ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

今年のフジロックを振り返る その3 モリアーティ!

2010-12-31 16:14:52 | フジロック
MORIARTY / GEE WHIZ BUT THIS IS A LONESOME TOWN

しぶとく続いている個人的フジロック・ベスト・アクト。今回はいよいよ第2位! 苗場食堂のモリアーティ!!!!!


モリアーティは色々なステージに出演しました。私にとって今年のフジロックはモリアーティを追いかけたフジロックと言っても過言ではありませんでした。木道亭も良かった! オレンジも最高だった! アヴァロンは残念ながら最後の1曲しか観れなかった…。でも一番盛り上がったのは2日目土曜日の苗場食堂です! これはホント凄かった! 正直、純粋な“興奮度”では間違いなく今年1番でした。なので、実質的なフジロック・ベスト・アクトはモリアーティになるんですけど、なんて言いますか、苗場食堂というステージの性格や、モリアーティと言うバンドの不思議な魅力は、「裏メイン」的な立ち位置の方が似合うんじゃないかと…。なので1位はもっと堂々とした大物に譲りまして、ここでは敢えて2位という順位にさせて頂きました。


2日目土曜日、ヘヴンでデレク&スーザンを堪能した私は、パレスでのトロンボーン・ショーティを諦め、モリアーティの待つ苗場食堂に向かいました。モリアーティというバンドは、古き良き時代のジャズやブルース、カントリー、フォークなどをベースに、三文オペラや場末のキャバレーのような演劇要素を飲み込みつつ「どこにもない架空のアメリカ音楽」を作り出すバンド。そしてフランスのバンドだけあって、どこかシュールなアート感覚に溢れている。木道亭やオレンジ・コートではでは、そんな一癖も二癖もあるモリアーティ・ワールドをじっくりと堪能させてくれました。そして苗場食堂。これはモリアーティにとってフジロックでの最後のライヴでした。しかも深夜の苗場食堂ですからね、メンバー間でも「もうこの際だからハメを外しちゃおう!」的な空気があったんじゃないでしょうかね。それまでのモリーアティは、“モリアーティらしさ”のようなものをストイックに演じている雰囲気があり、そこがまたアート的で面白かったのですが、この夜のモリアーティは、まるでフェス空間の中で自制心を失ったかのような開放感に溢れ、とにかくワイルドで最高でした!


苗場食堂というのは、フジ・ロックの飲食エリアにある地元越後の料理を扱う野外酒場のようなところ。その裏側を小さなステージとしてライヴが行なわれる。当然、ステージに隣接する食堂スペースでは大勢の酒飲み達が飲んだくれてる。こんな所でライヴやるの?的な一種独特の雰囲気があり、そんな小さなスペースに、ウッド・ベースを抱えたズィム、ギターのシャルルとアルチュール、ハーピストのトマが並び、奥にはサポートのドラマーもいる。そして真っ赤な衣装に身を包んだローズマリー嬢が登場。そしておそらく新曲と思われるフォーク・ロック調のノリの良い曲からスタート。さらにギター・リフが格好良い「Bacom」なんかもやったかな? とにかく狭いスペースで身を寄せながら躍動感溢れるリズムを繰り出してくる様が格好良い! 特にスウィング溢れるズィムのウッド・ベースは最高でしたね。

普段なら「Jimmy」や「Private Lily」など、どこか退廃的な香り漂うしっとりとした曲で深遠な世界へ誘うモリアーティですが、この夜は新曲を交えながらアップテンポな曲を中心にした選曲でアグレッシヴにガンガン突っ走る。ある意味ロックモードですよ! そして前半のハイライトは「Motel」でしょう。怪し気なブルース臭とガレージなノリで観客を巻き込んでいく。ヴィンテージなマイクで魔女振りを発揮するローズマリーがまた良い! そしてトマのハープソロでは、それまで謎の鳴りものをシャンシャン振りながら踊っていたアルチュールがいきなりステージから飛び降りる。そのまま転んだようなかたちで視界から消え、そして起き上がっては転ぶを何度か繰り返し、あげくの果てにスピーカを引き倒し、観客に助け上げられながらステージに帰還。そして何故かギタリストのシャルルの頬へブチュー!とキス。それを観てハーピストのトマが缶ビールをブワッと開けて祝杯を上げ、ここぞとばかりに激ファンキーなブロウを決める。観客もやんやの拍手で盛り上がる。痺れましたね~。

