ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

2016年 ベスト・アルバム 30選

2017-06-07 00:59:37 | 2016年総括
もう2017年の6月ですが、2016年のベストアルバム企画がやっと書き上がったので、今さらですが、お届けいたします!!


1位

ALLEN TOUSSAINT / AMERICAN TUNES
1位はアラン・トゥーサンです!!スタジオ録音作としては、 前作「THE BRIGHT MISSISSIPPI」の続編となる、ジャズ指向のアルバム。プロデューサーはもちろんジョー・ヘンリー。すいません、もしこれがトゥーサンの遺作でなかったら、1位にはしなかったかもしれません。実際、完成度で言うなら前作「THE BRIGHT MISSISSIPPI」の方が上だと思いますし。でも、ここで聴けるトゥーサンのピアノの音色は、何度も見たライヴの息吹を濃厚に感じさせてくれて、すぐそこにトゥーサンの笑顔や指先が見えてくるような、そんな堪らない音色なのです。内容的にも、前作に比べ、よりトゥーサン寄りの作品ですしね。例えば、トゥーサンがジョー・ヘンリーに『確かに「THE BRIGHT MISSISSIPPI」は素晴らしい作品だったよ。でも私ならこう作るね』と言って作った作品のような。もちろんそんなことはありませんでしょうが、そんな想像をしてみたくなる程、トゥーサンの呼吸、鼓動、魂を感じられる、何とも愛おしく、そして涙無しには聴けない作品なのです。もちろん、選曲や、ジェイ・ベルローズ&デヴィッド・ピルチのリズム隊の使い方、ヴァン・ダイク・パークス、チャールズ・ロイド、リアノン・ギデンズ達の招聘など、ジョー・ヘンリーの手腕も流石ですよ!!


2位

ALICIA KEYS / HERE
黒いアリシア・キーズが帰ってきた!! 1曲目を聴いた瞬間に「これは年間ベストだ!!」と確信したアルバム。実際はアラン・トゥーサンにその座を譲りましたけどね。とにかく、楽曲と言い、アリシアの歌唱と言い、サウンドももちろん、全てが文句無しに格好良い!! そして全体を覆う黒い雰囲気。これが堪らないんですよ〜。私はアリシアのアルバムの中では、いまだに「AS I AM」がベストだと思っている人間なのですが、この「HERE」は、その「AS I AM」でも良い仕事をしていたマーク・バトソンが久々に招集され、スウィス・ビーツと共にキーパーソンの一人となっているので、その辺りも私のツボを刺激した一因かもしれませんね。でもね、やっぱり個人的な思い入れで「AS I AM」には敵わないんですよね〜。いつか、文句無しに最高傑作!!って言う新作をリリースしてくれた曉には、堂々と年間ベスト1に挙げたいと思います。


3位

AARON NEVILLE / APACHE
アーロン・ネヴィルの最新作。ソウライヴのエリック・クラズノーがプロデュースと聞いて、もの凄く意外に感じましたが、これが大正解!! ざらついた質感のファンキーなレトロソウルに乗るアーロンのゴールデンヴォイスが素晴らしい!! 時おり掠れるその声に、まったく弱々しくはなく、年季の入った迫力すら感じさせる。必殺のファルセットから入るスィートな曲も最高で、こういうアーロン・ネヴィルが聞きたかった!という会心作。全10曲中9曲でアーロンが作曲に携わっているその楽曲も粒ぞろい。「APACHE」というタイトルからして気合いが感じられますよね。クラズノーのレタス人脈によるバックの演奏もソウルフルで最高です。


4位

STURGILL SIMPSON / A SAILOR'S GUIDE TO EARTH
恥ずかしながら、このスタージル・シンプソン、先のグラミー賞にノミネートされて初めて知りました。いや、このアルバム、最高ですよ! 流石はアデルやビヨンセと並んで「最優秀アルバム賞」にノミネートされただけのことはあります。残念ながら「最優秀アルバム賞」は逃しましたが、見事「最優秀カントリー・アルバム賞」を受賞しました。ですがこのアルバム、”カントリー”の一言では片付けられない芳醇さに溢れています。南部ソウルや南部ロックの息吹もたっぷりに、ザ・バンド的なグルーヴを感じさせる曲もあったり。何より、スタージル・シンプソンのソウルフルな歌声が良い!! フジロックにやってきますからね、楽しみです!!


