ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

グレイス・ポッター その2

2007-08-29 14:12:30 | ルーツ・ロック
GRACE POTTER AND THE NOCTURNALS / THIS IS SOMEWHRE

さて、今回は前回からの続きでグレイス・ポッター&ザ・ノクターナルズの最新作「THIS IS SOMEWHRE」です。3rdアルバムにしていよいよメジャーから(日本ではavexから)リリースされたアルバムです。過去2作でのグレイス・ポッターと言えば、ソウルフルでアーシーな歌声と、ブルース/ルーツ色豊かなサウンド、そして泥臭くなり過ぎない洗練されたセンス。

しかし去る7月末にフジロックに登場した彼女等はそんな御託を吹き飛ばす勢いで激しくロックしていました! avexのサイトでのプロフィールには「現在バンドの面々はLed Zeppelinにハマっている」とあります。ここで言われる「現在」は少し前の話かもしれませんが、フジで見せたダイナミックなノリは確かにツェッペリンの影響を感じさせるものでした。

さて、私はこの新作をフジロック会場で購入したのですが、帰宅後これを聴くのが楽しみでなりませんでした。果たしてどんなサウンドなのか? なにせあのライブを見た後ですからね。で、じっくり聴いた第一印象は、まず曲が良い! ライブで初めて聴いてそのまま脳裏に焼き付いていた曲達がこのCDでさらに甦りました。と言ってもツェッペリン的には聴こえず、良い意味でアメリカ~ンな感じ。

そしてグレイス・ポッターの歌声! 前2作に比べて格段に濃くなっています。周りの空気にまとわり付くような粘り気と、一節一節ごとに表情を変えるような繊細な表現力はもうエモーショナルの塊のような感じ。

ねっとりと始まり爽快なロックへと展開する1曲目「Ah Mary」。ポッターの緩急付けた声捌きが素晴らしい。そしてほのかな哀愁が秀逸な2曲目「Stop the Bus」では終盤に向けて徐々に激しさを増していくポッターの歌唱に耳を奪われます。さらに「Apologies」や「You May See Me」辺りのスロー・ナンバーでの魅力は言わずもがな。そして今回新機軸と言えそうな「Ain't No Time」「Mr. Columbus」「Mastermind」で聴かせる開放感溢れるアメリカン・ロック! これがまた最高なんです!

ですが一番驚かされたのは、ライブで魅せた豪快なロック魂や、過去作で聴かせたソウルフルでルーツなフィーリング、メジャーに打って出た楽曲のクオリティー、それらを絶妙にブレンドさせて、一つの情感豊かな作品に纏め上げられていること。はじめはメジャー感が強すぎるかな?とも思ったのですが、なかなかどうして、聴けば聴くほど随所に散りばめられたカントリー・テイストとソウルフルな味わいが染みてくるのです。それはバンドと共同プロデュースを努めたマイク・ダリィの手腕にもよるところだと思われますが、過去作でも感じられた彼らの洗練されたセンスはやっぱり生きていたな~と。

でもね、多少不満もありますよ。例えばスコット・ターネットのスライド・ギターが暴れる「Here's to the Meantime」や「Big White Gate」辺りのスワンプ・ロック的な香りのする曲がもう少し有っても良かったかな…とか。それこそツェッペリンばりに印象的なギターリフから始まるような曲が有っても良かったかな…とか。ライブで一番記憶に残った『ウ~ラッラ~』っていうサビが印象的な曲「If I Was From Paris」が入ってないとか…。

ま、その辺りはまた次作に期待ということで。もちろんそれを差し引いてもこのアルバムが最高な作品であることには変わりありません。そしてグレイス・ポッターは奇跡的に素晴らしいシンガーです! あ~、また来日してくれないかな~

グレイス・ポッター その1

2007-08-28 00:10:48 | ルーツ・ロック
GRACE POTTER AND THE NOCTURNALS / THIS IS SOMEWHRE

今年のフジロックに出演したグレイス・ポッター&ザ・ノクターナルズ。実は私、フジロック初日に現地に着いて、真っ先に向かったのは入場ゲート手前の岩盤ブースでした。それはグレイス・ポッター&ザ・ノクターナルズの最新作「THIS IS SOMEWHRE」(写真)を買うため。なぜならサイン会参加券が欲しかったから。そのためにこのアルバムをフジ当日まで買わずに我慢していたのです。単なるミーハーです…。