中盤に入ると、ローズマリーが一旦奥へ引っ込み、なんと、真っ赤な水着に黒タイツというセクシーな衣装で再登場。観客達もヒュー!ヒュー!と大騒ぎ。正直、このローズマリーには驚きました。個人的にはクールな印象があったんですけど、はじけてましたね~。だいたいこの夜のモリアーティはみんな変でしたよ。普段はワイシャツを着てパリッとした印象のシャルルも何故かロングのコートを羽織り、その下は上半身裸にネクタイでしたし、他のステージでは真っ赤なシャツに黒いベストでビシッと決めていたトマも、胸がはだけてワイルドな胸毛が露になっていたり、始めは長ズボンを履いていたアルチュールもいつしか短パン(いや単なるパンツだったのかな?)になっていると言う、なんか怪しさ満載でしたね。

そしてフジロックのモリアーティとして、おそらく一番印象的な曲だったのではないかと思われるのが、ロボットのことを歌った新曲。サビで観客に「ロボット欲しい~!」と歌わせるんですけどね。次はこの曲をやりますと紹介された瞬間から観客達が「ロボット欲しい~!」と騒ぎ出してました。他のステージで観て、また苗場食堂に来たリピーターが結構居たってことですよね。なんか嬉しい!で、もちろんサビはみんなで「ロボット欲しい~!」と大合唱。観客達もかなりのハイテンションで、ステージとの一体感がまた堪らない雰囲気を醸していましたね。これは苗場食堂ならではでしょうね。そして最後にはアルチュールがぶっ壊れたようなロボットダンスで大暴れ。堪りません!

でも一番圧巻だったのはラストの「Whiteman's Ballad」。これはいつもモリアーティのラストで演奏される曲で、フジロックでも木道亭、アヴァロン、オレンジ、全て最後はこの曲で盛り上がりました。もちろん苗場食堂も最後はこの曲です。いわゆるカントリー・ロック的な曲ですけど、何と言っても後半に爆発するトマのハープ・ブロウが強力! どのステージもこの曲は最高でしたけど、やはり苗場食堂はその怪しい濃密度と、ワイルドなはじけ具合で圧倒的に凄かった! 軽快に歌うローズマリーにトマが徐々に近づいていき、さ~、俺の出番だ!と言わんばかりの絶妙のタイミングで彼女からマイクを奪い突如ハープソロを吹き始める。と同時にバンドはブレイク状態になり、トマのファンキーなハープをバックに思い思いに踊り出す。トマは喉をゴロゴロならしながらまるで火を噴くが如くにブロウしまくる。観客達も大盛り上がり!そして気がつけば食堂スペースでまったりしていた連中もみんな総立ちで踊りまくってる。なんか異様な熱気と興奮に包まれる中、トマのハープは留まる所を知らぬが如く。いや~、凄かった! そしてその熱気をバンドが引き継ぎ、高揚感溢れるなかエンディング。そしてシャルルが一言「僕たちはヘンタイです!」みたいなことを言って終了したように記憶しています。いやはや、ホント素敵なバンドです。

終了後もステージ後ろで盛り上がっていた人達と握手やハイタッチをしながら、その余韻はしばらく続いている感じ。私もすっかり苗場食堂の独特な雰囲気と、モリアーティの毒にやられた感じで、しばらく呆然としていました。グリーンのスケール感や、ヘヴンの幸福感とはまた違う、フジロックでしか味わえない、マニアックなディープさ。これぞ裏フジロック! 最高でした!




*かなり記憶が曖昧です。曲目等、間違いがあったらごめんなさいね。

~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
 10.11.16 フジロック・ベスト・アクト その他
 10.11.16 フジロック・ベスト・アクト 第3位!
 10.09.09 フジロック・ベスト・アクト 第4位!
 10.09.05 フジロック・ベスト・アクト 第5位!

@東京オペラシティ

2010-12-28 18:55:29 | ジャズ
という訳で、上原ひろみさんのコンサートを観に、東京オペラシティに来ています。なんかクラシカルな雰囲気で素敵なホールです。果たしてどんなライヴになるのやら。もうすぐ始まります。楽しみ! しかし、ステージが遠いいな…。

スタンリー・クラーク・トリオ@ブルーノート東京

2010-12-28 16:14:07 | ジャズ
STANLEY CLARKE TRIO WITH HIROMI & LENNY WHITE / JAZZ IN THE GARDEN

去る11月28日、スタンリー・クラーク・トリオ、正確には STANLEY CLARKE TRIO with HIROMI & LENNY WHITE を観にブルーノート東京に行ってまいりました。私が観たのはその日の2ndショー。もう、ひと月も前の話になってしまいましたが、ま、お許しを。

