 ノラ・ジョーンズ探検隊 その5(RODNEY CROWELL / KIN: SONGS BY MARY KARR & RODNEY CROWELL)
 12.11.08 ノラ・ジョーンズ探検隊 その6(VA / THE LOST NOTEBOOKS OF HANK WILLIAMS)
 12.11.14 ノラ・ジョーンズ探検隊 その7(JIM CAMPILLONGO / AMERICAN HIPS 他)
 12.12.25 ノラ・ジョーンズ探検隊 その8(VA / A VERY SPECIAL ACOUSTIC CHRISTMAS 他)
 13.06.06 ノラ・ジョーンズ探検隊 その9(JESSE'S BOX / JESSE HARRIS AND THE FERDINANDOS 他)
 13.11.09 ノラ・ジョーンズ探検隊 その10(VINICIUS CANTUARIA / INDIO DE APARTAMENTO)
 16.04.11 ノラ・ジョーンズ探検隊 その11(JOEL HARRISON / FREE COUNTRY)

J・ガイルズ R.I.P.

2017-04-12 18:59:18 | ルーツ・ロック
THE J. GEILS BAND / FREEZE-FRAME

4月11日、J. ガイルズ バンドのギタリスト、 J・ガイルズが亡くなられました。マサチューセッツの自宅にて、遺体で発見されたそうです。71歳でした。


写真は81年の大ヒット曲「Centerfold」を含むアルバム「FREEZE-FRAME」。いやいや、「ルーツな日記」なら他に紹介すべきアルバムが沢山あるでしょう?とお叱りを受けそうですが、私にとって J. ガイルズ バンドというと、「Centerfold」なのです。

私が洋楽を聴き始めた中学生の頃、それがちょうど80年代初頭でして、ラジオでせっせと米チャートをチェックしては、上位曲に胸躍らせていたのです。当時のチャートを賑わせていたのは、キム・カーンズ「Bette Davis Eyes」、ジョン・レノン「(Just Like) Starting Over」、リック・スプリングフィールド「Jessie's Girl」、ジョーン・ジェット&ブラックハーツ「I Love Rock 'N' Roll」、サヴァイヴァー「Eye Of The Tiger」、ヒューマン・リーグ「Don't You Want Me Baby」、ジョン・クーガーメレンキャップ「Jack and Diane」、ホール&オーツ「Private Eyes」、などなど。

そんな中、J. ガイルズ バンドの「Centerfold」は特に異彩を放ってましたね。「ナーナーナナナナ♪」のコーラスが印象的な楽しい感じの曲ではありますが、何処か垢抜けない感じが。この曲は全米1位になって売れに売れましたが、正直、私はなんでこれが1位なの?って思いながらも、その不思議な ”垢抜けない” 感じにハマっていきました。今思えば、それが "泥臭さ" だったのかもしれません。洋楽を聴き始めたばかりで、ホール&オーツやスティクスが大好きだった当時の私には、その辺りの機微など分ろうはずはありませんけどね。それと、MVもインパクトがありました。教室を舞台にした意味不明なセクシー路線でしたが、ハチャメチャな感じが良かった!!何はともあれ、ヒットチャートを追いかけていた私にとって、もっとも印象的な1曲になったのでした。



もちろん、この J. ガイルズ バンドが、1970年のデビュー以来、黒人ブルース/R&B に強く影響を受けたロック・バンドとして活躍し、「アメリカのローリングストーンズ」とも賞されたり、一番の成功作であるこの「FREEZE-FRAME」は、実は商業主義的とのことで批判を受けたり、なんてことを私が知るのはもっと後になってからのことですけど。