なので本作を聴かずに体験することになった彼女等のステージ。それは自分が勝手に描いていた予想とあまりに違うため「え!そうなの?」と驚かされるものでした。ちなみに私の予想としましては、サウンド的にはブルージーでアーシーなフィーリングがジワ~っと香る感じ。そしてそんなオールド・スタイルの奥に現代的で洗練されたセンスがキラリと光るような。この“洗練されたセンス”が肝でして、ある意味ノラ・ジョーンズにも通じる落ち着いた中に宿る濃密な空気。彼女達の過去2枚のアルバムからはそんな魅力を感じていたのです。

しかしですね、実際のライブは“洗練”とか“現代的”とか“落ち着き”とかとはまったく無縁な、まるで70年代に紛れ込んだかのような豪快この上ないロックでした。それは“ジワ~”っと来ると言うより、直接的にロック魂をぶつけてくる感じ。

まずグレイス・ポッターの思いの他ワイルドな歌いっぷりに驚かされました。もっと繊細に歌い込むスタイルかと思っていたのですが、もうガンガンに攻めてきます。ハモンドだけでなくギターを弾きながら歌う姿もまさにロック・シンガー! そしてリード・ギタリストのスコット・ターネット。まずその服装に目が行きます。白いシャツに白のパンツ、そして白い帽子まで被ったその姿はグラム・ロックをすら感じさせます。そんな彼も思いの他弾きまくっていましたが、そのフレーズはブルース色やルーツ色は意外と薄く、やはりいわゆるロック的。

そしてこの二人がギターを弾きながら両膝付いて向かい合わせに詰め寄ったり、さらにはそのままグレイス・ポッターが後ろに仰け反ったり、そんなベタなアクションを決めてしまうわけです。

ある意味イナタさすら感じさせるそのロック振りに私もはじめは戸惑いを感じましたが、結局は寄り切られ、ただただ拍手喝采を送るばかりでした。おそらくノラ・ジョーンズ的な穏やかさを感じさせた1st「ORIGINAL SOUL」から、そこへ南部産ロック・テイストをバランス良く加えたルーツ色豊かな2nd「NOTHING BUT THE WATER」への発展は、まだまだ彼女達の変化の過程に過ぎなかったということなのでしょう。それを確かめるためにも早く新作が聴きたいという思いが募りました。

そしてその日の深夜、岩盤ブースで行われたサイン会とアコースティック・ライブ。このライブはホント目の前でグレイス・ポッターの歌が聴けるという幸福な時間を過ごすことが出来ました。40~50分ぐらいだったでしょうか? アコースティックに染み込むような彼女のソウルフルな歌声を堪能し、シンプルなセットならではの繊細な表現力にただただ酔いしれました。グレイス・ポッター自身もどこか楽しげで、ドラマーがタイコばかりかギターケースやそこらの鉄柱なんかを叩いたりと、バンド・セットとはまた違う魅力を魅せてくれました。どちらかといえば当初私が期待したグレイス・ポッターはこっちに近かったかもしれません。ま、そんな私の期待はともかくとして、このグレイス・ポッターという人がシンガーとして相当深い物を持っているということを実感させられるライブでした。

そしてサイン会のとき、深夜なのに「こんにちは!」と元気に握手してくれたグレイス・ポッターはメチャクチャ可愛かったです。

で、いよいよ本題。フジ帰宅後に聴いて以来、我が家でヘヴィー・ローテーション中のこのアルバム「THIS IS SOMEWHRE」。と行きたいところですが長くなったのでまた次回。

フジ・ベスト・アクト第1位

2007-08-09 23:32:34 | フジロック
RAILROAD EARTH / ELKO

フジロックが終わって早10日が過ぎたと言うのに、いまだにフジ気分が抜け切れていないのは私ぐらいでしょうか? ですがそれも今日までです。多分…。と言うわけで、超個人的フジロック・ベスト5、今日が最終回です!

第1位、レイルロード・アース(27 HEAVEN)!

まさかヘブンがブルーグラスでこんなに盛り上がるとは思いませんでした!エキサイトした観客達が大きな輪になってグルグル回りだしたのにはホント驚きました。でもそんな衝動に駆られるぐらいダンサブルでハッピーなステージだったんです。

もちろんブルーグラスとは言っても、レイルロード・アースはブルーグラスをベースにしたジャム・バンドです。普通ブルーグラスはドラムレスですが、レイルロード・アースにはしっかりとドラムが居ます。ここら辺りがヘブンのロック・ファンにもすんなりと受け入れられた所以かもしれません。ダンサブル且つ超絶的な弦楽器の競演、トラディショナルな香り、そしてドラムによる勢いのあるビート、それらがヘブンを興奮の坩堝に叩き込んだのです。

