ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

2021年5月 My Best Song

2021-06-03 21:07:25 | 余話
2021年5月にシングルリリースされた曲の中から、ルーツな日記が選んだ10曲です。










Tedeschi Trucks Band - Why Does Love Got To Be So Sad? (Official Music Video)

Tedeschi Trucks BandがTrey Anastasioをゲストに招いて行ったDerek and the Dominosの名盤「Layla and Other Assorted Love Songs」の再現ライヴの模様が7月にリリースされます。Tedeschi Trucks Bandによるレイラ再現って聞いただけでも興奮しちゃうのに、デレクとトレイのギターバトルがたっぷり聴けるなんて、もう言うことありません。




Jackson Browne "My Cleveland Heart" (Official Video)

Jackson Browneによる7月発売予定の新作「Downhill From Everywhere」からの先行シングル。Jackson Browneももう70歳を超えてるんですよね。さすがに渋い、でも若々しい、そんな味わい深くも爽快なロック。この曲、MVも秀逸で、Jackson Browneが手術で人工心臓を移植される光景なんですけど、バンドメンバーも演技していて面白い。特に名手 Greg Leiszがオペをしそうな雰囲気からスティールギターを弾くところが可笑しい。途中、心臓を受け取るシーンでPhoebe Bridgersがカメオ出演しています。




The Flatlanders - Sittin' On Top of the World (Official Music Video)

Joe Ely、Jimmie Dale Gilmore、Butch Hancockによるテキサスのベテラントリオ、The Flatlandersが、実に12年振りとなるニューアルバム「Treasure of Love 」を7月にリリースするそう。その先行シングル「Sittin' On Top of the World」。こういうホンキー・トンクなカントリー・ロックが聴きたかった!!これは痺れる~!めちゃくちゃ格好いいエレキギターはRobbie Gjersoeかな?




The Opportunity to Help Somebody Through It

通算30枚以上のアルバムをリリースしているカントリー/アメリカーナの大ベテラン、Jim Lauderdale。6月30日にリリース予定の最新アルバム「Hope」からのファーストシングル。カントリーでありながら、どことなく黒っぽい雰囲気が格好いい!ベテランとは言えまだ60代ですからね、まだまだ元気です。




The Black Keys - Going Down South [Official Music Video]

5月にリリースされたTHE BLACK KEYSの通算10枚目となるスタジオ・アルバム「Delta Kream」は、ミシシッピ・ヒルカントリー・ブルースに敬意を表した作品。シングル「Going Down South」はR.L. Burnside のカヴァー!この催眠性、最高ですね。そしてこのMVがヒルカントリー・ブルースの名所巡りみたいになっているようで、とても興味深い。




Eric Roebuck - Need a Change

正直、このEric Roebuckなる人物については何も知りません。これがデビュー・シングルらしい。70年代的なブルース・ロック、フォーク・ロックをどっぷりと聴かせてくれる。歪んだギターにサイケ感漂う歌声、これがデビュー・シングルとは思えない風格。




U-Roy & Santigold - Man Next Door [Official Music Video]

今年2月17日に亡くなられたレゲエDJのオリジネーター、U-Roy。7月に豪華ゲストを迎えたアルバムがリリースされるらしい。その1曲がSantigoldとの共演「Man Next Door」。オリジナルはThe Paragonsで、U-Roy自身も過去に「Peace And Love In The Ghetto」として料理している曲。




Smoko Ono - You Are( ft. Corinne Bailey Rae & UMI)

とりあえず、Corinne Bailey Raeの歌声が聴けただけで私は満足です。




Julian Lage - Familiar Flower (Official Video)

6月にニューアルバムが出るJulian Lage。私が今最も気になるギタリストの一人。コロナが無ければ昨年ライヴを観る予定だったんですけどね…。




Hypnotic Brass Ensemble - Soon It Will Be Fire (feat. Moses Sumney)

スコットランド の鬼才Richard Youngs の「Soon It Will Be Fire」を、Hypnotic Brass EnsembleがMoses Sumneyをフィーチャーしてカヴァー。およそ9分超に渡って、ひたひたと、じわじわと覚醒していくようなパフォーマンス。原曲の雰囲気を壊さずに、それでいて原曲とはまた違う高揚感が素晴らしい!!!