5位

RODDIE ROMERO AND THE HUB CITY ALL-STARS / GULFSTREAM
日本ではほとんど知られていないかと思われる、ルイジアナ・ルーツ・ロッカー、ロディ・ロメロの新譜。これが良いんですよ! 彼の地の香り豊かなケイジャン、スワンプ・ポップ、そしてニューオーリンズ・ファンクなど、何から何まで全て飲み込み、ロッキンなエッジで踊らせる、ギターも、アコーディオンも、ピアノも良い! まさに”ごきげん”なアルバム。これはよく聴きました。とにかく気分が上がる! そして超強力なローカル臭が堪らない! ルイジアナって素晴らしいな〜と思わずに入られませんよ! タイトル曲「Gulfstream」の哀愁がまた良いんですよ〜。プロデュースは名匠ジョン・ポーター。


6位

BEYONCÉ / LEMONADE
2016年を代表する傑作中の傑作。グラミー賞で9部門にノミネートされるなど、この年の象徴的作品。やっぱりビヨンセの歌そのものが最高です。弾力抜群の切れ味鋭い歌唱をふんだんに楽しめます。スローナンバーでの感情を吐き出すような歌唱も見事。そしてゲストのジェイムス・ブレイクの歌声が醸す異物感がまた白眉。ですが、全体的にポップに過ぎ、前作「BEYONCÉ」にあったドロドロとした黒さが後退した分、ちょっと物足りなさを感じてしまうという印象も。でもそれだからこそ、ロック誌の年間ベストにまで選出される程のポピュラリティを獲得し得たのだとは思いますけどね。


7位

BOBBY RUSH / PORCUPINE MEAT
チトリン・サーキットの帝王と呼ばれながら、コンスタントにリリースする作品がことごとく傑作という、名実共にブルースの帝王になりつつあるボビー・ラッシュ。今作はニューオーリンズ録音。デヴィッド・トウカノフスキー(kbd)、ジェフリー“ジェリービーン”アレクサンダー(ds)、シェイン・テリオット(g)、カーク・ジョセフ(sousaphone)、ロジャー・ルイス(baritone sax )など、彼の地の猛者達をバックに向かえながらも、そのニューオーリンズ・グルーヴをボビー流のファンク・ブルースに引き込んでいく。そのボビーの灰汁の強さ、最高です!!


8位

SARAH JAROSZ / UNDERCURRENT
アイム・ウィズ・ハーでもお馴染みのサラ・ジャローズ、通算4枚目のソロ・アルバム。ギター、マンドリン、バンジョーを持ち替えながら、情緒豊かな歌声を聴かせてくれるサラ・ジャローズ。芳醇なアメリカーナを綴る楽曲も見事。新世代ブルーグラスの歌姫としてはもちろん、シンガーソングライターとしても飛躍を遂げた快作。


9位

KRIS KRISTOFFERSON / THE CEDAR CREEK SESSIONS
80歳になったクリス・クリストファーソンがテキサスで収録した回顧録的な2枚組作品。1stソロ作収録曲など70年代を中心に、これまでの数々の名曲を現在の彼の歌声で振り返るような作品で、その滋味深い歌声がとても滲みます。特にジャニス・ジョプリンで有名な「Me And Bobby McGee」のセルフ・カヴァーの味わいは格別です。


10位

SOLANGE / A SEAT AT THE TABLE
ビヨンセの妹、ソランジュ。いよいよ本格的に才能開花です。耽美にバウンスするグルーヴ、アンビエントな揺らぎと音響、アートな感性と黒いフィーリング、それらがトロリと溶け込むような新感覚のブラック・ミュージック。キーパーソンはダーティー・プロジェクターズのデイヴ・ロングストレスか?