と、絶賛しといて何ですが、実は私、最初の1曲程は見れてないんです。というのも隣のオレンジでakikoを観ておりまして…。丁度akiko後半、一旦akikoが引っ込み、ブラジル新世代のカシン、ドミニコ、モレーノ中心のセットが徐々にアンダーグラウンドな刺激を発散し始めた頃。さらにakikoが浴衣姿に着替えて再登場し盛り上がってきたところで、後ろからブルーグラスの爽快なサウンドが聴こえてきたのです。「うわ~!レイルロード始まっちゃてるよ!」と。ここでヘブンへ移動するか? ステージではモレーノが歌いはじめる。あ~、これ聴きたい! 結局モレーノの歌をフルコーラス聴いたあと後ろ髪引かれる思いでオレンジを後に。そしてヘブンへ。

ヘブンでは確か「Head」を演奏中。そこで待っていたのは、カントリー/ブルーグラスに魅せられたかのよう踊りまくる群衆達でした。この光景には驚きました。フジロックでもカントリーいけるじゃん!とか思いながら私も「イエー!」だの「ヒュー!」だのと奇声を発していると、隣の見知らぬ男性が私の肩をポン!と叩き、嬉しそうな顔で「最高じゃないですか!」と、私も「最高ですね!」と返す。そのうち周りのみんなは輪になってグルグル回り始めるし…。

まるでヘブンを芳醇なカントリーの風が包み込んだような雰囲気。カントリー特有の郷愁を誘うメロディが素晴らしい。このバンド、曲が良いんです。さらにいかにもジャムバンド的な個々のプレイがまた凄まじい。マンドリン、バンジョー、ギターそれぞれ凄いテクニックでスリリングにインプロを決めて行きます。中でも最も観客を沸せたのはフィドル。フィドルがソロをとるたびに大盛り上がり!繊細且つダイナミックなフレージングは高揚感に溢れとことんダンサブル!そしてヴォーカリストの透明度と安定感抜群の高音ヴォイスがヘブンの森にこだまする。いや~、最高!

そしてショーのハイライトは後半の「Peace on Earth」。高速ブルーグラスならではの興奮はもちろん、サビではみんなでピースサインを掲げながらハッピーなヴァイブに包まれました。さらに続くトラディショナルなダンス・ナンバー「Ragtime Annie Lee」。これは「Ragtime Annie」として知られるストリング・バンド/ブルーグラスのスタンダードですね。踊らずには居られないフィドルの軽やかなフレーズと後半これでもか!とスピードアップする展開にヘブンの興奮は最高潮に。そして本編ラストは微妙にトランシーな「Seven Story Mountain」で昇天。

さらに熱烈な拍手に応えてアンコールを数曲。最後はグラム・パーソンズの「Luxury Liner」。カントリー・ロックの名曲でエミルー・ハリスでも知られる曲。これも盛り上がりました。レイルロードの熱演に観客もグルグル回って応え、大興奮のうちに終了。何だかんだでおよそ2時間。終わった瞬間はまさに天国に居る気分でした。フジロックありがとう! まさにカントリー・ミュージックの素晴らしさとジャムバンドの魅力を存分に楽しませてくれたライブでした。

この盛り上がりを機に、ヘブンのカントリー/ブルーグラス枠(そんなの無い?)をもう少し増やしてくれませんかね~。

フジ・ベスト・アクト第2位

2007-08-06 22:05:54 | フジロック
DAVID FIUCZYNSKI / JAZZPUNK

超個人的フジロック・ベスト5。いよいよ残すところあと2組。

今回は第2位。上原ひろみ~HIROMI'S SONICBLOOM(29、ORENGE)です!

も~、上原ひろみ大好きです! あれだけ鍵盤を叩く姿が魅力的な女性って、そうは居ないと思いますよ。あと表情がエモーショナルでまた良いんです! 例えとして“ギターを顔で弾く人”って居ますけど(ポール・コゾフとか)、上原ひろみはピアノを顔と体全体で弾いてます。きっとピアノが大好きなんでしょうね。彼女のそんな気持ちが溢れ出すような、ある意味ソウルフルなステージでした。

さて、彼女達が登場したのは最終日の夕方、フジ最奥に位置するオレンジ・コート。実はこの時、被ってたんです…。メイン・ステージのジョス・ストーンと。この2組は今回のフジで私が最も見たかったアーティスト。これが被るなんて残酷すぎです。もちろん迷いましたよ~。で、上原ひろみを選んだ決め手は、今回の彼女のバンドにはデヴィッド・フュージンスキー(g)が参加しているからです。