J・ガイルズさん、安らかに。

ノラ・ジョーンズ探検隊 その11

2017-04-11 18:06:27 | ジャズ
JOEL HARRISON / FREE COUNTRY

ノラ・ジョーンズ来日中と言うことで、超久々に「ノラ・ジョーンズ探検隊」を更新してみたいと思います。

冒険心旺盛なプログレッシヴなジャズで現行シーンにおいても異彩を放つギタリスト、ジョエル・ハリソンの初期の作品になる03年作「FREE COUNTRY」。そのタイトル通り、カントリー・ミュージックのフリー解釈と言えそうな、ジャズ meets アメリカーナな逸品。ジョニー・キャッシュ、ウディ・ガスリー、ジョージ・ジョーンズ、マール・ハガード、その他トラディショナル等を取り上げ、アリソン・ミラー(ds)、デヴィッド・ビニー(sax)、ロブ・トーマス(Violin)、といったニューヨーク界隈の精鋭達と共に、ユニークな解釈による斬新なルーツ・ミュージックを作り上げています。

ノラ・ジョーンズがゲスト参加しているのは2曲。ジョニー・キャッシュの「I Walk The Line」と、パティ・ペイジのヒットで知られるカントリー/ポピュラーのスタンダード「Tennessee Waltz」。これが2曲ともに、ジャズ・シンガーとしてのノラのビターな側面という点で屈指の名歌唱なのです!!

ノラのスモーキー且つスウィートな吐息のような歌声で始まる「I Walk The Line」。もうこの冒頭だけで心を鷲掴みにされます。そしてジャジーでクールなアレンジ。ジョニー・キャッシュがこうなるか?というジョエル・ハリソンの解釈もさることながら、その前衛掛かったアレンジにしっとり溶け込むノラのフィーリングがまた素晴らしい!! デビューしたばかりの頃とは思えない、アダルトなビター・フィーリング。

そして「Tennessee Waltz」。この曲はいくつかライヴ録音も残しているので、きっとノラの好きな曲なんでしょうね。寄せては引く波のように、移ろうフィーリングをしとっりと歌うノラ。ノラ・ジョーンズらしい歌声ながら、やはりここでは一味違う。より感傷的と言いますか、より芸術的に聴こえます。ゲストの南アフリカのアコーディオン奏者、トニー・セドラス(カサンドラ・ウィルソンやポール・サイモンのバックでも知られる人)の音色も滲みます。


個人的な趣味ながら、私は数あるノラのゲスト参加曲の中でも、この2曲こそ、最高峰の味わいと信じております。近年のノラは、あまりこういう歌唱を聴かせてくれないので、ちょっぴり寂しくもありますが、それがノラ・ジョーンズの良いところでもあるんですよね!!

来日公演で「Tennessee Waltz」とか、歌ってくれないですかね〜。




~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 12.11.08 ノラ・ジョーンズ@日本武道館(2012年の来日公演レポ)

 12.10.15 ノラ・ジョーンズ探検隊 その1(RAY CHARLES / GENIOUS LOVES COMPANY)
 12.10.16 ノラ・ジョーンズ探検隊 その2(THE DIRTY DOZEN BRASS BAND / MEDICATED MAGIC)
 12.10.21 ノラ・ジョーンズ探検隊 その3(VA / LIVE FROM BONNAROO)
 12.10.23 ノラ・ジョーンズ探検隊 その4(CHARLIE HUNTER / SONGS FROM THE ANALOG PLAYGROUND 他)
 12.10.31 ノラ・ジョーンズ探検隊 その5(RODNEY CROWELL / KIN: SONGS BY MARY KARR & RODNEY CROWELL)
 12.11.08 ノラ・ジョーンズ探検隊 その6(VA / THE LOST NOTEBOOKS OF HANK WILLIAMS)
 12.11.14 ノラ・ジョーンズ探検隊 その7(JIM CAMPILLONGO / AMERICAN HIPS 他)
 12.12.25 ノラ・ジョーンズ探検隊 その8(VA / A VERY SPECIAL ACOUSTIC CHRISTMAS 他)
 13.06.06 ノラ・ジョーンズ探検隊 その9(JESSE'S BOX / JESSE HARRIS AND THE FERDINANDOS 他)
 13.11.09 ノラ・ジョーンズ探検隊 その10(VINICIUS CANTUARIA / INDIO DE APARTAMENTO)