2021年4月 My Best Song

2021-05-07 21:26:56 | 余話
2021年4月にシングルリリースされた曲の中から、ルーツな日記が選んだ10曲です。



Erika de Casier - Polite (Official Video)

生まれはポルトガルらしいのですが、デンマーク、コペンハーゲンを拠点にした活動から頭角を表したことでも知られる才女Erika de Casier 。一昨年の自主制作によるデビュー作に続いて、4ADと契約後初となるセカンド作「Sensational」を5月にリリース予定。その新作アルバムからの先行シングルの一つがこの曲。彼女の呟くようでいてスムースでスイートな歌声が秀逸なモダンR&B。




Alfa Mist -Organic Rust | A COLORS SHOW

ロンドンを拠点に活躍するピアニスト/プロデューサーのAlfa Mist。サードアルバムとなる最新作「Bring Backs」がこの4月、〈ANTI-〉からリリースされました。「Organic Rust」は先行リリースされていた曲ですが、 あらためてA COLORS SHOWのパフォーマンスが配信リリースされていたので、敢えてこちらを。このエレピの感じ、最高です。




Adrian Younge · Ali Shaheed Muhammad · João Donato - Forever More

Adrian Younge とAli Shaheed Muhammadが、伝説的なジャズ~レア・グルーヴの偉人たちとセッションを繰り広げる「Jazz Is Dead」。最新作はブラジル音楽の奇才João Donato をフィーチャー。この先行シングル曲は、ラテンのグルーヴとどこかブラックムーヴィーっぽいヘヴィな雰囲気が相まって、ファンキーでめっちゃ格好良い!




Cedric Burnside - "Step In" (OFFICIAL MUSIC VIDEO)

ミシシッピ・ヒルカントリー・ブルースの伝説、R. L. Burnside、その孫にあたるCedric Burnsideのニューシングル。ミシシッピならではの中毒性にやられます。エレキギター、特にスライドの音色が堪らない。6月にリリース予定のニューアルバムが楽しみです。




Silver Synthetic - "Around The Bend" (Lyric Video)

ニューオーリンズからポップサイケなガレージロックをやるバンド、Silver Syntheticが、フルアルバムとしては1st作になる「Silver Synthetic」を4月9日にリリース。このバンドはなかなか面白い。最近個人的に気に入ってるんです。牧歌的な雰囲気とガレージな荒さが同居しているロックンロール。どことなく”いなたい”グルーヴにハマっちゃいます。




Dumpstaphunk - Do You (Official Audio)

ご存知、現行ニューオーリンズ・ファンクの雄Dumpstaphunk。待望の新作アルバムがリリースされました。出自的にはThe Meters直系のイメージながら、The Meters 的なズレや間ではなく、モダンなキレと太さで、ニューオーリンズ・ファンクの新時代を切り開いてきたバンドだけあり、流石の骨太ファンクアルバムに仕上がっています。このシングル曲も格好良い!!




Maggie Rose - "Saint" (Official Lyric Video)

前作で芯の太いブルースロックを聴かせてくれたMaggie Rose。彼女の8月リリース予定のサード作からの先行シングル「Saint」がすこぶる良い。バリバリのサザン・ソウル・バラード。アルバムはFAMEスタジオでレコーディングされ、かのDavid Hoodも参加しているらしい。プロデュースはAlabama Shakesのサポート鍵盤奏者としても知られるBen Tanner。




Allison Russell - Persephone (Lyric Video)

Birds of Chicagoでの活躍でも知られる、モントリオール出身のシンガー/マルチインストゥルメンタル奏者、Allison Russell。
Rhiannon Giddens、Leyla McCalla達とSongs of Our Native Daughtersというグループもやっている人ですが、5月21日にソロ名義としては初となるアルバムをリリースします。既に複数曲が先行リリースされているようですが、この「Persephone」は、爽やかでとても気持ち良い。




The Accidentals - Might As Well Be Gold (Audio Only)

インディ・フォーク系のグループ、The Accidentalsが、5月7日にニューEPをリリース。一貫して落ち着いた雰囲気の5曲入り。これがとても良い。先行リリースされていた曲の一つ、この「Might As Well Be Gold」もシンプルなギターに女性ヴォーカルとハーモニー、そして弦アレンジ、素朴な美しさに満たされている。





Prince - Welcome 2 America

2016年に亡くなったプリンス。なんと、7月30日に新作がリリースされるらしい。2010年にレコーディングされお蔵入りとなっていたものだそうで、そのタイトル曲が先行シングルとしてリリース。P-FUNK的ファンクを、プリンスらしいキレとセクシーさで料理したような格好良さ。

2021年3月 My Best Song

2021-04-05 22:02:22 | 余話


2021年3月にシングルリリースされた曲の中から、「ルーツな日記」が選んだ10曲です。







Bruno Mars, Anderson .Paak, Silk Sonic - Leave the Door Open [Official Video]


まずはこれですよね。特に言うことはありません。最高です!!!!