05年のフジでやはりオレンジに登場した上原ひろみ。その時は彼女とベースとドラムのトリオ編成で、既にジャズと呼ぶにはあまりにもファンキーでエネルギッシュな演奏はロック・ファンからも大喝采を受けました。そこに今回、さらにギタリストとしてNYアンダーグラウンド界の奇才と呼ばれる男を迎えたことが、このバンド・サウンドにどう変化を与えたのか? 私はそれを見届けたかったのです。な~んて偉そうなことを書いてますけど、私、上原ひろみはその05年のフジでしか観たことがない、なんちゃってファンなんですけどね…。

でも“なんちゃって”なりに気合入れて観ましたよ!なにせ最終日夕方のオレンジ・コートはマーヴァ・ホイットニー~上原ひろみという私にとって至福の流れでしたから。しかもマーヴァ・ホイットニーの素晴らしいライブが終わったあと、私の目の前のお客さん達がごっそり退いてくれたので、運良く最前列ド真ん中より少し左(上原ひろみ側)寄り、というこの上なく良い場所をゲット出来たのです。そこから一時間ほどの待ち時間も、何故かここへ来て降り出した雨も、上原ひろみへの期待に比べれば些細なことでした。

そしていよいよ上原ひろみが登場です。歓喜に迎えられたその佇まいは彼女特有の癒し系&天然系なキャラ全快でほんわかムード。「ただいまー!」の一声が妙に嬉しかったり。 でも演奏が始まると一瞬にしてとんでもない緊張感に包まれます。そしてダブルネック・ギターを持ったデヴィッド・フュージンスキー! 弾きまくってました! でも本番中に携帯いじりすぎね…。 ま、それはいいとして、やはりフュージンスキーの参加はこのバンドのダイナミックなうねりとアヴァンギャルドな面をさらに際立たせていました。

そして上原ひろみもエレキ・ギターの音に触発されたのか、前回よりさらにロック・モード全開な雰囲気。何かの堰が外れたようにアグレッシヴにピアノを弾く姿、と言うより鍵盤を“叩く”姿はある意味ロック衝動! 時に顔を歪め、時に飛び跳ね、時に声を上げながら。そしてやっぱり笑顔。
絶対この人ロック好きですよね? そう言えば何かで「エレキ・ギターの音が大好きなんです。」と語ってましたっけ。フュージンスキーがソロを弾きまくるたびにそれを見て嬉しそうにしてました。

さて、ステージは最新作「TIME CONTROL」からの曲を中心に繰り広げられました。ちなみにバンド名の「SONICBLOOM」とは「音の波が咲き乱れる」という彼女の造語だそうです。咲き乱れるためにはエレキ・ギターの音色が必要だったんでしょうね。4人の白熱した音のぶつかり合いは、生きた音楽ならではの刺激と躍動感に溢れていました。

フュージンスキーはウニョウニョとした独創的なギター・プレイで上原ひろみの世界に新たな宇宙を作り上げ、それに彼女も緩急つけた情熱的なプレイで応えます。もちろんキーボードを使ってフュージンスキーに対抗するかのようなウニョウニョとしたファンキーなソロも展開。しかもリズム隊が紡ぎ出す鬼プログレッシヴなビートの上で遊ぶがごとくに。

そして本編最後は待ってましたの「Return of Kung-Fu World Champion」。アンコールは私が新作で一番好きな「Real Clock vs. Body Clock = Jet Lag」。もう言うことありません。最高でした!

正直ジャズやフュージョンの難しいことは分かりません。しかし上原ひろみの音楽にソウルが有ることは間違い有りません。そしてCDとは一味も二味も違う、ライブならではのエネルギーがハジケてました!


*写真はデヴィッド・フュージンスキーのソロ作「JAZZPUNK」。2000年のリリースのインスト・カヴァー集。パット・メセニ-やジミヘンからショパンまで、彼独自の変態的プレイで演りきった怪作です。彼が率いるミクスチャー・ロック的なスクリーミング・ヘッドレス・トーソズも良いですが、彼のギタリスト/アーティストとしての奇才ぶりを堪能するならこのアルバムでしょう。ちなみに上原ひろみは参加していません。念のため。


~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 07. 7.26 フジ予習:上原ひろみ(「TIME CONTROL」) 
 05. 8.25 フジロック05 第4位(上原ひろみ@オレンジコート) 


フジ・ベスト・アクト 番外編

2007-08-05 00:01:52 | フジロック
「FUJIROCKERS EXPRESS」ゲットしました~! ま、それは良いとして、超個人的フジロック・ベスト5も順調に第3位まで発表したところでちょっと一休み。今回は番外編として超個人的フジロック色々なベスト5です。