何と言っても私のお目当ては上原ひろみ。やっぱり弾いている彼女の姿や表情を間近で観たい! ですが、ピアニストの表情までを間近に見ようとすると、絶好のポジションと言うのはごく僅かに限られてくる。で、早朝から並んだ私の整理番号は4番。案内の人に「どの辺りの席が良いですか?」的なことを聴かれた際、恥ずかしげもなく「上原ひろみさんの顔が見れる席!」と答えてしまう私。熱心なジャズ・ファンの方々には怒られそうですが、すいません、ミーハーなんで。

ですが、この日のグランドピアノは、客席に向かって左側に斜めに開くような形で置かれている。当然その空いた中央のスペースにはスタンリー・クラークが鎮座する訳です。つまりスタンリーを中心に、向かって左に上原ひろみ、右にレニー・ホワイトという配置ですね。なので上原ひろみは客席に対して斜め後ろを向く形になる訳です。表情を見るためには右側から回り込むような形で見るのがベスト。そこで案内の方に通された席はド真ん中の前から2列目。確かにここなら斜め左側に上原ひろみの前身と表情がバッチリ見える。しかも何の因果かスタンリー・クラークの目の前。凄い席です!


正直、曲目はよく覚えていません。100%の集中力でライヴを楽しみたかったので、メモも取らずに観てました。で、ブルーノート東京のサイトに11月26日のセット・リストが公開されているのですが、概ね一緒な感じだと思います。1曲目が「Isotope」で、次が「Paradigm Shift」、そして「Sakura Sakura」に続く。上原ひろみも参加したスタンリーのニューアルバムからの曲が中心になるのかと思いきや、やはりこの3人で録音したスタンリー・クラーク・トリオ名義の「JAZZ IN THE GARDEN」(写真)からの曲が中心でしたね。

だいたいの曲で、途中からバンドをバックにした上原ひろみのソロとなり、その後にひと呼吸置いてスタンリー・クラークがソロをとる展開でした。そしてさらにレニー・ホワイトもソロをとったり。まず、なにはともあれ私は上原ひろみにメロメロでしたよ! 自身のバンドや、チック・コリアとのデュオ、そしてソロと、色々な形での彼女のプレイを観てきましたが、このトリオの中でも彼女ならではの緊張感を保ちながら独創的な旋律をのびのびと繰り出してましたね。ただどちらかと言うと、近年のソロ・コンサートのような一人ゆえの濃密さは無く、ある部分を二人に預けてしまった上で、彼等の出方を伺いつつ、それも含めて楽しんで演奏している印象を受けました。もちろん相変わらず良い表情してましたよ! 顔で弾くピアニスト(褒めてます!)、大好きです!

そしてスタンリー・クラーク! ステージ後方にはエレキ・ベースも用意されていましたが、終始アコースティック・ベースを弾いていました。これがまたふくよかなノリで素晴らしかったですね。流石ジャズ史に名を刻むベースの大家ですよね~。例えばレニー・ホワイトがドラム・ソロを叩いている間もスタンリーはリズム・キープをしていたりするのですが、そんな時でも、そのまろやかなスウィング感が最高なんですよ! もちろんベース・ソロも凄い!ダブル・ベースでマシンガンのような速弾きを交えながら縦横無尽に旋律を紡ぎ出す。それはプログレッシヴなノリでありながら堪らなくエモーショナル。途中でディープ・パープルの「Smoke On The Water」のリフを弾いて盛り上げ、自分も笑ってしまう、なんてお茶目な一面もあったり。「Sakura Sakura」ではあのメロディーを弦を叩いて表現していたのも印象的でした。そしてレニー・ホワイト。この人のドラムはクールでしたね。もう少し熱くなっても良いのでは?と思う程。ドラム・ソロなんかも周りの空気をいっさい遮断して自分の世界に入る感じ。ただひたすら瞑想するが如くにリズムを分解していくような…。これはこれで凄かった!

3人各々のプレイを堪能したのももちろんなんですけど、なにより3人の呼吸が素晴らしかったですね。もちろん、このトリオでアルバムも作り、ライヴもこなしてきている訳ですからそれは当たり前なのかもしれませんが、そんな3人ならではの経験と信頼が築く芳醇な空気。ですがパーマネントなバンドとは決して違う一瞬一瞬が弾けていくような、それぞれのアーティストとしての瞬発力が成し得る極上のアンサンブル。観ているこちら側は、常にワクワクやゾクゾクの連続でしたね。

