ルーツな日記

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ノラ・ジョーンズ探検隊 その5

2012-10-31 17:31:17 | SSW
RODNEY CROWELL / KIN: SONGS BY MARY KARR & RODNEY CROWELL

ようやく5回目を向かえた「ノラ・ジョーンズ探検隊」。これまでデビュー前後のノラをつついてあることないこと書かせて頂きましたが、今回は今年リリースされたばかりの作品です。ロドニー・クロウェルの最新作「KIN: SONGS BY MARY KARR & RODNEY CROWELL」。

88年の名作「DIAMONDS & DIRT」のヒットで名を馳せたロドニー・クロウェル。そこからシングル・カットされた「After All This Time」がグラミー賞「Best Country Song」部門を受賞するなど、当時のカントリー・シーンを牽引していたシンガー兼ソングライター。またプロデューサーとしての活躍も知られますし、エミルー・ハリスのホット・バンドでギタリストを務めていたこともあったり、ロザンヌ・キャッシュの元旦那さんだったり。近年ではジョー・ヘンリーがプロデュースした08年作「SEX & GASOLINE」がグラミー賞「Best Contemporary Folk/Americana Album」部門にノミネートされたことも記憶に新しいですね。

その「SEX & GASOLINE」以来となるロドニー・クロウェルの最新作「KIN: SONGS BY MARY KARR & RODNEY CROWELL」は、またしてもジョー・ヘンリーのプロデュース作。しかし今作は純粋な彼の新作と言うより企画盤色が強い。ロドニー・クロウェルと作家メアリー・カーによる共作曲を豪華ゲストシンガー達が歌うという趣向です。ここにノラ・ジョーンズも招かれている訳ですが、実はノラがロドニー・クロウェルの曲を歌うのはこれが初めてではありません。「ノラ・ジョーンズの自由時間」にも収録された「Bull Rider」もロドニー・クロウェルの曲なんですよね。このあたり、ノラのカントリー趣味が伺えます。

さて、今作で気になるのはメアリー・カーの存在です。ですが失礼ながら私、彼女についてはよく知らないんです…。ロドニー・クロウェルと同郷テキサス州出身の女性作家だそうで、きっと有名な方なんでしょうけどね。さらに私、英語がダメなので作詞についても理解出来ず、その時点でこの作品コンセプトにほとんどついていけてない状態なのですが、それでもここで聴ける音楽は素晴らしい!

1曲目はロドニー・クロウェル自らが歌う「Anything But Tame」。壮快に吹き抜けるかのような昂揚感と何処かセンチメンタルな後味が秀逸なメロディ。良い曲ですね~。ボブ・ディランっぽいところも素敵。そして2曲目がノラ・ジョーンズの歌う「If the Law Don't Want You」。郷愁を誘うアコースティックな音色の中、落ち着いたトーンで歌うノラの歌声が良い。ハーモニーを付けるのはロドニー・クロウェルとエミルー・ハリス。素朴な小曲と言った赴きながら、味わいは深い。こういった曲に人肌の温もりを与えるノラの歌声は、やはり魔法のように魅力的。

しかし個人的なベスト・ソングはルシンダ・ウィリアムスの歌う「God I'm Missing You」ですね。これはもうあらかじめルシンダの為に作った曲なのではないかと思う程、彼女ならではの深淵としたアメリカーナの世界が広がる素晴らしい出来映え。この唯一無比の歌声にはホント参ります。そう言えば、数年前にスターバックスから限定リリースされた「NORAH JONES ARTIST'S CHOICE」という、ノラ・ジョーンズ自身が選曲したコンピレーション盤がありましたが、その中でノラはR&Bやカントリーのレンジェンド達に混じって、ルシンダ・ウィリアムスの「Fruits Of My Labor」を選んでましたっけ。案外、ノラもルシンダのファンなんですね。

さて、話を「KIN: SONGS BY MARY KARR & RODNEY CROWELL」に戻します。他にも盟友ヴィンス・ギルが歌う「Just Pleasing You」、リー・アン・ウーマック「Momma's On a Roll」、ロザンヌ・キャッシュ「Sister Oh Sister」、エミルー・ハリス「Long Time Girl Gone By」など魅力的な歌と曲が並びます。ハイライトはロドニー・クロウェルとクリス・クリストファーソンがデュエットする「My Father's Advice」でしょうか。クリス・クリストファーソンの渋~い声に痺れます。

それにしても、カントリーらしい雄大さと、哀愁、そして適度なポップさが絶妙にマッチした良い曲ばかりですね。プロデューサーを務めたジョー・ヘンリーも見事ですね。いわゆるジョー・ヘンリーらしさはあまり感じられないかもしれませんが、穏やかながら瑞々しく響くサウンドは流石の一言です。意外とジョー・ヘンリーとノラの相性も良いかも。いつか二人のコラボでアルバムを作って欲しいな、なんて思ったり。




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 12.10.15 ノラ・ジョーンズ探検隊 その1(RAY CHARLES / GENIOUS LOVES COMPANY)
 12.10.16 ノラ・ジョーンズ探検隊 その2(THE DIRTY DOZEN BRASS BAND / MEDICATED MAGIC)
 12.10.21 ノラ・ジョーンズ探検隊 その3(VA / LIVE FROM BONNAROO)
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