*まずは残念ながらベスト5圏外の5組。これは順不同です。

・akiko / Moreno-Domenico-Kassin+2 (27 ORANGE)
・THE CHEMICAL BROTHERS (29 GREEN)
・CLAP YOUR HANDS SAY YEAH (29 RED)
・GRACE POTTER AND THE NOCTURNALS (28 HEAVEN & 岩盤)
・Marva Whitney with Osaka Monaurail (29 ORANGE)


*これは観たかった~!痛恨のアクト・ベスト5

1位:JOSS STONE (29 GREEN)
2位:G.LOVE & SPECIAL SAUCE (28 RED)
3位:Stranger Cole with Dreamlets (27 PALACE)
4位:LILY ALLEN (28 RED)
5位:YO LA TENGO (27 HEAVEN)

一番観たかったジョスとあの人が被ってるなんて、ひどいよフジロック!


*ライブの内容以外で良かったこと嬉しかったことベスト5

1位:妻がご機嫌だったこと
2位:サイン会(SWITCHES、GRACE POTTER)
3位:ヘヴンのピザ
4位:マーヴァ・ホイットニーのゲスト
5位:夜のヘヴン

実は今回、私にとって9回目のフジロックにして初めて妻と一緒に参加したんです。気性の荒い妻ですが、とりあえずフジロックはかなり気に入ってくれたようです。基本的には別行動だったのですが、SWITCHES、MIKA、ASH、FOUNTAINS OF WAYNE 辺りが良かったそうです。

マーヴァ・ホイットニーのステージ終盤に登場した二人の白人ホーン奏者。元ジェイムス・ブラウンのバンド・メンバーと紹介されましたが、私には誰だか分かりませんでした。その後junjunpaさんに頂いたコメントの『ジョス・ストーンのバンドできた人』というヒントを頼りに調べたところ、恐らくJEFF WATKINS(SAX)、HOLLIE FARRIS(TRUMPET)のお二人でしょうね。90年代以降のJBを支えたホーン奏者のようです。そんな人達がジョスのバンド・メンバーで来日してるのも凄いし、JBファミリーの大先輩であるマーヴァ姉さんのステージにしっかり顔を出すのもなんか良い話です。こんなサプライズもフジの楽しいところですね。


*あ~残念、ベスト5

1位:苗場プリンスのツインが無くなったこと
2位:苗場/浅貝地区の宿が取れなかったこと
3位:もち豚を食べそびれた~!
4位:それぐらい?
5位:…


*来年の目標ベスト5

1位:まず行く!
2位:苗場/浅貝地区の宿に泊りたい~!
3位:大小関わらず全てのステージ最低1組は観る
4位:もう少しまともなレポートを書く
5位:メンツがショボくてもがっかりしない

う~ん、5位が一番大事かな…。


*写真は先日渋谷タワーでゲットしたフジロックの新聞「FUJIROCKERS EXPRESS」。今年のフジロックについてのオルグスタッフによる速報レポートを中心に、スマッシュの日高社長や、渋さの不和大輔さんへのインタビューなどが、豊富なカラー写真と共に綴られています。これを読みながら、あ~フジは楽しかったな~、と感慨にふけっています。と言っても私が観たバンドはあまりクローズアップされてないんですけどね…。

フジ・ベスト・アクト第3位

2007-08-04 11:34:57 | フジロック
超個人的フジロック・ベスト5

今回は第3位! エラナ・ジェイムス&ホット・クラブ・オブ・カウタウン(27 AVALON)です!

ギター、フィドル、ウッドベースによるアコースティック・スウィング・トリオで、これがとにかく凄かった!


さて、27日18時45分スタート予定。実はこの時間帯はカウタウンとダミアン・ライスとマニー・マークがもろ被っているという私的な激戦区でした。特にダミアン・ライスとカウタウンはどちらを観るべきか?これホント迷いました。しかし、当日知った『ダミアン・ライス急遽キャンセル!』の報にがっかりすると同時に、思い残すことなくカウタウンが観れるぞと、そんな状況になったのでした。しかしダミアンのキャンセルは私に意外な誤算を生んだのでした。

ヘヴンで行われるはずだったダミアン・ライス。その前の出演アクトはレイルロードアースです。私が楽しみにしていたアーティストの一つで、もちろん思う存分楽しみました。しかもその次がキャンセルになったこともあってか、アンコール含めて後顧の憂い無く30分程長く演ったのでした。終演後私は大満足でヘヴン後方にあるロータス・カフェで美味しいコーヒーを飲みながらまったりとその余韻に浸っていたのです。そして余裕を持ってカウタウンへ…。