11位

THE ROLLING STONES/BLUE & LONESOME
年末を揺るがした超話題作。ローリング・ストーンズのブルース・アルバム!! 原点回帰と云う名の野心作。まだまだ現役です!!


12位

PRISCILLA AHN / LA LA LA
プリシラ・アーンが出産を経て子供達に捧げた作品。可愛らしくも暖かい、彼女らしい作品。癒されます〜。


13位

BUDDY MILLER & FRIENDS / CAYAMO SESSIONS AT SEA
豪華客船に乗ってアメリカーナを楽しむ「CAYAMO」という音楽旅行があるらしい。そこに機材を持ち込んで録音されたというバディ・ミラーの新作がこちら。リー・アン・ウーマック、クリス・クリストファーソン、ルシンダ・ウィリアムス、リチャード・トンプソンなど豪華ゲストが参加。


14位

YO-YO MA & THE SILK ROAD ENSEMBLE / SING ME HOME
チェロ奏者ヨーヨー・マが独自の世界観で、アメリカーナを横目に見つつアジアを巡るシルク・ロード・アンサンブル。ゲストにビル・フリゼール、グレゴリー・ポーター、リアノン・ギデンズ、サラ・ジャローズなども参加。


15位

LEONARD COHEN / YOU WANT IT DARKER
詩人、レナード・コーエンの最新にして最後となってしまった作品。円やか且つ深遠な作風と歌声に胸を打たれます。


16位

AARON ABERNATHY / MONOLOGUE
アブ・ザ・コンフィダント、ナット・ターナーといった名義で活動していたアーロン・アバナシーによる満を持しての初ソロ名偽作品。ニュー・ソウル的なスウィートなグルーヴとネオなブラック・フィーリングが秀逸なR&B作品。格好良いですよ!!


17位

HIROMI / SPARK
ますます、進化、深化を遂げる上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト。でもそろそろ、もっとびっくりするぐらいの変化を期待しちゃいます…。


18位

MICHAEL DAVES / ORCHIDS AND VIOLENCE
現行ブルーグラスシーンを牽引するギタリスト、マイケル・デイヴス。同じ曲を同じ曲順で、アコースティックなブルーグラス・アレンジとエレクトリックなロック・アレンジという別解釈で収録した2枚組。やはり今、ブルーグラス・シーンって刺激的ですよね!!


19位

CHILDISH GAMBINO / AWAKEN, MY LOVE!
ラッパーのチャイルディッシュ・ガンビーノが放つ、脅威のサイケ・ソウル作。ファンカデリック的なドロドロとしたファンクネスに絡む妖気的なファルセット、プリンスを思わす激熱なシャウトなど、黒々としたエモーション充満の怪作。何やらブラック・ミュージックに新しい波が来る予感をそそられます。


20位

TEDESCHI TRUCKS BAND / LET ME GET BY
説明不要のサザン夫婦の一座。間違いない作品!!


21位

WILLIE NELSON / FOR THE GOOD TIMES: A TRIBUTE TO RAY PRICE
ウィリー・ネルソンが盟友レイ・プライスをトリビュート。


22位

CORINNE BAILEY RAE / HEART SPEAKS IN WHISPERS
コリーヌ・ベイリー・レイの、およそ6年ぶりとなるニュー・アルバム。


23位

ROYAL SOUTHERN BROTHRHOOD / THE ROYAL GOSPEL
我らがシリル・ネヴィル!! メンバー・チェンジを経たグループの最新作。


24位

HONEY ISLAND SWAMP BAND / DEMOLITION DAY
ニューオーリンズが誇るスワンプ・ロック・バンドの新作。もう少し泥臭ければなお良しなのですが、ライヴを見たくなる快作。