そしてステージは終盤、「Take The Coltrane」だったかな? ちょっとどの曲か記憶が定かではないのですが、スタンリー・クラークと上原ひろみとでやたらアヴァンギャルドなソロを展開したのにも痺れましたね。鬼気迫るような緊張感で二人の丁々発止が続く、固唾を飲んで見守る観客。その緊張が極度に達した瞬間、スタンリーが「プッ」と吹き出してしまう。この緊張感でこの余裕ですよ!これには驚きましたね。やっぱ懐が深いですね~。

本編ラストは日本人4名によるブラス・セクションを交えてスタンリーの最新作から「NO MYSTERY 」。CDではフュージョンっぽいこの曲ですが、アコースティックな上にホーン隊が入るアレンジが格好良かったですね~。トリオに拘らずにホーンを入れるというのはやっぱりスタンリーのアイデアなんでしょうね。お見事でした! で、上原ひろみのソロになると何故かラテン調に。この上原ひろみのソロがまた痺れました。 このソロが聴けただけでもこの日観に来たかいがあったってぐらい最高でした。情熱的と言うか、ホント熱かった!最近特に思うんですけど、やっぱり上原ひろみのリズムに対する表現力って言うのは痺れるものがありますよね。次はぜひ、ホーン隊を含むラテン・バンドを組んで欲しいとか真剣に思いました。

拍手喝采を受けてのアンコールは「3 Wrong Notes」。ユニゾンのリフをブラス隊も交えて疾走する。アルバムで聴けるスイング感とは別物のキレキレなドライヴ感。ホーン対のソロもフューチャーされ、上原ひろみもここぞとばかりに弾きまくる。スタンリーはスピード感の中にも大きなグルーヴを生み出していく。レニーのソロも、最後だけあってこれまでのクールさとは一味も二味も違う激しいソロを展開。最後はさらに突っ込んでいくようにブラス隊がリフを畳み掛け、圧倒的な興奮度で終了。終わると同時にドッと立ち上がる観客達。スタンディングオベーションの中、ステージ中央にあつまる3人。鳴り止まない拍手喝采のなか、惜しまれつつステージを後に。この後しばらくアンコールを求める声援が鳴り止みませんでしたが、ここでこの日のライヴは終了。ステージ後方にスタンバイされていたエレキ・ベースは結局出番無し…。

いや~、しかし素晴らしいライヴでした! ジャズって良いな、って思いましたよ。そして色々な形で楽しませてくれる上原ひろみにも脱帽です。しかも今日12月28日は、オペラ・シティで彼女のソロ・コンサートです。今度は一人ピアノですからね。さて、そろそろその会場に向かいますか。


デヴィッド・T・ウォーカー@丸ビル

2010-12-28 11:43:58 | ソウル、ファンク
DAVID T. WALKER / FOR ALL TIME

12月25日、丸ビルの吹き抜けマルキューブにて、デヴィッド・T. ウォーカーのクリスマス・スペシャル・ライヴを観に行ってきました。もう説明不要ですが、モータウン系を始め数々のソウル作品にエモーショナル且つ甘美なギターで名演を残してきたデヴィッド・T. ウォーカー。その一方で68年の「THE SIDEWALK」以降、最新作「FOR ALL TIME」(写真)まで、15枚ものソロ作をリリースし、特に70年代の「DAVID T. WALKER」、「PRESS ON」あたりは名盤として語り継がれています。そして08年の完全復帰作「THOUGHTS」、09年にはウィンター・ソング・アルバム「WEAR MY LOVE」、そして今年の最新作「FOR ALL TIME」と、近年になって快作を連発し、まさに第2の全盛期を迎えている感じ。日本ではドリームス・カム・トゥルーとの共演でも知られ、“デヴィ爺”の愛称で慕われているようです。


さて、朝から整理券を貰いに並んだかいあって、前から3列目中央の席をゲット。後ろを振り返ると、椅子席後方の立ち見エリアはもちろん、吹き抜けの2F、3F、4Fあたりまでずら~っと人垣が出来ていました。無料ライヴとは言え、デヴィッド・T. って人気あるんですね~。そしてステージ後方でキラキラと輝く巨大クリスマス・ツリー。このツリーをバックにデヴィッド・T. がギターを弾く、考えただけでメロメロですよね。

司会者の紹介でデヴィッド・T. が登場。グレーのスーツでびしっと決めています。そしてトレードマークのお髭の奥に和やかな表情が伺える。バック・バンドは濱田尚哉(Drums)、下野ヒトシ(Bass)、扇谷研人(Keyboards)、という日本人トリオ。1曲目は最新作から「Eleanor Rigby」。いや~、どうやったらビートルズのこの曲がこんなにロマンチックになっちゃうの?って感じのメロウさ。デヴィッド・T. のギターはトロトロに揺れるようでありながら、その1音1音はブルージーにゴツゴツとした肌触りを感じさせる。私はその音色に酔いしれながらも、椅子に座りながら身体をくねくねさせて歌うようにギターを弾くデヴィッド・T. の姿に目が釘付け。