頭の中には『レイルロードアースからカウタウンまでは45分ほど間があるぞ…』。あれ?30分長く演った?慌てて時計を見ると6時45分でした。開演時間です。あせりました。そして走りました。今回のフジ唯一の激走です。ヘヴンを出て獣道のような小道を右に入り、これは近道なのか?と自問自答しながらなお激走。既に麗しのヴァイオリンの音が森にこだましています。始まってるよ~!と思いながら何とかアヴァロン後方に到着。やれやれです。

もう既にダンス大会か?と思いきや、ほとんどの人は大人しく座って見ていました。え?こういうテンションなの?と思いながら、私もそれに習って座って観ることに。ま、走って疲れてるところだったので丁度良かったんですけどね…。

さて落ち着いてステージに目を移すと、そこには憧れの3人が! エラナ・ジェイムスは軽やかにフィドルを奏で、ウィット・スミスが小気味よくジャズ・ギターを刻みます。この人のギターはテクニックはもちろんセンスも抜群! 堪能しました。そしてベースのジェイク・アーウィン。ジェイクといえば短い髪の毛をリーゼント風のオールバックでパキッと決めてる印象があったのですが、いきなりロン毛になっててビックリしました。しかしなかなかイケメンです。

それにしてもジャジーでスウィンギー、そして緑に染みるカントリー・フレーバー、これがまた何処か手作り感覚なアヴァロンの小さなステージに映えました。そしてスリリングなソロの応酬。時にロック的なアグレッシヴなノリも魅せてくれます。

さらに特筆すべきは3人の音の絡み合い。これが圧巻! 個々のテクニックもさることながら、3人がそれぞれの音を聴きながらその場その場で即座に絶妙の相乗効果を得ていくような、生ならではのスピード感がグイグイと体に迫ってくるようでした。特にジェイクのベースが凄い! ロカビリーを思わせるスラッピング・ベースでバチバチ言わせながら、短い1曲の中でソリストに対応した強弱とメリハリをつける瞬発力抜群のプレイで強烈なグルーヴを作り上げ、時折訪れるソロも切れ味抜群で最高でした!

「これは立ち上がって踊ったほうが良いんじゃないか…?」とうずうずしているうちに、いつしかステージは「では次で最後の曲…」的な雰囲気に。何の曲だったかは既に記憶の外ですが、もう私は我慢できず立ち上がりました。私の周りも似たような気持ちの人が多かったようで堰を切ったように立ち上がり始め、いつしか総立ちの様相を呈してきました。

そしてここからが凄かった。実は全然最後の曲ではなく、さらにダンサブルな曲を連発したのです。盛り上がりました!私も踊りまくりました!気を良くしたメンバー達もノリノリで畳み掛けてきます。ちょうど辺りが暗くなりだし、雰囲気もいい感じに。そして最後は待ってましたの「Orange Blossom Special」! 今回のフジで私が最も興奮した瞬間かもしれません。エラナの弾くフィドルの高速フレーズに身も心も弾けました!

この他にもこのトリオはこの日、昼間にOASISの何処かでラジオ用に2曲ほど、そして深夜に場外岩盤ブースでミニライブを披露したそうです。さらに翌日の土曜は今回のフジでカウタウンにとって最も大きなステージとなるORANGEでのライブと、なかなか忙しかったようです。残念ながら私はAVALON以外は観れなかったのですが、さぞ盛り上がったことでしょう。


*写真はフジロック会場外ショップエリア付近の駐車場で発見した、出演者のサインだらけの車。そこに見つけたホット・クラブ・オブ・カウタウンのサインです。この車、多分フジロック・オフィシャルプレゼントとして1名にプレゼントされるMITSUBISHI MOTORSの「フジロック仕様『i(アイ)』」ってやつだと思います。他にも色んな人のサインで天井まで埋め尽くされていました。私も応募すれば良かったかな? でも車貰ってもな~。


~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 07. 7.16 フジ予習:ホット・クラブ・オブ・カウタウン(「CONTINENTAL STOMP」) 
 07. 7.17 フジ予習:エラナ・ジェイムス(「ELANA JAMES」) 

フジ・ベスト・アクト第4位

2007-08-02 23:45:38 | フジロック
GOV'T MULE / LIVE...WITH A LITTLE HELP FROM OUR FRIENDS

超個人的フジロック・ベスト5。
今日は第4位! ガヴァメント・ミュール(28日 HEAVEN)です!

