ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

ニューオーリンズ祭!

2013-09-27 22:54:02 | ニューオーリンズ
9月28日からジョン・クリアリーのツアーが始まります。日程は以下の通り。


9月28日(土)浅草 HUB 2 shows!
9月30日(月)横浜 Thumbs Up
10月1日(火)名古屋 Tokuzo
10月3日(木)京都 磔磔
10月4日(金)福岡 Gate's7
10月5日(土)松江 市民活動センター交流ホール(ピーター・バラカンさんとのレクチャー・コンサート)
10月7日(月)富山 市民プラザ 3F マルチスタジオ
10月9日(水)金沢 Mokkiriya
10月10日(木)仙台 enn 2nd
10月12日(土)渋谷 Tokyo Women's Plaza Hall(ピーター・バラカンさんとのレクチャー・コンサート)
10月15日(火)上越 ラ・ソネ

追加公演
10月11日(金)札幌 Coo
10月14日(月)東京・南青山 Cay

インフォメーション→Buffalo Records


5月にトリオで来日したばかりなのに、これだけの都市を回り、さらに追加公演まで出るという人気ぶり。凄いですね! 最近ニューオーリンズの音楽って注目されてるんですかね? ブルース&ソウル・レコーズ誌でも特集が組まれてますし。ビルボードにはもうすぐドクター・ジョンとアラン・トゥーサンがやってきます。ドクター・ジョンはバック・バンドを一新しての来日公演、トゥーサンは06年以来のピアノ・ソロです。


ドクター・ジョン
9月30日(月)ビルボードライヴ東京
10月1日(火)ビルボードライヴ東京
10月2日(水)ビルボードライヴ大阪

アラン・トゥーサン
10月22日(火)ビルボードライヴ東京
10月23日(水)ビルボードライヴ東京
10月24日(木)ビルボードライヴ大阪


ジョン・クリアリー、ドクター・ジョン、アラン・トゥーサンという、現ニューオーリンズを代表するピアニストが集中して来日するなんて、珍しいことですよね?いや~、豪華です!

しかも注目は主役のピアニストばかりではありません。ドクター・ジョンのバックを務めるギタリスト、シェイン・テリオット(シェーン・テリオ)!! この人、「VALENCE STREET」期のネヴィル・ブラザーズのメンバーで、ソロ作も数枚リリースしている注目のギタリスト。09年にリリースされたソロ作「DIRTY POWER」(リッチー・ヘイワード、サニー・ランドレス、ジガブー・モデリステ、ジョニー・ヴィダコヴィッチ、カーク・ジョセフなど錚々たるメンバーを招いた力作)も話題になりました。そしてこの9月、実は東京ジャズやビルボードに出演したラリー・カールトン・ブルース・オール・スターズにもベーシストとして参加していたんですよね。(トラヴィス・カールトンの代役として)。今回はもちろん本職のギターですから。ニューオーリンズ・ファンキーなプレイをたっぷり聴かせてくれることでしょう。




SHANE THERIOT / DIRTY POWER
シェーン・テリオ、これがソロ3作目でしょうか? 09年リリースの「DIRTY POWER」。バック・メンバーも豪華ですが、シェーンの存在感抜群のギターも相当格好良い!!



ブルース&ソウル・レコーズ最新号。特集は「ニューオーリンズの今」。ジョン・クリアリーもフィーチャーされてます。充実のディスク・ガイドには、残念ながらシェーン・テリオは載ってませんが…。

テデスキ・トラックス・バンド来日決定!

2013-09-24 10:12:55 | ルーツ・ロック
テデスキ・トラックス・バンドの来日が発表されました。現在発表されているツアー日程は以下の通り。東京で始まり、西へ行って、また東京に戻って終わるという。しかも最後がライヴハウスのAXっていうのが良いですね。ま、追加公演が出る可能性もありますから、最後がAXと決まった訳ではありませんけどね…。

2014年2月6日(木)  東京 渋谷公会堂
2014年2月7日(金)  名古屋 ダイヤモンドホール
2014年2月9日(日)  大阪 あましんアルカイックホール
2014年2月10日(月) 東京 SHIBUYA-AX

テデスキ・トラックス・バンドとしてのデビュー作である前スタジオ作「REVELATOR」が2011年度グラミー賞『Best Blues Album』部門を受賞し、今年8月にリリースされたばかりの最新作「MADE UP MIND」は早くも傑作の呼び声高いという、飛ぶ鳥を落とす勢いの彼ら。オールマン・ブラザーズ・バンドの精神を受け継ぎつつ、ロックやブルースはもちろん、ソウル、ゴスペル、ジャズなどあらゆるジャンルを柔軟且つ洗練されたミクスチャー感覚で鳴らすそのスケール感は、まさに現在進行形の“ニュー・サザン・ロック”と言えそう。2年ぶりの来日となる本公演では、前回よりさらに研ぎ澄まされた、さらに深みを増したバンド・サウンドを聴かせてくれることでしょう。もちろんデレク・トラックスのギター、スーザン・テデスキの歌声にも注目です。

ただ一点、気になるのは昨年バンドからオテイル・バーブリッジが抜けて、現在は正規ベーシストが居ない状態なこと。夏のツアーにはソウライヴ/レタスのギタリストであるエリック・クラズノーをベーシストに向かえていたとか。(今年のフジロックにレタスが出演したのにエリック・クラズノーが来ていなかったのは、もしかしてテデスキ・トラックス・バンドのためだったのかな?なんて思ったり…)。現在はTim LeFebvre(ドニー・マッキャスリン、ジェイミー・カラム、デヴィッド・フュージンスキー等の作品に名前を見つけることが出来る人)という方が先日9月20、21日のビーコン・シアター2Daysを含む多くの公演でベーシストを務めているようです。ま、来年2月の日本ツアーまでにはまだ数ヶ月ありますからね、どうなるでしょうか?