2曲目は18番であるミニー・リパートンのカヴァー「Lovin' You」。もう極上ですよ。デヴィッド・T. はソウル、ブルース、ジャズの狭間を縫うようにフレーズを紡いでいく。そして感情の起伏をそのままギターに乗せるかのように饒舌に歌いかけてくる。こんな風にギターを弾ける人は他にいませんよね~。ホント素晴しい! この曲では途中、立ち上がってソロを弾く場面もあり、いよいよデヴィッド・T. も乗ってきた感じ。

3曲目は「Santa Claus Is Comin' To Town」。クリスマスですからね、何かやるだろうとは思っていましたが、なんとこの曲ではデヴィッド・T. を含むバンド全員が赤いサンタ帽を被って演奏するという趣向。ちょっと照れながら帽子を被るデヴィッド・T. が可愛かったです。そしてレゲエ・アレンジなこの曲の独特な緩さが最高でした。

でもこの日のハイライトは、やっぱ次の曲「The Christmas Song」でしょう。これも色々な人がクリスマス・アルバムで歌っているこの季節の定番ソングですね。確かドリームス・カム・トゥルーもデヴィッド・T. をバックにやってましたよね。しかしこの日のデヴィッド・T.はギター1本でこの曲を披露。これには参りました。あの広い丸ビルの吹き抜けが、一気にクリスマスの夜を迎え、甘く優しい空気に包まれていく感じ。メロウに滲みるようでもあり、キラキラと瞬くようでもあるデヴィッド・T. のギターはまさに神の如くでした。

ゲスト・ヴォーカルにYURIという日本人女性シンガーを向かえて「Silent Night」。彼女、失礼ながら私は初めて聴く方でしたが、これがソウルフルな美声の持ち主で、デヴィッド・T. のギターにサポートされつつ堂々とした歌声を披露してくれました。また彼女の登場で、観客とのコミュニケーションも含めて一気に会場が打ち解けた雰囲気になりましたね。デヴィッド・T. のどこかお茶目なキャラも感じられて、和気あいあいと良い感じになってきました。そして最後はイベントらしく「We Wish You A Merry Christmas」をコール&レスポンスして終了。6曲とは言え、なかなか盛り沢山の楽しいライヴでした。


いや~、それにしてもデヴィッド・T. ウォーカーってやっぱ凄いですね! 実は私、まだ彼のちゃんとしたソロ公演は観たことがないんです。唯一観たのは去年、マリーナ・ショウのバックで来日した時でした。その時にデヴィッド・T. ウォーカーのギターに感激し、次は必ず彼のソロライヴを観に行こうと心に誓ったはずだったのですが、なんだかんだでまだ行かず終い。そしてこのイベントを観て、また心新たに、次の来日公演こそは絶対に観に行くぞ!と心に誓った次第であります。

@ブルーノート東京

2010-12-27 19:53:44 | ジャズ
今日はカウント・ベイシー・オーケストラを観にブルーノート東京へ来ています。いや~、生でビッグ・バンドのライヴを観るなんて超久しぶりです。しかも、伝統あるビッグ・バンドの最高峰、カウント・ベイシー楽団ですからね! ま、もちろんベイシーさんは亡くなってますけど。って言うか私、カウント・ベイシー楽団なんて「アトミック・ベイシー」と「ベイシー・イン・ロンドン」ぐらいしか聴いたことないんですけど、大丈夫なんですかね?正直、お目当てはゲスト・シンガーのレディシだったりします。ジャズを歌うレディシ、超楽しみです! ぜひ豪快に歌って欲しいです。

@丸ビル

2010-12-25 17:18:42 | ソウル、ファンク
今日はデヴィッド・T.ウォーカーのライヴを観に丸ビルに来ています。1階の吹き抜けで行われるフリー・ライヴです。「ギターの神様がクリスマスに贈る、大人のためのスペシャルライヴ」だそうです。最近ウィンター・ソング・アルバムも出してますし、やっぱりクリスマス曲中心の選曲になるんでしょうかね。なにせ、ステージ後方には巨大クリスマス・ツリーが輝いてますからね。楽しみです!

メリー・クリスマス!!

2010-12-25 00:37:11 | 余話
U900 -Sleigh Ride



みなさま、クリスマス・イヴをいかがお過ごしですか?

