ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

矢野顕子× 上原ひろみ @Bunkamura オーチャードホール

2016-09-21 23:44:59 | ジャズ
9月15日、渋谷Bunkamura オーチャードホールにて、『矢野顕子× 上原ひろみ Recording Live in Tokyo~ラーメンな女たち~』を観てまいりました!前回から5年振りとなるお二人によるレコーディングライヴ。レコーディングと言うぐらいですから、そうなんです、この日の模様は来年、CDリリースされるんです!!

と言う訳で、以下のレポートは完全にそのCDのネタバレになりますのでご注意ください。新鮮な気持ちでCDを聴きたい皆様方は読まないことをお勧めいたします。




さて、開演時間が近づくと、矢野さん、上原さん、御本人による場内アナウンスが流れる。レコーディングライヴなので携帯電話や時計の音などの注意事項を、お二人が面白おかしく話してくれるのですが、茶目っ気たっぷりに楽し気な矢野さんに対し、ほぼ棒読みでテンションの低い上原さん。この次点で既に二人の対比にワクワクさせられる。それにしても上原さんはよっぽど話すのが苦手なんですね〜。(曲間のMCでこのアナウンスの話になり、上原さんはスタッフさんから「棒読み」と言われたとかで、若干凹んでいました。)

そしていよいよステージに現れるお二人。拍手喝采に包まれながら矢野さんが向かって左、上原さんが右に、向かい合うように並べられた二つのピアノの前へと座る。一瞬の緊張が走り、さあ始まるぞ!と固唾を飲んでいるところで、上原さんが突然照れながら矢野さんの元へと駆け寄り、何やら耳打ち、ずっこけるようにピアノに頭を埋める矢野さん。いきなりのアクシデントにどうしたの?と思いながらも場内は拍手喝采。ステージ袖に姿を消す上原さん…。どうやら何か忘れ物をしたそう。しかもおそらく上原さんの希望で、もう一度お二人の登場からやり直すというドタバタ。良いじゃないですか〜。レコーディングライヴらしくて!

仕切り直しの登場を無事に終え、1曲目は「東京は夜の7時」。こちらは矢野さんの曲で、上原さん曰く、自分が生まれた年にリリースされた曲だそう。それを聞いた矢野さんは憤慨気味なジャスチャーで笑いをとっていましたが、その演奏は、そんな時間の経過や、二人の年の差を感じさせない、瑞々しく息のあった、流石は百戦錬磨のお二人!といった素晴らしさ。でもこれはほんの挨拶程度。ここから二人のコラボはどんどん深くなっていく。

「せっせっせーのよいよいよい!」のリズムで始まり、フリーキーに跳ねるピアノの絡みの上を「おちゃらか、おちゃらか」と歌う矢野さん。その独特の和フィーリングとアヴァンギャルドな崩し具合は、矢野さんの独壇場な格好良さ!しかもこの曲、上原ひろみスタッフというツイッターによりますと、「おちゃらかプリンツ」という曲名だそう。おそらくメドレー的にウェイン・ショーターの「Footprints」に繋げていたんでしょうけど、正直、凡人の私にはよく分かりませんでしたね…。相当崩していたと思われるので、この辺りは、CDリリースが楽しみです!!

続いて「Ain't No Sunshine」。来ましたねー!ビル・ウィザーズですよ! 前回もビルの「Lean on Me」をやってましたが、またしてもですね。これは上原さんの趣味でしょうか?しかも途中で「真っ赤な太陽」が挟まれるという。めくるめく表情を変えていく上原さんのピアノに、スキャットを交えたソウルフルな矢野さんの歌が良かった!!

矢野さん曰く、今回の演奏曲は、2曲目の「おちゃらかプリンツ」を除いて全て上原さんによる編曲だそう。お二人は数日間猛練習したそうですが、上原さんの妥協を許さないスパルタ振りが目に浮かんで来たり。実際に矢野さんのMCからは、「二人のピアニストとしてのタイプが恐ろしく違う」とのことで、その苦労が滲み出ていて可笑しかったですね。次の曲もなかなか始めようとしない矢野さんでしたが、「いつかはやらなきゃいけないんだから!」と自分に言いか聞かせるように始めた「飛ばしていくよ」。これも矢野さんの曲で、しかも打ち込みを主体にした曲なんですけど、それを人力に変えるという鬼アレンジ。まさに上原さんの変態振り炸裂ですよ!いや〜、これは凄かった! 終わるや否や爆発したような拍手歓声。どうだ!とばかりのやりきった表情を見せるお二人も印象的でした。

そして矢野さんがリクエストして、後から後悔したという「ドリーマー」。これは上原さんのトリオ・プロジェクトの曲。冒頭のサイモン・フィリップスのパートを、矢野さんがピアノの蓋を叩いてプチ再現したのにも驚きましたが、なにより、アレンジは上原さんがやってるにしても、矢野さんが入ることでこうも曲想が変わるものかと。やはり矢野さんの歌ですよね〜。元々はインスト曲ですから、そこに矢野さんの声がのる。まるで自分の曲のような世界観、個性豊かな表現力、流石でした!