インフォメーション→ウドー音楽事務所



↓ゲストにディッキー・ベッツを向かえてオールマン・ブラザーズ・バンドの名曲「In Memory of Elizabeth Reed」を披露するテデスキ・トラックス・バンド。先の9月21日、ニューヨークのビーコン・シアターにて。
http://www.youtube.com/watch?v=sixHD9bTvUQ&feature=player_embedded#t=3

モダン・アイリッシュ・プロジェクト@渋谷タワー・レコード

2013-09-22 15:36:56 | インストアイベント
インストア・イベント観覧記その13 モダン・アイリッシュ・プロジェクト@渋谷タワー・レコード


少し前の話になりますが、8月18日、渋谷タワー・レコードにて、モダン・アイリッシュ・プロジェクトのインストア・ライヴを観てまいりました! 邦アイリッシュ・シーンの最前線を疾走中の彼らは、今年6月に2年ぶり3作目となる最新作「MOVING CLOUD」をリリースしたばかり。メンバーは長尾晃司(guitar)、大渕愛子(fiddle)、田嶋友輔(drums)の3人。最新作から大渕さん作曲の「The Humid House」や長尾さん作曲の「Elderly Polks」の含む数曲を披露してくれました。

大渕さんのスリリング且つ情緒豊かなフィドルは何度聴いてもワクワクさせられますね。そしてキレの良いカッティングで開放感溢れるグルーヴを提供する長尾さんのギター。さらに堅実ながら躍動感溢れる田嶋さんのドラムス。ダンス・ナンバーとしての昂揚感の高さは3人の一体感が成せる技ですね。インストアとは言え、生演奏ならではの臨場感たっぷりな気持ちの良いライヴでした!!



終演後にCDを購入しサインを頂きました! こちらの最新作「MOVING CLOUD」、ライヴにおける疾走感や昂揚感が見事に録音された快作です。ボーナストラック入りで全7曲、1,575円ですから、ミニ・アルバムですかね?



ニュー・クール・コレクティヴ@東京JAZZ

2013-09-16 14:28:02 | フェス、イベント
NEW COOL COLLECTIVE / SALUD

9月7日、8日の2日間、ニュー・クール・コレクティヴのライヴを観てまいりました。昨年はフジロックにも出演して話題になった、オランダが誇るジャズ・ファンク・バンドです。今回は東京JAZZ【the PLAZA】。こちらは日本を代表するジャズ・フェスティヴァルである東京JAZZの関連イベントとして、東京国際フォーラムの地上広場で行われたフリー・イベント。ジャズを中心に世界各国のアーティストが出演する中、ニュー・クール・コレクティヴはこの2日間のトリを務めました。

ちなみに、私が初めてニュー・クール・コレクティヴを観たのは、09年、やはり同じ東京JAZZのフリー・イベントでした。彼らについて何の前知識もなく観たそのライヴ、あまりの格好良さにぶったまげたのを覚えています。その後、フジロックを含めなんだかんだで観そびれてしまってるので、彼らを観るのは、あれから4年ぶりでした。

まずは9月7日。この日はフランスのシモン・ダルメ、ポーランドのマルチン・マセツキ – ポロネーゼ 、イスラエルのヨタム・シルバースタイン・トリオ などが出演。そして21時からいよいよニュー・クール・コレクティヴがスタート。編成はベンジャミン・ハーマン(sax)、 デヴィッド・ロックフェラー(tp,tb)、 レスリー・ ロペス(b)、 ローリー・ロンデ(g)、 ヨス・デ・ハース(per)、 フランク・ファン・ドック(per)、 ヨースト・クルーン(ds)、 ウィレム・フリーデ(key)という布陣。1曲目は「Como Camina」。有楽町の夜空に響く、ジャジーなファンク・グルーヴ!!

やはりこのリズムですよ!ドラムスとベース、キーボードの絡みはもちろん、2台のパーカッションが織りなすラテン・フレイバーがまた心地良い! そしてそのリズムの上を縦横無尽に飛び交うサックスとトランペットの音色。特にリーダーのベンジャミン・ハーマン! 彼のブロウはもちろん、パッション溢れる清々しいリーダーシップが何とも言えず気持ち良いですね。そして気になるのがギタリスト。私はアントン・ハウトスミットというギタリストがかなり好きだったのですが、彼は脱退してしまったのでしょうか?代わりに黒人ギタリストのローリー・ロンデがその座を務めています。ジャズばかりでなく、ブルースやロックも感じさせるミクスチャーなアントン・ハウトスミットに比べれば、ローリー・ロンデはよりオーセンティックなジャズ・ファンクに徹している印象ですが、彼が醸すリズムが堪らない! 白人中心のニュー・クール・コレクティヴに黒いグルーヴを注入するかのような、気がつけば彼のギター・カッティングこそ現ニュー・クール・コレクティヴの要のように聴こえてくるほど。曲が進むにつれ彼のグルーヴに身も心も浸食されてしまいました。

最新作「SALUD」から「Samba Kitsu」や「Pont Faidherbe」、前作「EIGHTEEN」からの「Ogun」、「Marche Funebre」など、アンコールも含めて7~8曲でしたかね。最後は椅子席のお客さんも総立ちで盛り上がりました。個人的なハイライトは2台のパーカッションが大活躍したアフロ・フィーリングな「Ogun」。この曲でのアフリカンなコーラスや、パーカッションによるリズムの響宴は夏の夜空にぴったりでしたね。いや~、本当に気持ちの良いライヴでした!


そして翌日9月8日。この日は午後から雨。楽しみにしていたのはセカンド・ステージ的な小ステージで行われたベンジャミン・ハーマンのソロ・ライヴ。ですがライヴと言うよりトーク・ショー的な雰囲気で、パソコンで音源をかけながらオランダのジャズ・アーティストを紹介していたのでしょうか?通訳無しだったので、英語が分からない私にはさっぱり分かりませんでした…。もちろん、ソロで無伴奏のサックス演奏も披露してくれまして、それはそれは極上だったのですが、いかんせん、トークが長過ぎましたね~。

この後、雨は豪雨に変わり、ニュー・クール・コレクティヴを含む3バンドを残し、ステージは続行不可能となりました。しかし、東京国際フォーラムの地上広場には雨の当たらないスペースもあるんです。ちょうどベンジャミン・ハーマンがソロ・ライヴをした小ステージの裏手側あたり。ここに特設ステージが用意される。いや、ステージはありません。ただ、地面にドラムセットやキーボード、アンプを並べただけです。ほとんどストリート・ライヴな雰囲気。雨のため、お客さんも随分と少なくなってしまったなか、ここでスイスのルスコーニ 、オランダのエリック・フルイマンスが素晴らしいライヴを繰り広げる。そしていよいよニュー・クール・コレクティヴ!!