私はトリのもも肉食べて、シャンパン飲んで、ケーキを食べるという、オーソドックスなクリスマスを楽しみました。なかでもやっぱメインはケーキですよね。今年は神谷町のオクシタニアルというパティスリーでかったこのケーキ。ヴィクトワールというケーキなんですけど、なんでも、今年フランスで行なわれた洋菓子作りの国際コンクール「ル・モンディアル・デ・ザール・シュクレ2010」で優勝を獲得したケーキだとか。まず見た目が素晴らしいですよね!層になった断面とクリームの上に並んだベリー系の果実にワクワクさせられます。もちろん味も最高! ボキャブラリーが貧困な私にはとても言葉で表現出来ませんが、とにかく深い味わいでした。一口の中に色々な幸せがあるような。ポイントはピスタチオかな? 近年まれに見る美味しさでした!






メリー・クリスマス!!

今月の10枚 クリスマス編

2010-12-23 16:27:30 | Weblog
なんだかんだで、「11月の10枚」をやりそびれていたので、今回はクリスマス間近という季節柄、クリスマスの10枚です! 基本的に私はクリスマス・アルバムが大好きなので、色々ある中から今日の気分で新旧織り交ぜた10枚を選んでみました。



DAN HICKS AND THE HOT LICKS / CRAZY FOR CHRISTMAS
まずはこの人、クリスマスと言えばダン・ヒックス。彼が今年リリースしたクリスマス・アルバム。今回はクリスマス・ジャグ・バンドではなくダン・ヒックス&ザ・ホット・リックス名義によるもの。なんか独特のスパイスが効いてますよね~。格好良いです! とにかくヒップで粋なオールドタイムなクリスマス。スウィング感も抜群。



ASLEEP AT THE WHEEI / SANTA LOVES TO BOOGIE
そしてスウィングと言えば、カントリー好きにはたまらないウエスタン・スウィング。こちらはレイ・ベンソン率いるアスリープ・アット・ザ・ホイールの07年作。「SANTA LOVES TO BOOGIE」というタイトルと踊るサンタのジャケが良いですよね~。絶妙に揺れるスティール・ギターといなたくも麗しいフィドルの音色が最高! 盟友ウィリー・ネルソンも1曲歌ってます。



PATTY LOVELESS / BLUEGRASS & WHITE SNOW
カントリー界の歌姫パッティ・ラヴレスによる02年の作品。これはね~、クリスマスの夜にログハウス的な所で暖炉にあたりながら聴きたい感じですね。しっとりと敬虔な雰囲気の前半から、アップテンポなブルーグラス色を増す後半へ、パッティ・ラヴレスの素朴な美声にうっとりです。またスチュアート・ダンカンのフィドルとマンドリンが堪りません。



VA / RHYTHM & BLUES CHRISTMAS
ACE編纂のR&B系クリスマス・コンピ。50年代から60年代を中心に、流石はACEといった感じの濃密な世界。BBキング、スモーキー・ホッグ、ローウェル・フルスンといったブルースの巨人も収録されているのも嬉しい。特にシルヴェスター・コットンの「Christmas Blues」は強烈。



VA / BLUE CHRISTMAS
ちょっと前に、私がフォローさせてもらってるツイッター周辺で密かに話題になっていたこのアルバム。今をときめくテキサスのブルース・レーベル、ダイアルトーンのクリスマス。私も久しぶりに棚から出して聴いてますけど、良いですね~、このローカルな感じが。そしてテキサス・イーストサイド・キングスでもお馴染みのギタリスト、クラレンス・ピアースの職人気質なエグ味が最高!



KERMIT RUFFINS / HAVE A CRAZY COOL CHRISTMAS!
ブルースを紹介したので、やっぱりニューオーリンズ物も一枚ぐらいは、って感じで、リバース・ブラス・バンドの中心メンバーだったトランぺッター、カーミット・ラフィンズによるクリスマス・アルバム。これは去年リリースされたアルバムですね。私、これ大好きです!これぞニューオーリンズですよね! ブラスバンドを通過したセカンドラインなハネが心地よいトラディショナルなジャズ。ホント最高です!



LEDISI / IT'S CHRISTMAS
ニューオーリンズと言えば、実はこの人もニューオーリンズ出身。来日間近のレディシです。08年作。近年リリースされたR&B系のクリスマス・アルバムの中ではダントツでしょう! ま、ただ私が個人的にレディシが大好きなだけかもしれませんが…。ケブ・モとのデュエット「Please Come Home for Christmas」も良いし、ジャクソン5のカヴァー「Give Love on Christmas Day」もグッときます!