Hiatus Kaiyote - 'Get Sun (feat. Arthur Verocai)' (Official Audio)


Hiatus Kaiyoteが新曲をリリースしたというのは嬉しいですよね。ネイ・パームが乳がんを患っていると知った時は、落ち込みましたけど、フジロックにも来てくれましたし、こうやって新しい曲も披露してくれる。しかもこれがまた格好いい!!いかにもHiatus Kaiyoteなネオ・ファンクながら、ブラジルの巨匠 Arthur Verocaiを迎え、エギゾチックなアレンジが光ります。




George Porter Jr. and Runnin' Pardners - Get Back Up


御年73歳、ニューオーリンズ・ファンクの伝説、George Porter Jr. 。3月26日にリリースされたニューアルバムで、いまだ衰え知らずなファンキーを聴かせてくれる。なかでもこのシングル曲はMeters臭濃厚で最高なのです。




Adam Melchor - i'm not okay (Official Audio)


ニュージャージー州出身のシンガーソングライター Adam Melchor。彼がラウドロックのMy Chemical Romance「I'm Not Okay」をカヴァー。これが良いんです!!原曲はめっちゃラウドなんですけど、それを70年代SSW的な雰囲気で歌っている。ファルセットを駆使したコーラスワークがまるで万華鏡のような美しさ。あれがこうなるか?っていう。とは言え、原曲も激アツで大好きですけどね。




Vivian Leva & Riley Calcagno - Hollowed Hearts


元々The Onliesというマウンテン・ミュージック等をやるストリングス・バンドをやっていた二人。デュオ名義による初アルバムからのシングルカット。朗らかで切ないカントリー&フォーク。こういうの大好きです。




Chloe x Halle - Georgia on My Mind (Official Audio)


Chloe x Halleによる、Georgia on My Mindのカヴァー。素晴らしいの一言。この2人は異星人です。




duendita - Open Eyes (Official Video)


2018年にアルバムデビューしている、ニューヨーク、クイーンズ出身の女性R&Bシンガー、Duendita。この人の歌声、特に低音のふくよかが素晴らしい!ドラムス、鍵盤、ベースによるアンビエントなバックも良い感じ。




Jorja Smith - Addicted


Jorja Smith、大好きです。彼女の2021年最初のシングル曲。UKソウルらしい浮遊感と翳り、そしてジャズやレゲエを感じさせる歌声が良いですね。




Robert Finley - "Souled Out On You" [Official Video]


2017年に63歳でアルバムデビューを果たした異色のブルースマン。ファルセットを交えて歌う、ドロっとしたソウルバラード。その激情的なブルースフィーリングに痺れます。プロデュースはDan Auerbach 。




Tony Joe White - "Bubba Jones" [Official Video]


2018年に亡くなられた、スワンプロックのカリスマ、Tony Joe White。彼が残したホームデモに新たなバンドサウンドを加えた新作が今年5月にリリース予定。プロデュースはこちらもDan Auerbach 。こういった故人の音源リリースには賛否両論ありそうですが、この先行シングルはかなり良いんじゃないですか?Tony Joe Whiteの歌声が活きている!!






グラミー賞 ルーツ編

2021-03-18 22:16:29 | 余話
前回に続いて、グラミー賞の受賞結果あれこれ。今回はルーツ編です。

毎年、アメリカーナ、ブルース、フォークの辺りは個人的な激戦部門で、もう誰が受賞してもおかしくないほど傑作ぞろい。もちろん、受賞結果については一喜一憂ありますけども、流石に受賞した作品は昨年を代表する名盤と呼ぶにふさわしい作品ばかり。という訳で、ルーツ周辺部門の受賞作品を駆け足でご紹介。




BEST AMERICAN ROOTS PERFORMANCE
John Prine / I Remember Everything
Black Pumas / Colors
Bonny Light Horseman / Deep In Love
Brittany Howard / Short And Sweet
Norah Jones & Mavis Staples / I'll Be Gone

昨年4月7日に、新型コロナウイルスによる合併症のため亡くなられたジョン・プライン。ボブ・ディランやジョニー・キャッシュ、もしくはニール・ヤング辺りと並び賞されてもおかしくない、フォーク、カントリー、シンガーソングライターの偉人です。この「I Remember Everything」はジョン・プラインの最後のレコーディング曲と言われています。滋味あふれる優し気な歌声の奥底から、何とも言えない力強さを感じさせてくれる、味わい深い歌声は何度聞いても心に染みます。




BEST AMERICAN ROOTS SONG
John Prine / I Remember Everything
Lydia Rogers / Cabin
Sierra Hull / Ceiling To The Floor
Sarah Jarosz / Hometown
Lucinda Williams / Man Without A Soul