ほとんどリハーサルらしいリハーサルも無しに始まったニュー・クール・コレクティヴ。サックスやトランペットにはマイクが立てられていましたが、おそらくドラムスやパーカッションは生音、ベースとギターはアンプからの出音そのものだったと思います。そんな状況でもバッチリなサウンドを出しますからね。さすがプロですよ!しかも生々しく臨場感たっぷりな音像がかえって興奮を誘うほど。観客達は、手を伸ばせば届きそうな位置でバンドを取り囲むように観ている。もちろんステージとの境界線なんてありませんよ。バンドもそんな親密な空気を楽しむようにテンションを上げていく。もちろん、バンドにとっては決して万全な状態ではなかったでしょうが、こんなシチュエーションでニュー・クール・コレクティヴを体験出来る我々観客にとっては、なんとも贅沢な話。

この日、印象的だったのはやはり「Ogun」。あの親密感の中、ストリート・ライヴな風情でこの曲を決められては堪りませんよね。ニュー・クール流のアフロ・グルーヴがまるで渦を巻くようでした。ちなみに私はローリー・ロンデのほぼ目の前に陣取っていたのですが、やはり彼のギターにやられました。単音フレーズを微妙に変化させながら延々と弾き続けているのですが、その陶酔グルーヴは半端無かったです。また「Chevere」でのギターソロも最高でした。ゆっくりと入って徐々にフリーキーに畳み掛けつつ、その奥には黒いグルーヴが内包されてる。格好良い~!!

エキゾティックな「Pont Faidherbe」ではレスリー・ ロペス(b)の弾く低音ラインがやたら腰にきて参りました。「Marche Funebre」のスカのリズムも気持ち良かったですね~。夏の空気を包み込むようなグルーヴ。熱いブロウと灼熱のパーカッション。幸福感溢れるヴァイヴ。雨を避けるように集まった東京国際フォーラムの一角が、まるで桃源郷のような空気に満たされた最高のライヴでした。

終了後はアンコールを望む拍手が鳴り止まない。それは終演を告げる司会者の声をも掻き消すような勢い。司会者も流石に苦笑いを浮かべていると、裏からベンジャミン・ハーマンがサックスを持って登場。しかしスタッフに止められ、状況を確認。結局アンコールは時間的に無理らしい。でもベンジャミンはマイクを持ち、観客達に誠意溢れる挨拶をされてました。なんかそういう姿に痺れちゃいましたね~。いや~、ホント良いライヴでした。豪雨にも負けず、待った甲斐がありました!


雨のため中止になりかけても、残った少ないお客さんのために、場所を変えて続行してくれた東京ジャズに感謝です。有料のイベントならまだしも、フリー・イベントですからね。そしてそんな状況でも熱演を繰り広げてくれたバンドの皆様も素晴らしい! 東京ジャズ、そしてバンドの皆様、お疲れさまでした!ありがとうございました!!



*写真はニュー・クール・コレクティヴの通算10枚目となる最新作「SALUD」。前半は従来通りのニュー・クール・コレクティヴが楽しめるジャズ・ファンク、後半は映画「Toegetakeld Door De Lieftde」のサントラとして短い曲が叙情的に連なるという、変則的な作品ながら、彼らの多彩な魅力がたっぷり味わえる好盤です。既にアントン・ハウトスミットの名前は見えず、数曲でローリー・ロンデがギターを弾いてます。9月7日のライヴ終了後、メンバー全員からサインを頂きました。

ちなみにギタリストのローリー・ロンデ、正式にニュー・クール・コレクティヴに加入したのか、ヘルプ要員なのか?そこがよく分らないんですけど、どうなんでしょうね? あとなんか聴いたことある名前だと思って帰宅後に調べてみましたら、ジョヴァンカの最新作「SATELLITE LOVE」でも印象的なギターを弾いてる方でしたね。今後注目です!!



↓参考映像。今年のNorth Sea Jazz Festivalにおける「Ogun」。
http://www.youtube.com/watch?v=7pzXWvdfwXk

ファンキー・ミーターズ来日決定!

2013-09-12 09:49:21 | ニューオーリンズ
FUNKY METERS / FIYO AT THE FILLMORE VOLUME 1

ニューオーリンズ・ファンクの雄、ファンキー・ミーターズの来日が発表になりました! 場所はビルボードライヴ。これは楽しみですね!


公演スケジュールは以下の通り。

2014/1/16(木) ビルボードライヴ大阪

2014/1/16(木) 2014/1/17(金) ~ 1/18(土) ビルボードライヴ東京



ここで気になるのは来日メンバー。ビルボードのサイトにはアティースト写真はるものの、まだメンバーの詳細までは公開されてないんですよね~。紹介文に「前身であるミーターズからのオリジナルメンバー、アート・ネヴィル、ジョージ・ポーターJr.が伝統と革新のグルーヴを届ける!」とあるので、よっぽどのことがないかぎり、アート・ネヴィルとジョージ・ポーターJr.の2人は来てくれるでしょう。ですが逆にこの2人の他は誰が来るか解りませんよ、と言われてるようでちょっぴり恐かったり。

ちなみにビルボードのアティースト写真に写っているのは、ブライアン・ストルツ(g)、ラッセル・バティステJr.(ds)、アート・ネヴィル(kbd)、ジョージ・ポーターJr.(b)です。普通に考えたらこの4人が来てくれるんでしょうけど、公式発表があるまでは何となく安心出来ません…。ちなみに前回、09年の来日時はギタリストがアートの息子イアン・ネヴィルでした。ですがイアンはダンプスタファンクでの活動が忙しくなったのか、今はファンキー・ミーターズを離れ、代わりにイアンの前任者だったブライアンが戻ってきてるようですね。まあ、ファンキー・ミーターズのギタリストと言えばブライアン・ストルツ!という印象ですし、これまでブライアンが在籍するファンキー・ミーターズは来日したことがないので、ぜひこの黄金メンバーで来日して欲しいところですね。


それと、アートがまた来てくれるのは嬉しいですよね~。09年のファンキー・ミーターズ及びネヴィル・ブラザーズでの来日時は足腰が不自由な様子で、もう長旅は無理なのでは?と心配になった程でしたが、意外と元気なのかもしれませんね。来年1月が楽しみでなりません!!


↓今年8月、Nedfest における1時間半のフルセット・ライヴ映像。
http://www.youtube.com/watch?v=24jDZ1zsTg8



*写真はファンキー・ミーターズ唯一の公式盤「FIYO AT THE FILLMORE VOLUME 1」。01年3月、サンフランシスコはフィルモアでのライヴ録音。メンバーはもちろん、アート・ネヴィル(kbd)、ジョージ・ポーターJr.(b)、ブライアン・ストルツ(g)、ラッセル・バティステJr.(ds)の4人。(イアンもほんの少し参加しています。)

トリクシー・ウィートリー@六本木ヒルズ ベルギービールウィークエンド東京2013

2013-09-10 19:09:30 | フェス、イベント
9月6日と7日、六本木ヒルズで開催されている「ベルギービールウィークエンド東京2013」に行ってまいりました。お目当てはトリクシー・ウィートリーのライヴ。