YOLANDA ADAMS / CHRISTMAS WITH YOLANDA ADAMS
アーバン・ゴスペル界のディーヴァ、ヨランダ・アダムスによる2000年作。まあ、とにかく極上です。アダルトなバックのサウンドもさることながら、聴けば聴く程ヨランダの歌唱に飲み込まれていきます。一聴、サラッと歌っているような印象なんですが、とんでもない歌唱力です!



HALIE LOREN & MATT TREDER / MANY TIMES, MANY WAYS A HOLIDAY COLLECTION
先日の来日によるインストア・ライヴも記憶に新しい、ヘイリー・ロレン(vo)とマット・トレダー(p)による今年リリースのクリスマス作品。やっぱりクリスマスには女性ジャズ・シンガーを聴きたくなりますよね。ビター・スウィートなしっとりとしたクリスマス。



BOB DYLAN / CHRISTMAS IN THE HEART
最後はこれ。ボブ・ディラン。このアルバムは本当凄い! 約1年振りに聴きましたけど、やっぱ桁外れですね。なんか毎年クリスマスが来ると、このアルバムを棚から出して開けるという、新たな楽しみが増えた感じです。



~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 09.12.03 11月の10枚(昨年のクリスマスの10枚)

トロンボーン・ショーティ@渋谷クアトロ

2010-12-16 23:06:53 | ソウル、ファンク
TROMBONE SHORTY / BACKATOWN

12月13日、トロンボーン・ショーティを観に渋谷 Club Quattroへ。わりと開演ぎりぎりに会場入りしたのでフロアには降りず、一段高くなっているところで悠々と観ることに。

ほどなくしてメンバーが登場! トロンボーン・ショーティはその“ショーティ”という愛称もどうなの?って思う程の精悍さ。バンドはドラムス、ベース、ギター、サックスとショーティの5人編成。最新作「BACKATOWN」のタイトル曲「Backatown」からスタート。ショーティがトロンボーンで印象的なリフを刻みだし、観客達を新時代のニューオーリンズ・ファンクの渦のような波に飲み込んでいく。そして肉感的なリズムはヒップホップとかクラブ的な要素が削ぎ落とされた分、純粋にバンド感が凝縮されたようなライヴ・サウンド。格好良い!!!

前半は最新作からのナンバーが中心のセット。まず、想像以上にリズムが強力。ドラムはかなりアグレッシヴに叩きまくってましたが、決してへヴィーではなく、どちらかというとジャズ・ファンク的なハネと切れがある。対してベースは重量級な上にとんでもないグルーヴ・マシンで、この両者のリズムにグイグイ引き込まれましたね。さらにショーティがトロンボーンとトランペットを持ち替えながらソロを吹きまくり、観客を煽りに煽る。オリエンタルなホーンとヘヴィーなギターが高速で突進する「Suburbia」。ショーティがソウルフルな喉を聴かせてくれたアラン・トゥーサンの「On Your Way Down」。重心の低いグルーヴがフロアを揺らした「Hurricane Season」。最新作からの楽曲群がライヴでさらに勢いと鮮度を増している感じ。

そして唯一前作からのナンバー「Orleans & Clalborne」では、カーティス・メイフィールドのようにチャカポコ鳴らすギターにやられました。このギタリストは、歪んだギターでロックに決めたかと思いきや、ワウを効かせてニュー・ソウルっぽい雰囲気を醸したり、このバンドのミクスチャー感を一手に体現しているような感じでしたね。「Where Y'At」のギター・リフなんてアルバムで聴くより断然ブルース・ロック的で痺れました。で、またこのギターとホーンの絡みが格好良いんですよ!

そしてセットの中盤になるとカヴァーを盛り込みながら多彩なフィーリングでより深淵な世界へ。まずは何やらヴードゥーのような怪し気な雰囲気を醸すサックス・ソロ。クール且つフリーキーなフレーズで徐々に熱を帯びていく。そして盛り上がってきたところで、スカのリズムへなだれ込む。「Groove On」という曲でしょうか? 正直知らない曲でしたが、明るいトロンボーンのメロディや、ファルセットを交えながら早口で歌うショーティの歌唱が印象的でした。曲名通りグルーヴィーなノリも最高!

切れ味のあるギラギラとしたロックなギター・ソロに続いて「On The Sunny Side Of The Street」。ルイ・アームストロングでも知られるジャズ・スタンダード。良いですね~。ニューオーリンズのトランぺッターはみんなルイ・アームストロングが大好きなんでしょうね。で、ここでのショーティのトランペット・ソロがまた素晴らしかった!滲みましたね~。さらに後半には息を吸いながら吹き続けるみたいな、いかにもジャズ・トランぺッター的な技で、延々と息継ぎ無しで一音を鳴らし続ける。コードが一巡する度に、まだ続けるの? って感じに観客も驚きつつ拍手喝采。これは凄かった!