25位

KING / WE ARE KING
レトロをネオに聴かせる不思議なフィーリングを持った女性3人グループ。次代を担うR&B。


26位

BACAO RHYTHM & STEEL BAND / 55
スティールパン・ファンク・バンドという変わり種ながら、これが超格好良い!! 現行ファンク・バンドのザ・マイティ・モカンボスのメンバーが結成したバンド。トロピカルと言う以上に、ダビー&ファンキーなグルーヴが強力。


27位

SARA WATKINS / YOUNG IN ALL THE WRONG WAYS
やっぱりサラ・ワトキンスの歌声は素敵ですね。


28位

GALLANT / OLOGY
脅威のファルセットシンガー。現行らしい耽美な魅力もたっぷりなR&B。


29位

COREY HENRY / LAPEITAH
ギャラクティックでの活動も知られるニューオーリンズのトロンボーン奏者のソロ作。想像通りのニューオーリンズ・ファンキー!


30位

JIM KWESKIN AND GEOFF MULDAUR / PENNY'S FARM
ジム・クエスキンとジェフ・マルダーによる、古き良き、心温まるカントリー・フィーリングなデュオ作。

2016年 ベスト・アルバム リイシュー編

2017-03-07 21:42:19 | 2016年総括
相変わらずのスロー・ペースですが、ようやく2016年のベスト・アルバム企画です。今回はリイシュー及びコンピ盤のベスト10枚。もちろん私の個人的な趣味と偏見と金銭事情が絡んだものですのであしからず。




JOHNNY ADAMS / HEART & SOUL
なんか、発掘音源でもなければ、初CD化でもないものを1位に選んでしまってすいません。でも、これのリイシューを待ち望んでいたんです!!ニューオーリンズが誇るソウル・シンガー、ジョニーアダムスが、1969年にナッシュヴィルのSSSインターナショナルからリリースした1st作。今では、それ以前のニューオーリンズ録音(リック/ロン)が纏まってアルバム化されていますが、正式なデビュー・アルバムはこれらしい。私はそのリック&ロン時代や、円熟のラウンダー時代を愛聴していて、それでジョニー・アダムスは充分のような気持ちになっていましたが、某コンピでこのSSSインターナショナル音源を聴いてぶったまげたのです。それでこの「HEART & SOUL」を探したんですけど、その時は中古も含めて何所にも売ってなかったんですよね…。まあ、この時代の音源は、編集盤なら手に入りそうだったのですが、やっぱりこの「HEART & SOUL」の形で聴きたいじゃないですか。そんな訳で、再発されるのを心待ちにしていた訳です。やはや、よくぞリイシューしてくれました!! もう1曲目のまるでスワンプ・ロックな「Georgia Morning Dew」でノックアウトですよ。さすがにナッシュヴィルのレーベルらしい土っぽさと、ジョニー・アダムスの強力な歌声がマッチした名盤ですね。ボーナス・トラック12曲も嬉しい。その中には実は初CD化トラックもあったり。



VA / NEW ORLEANS BENEFIT CONCERT 1989
こちらは、89年9月13日にニューオリンズのMUNICIPAL AUDITORIUMで開催された「NEW ORLEANS ARTISTS AGAINST HUNGER & HOMELESSNESS」というベネフィット・コンサートを収録したもので、ラジオ放送用の音源です。録音状態に多少の難ありですが、それを補ってあまりある熱演の連続です。特筆すべきはネヴィル・ブラザーズ。89年と言えば「YELLOW MOON」をリリースした年。もっとも勢いのある時代のネヴィルズのライヴです。悪いはずがありません。しかもリタ・クーリッジとの競演もあったり。他にもアーマ・トーマスやボズ・スキャッグすとの共演も嬉しいアラン・トゥーサンや、カーク・ジョセフのスーザフォンがうねりまくるダーティ・ダズン・ブラス・バンド。さらにライ・クーダーにドクター・ジョンですから!! CD3枚組、89年という、脂の乗ったニューオーリンズがたっぷり楽しめます。