*これからトリクシー・ウィートリーの来日公演を観に行かれる方は、ネタバレ(イベントと単独公演では違うかとは思いますが)になりますのでご注意ください。


2010年にリリースされたダニエル・ラノワの「BLACK DUB」。これはラノワのソロ作ではなく、彼が率いたブラック・ダブというバンド名義の作品だった訳ですが、そこでリード・シンガーを務める女性シンガーの、どこかミステリアスでソウルフルな歌声に惹かれた方は結構多かったのではないでしょうか?私もその一人な訳ですが、その女性シンガーこそ、トリクシー・ウィートリーだったのです。今年リリースされた待望のソロ・アルバム「FOURTH CORNER」も話題になりましたが、早くもそのデビュー作を引っさげての初来日です。

9月6日はイベントの初日であり、トリクシーにとっても来日ツアーの幕開けとなるステージ。当初の予定開始時刻の18時から30分ずれ込んだ18時半、司会者に紹介され、ステージに登場したトリクシーは想像以上に美形。ブロンド髪を束ね細身のパンツを履いたその姿は“モデル”と言われても納得するぐらい。ですが彼女はエレキギターを持って歌うシンガーなのです。バックにはドラムス、ベース、ギターというシンプルな編成。デビュー作から独特な陰影とオルタナティヴな緊張感を伴った楽曲達が披露されていく。ファルセットを交えながら深いエモーショナルに溢れるトリクシーの歌声が素晴らしい! 艶やかな響きの中からトロリとした憂いを染み入らせ、時折刺すような鋭さも見せる。流石、ダニエル・ラノワが惚れる訳です。バンド・メンバーが一旦下がってトリクシーが一人でエレキ・ギターを弾き語った「Oh, The Joy」のブルージーな味わいも堪りませんでしたし、キーボードを弾きながらのスロー・ナンバーもソウルフルで素晴らしかったです。

ですが野外の空の下、ビールを飲んで開放的な気分を味わいたいというお客様達には、少々サウンド的にクール過ぎたかもしれません。前の方のテーブルでさえ、ライヴそっちのけで大騒ぎしている人達がいらっしゃいましたからね。 中盤にやった「Never Enough」のようなアップ・テンポな曲ではトリクシーが日本語で「一緒に踊りましょ!」とMCをしたりで、盛り上がってはいましたけれど、やはり全体的にはイベントとのズレを感じさせられたのが正直なところ。ですがトリクシー・ウィートリーを観に来た私にとっては、大満足なライヴだったんです。1時間弱、たっぷり堪能させて頂きました。


そして翌日。この日は15時半開演という、昼間のステージ。昨日以上にアウェーな雰囲気を心配していたのですが、この日は「Never Enough」から始まり、続いて「Gradual Return」と、初っ端から踊れる曲を畳み掛けてきました。切れ込みの入ったセクシーなワンピースを着ている時点で、昨日とは違う感じがしましたが、何よりもトリクシーの歌声が断然アグレッシブ! 声のハリやノリが違うと言いますか、観客達をグイグイと引き込む勢いがある。上半身を振り回すようにギターを弾く姿も格好良い! これは完全にギアを変えてきた印象。お客さん達も、特に前方の方々はかなり前のめりに楽しんでいる雰囲気でしたし。バックの演奏も一体感があり、昨日と同じ曲をやっても違って聴こえるほどの勢いに溢れてる。また中盤に新曲?と思われる曲もやったのですが、それがまたロックな曲で、案外、この日最も盛り上がった曲になったかもしれません。

そんな勢いはスローな曲でもトリクシーをよりソウルフルに掻き立てるかのよう。キーボードを弾きながらの「Pieces」の素晴らしかったこと。溢れんばかりのエモーショナルを歌声に乗せるかのような感情表現には心底参りました。そして彼女の存在感が際立ったエレキ・ギター弾き語りの「Oh, The Joy」にも痺れました。

トリクシー・ウィートリーというとやはりダニエル・ラノワとの邂逅や、黒っぽいソウルフルな歌声が印象的で、やはりルーツ系のイメージが強いかと思うんです。実際、そうなんでしょうけど、それだけではなく、むしろロック的な緊張感や鋭利さも濃厚だったりするんです。この日のライヴを観てオルタナ系はもちろん、ポスト・パンク的なサウンドからの影響もあるのかな?なんて思ったり。「Need Your Love」の血管切れそうな程にタイトルを連呼する終盤とか、「Hotel No Name」での奇声のようなシャウトを交えてのアヴァンギャルドな風味とか、パンキッシュな一面もあったり、なかなか一筋縄ではいかないトリクシーなのです。

とまあ、個人的な印象を書かせて頂きましたが、なんだかんだで本編ラストを締めた「Breathe You In My Dreams」ですよ。トリクシーがキーボードを弾きながら歌うこの曲、その歌声に宿るソウルネスはホント素晴らしかったです。やっぱりこういうスロー・ナンバーを歌うトリクシーと言うのは、シンガーとして凄い!の一言ですね。もううっとりでした。ですがこの日のライヴはうっとりばかりしていられない。感情が高ぶったトリクシーは終盤、マイクを持って鍵盤から離れ、ステージを降り、観客の目の前でぴょんぴょん飛び跳ねながら歌い始める。しかも観客達には背を向けてただただ衝動的にハネてる感じ。やっぱりこの人、パンクです!

そしてトリクシーの熱演に拍手が鳴り止まない。拍手は手拍子へと変わり、司会者さん達の煽りもあってそれが一際大きくなった頃、トリクシーが一人でステージに再登場。歓声がこだまするなか、鍵盤弾き語りで「Undress Your Name」。しっとりとした曲に、またまたうっとりでした。


よりアルバムの雰囲気に近い世界観をじっくりと聴かせてくれた初日、そのロック・モードとも言えそうな2日目。どちらも甲乙付け難いステージでした。両日とも終演後はサイン会が催され、私もサインを頂いて、ツーショットの写真も撮って頂きました。本当にお人形さんのように奇麗な方なので、もの凄く緊張しました…。



↓9月7日のセットリストはこんな感じだったかな?(間違ってましたらごめんなさいね)。アンコール含めておよそ1時間のステージでした。

01. Never Enough
02. Gradual Return
03. Silent Rebel Pt. 2
04. Irene
05. ???(新曲?)
06. Pieces
07. Oh, The Joy
08. Need Your Love
09. Hotel No Name
10. Breathe You In My Dreams
-----------------------
11. Undress Your Name


TRIXIE WHITLEY (vo, gtr, key)
SCOTT METZGER (guitar)
ALAN GEVAERT (bass) from dEUS
RAY RIZZO (drums)