さらにマーヴィン・ゲイの「Let's Get It On」。これも嬉しい選曲。流石に歌はマーヴィンと比べちゃうと見劣りしてしまいますが、ショーティ自身も楽しんで歌ってる雰囲気で良かったですね~。そして何と言ってもこの曲が持つトロっとした幸福感と、フワッとした暖かい音色のホーンが最高でした。続いておそらく「Same Thing On」という曲。これも知らない曲でしたが、この曲は後半のベース・ソロが強力でした。終始寡黙且つ朴訥にベースを弾いていた彼でしたが、紹介されるとグワングワンと踊りながらソロを弾き始める。あれ?いきなりキャラが変わっちゃったよ!と思っているうちに、チョッパーを混ぜたり、「Smoke On The Water」のフレーズを弾いてみたり、ぶっといボトムのベースラインを次々に繰り出してくる。そしてステージを駆け回るような仕草を見せ、最終的にはひっくり返って足をバタバタさせながら。当初はどこか強面な雰囲気でしたが、意外とお茶目なベースマンでした。

そしてステージはいよいよ終盤。やたらファンキーなベース・ラインが強烈な曲が、突如JBファンクのようなギター・ブレイクが入ると同時に何やらジェイムス・ブラウンの名曲達をコラージュしたような曲に。これが超ファンキーで格好良かった!! ショーティもJBダンス的な動きで盛り上げてましたし、「I Got the Feelin'」の決めゼリフのように“ベイビー、ベイビー、ベイビー”と観客に歌わせたり。さらにドラム・ブレイク+サックス・ソロのような展開になり、複雑怪奇な“決め”の数々を怒濤の如くの勢いでショーティがさばいていく。まるで踊るようにコンダクトするショーティの姿はなんか可愛かったですね~。

全体的にショーティのエンターテイナー振りには驚きましたね。ごくごく自然体なのに、グイグイと観客を引き込んでいく。そしてしっかりバンド・メンバーの見せ場も作る。ジャム・バンド的なインプロ展開もたっぷりありましたしね。どの曲だったかは既に記憶の彼方ですが、ギターVSショーティ、サックスVSショーティという掛け合いもスリリングでした。途中、クリスマスのフレーズを織り込んだりもしていましたね。まあ、これでもか!と言う程のライヴ・バンドですよ!

アンコールは多分「Bet You Like It」という曲。この曲も知らない曲でしたが、ソウルフルな高揚感のある良い曲でしたね。観客みんなで手を振ったり飛び跳ねたり。最後は“パ~ラッパッパ~”みたいに大合唱。とんでもない一体感。私も堪らずこの頃にはフロアに降りて踊ってました。異様な盛り上がりの中で終了し、ショーティはトロンボーンとトランペットを両手で高らかに掲げて去っていきました。もちろん観客の拍手は鳴り止みませんが、ここで無情の客電が…。ぼちぼちお客さんも帰り始めた頃、ショーティ御一行がまさかの帰還。フロア全体が喜びに満たされながらの「聖者の行進」。これはニューオーリンズの空気を感じましたね!そしてソロモン・バークの「Everybody Needs Somebody To Love」へ。会場はお馴染みの“ユー!ユー!ユー!”で盛り上がる。メンバーは並んで腰を屈めながらステップを踏んでる。いや~、楽しい! 最後はメンバー全員が楽器を取り替えてのセッション。ちなみにショーティはドラム。ベースの彼がフロントでトランペット。ドラマーはここぞとばかりにギター・ソロを弾きまくったり。嗚呼、天晴なライヴでした!


それにしても強力なバンドですね。私はもう少しニューオーリンズ臭が濃くなるかとも思っていたのですが、これはもう「ニューオーリンズの」という括りが必要のないミクスチャー・ファンクですよ。ですが小手先のミクスチャーとは明らかに違う、肉感的で生命力溢れるような音像には、流石にガンボな街ニューオーリンズの土壌を感じさせられます。グラミー賞にもノミネートされたトロンボーン・ショーティの勢いは、ニューオーリンズのファンク・シーンを変えるかもしれませんね。いや、これは既にとっくの昔から変わりかけていた一つの成果なのかもしれません。これからの展開がますます楽しみである反面、昔ながらのニューオーリンズが大好きな私にとってはちょっぴり複雑だったりも…。


終演後に携帯で撮ったセットリスト。前半はこの通りの曲順だったと思いますが、後半は大分違う気がしますがどうなんでしょう? 「Do For Me」って何ですか?