こちらもジョン・プラインの「I Remember Everything」が受賞。ジョン・プラインとパット・マクラフリンの共作。パット・マクラフリンはジョン・プラインのコラボレーターとして知られるのはもちろん、ソロ作も数枚リリースしているシンガーソングライター。近年はマーカス・キング、ラーキン・ポー 、Yolaの作品にクレジットされていたりもする人。




BEST AMERICANA ALBUM
Sarah Jarosz / World On The Ground
Courtney Marie Andrews / Old Flowers
Hiss Golden Messenger / Terms Of Surrender
Marcus King / El Dorado
Lucinda Williams / Good Souls Better Angels

サラ・ジャローズ!!通算4個目のグラミー賞。このアルバムは彼女の5枚目のスタジオアルバム。デビュー時はプログレッシヴ・ブルーグラス的な才気に溢れていた彼女でしたが、この作品は彼女のシンガーソングライター的な側面が実った、メロディメイカーとして、歌い手としての魅力を存分に感じさせてくれる一枚です。とは言え、彼女はギターの他、マンドリン、バンジョー、さらにブズーキまでを操り、そのマルチプレイヤーぶりは健在ですし、そういった楽器アンサンブルも聴きどころです。プロデューサーはこれまで数多のアーティストと仕事をしてきた匠John Leventhal。凛としていながらも人間味あふれるサラ・ジャローズの歌声を、楽器本来の音色が暖かく包み込むような素晴らしいサウンドです。




BEST BLUEGRASS ALBUM
Billy Strings / Home
Danny Barnes / Man On Fire
Thomm Jutz / To Live In Two Worlds, Vol. 1
Steep Canyon Rangers / North Carolina Songbook
(Various Artists) / The John Hartford Fiddle Tune Project, Vol. 1

ビリー・ストリングスは現28歳の若手グラッサー。デル・マッコーリーやサム・ブッシュ、ストリング・チーズ・インシデント、グリーンスカイ・ブルーグラス、マーカス・キング・バンド等々と共演を重ねている、その界隈でも注目の人。自主製作も含め数枚のアルバムをリリースしているようですが、チャート的にも本作「Home」が出世作と言えそう。現代ならではの洗練された、風通しの良いブルーグラスを颯爽と演じてくれている一方で、ハードロックからの影響をも感じさせるタフなプレイから、今後の展開が一層楽しみに感じられます。




BEST TRADITIONAL BLUES ALBUM
Bobby Rush / Rawer Than Raw
Frank Bey / All My Dues Are Paid
Don Bryant / You Make Me Feel
Robert Cray Band / That's What I Heard
Jimmy "Duck" Holmes / Cypress Grove

現役ブルースマンの中では、私のフェイヴァリットであるボビー・ラッシュ。チタリン・サーキットの王者と言われた、ルイジアナが誇る現87歳のベテラン・ブルースマンです。エレキ・バンドでファンキーなブルースをブイブイ言わせるのが彼の真骨頂ですが、今作はアコースティック・ブルース集。数曲のオリジナル曲と、スキップ・ジェイムス、ロバート・ジョンソン、ハウリン・ウルフなど偉人たちのカヴァーが納められています。それはアコギとハープと歌で語られるブルース。シンプルゆえにボビー・ラッシュの濃さがダイレクトに伝わってくる、南部臭横溢のブルース!タイトルの「Rawer Than Raw」のRawは”生(なま)”という意味ですから、生以上に生々しい、まさにそういう言葉がぴったり。実はボビー・ラッシュは2006年にもアコースティック作品をリリースしていまして、そのタイトルは「Raw」だったんです。なので今作はその「Raw」を超える続編、と言ったところでしょうか。




BEST CONTEMPORARY BLUES ALBUM
Fantastic Negrito / Have You Lost Your Mind Yet?
Ruthie Foster Big Band / Live At The Paramount
G. Love / The Juice
Bettye LaVette / Blackbirds
North Mississippi Allstars / Up And Rolling

マサチューセッツ州生まれの新感覚ブルースマン、ファンタスティック・ネグリート。これで2016年作「The Last Days of Oakland 」から3作続けてグラミー受賞となります。この人、2015年にNPRのタイニー・デスク・コンサートで注目され、同年にファンタスティック・ネグリートとしての初作をリリースして以来の破竹の勢いで、てっきり若手かと思っていたのですが、実は1968年生まれの苦労人。何度か生死の境をさまよったりもしたそうで、音楽から足を洗った時期もあったとか。そんなファンタスティック・ネグリート、デルタブルース的な野性味を現代的なミクスチャーセンスでファンキーに聞かせるのが彼流のブルース。この最新作はその手法にさらに磨きのかかった快作です。ちなみに、ほとんどの曲でリードギターを弾くのは、彼の右腕的存在の日本人ギタリスト、マサ小浜。