さて、トリクシーは現在、来日ツアー中です。あとは名古屋と東京を残すのみですけどね。東京はその最終日、9月12日(木)渋谷 O-nest だそうです。

来日ツアーの詳細→http://www.hillstone.jp/events/trixie_whitley/




TRIXIE WHITLEY / FOURTH CORNER
サインを頂いたアルバム「FOURTH CORNER」。オルタナ感の濃い、現代的なクールさを感じさせる深遠なサウンドが秀逸。そして聴けば聴く程トリクシーのエモーションが滲みてきます。



最後に百聞は一見にしかずと言うことで、一つ動画をご紹介。鍵盤弾き語りの「I Breathe You In My Dreams」。歌い始めの低い声からその深い響きに引き込まれます。
http://www.youtube.com/watch?v=-XZGJMPnwbI

ガブリエル・アプリン@渋谷タワー・レコード

2013-09-07 12:57:40 | インストアイベント
インストア・イベント観覧記その12 ガブリエル・アプリン@渋谷タワー・レコード

随分と前の話で申し訳ありませんが、去る7月7日、渋谷タワー・レコードにてガブリエル・アプリンのインストア・ライヴを観てまいりました。YouTubeやiTunesから人気に火が付き、昨年12月にはシングル「POWER OF LOVE」(フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのカヴァー)が全英シングル・チャートのNo.1となるなど、本国イギリスで大注目される若き女性シンガー・ソング・ライター、ガブリエル・アプリン。今年リリースされたデビュー・アルバム「English Rain」は、秀逸な“傘ジャケット”も相まってここ日本でも耳の早いリスナーの間で話題になっていました。

そんなガブリエル・アプリンのインストア・ライヴ、この時まだデビュー作の日本盤が発売前という状況ながら、会場は観覧客でぎゅうぎゅう。の人気ぶりに驚きました。そしてステージに現れたガブリエル・アプリンは想像以上に可愛い! まだ20歳ですからね。「Panic Cord」から始まったアコギ弾き語りライヴ。ブルース・スプリングスティーンの「I'm on Fire」のカヴァーを含む5曲程を披露。飾り気の無い素直な歌声ながら、しっとりとしたエモーショナルが感じられ、とても素敵なライヴでした。この若さにして、このフォーキーなフィーリングは素晴らしいですね。もちろん現代のSSWとしてのモダンな感覚にも溢れてて、この先、どういう方向へ向かうのか楽しみです。出来ればあまりポップにならず、フォーキーな方でお願いしたいな~、なんて思ったり。

ライヴ終了後のサイン会も大盛況でした。私もCDを買ってサインを頂こうかと思いましたが、とっくに参加券の配布は予定枚数を終了していたようです…。やっぱり凄い人気なんですね~。



ガブリエル・アプリンは、この7月のプロモ来日の後、8月には再来日しサマーソニックに出演しています。その時のステージの模様が10月11日(金)にWOWOWで放送されるようです。この時はアコギ弾き語りではなくバンド・セットだったようですね。さらに今年12月には、早くも来日ツアーが予定されています。今後どう化けるか解らないだけに、貴重なライヴになるかもしれませんね。

WOWOWによるサマーソニック放送スケジュール→http://summersonic-wowow.jp/
来日ツアー情報(クリエイティヴマン)→http://www.creativeman.co.jp/artist/2013/12gabrielle/






↓こちら、2012年の iTunes Festival からのフルライヴ映像。
http://www.youtube.com/watch?v=kmCd_oFd67M

フジロック ベスト・ナチュラル

2013-09-06 15:02:38 | フジロック
PRISCILLA AHN / THIS IS WHERE WE ARE

2013年のフジロック。土曜の朝のレッドマーキーへ降り立った天使、プリシラ・アーン!!

リリースされたばかりの新作「THIS IS WHERE WE ARE」では、それまでのフォーキーな路線からオルタナ/エレクトロニカへ一歩も二歩も踏み込んだ意欲的な作品でした。とは言え私、このフジロックの時点ではまだその新作をちゃんと聴けてなかったんです。フジロックでのサイン会参加券をゲットするために、それまで買うのを我慢して我慢して、フジロック当日、ようやく現地で買ったのでした。もちろん視聴や何やらで少しは聴いてましたけどね。とは言え私にとってはほぼ、フジロックで初めて体験するプリシラ・アーンの新モードだったわけで。どんなライヴになるのか?ドキドキしながら最前列ど真ん中を陣取り、胸膨らましておりました。


清楚そのものの白いワンピースで登場したプリシラ・アーン。バックバンドにはドラムス、キーボード、チェロ(曲によってはパーカッション)の3人が並ぶ。そしてプリシラはキーボードを弾きながら歌う。いつもはアコースティック・ギターを持って歌うプリシラなので、慣れないキーボードの弾き語りゆえか明らかに緊張した面持ち。もちろん過去にもキーボードを弾いたことはありますが、それはアクセント程度で、ここまで全面的にキーボード弾き語りというのはかなり挑戦的。実は、直前のリハーサルではそのキーボード関連と思われるトラブルで、開演ギリギリまでスタッフさんと悪戦苦闘していたりで、ちょっと心配だったんですけど…。

ステージではヴァラエティに富んだ楽曲が披露されましたが、やはり特筆すべきは「This Is Where We Are」や「Home」、「Diana」など、新作「THIS IS WHERE WE ARE」からの曲です。モダンなビートとエレクトロニカなサウンドスケープに彩られた新曲の数々。そしてそれを柔らかく包み込むプリシラ・アーンのピュア・ヴォイス。キーボードを弾きながら新感覚な楽曲を歌うプリシラがとても新鮮。とは言え、新作リリース直後で、この編成でのライヴも極めて初期の段階だったと思われ、特にプリシラは大変だったのではないでしょうか。正直に言いますと、いろいろミスはあったと思います。ですがミスってもその都度、彼女の反応がナチュラルで素敵なんです。可愛いんです!そして間違えてもまた歌いだせば、すぐにそのピュア・ヴォイスが空間を癒していく。このプリシラのピュア・ヴォイスが持つ魔力を改めて思い知ったぐらいです。

もちろん新曲以外もいろいろ披露してくれました。やはり名曲「Dream」ですよ。それまでキーボードを弾いていたプリシラもこの曲ではアコギを弾く。なんとなく、キーボード演奏では不運が続いたこの日のプリシラだったので、この曲でギターに持ち替えたときはちょっぴり安心したんですよね。ですがなんと、あろうことかイントロで躓いてしまったんです…。この日のプリシラはフジの魔物に取りつかれていたのでしょうか?ですが当のプリシラは笑ってましたけどね。それがまたナチュラルなんですよ。そんなプリシラを応援するように観客から拍手が沸き起こる。そして改めて「Dream」を歌い始めれば、そのピュア・ヴォイスがフワ~っと染みわたっていく。やはり彼女の声の魔力。