JAMES BROWN / GET DOWN WITH JAMES BROWN: LIVE AT THE APOLLO VOLUME IV
まず、レコード・ストア・デイでアナログ・リリースされ、その後にCD化された、ジェイムス・ブラウンの未発表ライヴ音源。録音は1972年9月13日、14日、米NYはアポロ・シアターにて。アポロライヴ・シリーズの4作目という位置付けですね。ですがこちらは、JBのライヴと言うより、JBレヴューを捉えたライヴ盤であるところが面白い。ザ・JBズの大ファンの私としては、オープニングのダニー・レイの名調子から、ザ・JBズのファンキーな演奏が始まっただけで大興奮。この頃のザ・JBズのライヴ音源が纏めて聴けるだけでも貴重ですよね。もちろん若きリン・コリンズやボビー・バードの熱唱も聴けます。



VA / MOTORTOWN REVUE IN PARIS
1965年4月13日、パリのオランピア劇場で開催されたモータウン・レビューを収録したライヴ盤。1965年にLPでリリースされていたものですが、今回は12曲もの未発表音源を追加収録してCD2枚組で登場。アール・ヴァン・ダイク率いるファンク・ブラザーズ達をバックに、マーサ&ザ・ヴァンデラス、スティーヴィー・ワンダー、シュープリームス、ミラクルズという、当時破竹の勢いだったモータウンの精鋭達の、瑞々しいライヴが楽しめます。モータウン好きには堪りませんね。レビューのライヴ盤はパリ以外にも数種類出ているはずなので、そちらも追々リイシューお願いしますね!!



BOB DYLAN / REAL ROYAL ALBERT HALL
ボブ・ディランの真正ロイヤル・アルバート・ホール・ライヴ。流石はボブ・ディラン!やることが尖ってますよね〜。でも流石にボックスには手が出ませんでした…。



VA / RHYTHM 'N' BLUESIN' BY THE BAYOU
ルイジアナの秘宝探索、バイユー・シリーズは相変わらずの充実振り。こちらの目玉はデビュー前になるバーバラ・リンのデモ録音!!



THE BEATLES / LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL
もちろん、映画も観に来ました! 次は映画「LET IT BE」のリマスターをボーナス映像てんこ盛りでお願いいたします!!



VA / LET IT BE: BLACK AMERICA SINGS LENNON, MCCARTNEY AND HARRISON
ブラック・アメリカが歌うビートルズの第2集。こういう企画物も楽しいですね。



THE METERS / A MESSAGE FROM THE METERS: THE COMPLETE JOSIE, REPRISE & WARNER BROS. SINGLES 1968-1977
ミーターズのシングル・コレクション。あらためてシングルという並びで聴くミーターズがまた格別。編集盤としてこういうシンプルさも大事。

2016年 ブライテストホープ

2017-02-25 14:20:44 | 2016年総括
相変わらずの遅延振りですが、2016年総括企画、今回はニューアーティスト。「ルーツな日記」が選んだ4組です。どうぞ!



KING / WE ARE KING
ミネアポリスのブルースマン、故パーシー・ストローザーを叔父に持つ、パリス&アンバー・ストローザー姉妹と、パリスと同じバークリー出身のアニータ・バイアスによるトリオ。2011年にEP「The Story」をリリースし、プリンスの前座に抜擢されてから5年、ようやくのアルバム・デビューがこの2016年の「WE ARE KING」。このトリオを2016年の新人というのもどうかと思いますが、やはりデビュー・アルバムのインパクトは大きかったですよ! 揺れるグルーヴにドリーミーなハーモニー、どことなくチープな音色が醸すネオな楽園感。私は80年代的なシンセ音はあまり好きではないのですが、これはハマりました。なんか不思議な中毒性があります。
https://www.youtube.com/watch?v=fBtw1MOG8Es




GALLANT / OLOGY
ワシントンD.C.生まれ、LAを拠点とする、ガラント。この人、脅威のファルセットの持ち主です。ファルセットと言うと、ソフトで女性的なイメージもありますが、この人はそれ以上に感情的。ソウルをファルセットに乗せて爆発させる。官能的でありながらエモーショナル。昨今の男性R&Bシンガーにはあまりそそられない私でしたが、この声にはゾクゾクさせられました。
https://www.youtube.com/watch?v=0rERFl-CYHE