BEST FOLK ALBUM
Gillian Welch & David Rawlings / All The Good Times
Bonny Light Horseman / Bonny Light Horseman
Leonard Cohen / Thanks For The Dance
Laura Marling / Song For Our Daughter
The Secret Sisters / Saturn Return
フォーク界の女神ギリアン・ウェルチ。彼女はデビュー前からデヴィッド・ローリングスと共に活動していましたが、彼女のソロではなくデュオ名義でリリースされた作品はこの「All The Good Times」が初めて。アコギと歌が奏でる、その間も含めた空気間に、これまで培われた信頼関係による安心感とか、充実感のようなものが伝わってくるようで、その芳醇さにフォークミュージックの奥深さを感じさせられすにはいられません。




BEST REGIONAL ROOTS MUSIC ALBUM
New Orleans Nightcrawlers / Atmosphere
Black Lodge Singers / My Relatives "Nikso Kowaiks"
Cameron Dupuy And The Cajun Troubadours / Cameron Dupuy And The Cajun Troubadours
Nā Wai ʽEhā / Lovely Sunrise
Sweet Cecilia / A Tribute To Al Berard
”REGIONAL ROOTS”と言えば、ニューオーリンズ・ブラス・バンドですよ!今回はめでたくニューオーリンズ・ナイトクロウラーズが受賞しました!!こちらのバンドは、1990年代に結成されたバンドで、現在はジャケ写から察するに総勢9人のブラスバンド。とにかくパレードスタイルのリズムがご機嫌です。なにせバスドラムのCaytanio HingleとスネアドラムのKerry “Fatman” Hunter は、ニュー・バーズ・ブラス・バンドの創設メンバーでもありますし、スーザフォンのMatt PerrineはOFFBEAT誌のBest Tuba/Sousaphonistを何度も受賞している、ニューオーリンズを代表するスーザフォン奏者の一人。この3人が織り成すファンキーなグルーヴは家で聴いていても踊りだしたくなってしまうほど。最近のニューオーリンズ・ブラス・バンドは、ヒップホップやソウルを取り込む傾向が強く、それはそれで私も大好きなのですが、このニューオーリンズ・ナイトクロウラーズの「Atmosphere」は、トラディショナルなスタイルを継承しつつ、ポップな面もあり、いかにもニューオーリンズな感じで、嬉しくなります!




BEST ROOTS GOSPEL ALBUM
Fisk Jubilee Singers / Celebrating Fisk! (The 150th Anniversary Album)
Mark Bishop / Beautiful Day
The Crabb Family / 20/20
The Erwins / What Christmas Really Means
Ernie Haase & Signature Sound / Something Beautiful

フィスク・ジュビリー・シンガーズは黒人音楽の伝説ですね。結成はなんと1871年。ナッシュビルの歴史的な黒人大学、フィスク大学で結成されました。フィスク大学は南北戦争の終結により解放された黒人達のための学校として、1865年に設立されたそうですが、その運営資金はすぐに逼迫し、その資金集めとして学生達で結成されたのがフィスク・ジュビリー・シンガーズでした。彼らは全米を巡業し成功を納めるんですが、それと同時に黒人霊歌など黒人の音楽を白人に知らしめました。そんな歴史的グループです。そのフィスク・ジュビリー・シンガーズの結成150周年アルバムが「Celebrating Fisk! (The 150th Anniversary Album)」。こういう歴史的なグループが、150年も受け継がれているっていうのが凄いことですよね。本アルバムはライヴ録音で、ゲストにルビー・アマンフ、シーシー・ワイナンズ、ケブ・モ、フェアフィールド・フォーなどが招かれています。おそらく、メンバーたちは現在の学生達なんでしょうけれど、美しくも重厚なゴスペルを聴かせてくれます。

ちなみに、他のゴスペル部門では、『BEST GOSPEL ALBUM』をPJ モートンの「Gospel According To PJ」が、『BEST CONTEMPORARY CHRISTIAN MUSIC ALBUM』を、なんとカニエ・ウェストの「Jesus Is King」が受賞しています。ここ結構びっくりしましたよね?