日本語カヴァーの「Country Roads」も盛り上がりました。ご存知ジブリ映画「耳をすませば」からですね。この曲は過去の来日公演でもプリシラがよく歌ってくれまして、私もプリシラの歌うこの曲が大好きだったんです。歌声はもちろん、彼女の日本語が綺麗なんですよね。しかも新作「THIS IS WHERE WE ARE」からの影響か、いつものアコギ弾き語りではなく、キーボードを前面に出した可愛らしいアレンジだったのが、また新鮮で良かったです。


そして終演後には、このあと岩盤スクエアでサイン会があることを告げ、「来てねー!」と可愛いらしく日本語でよびかけてたような。そんなプリシラ・アーンでした。




2013年のフジロック。土曜の朝のレッドマーキーに染み入ったナチュラル・ヴォイス。そしてミスってしまった時の反応もまたナチュラル!!という訳で、フジロックに降り立ったナチュラル天使!!それがプリシラ・アーン!!






*写真は、岩盤スクエアのサイン会でサインを頂いた「THIS IS WHERE WE ARE」。こちらはアコースティック・ギター・マガジンによる公開インタビュー&サイン会ということで、アコギ弾き語りライヴも3曲ほど歌ってくれました。たしか「Dream」と「サヨナラCOLOR」だったかな?あと1曲? すいません、よく覚えてません。なに分、間近で見るプリシラに舞い上がっていたものですから…。インタビューでは、日本語が上手という話になり、なにか日本語でお願いしますと促されると、プリシラは照れながら「日本が大好きです」みたいなことを言ってくれましたが、もう少し意外な言葉が聞きたかったな、なんて思ったり。するとフジロックらしく突然雷が鳴り始め、思わずプリシラが「怖いー!」と本気の日本語を発してくれて盛り上がったり。そんなこんなで、サイン会も大盛況でした。





そそるライヴ 9月編

2013-09-05 23:24:47 | そそるライヴ
関東近辺にて9月に行われるライヴ、フェス、イベントのなかで、気になるものをピックアップしてみました。


9/03(火)BOB JAMES & DAVID SANBORN featuring STEVE GADD & JAMES GENUS @ブルーノート東京
9/06(金)TRIXIE WHITLEY @ベルギービールウィークエンド東京2013 六本木ヒルズ
9/06(金)Buena Vista Social Club featuring Omara Portuondo @ビルボードライヴ東京
9/06(金)GREGORY PORTER @ブルーノート東京
9/06(金)東京JAZZ【the PLAZA】@東京国際フォーラム 地上広場 入場無料!
9/07(土)東京JAZZ【the PLAZA】@東京国際フォーラム 地上広場 入場無料!
9/08(日)東京JAZZ【the PLAZA】@東京国際フォーラム 地上広場 入場無料!
9/07(土)東京JAZZ【the HALL】 @東京国際フォーラム ホールA
9/08(日)東京JAZZ【the HALL】 @東京国際フォーラム ホールA
9/07(土)Carlos Nunez @タワーレコード渋谷店(インストア・イベント) 観覧フリー!
9/07(土)Jim Boggia @鎌倉 Cafe Goatee
9/10(火)KENDRICK SCOTT ORACLE @丸の内コットンクラブ
9/12(木)ONDA VAGA @Shibuya CLUB QUATTRO
9/12(木)TRIXIE WHITLEY @渋谷 O-nest
9/14(土)ROBERT GLASPER EXPERIMENT with special guest YASIIN BEY @ブルーノート東京
9/14(土)Graham Parker @ビルボードライヴ東京
9/18(水)THE BRAND NEW HEAVIES @ブルーノート東京
9/19(木)DJ Spinna @タワーレコード渋谷店(インストア・イベント)
9/19(木)Lianne La Havas @ビルボードライヴ東京
9/21(土)DIANNE REEVES @ブルーノート東京
9/21(土)GOLDIE x DEGO (4hero) @代官山UNIT
9/21(土)勝手にウッドストック @相模湖畔みの石滝キャンプ場
9/22(日)勝手にウッドストック @相模湖畔みの石滝キャンプ場
9/23(月)Karyn Ellis @鎌倉 Cafe Goatee
9/25(水)TITO JACKSON @ブルーノート東京
9/25(水)ANDY FAIRWEATHER LOW & THE LOW RIDERS @丸の内コットンクラブ
9/27(金)Chris Dave and the Drumhedz @ビルボードライヴ東京
9/28(土)JON CLEARY @浅草 HUB
9/28(土)IMANY @青山CAY
9/30(月)Dr. John @ビルボードライヴ東京


お出かけの際は事前のご確認をお願いいたしま~す!

ビョーク@日本科学未来館 後編

2013-09-04 19:58:37 | SSW
8月6日、お台場の日本科学未来館へ、ビョークの単独公演を観に行ってまいりました!! の、後編です。

開場時間前から大勢の観客達が入口近くに集まっていました。中には「チケット譲ってください」旨のプラカードを持った人達も。私も整理番号や入場の仕方がどうなるのかさっぱり分らないので、ちょっと早めに行って様子を伺っていました。そしていつしか入口右側に列が出来始め、みるみる内に長蛇の列に。もちろん私もその列に並びました。

そして開場時間。いよいよ列が動き始める。通常なら入口でチケットを切られるところですが、今回はカードリーダーにクレジットカードを通す。読み込まれるとレシートのような紙切れが発券され、そこにブロックと整理番号が記されている。と同時にメモリアル・チケット(写真上)を手渡される。そして無事入場。と言ってもこの時点ではまだライヴが行われる部屋には入れず、その手前のロビー部分でもう一度入場を待つことに。このロビーでは映像とパネルによって「Biophilia」が紹介され、グッズ販売やシャンパン等のドリンクの販売も行われていました。

正直、もうドキドキでしたね。私なんてクレジットカードを通す瞬間から心臓がバクバクしちゃいました。だってこんな入場の仕方初めてでしたから。そして入場してからはワクワクが止まりませんでした。この日は妻と一緒に来ていたのですが、二人して興奮状態。Tシャツ買って、シャンパン飲んで、もうウキウキな感じ。整理番号は100番を超えていたので最前列は無理だろうな~?なんて思いつつ、Bブロックと記された紙切れを見てはどの辺行く?と二人で妄想を重ねていました。昼間、会場に入って下見はしてますからね、この妄想もかなりイメージは具体的だったり。そうこうしているうちに番号が読み上げられる。物々しい最初の入場に比べ、今度はかなりラフにどんどん読み上げられる。あっという間に自分達の番号になり緊張しつつ足早に会場内へ。フロアには以外とまだ人が少ない。Bブロックは一番大きなブロックだったので、それも功を奏したのか、ほぼ最前列近くをキープ。正確に言いますと、妻が最前列で私はその後ろ、つまり2列目でした。