L.A. SALAMI / DANCING WITH BAD GRAMMAR
UKから登場の黒人シンガー・ソング・ライター、L.A.サラーミ。フォーキーなSSW気質にトロリと染み入るブルース・フィーリング、ナイジェリアをルーツに持つというプリミティヴな感性とオルタナなロック・テイスト、それらを纏め上げるモダン且つヒップな感覚。これぞネオ・ブルースですよ! UKからは当たり前にジャンル越境する自由な感性を持ったシンガー・ソング・ライターが続々と登場していますが、いよいよ強くブルースを感じさせるアーティストの登場。4月には早くも来日が決まっています。楽しみです!!
https://www.youtube.com/watch?v=lBEZ7jiEhMc




FANTASTIC NEGRITO / THE LAST DAYS OF OAKLAND
英国からL.A.サラーミなら、ブルースの本場アメリカからはファンタスティック・ネグリートです。銃で襲われ、交通事故に遭いと、2度も死にかけた経験を持つという。そういう経験がブルースに作用したのかどうかはよく分かりませんが、デルタ・ブルースをロックに増幅したようなディープなブルース・ロックを聴かせてくれます。ゲイリー・クラーク・ジュニアの次ぎにくるのはファンタスティック・ネグリートか!?https://www.youtube.com/watch?v=KOxw_Y1RCoM

2016年 天に召された偉人達

2017-02-04 18:39:08 | 2016年総括
昨年、2016年も沢山の偉大なるアーティスト達が逝ってしまいました。遅くなりましたが、ここに追悼いたします。



DAVID BOWIE / ★
1月10日 - デヴィッド・ボウイ
新作リリース2日後の衝撃でした。69歳。肝癌だったそうですね。



EAGLES / DESPERADO
1月18日 - グレン・フライ
イーグルスの創設メンバー。67歳。リウマチ性関節炎や肺炎などによる合併症とのこと。写真はドン・ヘンリーとグレン・フライの共作による名曲「Desperado」を収録したイーグルスの2nd作。



OTIS CLAY / RESPECT YOURSELF
1月8日 - オーティス・クレイ
サザン・ソウルの雄にしてシカゴ・ソウルの代表格。心臓発作のため、享年73歳。写真は03年のライヴ録音。



EART, WIND & FIRE / RISE!
2月3日 - モーリス・ホワイト
アース・ウィンド・ファイアーの創設者にして中心人物。74歳。パーキンソン病を患っていました。写真は「Let's Groove」収録の81年作。


DAN HICKS & HIS HOT LICKS / MOST OF DAN HICKS & HIS HOT LICKS
2月6日 - ダン・ヒックス
マリア・マルダーとの来日も記憶に新しい、オールド・タイムを闊歩する稀代のヒップ・スター。享年74歳。癌でした。



THE NICE / THE THOUGHTS OF EMERLIST DAVJACK
3月10日 - キース・エマーソン
ナイス〜ELPの活動において、ロックにおける鍵盤表現を確立したパイオニア。来日目前の拳銃自殺という哀しい死でした。写真はナイスのデビュー作。



PRINCE / HIT N RUN PHASE ONE
4月21日 - プリンス
デヴィッド・ボウイと並ぶ衝撃でした。57歳という早過ぎる死。鎮痛剤のフェンタニルの過剰摂取による中毒死だったそうです。



WILLIE NELSON & MERLE HAGGARD / DJANGO AND JIMMIE
4月6日 - マール・ハガード
アウトロー・カントリーの巨人。亡くなった4月6日は79歳の誕生日でした。肺炎による合併症。写真は最後の作品となった朋友ウィリー・ネルソンとの共演盤。



BILLY PAUL / 360 DEGREES OF BILLY PAUL
4月24日 - ビリー・ポール
「Me and Mrs. Jones」のヒットで知られるフィリー・ソウル・シンガー。81歳。膵臓がんだったそうです。写真は同曲含む72年の代表作。