BEST REGGAE ALBUM
Toots And The Maytals / Got To Be Tough
Buju Banton / Upside Down 2020
Skip Marley / Higher Place
Maxi Priest / It All Comes Back To Love
The Wailers / One World

昨年の9月11日、コロナウィルスの合併症のため亡くなられた、トゥーツ・ヒバート。彼が率いたトゥーツ・アンド・ザ・メイタルズは、ジャマイカの音楽のパイオニアのようなグループでした。なにせ彼らの曲「Do the Reggay」がレゲエというジャンルの語源になったと言われているほどですから。そんなトゥーツ・アンド・ザ・メイタルズの、もう何枚目かわかりませんけど、おそらく最後のアルバムであろう「Got To Be Tough」。彼らしい生命力に溢れた作品。参加ミュージシャンも豪華です。






いかがでしたか?惜しくも受賞を逃した作品のなかにも、個人的に語りたい作品は数多あるんですけどね。最近はグラミー賞にも昔ほどワクワクしなくなったのですが、こうやってブログに書いてみると、やはり面白いもんですね。今回は事前のノミネート特集を書かなかったので、それをちょっと悔やんでいる今日この頃。

グラミー賞 メインストリーム編

2021-03-16 12:58:42 | 余話
現地時間で3月14日、ロサンゼルスでグラミー賞の授賞式が開催されました。今年もWOWOWで生中継されましたが、私はまだ見れてないので、パフォーマンスやスピーチについては置いといて、とりあえず気になる受賞結果のあれこれを。

まず、私にとって最大の興味はビヨンセでした。なにせ9部門の最多ノミネートでしたからね。結果は『BEST R&B PERFORMANCE』など4部門を受賞。そして自身の通算受賞数が28となり、アリソン・クラウスの27回を抜いて女性アーティストとして歴代最多受賞者となったそうです。

これは凄いことです!授賞式でも祝福ムードだったそうですし、ホントめでたいことです。おめでとうございます!!

(ちなみに男性アーティストを含めると、ビヨンセの28回はクインシー・ジョーンズと並んで2位で、1位はクラシック指揮者のゲオルク・ショルティが持つ31回だそうです。)


さて、ですが喜んでばかりもいられないのです。このビヨンセの受賞数28の中で主要部門となると、実は2009年にSingle Ladies (Put a Ring on It)で『SONG OF THE YEAR』を受賞した一つだけなのです。たった一つだけですよ!? あの名盤「Lemonade」ですら主要部門には届かなかったのです。

今回はシングル「Black Parade」が主要部門のトップに位置する『RECORD OF THE YEAR』にノミネートされていました。この曲は、黒人奴隷解放宣言を記念する6月19日”JUNETEENTH”にサプライズリリースされた曲で、ジョージ・フロイドさんの死亡事件があった直後ということもあって、特別な意味を持つリリースとなった曲でした。ブラックパワーの高揚、黒人であるこのと誇り、ルーツへの愛、そんなポジティヴなヴァイヴに満ちた、とてもビヨンセらしいパワフルな曲です。

この「Black Parade」は楽曲そのもののインパクトはもちろん、時事的な話題性もあって、もし『RECORD OF THE YEAR』を受賞すれば、それは時代の象徴的に受け入れられ、保守的と言われるグラミー賞もそのイメージを修正することが出来るし、これは充分受賞を狙えるのでは、と私は期待していたのです。

ですが、今回もダメでした。時事的なメッセージがかえって敬遠されたのでしょうか?『RECORD OF THE YEAR』を受賞したのはビリー・アイリッシュの「Everything I Wanted」でした。

もちろんビリー・アイリッシュを悪く言うつもりは全くありません。私も「Everything I Wanted」は大好きですし。しかもビリー・アイリッシュは2年連続で『RECORD OF THE YEAR』受賞ですよね。これも凄いこと。ただこの「Everything I Wanted」は、グラミー賞を大量に受賞する様な成功に対して戸惑っているようにも聞こえる歌詞ですよね? 受賞スピーチでは「恥ずかしい」と言っていたそうですし。どうか成功のプレッシャーに押しつぶされるようなことが無いように、これからも彼女らしい活躍が出来るように願っています。


ちなみに「Black Parade」は『SONG OF THE YEAR』にもノミネートされていましたが、そちらはH.E.R.の「I Can't Breathe」が受賞しました。ああ、ビヨンセはホント、主要部門に縁がないというか何というか…。とは言え私はH.E.R.も大好きなので、こちらも気持ち的には微妙なところなんですけどね。H.E.R.にとっては通算4個目の受賞にして、初の主要部門受賞になりました。

『ALBUM OF THE YEAR』はテイラー・スウィフトの「Folklore」、『BEST NEW ARTIST』は女性ラッパーのメーガン・ザ・スタリオンが受賞。

テイラー・スウィフトの「Folklore」は良いアルバムですよね。私も大好きです。メーガン・ザ・スタリオンはビヨンセをフィーチャーした「Savage」で『BEST RAP PERFORMANCE』と『BEST RAP SONG』も受賞しています。