2列目と言っても、相当近いですよ! もうすぐ目の前がステージ。この距離でビョークを観れるなんて、これは夢じゃないのか?そしてここでいったいどんな世界が繰り広げられるのか? 小さなステージの四隅には、グラヴィティ・ハープ、ガムレステ&パイプオルガン、マヌ・デラゴのドラム・セット、マット・ロバートソンの電子機器がそれぞれ鎮座。上方には8枚の大型ヴィジョンが円を描き、さらにその頭上から日本科学未来館のシンボル「Geo-Cosmos」が見守るというこの偉容。私の位置は中央よりややドラムセット寄り。


「Biophilia」をオルガン用にアレンジしたようなSEの音色が、観客達の脳内を浸食し始めた頃、いよいよ開演時刻。場内が暗転し、知的な枯れを感じさせるような味わい深い男性ナレーションの声が「Biophilia」の開幕を告げる。この時点で既にフジロックとはまるで違う雰囲気。ちなみにこの男性ナレーション、後で知ったことなのですが、かのデヴィッド・アッテンボロー氏によるものだったそうですね。この声はその後も曲間に度々登場することになります。そしてアイスランドの若き女性合唱団グラデュアレ・ノビリが登場し、その美しいハーモニーが神秘の世界を演出すると、いよいよビョークが舞台に現れる。場内、割れんばかりの拍手と歓声。分っていたことですが、ビョークが近い!! もちろんこんなに近くでビョークを観るのは初めて。衣装はフジロックと同じ、黒、青、オレンジの小さな球が螺旋状にビョークの身体を包み込むD.N.A ヴァージョン。

曲は「Thunderbolt」。いきなり中央の巨大シンギング・テスラコイルが稲妻を光らせる。フジロックの時はノイズなのかシンセの音なのかよく分らなかったのですが、ここでははっきりとこの稲妻がバリバリとした爆音でリフを奏でているのが解る。その怪音と稲光、そしてビョークの歌声がまさに目の前で交差するその臨場感が半端ない!! そして「Crystalline」ではキラキラとした衣装に身を包んだグラデュアレ・ノビリ(総勢14人だったのでしょうか?)が碁盤の目のようなフォーメーションで踊りながらエキセントリックな和声を聴かせ、それを司令塔のごときビョークが圧巻の歌声でリードるす。それらを360度取り巻く観客席も含めて、全てがまるで前衛アート空間の様。さらに終盤にはそのアート空間を切り裂くかの如く怒濤のハードコア・ビートが鳴り響く。

もう序盤からその世界観に圧倒されっぱなしでしたね。しかも完成された芸術性の中にあってビョークはあくまでもビョークなんです。その歌唱はもちろん、表情や動きの節々にも彼女ならではの“自由”とか“野生”が溢れている。しかもそれを間近で感じとれる喜び! 彼女はドラムセットとモニタースピーカーの間を分け入って観客を煽ったりもする。そんな時、私の位置からはまさに目と鼻の先。手を伸ばせば届きそう! 近くにくるとビョークの衣装から風船が擦れるようなムキュムキュっとした音が聴こえる。(このDNA衣装はDaisy Balloonという日本人バルーン・アーティストの作だそうです)。「Hollow」では私の目の前で衣装を指差しながら“D,N,A”と囁き、くるっと振り返って、ひょこひょこと妙な動きで遠ざかっていったり。

前半は文字通り「Biophilia」からの楽曲が続きましたが、中盤は「Hidden Place」、「Mouth's Cradle」、「Immature」、「Jóga」等、過去作からの選曲が中心となり、さらなる深いビョークの世界に飲み込まれていきます。頭上に円く並ぶ8枚の大型ヴィジョンには、宇宙、大地、自然、火山、生命、細胞、など「Biophilia」のテーマとなる様々な要素が、時に神秘的に、時にポップに、時にグロテスクに映し出される。特に「Hidden Place」での無数のヒトデやらよく分らない生き物達が、アザラシのような死体に群がる映像は、あまりの気持ち悪さに思わず見入ってしまいましたね。あと「Jóga」につきましては、あの名作PVそのままだったと思いますが、あれ、もう15年も前のものですからね。それが最新の「Biophilia」のテーマにハマってしまう辺り、常に進化を続けるビョークの世界でありながら、その根本に流れるものは一貫しているんだなと感じさせられたり。

あと今回、ドラムセットに近い位置に居たため、マヌ・デラゴのプレイを間近に見ることが出来たのも収穫でした。フジロックの時は漠然と、打ち込みのリズムを主体に、それにマヌ・デラゴが生ドラムで人間的なグルーヴを付け加えているんだと思い込んでいたのですが、実際は、その打ち込みと思っていた部分もほとんどマヌ・デラゴが叩いているようでしたね。これは見ていて驚きました。「Crystalline」でのハード・コアなテクノ・ビートはもちろん、「Jóga」でのサンプリング音のコラージュのようなリズムですらも彼が叩いていたと思います。もちろんパッドなりに仕込まれた音を叩いている訳ですが、そんなところにも「Biophilia」の世界観を感じさせられましたね。あともう一つ気になったのがパイプオルガンとガムレステという二つの鍵盤楽器。私の位置からは裏側しか見えなかったのですが、至る所でオルガンらしき音が聴こえてくるものの弾いている人の姿はどうも見えない。これはマット・ロバートソンが遠隔操作していたんでしょうかね?よく分かりませんが、 こういったテクノロジーの使い方も「Biophilia」ならでは。


さて、ステージもいよいよ終盤。「Biophilia」の中でも最も攻撃的な曲「Mutual Core」。大地を揺るがすようなビートが炸裂し、グラデュアレ・ノビリのコーラスがまるでマグマの沸き立つような昂揚感をそそる。一気にステージの空気が沸騰すると、今度はその興奮を静かに包み込むように「Cosmogony」の美しいメロディが。この曲、ホント良い曲ですよね~。フジロックではこのメロディがオープニングを告げましたが、ここでは「Biophilia」を終演へ向かわせるレクイエムのよう。

美しき「Cosmogony」が静かに終わり、グラデュアレ・ノビリ、マット・ロバートソン、マヌ・デラゴがそれぞれステージを去り、ビョークだけが一人残される。ビョークの横にはiPADが用意され、巨大なグラヴィティ・ハープが持つ4つの振り子が大きく弧を描く。日本の琴のような音色がしっとりと響く中、ビョークが一人で歌う「Solstice」。おそらくあの振り子がハープの音色を響かせているのでしょうが、いったいどういう仕組みなのか? iPADのスクリーンは8枚の大型ヴィジョンに連動し、そこに写る幾何学的な図形の動きがハープの音色とリンクしているのか? その場に居てもよく分らないという不思議。サウンド的にはハープとビョークの歌声だけですし、ステージ上にはビョークと大きな振り子とiPADしかない。いたってシンプルでありながら、そこで何が行われているのかさっぱり解らない。そういう状況にゾクゾクしましたね。そしてステージを後にするビョーク。もうね、感動を通り越して畏怖の念すら抱きましたよ。いや~、ホント凄いものを見せられました!