ここで初めて矢野さんがピアノを離れ、中央前方のマイクの前に立つ。上原さんの作詞作曲による「こいのうた」。これが世界初公開とのことでしたが、もう、ほとんど矢野さんのために作ったのでは?と思うようなスローナンバー。矢野さんの暖かく優しい和フィーリングにうっとりでしたね~。そして上原さんのピアノソロがまた素晴らしかった!ミュートしながら流れるように紡がれるメロディー、美しかった!

本編ラストは「東京ブギウギ」と「New York, New York」のメドレー。「東京ブギウギ」はもちろん笠置シヅ子のあの曲、「New York, New York」は同名映画のテーマ曲で劇中でライザ・ミネリが歌い、後にフランク・シナトラでもヒットした名曲。それぞれ現在の上原さんと矢野さんの本拠地、東京とニューヨークを歌ったこの2曲を繋いだメドレー。その名も「ホームタウン・ブギウギ」。最後らしい華やかさと、上原さんのブギウギがたっぷり聴けて楽しかった!

割れんばかりの拍手喝采に送られてステージを後にするお二人。拍手はいつしかアンコールを求める手拍子に変わる。特大の手拍子が館内に響き渡る。しかしなかなか戻ってこない。結構長い間、手拍子してましたけど。ま、レコーディング・ライヴですからね、どの曲を録り直そうか?とか打ち合わせしてるのかな?なんて想像したり。そしてようやくお二人がステージに戻ってくる。一際大きな拍手喝采。そして矢野さんが「やってないんですよ」と言った、あの曲。そう「ラーメンたべたい」です。しかも今回はタイトルが「ラーメン本気でたべたい」となっているそうです。新アレンジは上原さんらしく、ロッキン&プレグレッシヴなイントロが強力なパワフル且つスピード感たっぷり!! 矢野さんのヴォーカルも相変わらずのキレっぷり。まさに本気。格好良いー!!

で、これで終わらないのがレコーディングライヴです。いわゆる録り直し。これもお二人のレコーディングライヴの楽しみだったり。ここからは1曲終わるごとに上原さんが矢野さんの元へ歩み寄り、何やら打ち合わせしつつ、次の曲へ、みたいな感じ。「東京は夜の7時」、「ドリーマー」、「飛ばしていくよ」 と続く。「ドリーマー」での上原さんのピアノソロ、情緒豊かで素晴らしかった〜! そして初回よりさらに濃密だった「飛ばしていくよ」が終わると、割れんばかりの拍手がまた手拍子に変わる。上原さんはそれに合わせてぴょんぴょん飛び跳ね始め、それを受けてさらに手拍子が大きくなるという盛り上がりよう。矢野さんが「ラーメンたべて帰ろうか!」みたいなことを言って最後の「ラーメンたべたい」。最後と言うこともあり、グイグイと調子を上げていくかのようなお二人。上原さんもこの日最もアグレッシヴなソロを聴かせてくれて大興奮。

矢野顕子と上原ひろみ、類い稀なる二つの個性が、ぶつかり合い交じり合うスリル。そしてそこから生まれる歓喜。およそ140分に渡るミラクルでした!!




↓この日のセットリストは先のツイッターによりますと、こんな感じだったそうです。

1. 東京は夜の7時
2. おちゃらかプリンツ
3. 真っ赤なサンシャイン
4. 飛ばしていくよ
5. ドリーマー
6. こいのうた
7. ホームタウン・ブギウギ
En. ラーメンたべたい
+ 4曲の再演

*再演の4曲は、順番に「東京は夜の7時」、「ドリーマー」、「飛ばしていくよ」 、「ラーメンたべたい」でした。




よろしければこちらもどうぞ

上原ひろみとレキシ ~レキシが助けにやってきた~ @SWEET LOVE SHOWER 2016
上原ひろみ×熊谷和徳 @SUMMER SONIC 2016

氣志團万博

2016-09-18 21:49:08 | フェス、イベント
矢沢永吉→DJダイノジ→氣志團

そして花火。 


花火、奇麗だったな〜。今年の氣志團万博も、相変わらず色んなファンの坩堝で面白かった。そして普段はあまり観ることのないバンドのライヴを沢山観れて楽しかった! と言う訳で、私の氣志團万博はこれで終わりです。と同時に、フジロックから始まった私の夏フェスも終わりです。あ〜、私の夏が終わってしまった…。


最後までしょうもないレポにお付き合い頂き、ありがとうございました!