ついでに話をビヨンセに戻しますが、ビヨンセが今回受賞した4つのうち2つはこの「Savage」なわけです。残り2つのうち1つは「Black Parade」の『BEST R&B PERFORMANCE』で、もう1つは「Brown Skin Girl」が『BEST MUSIC VIDEO』を受賞しています。この「Brown Skin Girl」は、映画『ライオン・キング』へのインスパイアード・アルバム「The Lion King: The Gift」に収録されていた曲で、実はこの曲、ビヨンセとジェイZの第一子、ブルー・アイビーちゃんもソングライティングとボーカルで参加しているんです。なので彼女も栄えあるグラミー初受賞を果たしたことになります。

さて、主要部門とビヨンセについてはこのぐらいにして、気になるところをいくつか。


まず『BEST ROCK ALBUM』は、ザ・ストロークスの「The New Abnormal」。これは嬉しいですね!!これがザ・ストロークスにとってグラミー初受賞。っていうかノミネート自体も初めてだったようですね…。

『BEST ROCK SONG』はブリタニー・ハワードの「Stay High」、そしてROCKとの線引きがいまいちよくわからない『BEST ALTERNATIVE MUSIC ALBUM』は、フィオナ・アップルの「Fetch The Bolt Cutters」。このあたりも嬉しいですね。フィオナ・アップルは「Shameika」で『BEST ROCK PERFORMANCE』も受賞しています。

R&B界隈では、『BEST TRADITIONAL R&B PERFORMANCE』をレディシの「Anything For You」、そして『BEST R&B SONG』をロバート・グラスパー、H.E.R.、ミシェル・ンデゲオチェロによる「Better Than I Imagined」、『BEST R&B ALBUM』をジョン・レジェンドの「Bigger Love」がそれぞれ受賞。レディシの「Anything For You」は本当に素晴らしい歌唱!!ロバート・グラスパーの「Better Than I Imagined」はビヨンセの「Black Parade」を抑えての受賞。あと「Bigger Love」はゲイリー・クラーク・Jr.が1曲ギター弾いていて、それがすごく良いんですよね~。

そして私が最も注目していたのが『BEST PROGRESSIVE R&B ALBUM』という部門。これ、昨年までは『Best Urban Contemporary Album』だった部門で、どうやら今回から” PROGRESSIVE”に変更になったよう。サンダーキャット、ジェネイ・アイコ、クロイ&ハリー 、フリー・ナショナルズ、ロバート・グラスパーと、流石の面々がノミネートされていましたが、最もプログレッシヴなサンダーキャットの「It Is What It Is」が受賞しました!!

サンダーキャットは今年の1月から延期になっていた来日公演の振替日も、6月~7月に開催と発表になったばかりですからね、来日が実現すれば、グラミー受賞で弾みがついて盛り上がりそうですね!


あともう一つ、RAP部門で気になったのが『BEST MELODIC RAP PERFORMANCE』です。”MELODIC RAP”というジャンルがあるんですね。こちらはこれまで”BEST RAP/SUNG”と呼ばれていた部門のようで、今回から”MELODIC RAP”に変わったようです。ジャンル越境が当たり前になった今、部門のネーミングも難しいですね。さて、こちらの部門、今回はアンダーソン・パークの「Lockdown」が受賞しました。

アンダーソン・パークは今、ブルーノ・マーズとのシルク・ソニックが大変な話題になっていますね。グラミー賞授賞式では事前収録ではあったものの、シルク・ソニックとしての初パフォーマンスを披露したそうです。先行シングル曲と、リトル・リチャードのトリビュートをやったとか。あ~、早く授賞式を観たい!!(録画はしているので、そのうちゆっくり堪能します。)


さて、次回はいよいよルーツ周辺の受賞結果につきまして、個人的な趣味丸出しで語りますのでこうご期待!!


2021年2月 My Best Song

2021-03-06 21:46:39 | 余話
2021年2月にシングルリリースされた曲の中から、「ルーツな日記」が選んだ10曲です。





Marina Allen - Oh, Louise (Official Video)


LAを拠点にするフォークシンガー、Marina Allen。6月4日リリース予定のデビューアルバム「Candlepower」からの先行シングル。70年代のSSW的フィーリングに溢れ、3分の中で移ろいゆく雰囲気に聴き惚れてしまう。



Joy Oladokun - jordan (Lyric Video)

昨年リリースされた「I See America」という曲を聴いて大好きになった黒人フォーク・シンガー、Joy Oladokun。米アリゾナ出身。シンプルな楽曲と真摯な歌声に心を打たれます。



Skullcrusher - Song For Nick Drake (Official Video)

LAを拠点に活動するシンガーソングライター、Skullcrusher。昨年デビューしたばかりの彼女が、ニック・ドレイクの音楽と自身の関係について歌ったというニューシングル「Song For Nick Drake」。



H.E.R. - Fight For You (From the Original Motion Picture "Judas and the Black Messiah" ...