ここまでのビョークは曲間に「アリガト!」「オツカレサマ!」と言う以外MCはほとんどなかったんじゃないでしょうか。その代わりはデヴィッド・アッテンボローのナレーションが務めていた訳で、それがまた秀逸でしたね。MCを挟まずに完成された「Biophilia」の世界を一気に見せてくれた芸術性の高さは半端ありませんでした。ですがいつもの「アリガト!」以外に新しく「オツカレサマ!」を挟んで軽く笑いをとる辺り、ビョークって可愛いなと思いましたね。この辺りのバランス感覚も流石としか言いようがありません。

さて、もちろんここで終わりではありません。アンコールを求める拍手喝采が響く中、マヌ・デラゴのドラム・セットにはHangと呼ばれる不思議な楽器が用意される。フジロックではこの楽器を使った「One Day」が印象的だったので、アンコールはきっとそれをやるに違いない、なんて想像するなか、一際大きな歓声に迎えられてビョーク&メンバー達がステージに再度登場。ここで初めてビョークはMCらしいMCをする。何かテスラコイルについて話していたのでしょうか?ま、私は英語がダメなのでその内容についてはさっぱりだったんですけどね。でも最後に「古い曲をやるわ!」的なことを言ったのは解りました。やっぱり「One Day」だ!と思った矢先にマヌ・デラゴがHangで叩いたメロディーは、なんと「Possibly Maybe」ですよ! これには参りましたね。私も大好きな曲なので、思わず「ウオ!」と声を上げてしまった程。このHangは亀の甲羅のような形をした手で叩くスティール・パンのような?そんな音色の楽器で、そのトロピカルな音色に絡むビヨークの歌声もまた素晴らしかったですね。しかもHangはトロピカルだけではなく、おそらくトリガー・マイクを仕込んであるのか、電子音的な音も響かせてましたし、さらに中盤にはそれまでトロピカルだった音色をステラコイルが稲妻を光らせながらビリバリと奏でるという斬新なアレンジ。こんな「Possibly Maybe」ありなのか?いや、これが「Biophilia」の世界。やはり素晴らしいの一言!

そして「Náttúra」。この曲はフジロックで聴いてその格好良さに目から鱗だった曲。もちろんこの日も格好良かったです! フェスの昂揚感とはまた違う濃密さにやられました。そしてラストは「Declare Independence」。フジロックでもラストを飾って大盛り上がりだったこの曲。扇動的なビートに乗って突き抜けるような歌声で煽るビョーク。それに応えて「ハヤ!ハヤ!」と叫ぶ観客達。ステージ狭しと踊りまくるグラデュアレ・ノビリの面々。カオティックな空気に包まれる会場。さらに終盤、ビョークはCブロックに身を乗り出して観客達を煽る。まるで狂乱状態なCブロックの観客達。それを見て我々Bブロックは「うわー、あっちか~!!」みたいな軽い嫉妬を覚えながらも、今、同じく空間に居れる喜びを全身で感じるが如くに踊り、叫ぶ。あ~、堪らない。ビョークって素晴らしい!!

何とも言えぬ高揚した余韻を残しながらステージは終了。鳴り止まない拍手。楽器群が片付けられ始めても、拍手は続く。永遠に続きそうな拍手は、まるで「Biophilia」が最後に仕掛けた超自然的な音色のようでした。


フジロックで見た時も素晴らしいと思いましたけど、それとはまったく別物でしたね。セットリスト自体は似ていましたが、環境の違いも含めて、想像を遥かに超えて濃密な「Biophilia」の世界でした。意外と多くやった過去曲の数々も見事に「Biophilia」の色彩に包み込まれていた一方で、おそらくビョークのライヴでは一番盛り上がるであろう定番曲「Hyperballad」をやらなかったというのも、いつものビョークとは違う「Biophilia」」というコンセプトをより明確にしていたと思います。そして800人というキャパは、親密とかいう生易しいものではなく、「Biophilia」の世界そのもに飲み込まれるような非現実的感覚による体感。まさに五感全てを支配されるようなビョーク体験でした。

いや~、ホント素晴らしいステージでした!!






この日のセットリストは以下のような感じだったようです。


01. Óskasteinar
02. Thunderbolt
03. Moon
04. Crystalline
05. Hollow
06. Dark Matter
07. Hidden Place
08. Mouth's Cradle
09. Immature
10. Virus
11. Jóga
12. Pleasure Is All Mine
13. Mutual Core
14. Cosmogony
15. Solstice
---encore---
16. Possibly Maybe
17. Náttúra
18. Declare Independence








↑開演前のロビーの様子とシャンパン。




↑購入したTシャツと、Tシャツ購入で貰えたポスター。






ちなみにフジロックの時のセットリストはこんな感じだったようです↓

01. Cosmogony
02. Hunter
03. Thunderbolt
04. Moon
05. Crystalline
06. Hollow
07. Hidden Place
08. Heirloom
09. One Day
10. Jóga
11. Pagan Poetry
12. Army of Me
13. Mutual Core
14. Hyperballad
15. Pluto
16. Náttúra
---encore---
17. Óskasteinar
18. Declare Independence

似ていますけど比べると結構違ってる。こちらのハイライトはやはり「Hyperballad」~「Pluto」ですよね。で、「Medúlla」からの曲がカットされていたり、グラヴィティ・ハープ使用の「Solstice」も無かったり。あと「Cosmogony」と「Óskasteinar」の位置の違いも興味深いです。そしてフェスより単独の方が長かったかというと、そうでもなかったみたいですね。


フジのビョークも格別でしたが、今回の単独はまさに一生に一度の体験でした。そして両方を見ることにより、一層ダイナミックにビョークを体感出来たと思っています。




~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 12.08.14 ビョーク@日本科学未来館 前編
 12.08.04 フジロック:ベスト・アクト!!(ビョーク)