言わずとし知れたサザン・ロックの雄、オールマン・ブラザーズ・バンドのギタリスト、ウォーレン・ヘインズのバンドです。

彼等が登場したステージはフィールド・オブ・ヘヴン。ここは独特のヒッピー的な雰囲気が横溢したスペースで、元々は初めて苗場の地でフジロックが開催された99年に、ジャム・バンドの草分け的存在であるフィッシュのために作られたステージと言われています。それ以来ここではジャム・バンドが延々と極上の演奏をプレイし続ける、そんな伝統が有ったりします。

そういう意味でも、今回3日間を通じて名実共にヘヴンのメインと言えるのが、このガヴァメント・ミュールなのです。土曜の夜、堂々の3時間枠。思う存分ジャムってくれ!って感じですよね。しかもミュールの神髄は70年代を思わせるサザン・フィーリング豊かなブルース・ロック。現代的なトランシーなジャム・バンドとは一味違う懐の深いサウンドを、たっぷりと、そしてドップリと堪能させてくれました。

しかし絶賛しといて何ですが、もう既に記憶が曖昧で曲目等はよく覚えていません。ですがありがたいことにガヴァメント・ミュールの公式サイトに早くもこの日のセット・リストが掲載されていました。最新作「HIGH & MIGHTY」からの曲が意外と多くて驚きますが、流石に新旧幅広く選曲されているのが分かります。

そして気になっていたのが、ゲストのG.LOVEとジャムったブルース。曲名が分からなかったのですが、なんと「It Hurts Me Too」! エルモア・ジェイムスの名曲ですね。渋すぎる! G.LOVEのハープもさることながらウォーレンのブルージーなスライドが最高でした。タンパ・レッド~エルモア~ウォーレン、そんなスライドの系譜が見えてきたり。

そしてカヴァーと言えば、今回のステージで私が最も印象的だったのがツェッペリンの名バラード「Since I've Been Loving You」。こんな冗談のようなベタな選曲がハマってしまうところが流石ジャム・バンドならでは。本当はサバスの「War Pigs」が聴きたかったのですが、まさかの嬉しすぎる裏切りでした。この曲もギターがとにかくカッコイイ! あの沈み行くようなコード感とフレージングが夜のヘヴンにドロ~ンと染み渡りました。あ~至福。

もちろんウォーレン以外のメンバーも凄かったです。特にリズム隊の二人。ミュールがアメリカン・ロックやブルース・ロック的でありながら、それらとは何処か違うプログレッシヴな印象を受けるのは、やはりリズム隊の力あってのことだと思います。オリジナル・メンバーのマット・アブツ(ds)と新加入のアンディ・ヘス(b)。時にヘヴィーに、時にグルーヴィーに、緩急織り交ぜた表情豊かなリズムは縁の下からジワジワと極上のジャムを演出しました。長尺ドラム・ソロも圧巻。もちろんキーボードのダニー・ルイスのプレイも味わい深かったです。

アンコールはミドル・スローな大名曲「Soulshine」。この曲を待ってました!と盛り上がる観客に満足げな笑みを浮かべるウォーレン。哀愁のメロディーライン、サザンフィーリングが溢れる歌声、そして泣きのギター! 感動。これで大団円と思ったら、あれ?あの曲やってないよ…。

そう、2度目のアンコールは彼らの代名詞「Mule」。しまも途中でスティーヴィー・ワンダーの「Superstition」を挟むという憎すぎる演出。カッコイイ!

何だかんだで3時間近く堪能させていただきました。お客さんは少なめだったかもしれませんが、ヘヴンの夜はこれぐらいコアでゆったりとした雰囲気が似合っているように思います。

ちなみにウォーレン・ヘインズは同日レッドで行われたG.LOVEのステージに飛び入り出演したそうです。あ~、それも観たかった…。

せっかくなのでミュールの公式サイトからこの日(7/28 フジロック)のセットリストをコピペしてみました。

Hammer & Nails
Thorazine Shuffle
Time To Confess
A Million Miles From Yesterday
Rocking Horse
Lively Up Yourself
Since I've Been Loving You
Sco-Mule
It Hurts Me Too with G. Love
Streamline Woman
Lola Leave Your Light On
About To Rage
Bad Little Doggie
Pygmy Twylyte
Mr. High & Mighty
Brand New Angel
Drums
Blind Man In The Dark