PAPA WEMBA & VIVA LA MUSICA / MWANA MOLOKAI : THE FIRST TWENTY YEARS
4月24日 - パパ・ウェンバ
アフリカン・ミュージックの巨匠。ルンバ・ロックの王者。テレビ中継中のステージで倒れ、亡くなられたそう。66歳でした。写真は77年から97年までのベスト盤。



GUY CLARK / MY FAVORITE PICTURE OF YOU
5月17日 - ガイ・クラーク
テキサスが生んだ孤高のシンガーソングライターにして、アウトロー・カントリーのレジェド。享年74歳。長い間、癌による闘病生活を送っていたそうです。



RALPH STANLEY / RALPH STANLEY
6月23日 - ラルフ・スタンレー
1946年に兄カーターとスタンレー・ブラザーズを結成し、ブルーグラス草創期から活躍したレジェンダリーなバンジョー奏者。89歳。皮膚がんを患っていたそう。写真はエグゼクティヴ・プロデューサーをT・ボーン・バーネットが務めた02年作。



BERNIE WORRELL / BLACKTRONIC SILENCE
6月24日 - バーニー・ウォーレル
P-FUNKで活躍したファンク界随一のキーボディスト。肺がんにより、享年72歳。写真は93年の3rdソロ作。



BUCKWHEAT ZYDECO / LAY YOUR BURDEN DOWN
9月24日 - バックウィート・ザディコ
ルイジアナが誇るザディコ・レジェンド。68歳。肺がんを患っていたそうです。写真はグラミー受賞した2009年作品。



LEONARD COHEN / OLD IDEAS
11月7日 - レナード・コーエン
カナダが生んだ偉大なる詩人にして小説家、そしてシンガー・ソング・ライター。享年82歳。写真は私が当ブログで2013年の年間ベストアルバムの第1位に選ばせて頂いていた傑作。



MOSE ALLISON / THE WAY OF THE WORLD
11月15日 - モーズ・アリソン
米ジャズ・ピアニストにしてシンガー・ソング・ライター。英ブルース・ロックやモッズ・シーンにも多大な影響を与えました。享年89歳。老衰とのこと。



LEON RUSSELL / LEON RUSSELL
11月13日 - レオン・ラッセル
LAスワンプ、タルサ人脈の総帥。就寝中に亡くなられたとのこと。心臓を患ってました。享年74歳。



KING CRIMSON / IN THE COURT OF THE CRIMSON KING
12月7日 - グレッグ・レイク
キング・クリムゾンのオリジナル・メンバーであり、脱退後にELPを結成。享年69歳。癌でした。ELPは1年に2人のオリジナル・メンバーを亡くしてしまいましたね。



他にも、エルヴィス・プレスリーのバックで知られるギタリスト、スコティ・ムーア。ジャズ・ヴィブラフォン奏者のボビー・ハッチャーソン。ジャズ・ハーモニカ奏者のトゥーツ・シールマンス。「Take Good Care of My Baby」の他数々のヒットを持つボビー・ヴィー。プロト・パンクの個性派スーサイドのシンガー、アラン・ヴェガ。DJの先駆け的存在であるデビッド・マンクーゾ。元ウィングスのギタリスト、ヘンリー・マカロック。ア・トライブ・コールド・クエストのファイフ・ドーグ。ジェファーソン・エアプレイン/ジェファーソン・スターシップの創立メンバー、ポール・カントナー。などなど…。

さらには、ビートルズ成長の立役者でもあるプロデューサーのジョージ・マーティン、シカゴ・ブルースを生んだチェス・レコードを創立したチェス兄弟の弟フィル・チェス。サザン・ソウルやスワンプ・ロックなどメンフィスの音楽シーンを支えた大物プロデューサー、チップス・モーマン。ビージーズやクリームの元マネージャーであり、ザ・フーの映画「Tommy/トミー」など数々のエンターテイメントを手掛けたロバート・スティグウッド。