Encore 1
Soulshine

Encore 2
Mule->
Superstition->
Mule


*写真のアルバムは98年のニュー・イヤーズ・イヴ・コンサートの模様を収めたライヴ盤。フジでも盛り上がった名曲「Soulshine」はもちろん、フジでは残念ながら演らなかった「War Pigs」も収録。さらに「Mr. Big」(フリー)や「Cortez the Killer」(ニール・ヤング)なんて選曲も。またゲストが強力。デレク・トラックス、マーク・フォード、ジミー・へリング、バーニー・ウォーレル、チャック・リーヴェルなど。年越しライヴらしい高揚感に溢れた名ライヴ盤です。


~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 07. 5.29 フジ予習:ガヴァメント・ミュール(「THE DEEPEST END」) 

フジ・ベスト・アクト第5位

2007-08-01 15:29:56 | フジロック
THE JOHN BUTLER TRIO / SUNRISE OVER SEA

超個人的フジロック・ベスト5。今回から数回に分けて発表したいと思います!

今日は第5位! ジョン・バトラー・トリオ(27日 WHITE)です!

この日はフジロックの初日。OASISの掲示板で知った「ダミアン・ライスのキャンセル」という寝耳に水の悲しいニュースがあったものの、私的にはakiko、レイルロードアース、ホット・クラブ・オブ・カウタウン、ジョン・バトラー・トリオという至福の流れが待っていたのです。

で、ジョン・バトラー・トリオです。この日、初日から素晴らしいアクトの連続に身も心もウキウキ状態だった私は、このトリオにももちろん期待していました。ポイントは色々なギター系弦楽器を重ねていた最新作のナンバーをトリオ編成でどのように再現するか? 案外オーストラリアらしいオーガニックで緩めのライブになるのでは?とも思っていました。

しかし蓋を開けてみたらこれが凄いのなんのって! とんでもないポテンシャルを持った3人でした。オーガニックでアーシーな土臭さを残しつつも、ヒリヒリとした緊張感に包まれた、ある意味プログレッシヴなルーツ・ロックって感じでした。

まずジョン・バトラーが操る11弦アコースティック・ギターの多彩な音色に驚きました。他にもバンジョーやワイゼンボーンも使ってたような気がしますが(既に記憶が曖昧)、やはりこの11弦ギターのインパクトが強烈。

アコースティック・ギターにもかかわらず、歪み系他のエフェクトをかまし、サウンドに変化を持たせると同時に厚みを得ていたようです。ある時は12弦ギターのような神秘的な広がり、ある時はバンジョーのようなトラディショナルな響き、またあるときは強力に歪んだロックな爆音。それは5本以上の指が動いてるようにも見えるフィンガリングも合せ、まるでマジックのようでもありました。

特にジョン・バトラーがギター一本で奏でた「Ocean」は絶品。そのあまりの美しさと入魂のプレイにただただ聴き惚れ、見入り、感動させられました。あれは神々しかった。

もちろんトリオによるバンド・サウンドも強烈。キレと推進力抜群のリズム隊、そしてこの上なくスピリチャルな歌声、それらが生み出す肉感的なグルーヴ感と崇高な空気感は、これがたった3人によるサウンドか?と思うと同時に、逆にこの3人だからこその奇跡のようにも感じました。

しかし前半、凄すぎる故の緊張感は観客の心が3人の世界に入れない壁を作っていたようにも思いました。そしてそれがほぐれたのはドラム・ソロでした。初めはたった一時間程度のステージなのにドラム・ソロが有るんだ…、と思いましたが、観客に「ヘイ!」とか言わせちゃうベタな展開が意外と功を奏し、一気にステージと観客の距離を縮めてくれました。

そして次の曲でゲストにマニー・マークが登場。独特の茶目っ気とユーモラスな身捌きはさらにステージと観客の一体化に一役買いました。最後は私の大好きなスピード・ナンバー「Funky Tonight」。スリリング&ハイテンションな演奏に盛り上がる観客、さらにそれに応えるジョン・バトラー。相乗効果が白熱のステージに拍車をかけ、ホワイトの夜が興奮と感動に包まれました。

それにしてもマニー・マークは働き者ですね。ビースティーズにソロはもちろん、オマーにジョン・バトラーですか! 他にも出てるかも?


*写真は彼らの3rdアルバム「SUNRISE OVER SEA」。04年の作品。彼らがオーストラリアのインディーズ界から世界へ羽ばたいた大出世作です。2枚組みのスペシャル・エディションには05年にスイスで行われた某フェスでのライブ音源が5曲収録されていまして、フジで圧巻だった「Ocean」も入っています。



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 07. 4.13 フジ予習:ジョン・バトラー・トリオ(「GRAND NATIONAL」)