そして年末に飛び込んだジョージ・マイケルの訃報。


それにしても本当に訃報が多いですね。哀しいかぎりです。



亡くなられた偉大なるアーティストの皆様、安らかに。

2016年 ベストライヴ

2017-01-04 19:39:50 | 2016年総括
お金が無い無い言いながら、2016年も沢山のライヴに行くことが出来ました。中でも印象的だったのは以下のような感じ。

で、ベストアクトは?と問われれば、フジロックのカマシ・ワシントンですかね。あれは本当に凄かった。演奏が凄かったのはもちろんですが、その凄みとフィールド・オブ・ヘヴンの締めくくりと言う一種異様な雰囲気も相まって、とんでもない高揚感を生み出していました。あれはフジロック史に残る名演でしょう! 対抗は、パティ・スミスがアレン・ギンスバーグの詩を読んだ、フィリップ・グラス&パティ・スミスによる『THE POET SPEAKS ギンズバーグへのオマージュ』。こういうスペシャルなプログラムを日本で見れたことがまず奇跡。フィリップ・グラスのピアノをバックにしたパティ・スミスの朗読は神がかってました。その他では、念願の初来日で極上のアメリカーナを魅せたパンチブラザーズや、もはやベテランの域に達した唯一無比の歌声でブラックミュージックの粋を見せつけたローリン・ヒル、サマソニで繰り広げられた2人のソウルの交歓が神々しかった上原ひろみと熊谷和徳の共演あたりも、年間ベストアクトと呼ぶに相応しい圧巻のステージでした。

3/26(土)Gypsy Sound System Orkestra @飯田橋 アンスティチュ・フランセ東京
3/15(火)RHIANNON GIDDENS @ブルーノート東京
5/04(水)WORLDWIDE SESSION 2016 @新木場Studio Coast
5/09(月)Diane Birch @ビルボードライヴ東京
5/25(水)Priscilla Ahn @ビルボードライヴ東京
5/31(火)REBIRTH BRASS BAND @ブルーノート東京
6/02(木)LARRY GOLDINGS, PETER BERNSTEIN & BILL STEWART @丸の内 コットンクラブ
6/04(土)Philip Glass & Patti Smith @すみだトリフォニーホール
7/21(木)FUJI ROCK FESTIVAL 前夜祭 @苗場スキー場
7/22(金)FUJI ROCK FESTIVAL @苗場スキー場
7/23(土)FUJI ROCK FESTIVAL @苗場スキー場
7/24(日)FUJI ROCK FESTIVAL @苗場スキー場
8/04(木)PUNCH BROTHERS @ブルーノート東京
8/20(土)SUMMER SONIC @QVCマリンフィールド&幕張メッセ
8/21(日)SUMMER SONIC @QVCマリンフィールド&幕張メッセ
8/28(日)上原ひろみとレキシ ~レキシが助けにやってきた~ @山中湖 SWEET LOVE SHOWER
9/02(金)東京JAZZ @東京国際フォーラム 地上広場
9/03(土)東京JAZZ @東京国際フォーラム 地上広場
9/04(日)東京JAZZ @東京国際フォーラム 地上広場
9/15(木)矢野顕子× 上原ひろみ @渋谷Bunkamura オーチャードホール
9/17(土)Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN @横浜赤レンガ野外特設ステージ
9/20(火)JILL SCOTT @ZEPP DIVER CITY
10/08(土)MAIRA FREITAS @恵比寿ガーデンプレイス
10/22(土)Peter Barakan’s LIVE MAGIC! @恵比寿 ザ・ガーデンホール
10/27(木)Ms. Lauryn Hill @ZEPP 東京
11/16(水)上原ひろみ The Trio Project @EX THEATER ROPPONGI
12/12(月)ALABAMA SHAKES @新木場 STUDIO COAST


いや〜、2016年もライヴ三昧な楽しい一年でした。さて、2017年はどんなライヴが待っているのやら。今から楽しみです!!