H.E.R. が歌う映画「Judas and the Black Messiah」の主題歌。文句なしに格好良い!



Tashaki Miyaki- "Castaway" OFFICIAL VIDEO


LAを拠点に活動するドリームポップ・バンド Tashaki Miyaki。4月23日リリース予定のニューアルバム「Castaway」からのシングル曲。60年代のフィル・スペクター辺りを思わせるポップなメロディーを、うっとりするほどドリーミーに仕上げています。




Leon Bridges, Keite Young - Like a Ship (Official Audio)


Leon BridgesのニューシングルはT. L. Barrettのゴスペル曲のカヴァー。共演のKeite Youngはテキサス出身、2007年にアルバム・デビューしているR&Bシンガー。



Ryley Walker / Rang Dizzy


シカゴ出身の鬼才ギタリスト、Ryley Walkerによる、来る新作からの先行シングル。米のルーツミュージックと実験音楽は背中合わせ。プロデュースはTortoiseのJohn McEntire。




Blackberry Smoke - You Hear Georgia (Official Music Video)


アトランタのサザンロック・バンド、Blackberry Smokeのニューシングル。イントロのギターからサザンロックど真ん中で惚れ惚れします。5月28日に7枚目のスタジオ作がリリース予定。



Amythyst Kiah​​​ - Black Myself (Official Lyric Video)


黒人フォークシンガーのAmythyst Kiah 。Rhiannon GiddensやLeyla McCalla達とSongs of Our Native Daughtersというグループもやってる人ですが、彼女のニューシングルが、完全にブルースロック化してて素敵!




Black Pumas - Strangers (feat. Lucius) (The Kinks Cover)


グラミー賞で昨年の『BEST NEW ARTIST』ノミネートに続き、今年は『RECORD OF THE YEAR』、『ALBUM OF THE YEAR』を含む3部門にノミネートと、飛ぶ鳥落とす勢いの Black Pumas。彼らがLuciusと共にThe Kinksの名曲をカヴァー。この曲はドキュメンタリー『Life in a Day』のトレイラーに使用されてるそう。ちなみにLuciusはインディー・ポップ界隈のグループですが、最新作となる2018年の「Nudes」はフォーク寄りでしたし、Grace Potterの2019年作「Dylight」でもフィーチャーされたりと、要注目です。




2021年1月 My Best Song

2021-03-06 19:20:25 | 余話
2021年1月にシングルリリースされた曲の中から、「ルーツな日記」が選んだベスト10曲です。



Priscilla Ahn / You Make The World A Better Place

ペンシルベニア州出身の才色兼備、Priscilla AhnによるBenji Hughesのカヴァー。



Arlo Parks / Hope


デビューアルバムのリリース前から大きな注目を集めていたサウスロンドン出身のシンガー。1月にリリースされた1st作「Collapsed In Sunbeams」からのシングル曲。



Cassandra Jenkins / Hard Drive


米NYのSSW、Cassandra Jenkins。彼女のセカンド作「An Overview On Phenomenal Nature」からの先行シングル曲。




Cha Wa / My People


ニューオーリンズのマルディグラ・インディアン・バンド、Cha Wa。4月2日リリース予定のニューアルバムからのタイトル曲。



Lake Street Dive / Nobody's Stopping You Now


ボストンで結成された、カントリー、ブルーアイドソウル、フォーク、様々なジャンルを横断する魅力的なバンド。3月12日リリース予定のニューアルバムからのシングル曲。



Jimbo Mathus , Andrew Bird / Sweet Oblivion


スイング・リヴァイヴァル・バンド、Squirrel Nut Zippersでの活躍で知られるJimbo Mathus と、Andrew Birdによる3月5日リリースのニューアルバムからのシングル曲。



Hailey Whitters / Glad To Be Here (feat. Brent Cobb)


アイオワ出身のカントリー・シンガー、Hailey Whittersが、アウトローな雰囲気を持つBrent Cobbをフィーチャーしたシングル。



Valerie June / Call Me A Fool [feat. Carla Thomas]


Valerie Juneによる3月12日リリース予定のニューアルバムからの先行シングル。フィーチャリングはスタックス、メンフィスソウルの伝説的歌姫Carla Thomas!!



John Smith / Eye To Eye (feat. Sarah Jarosz)


英エセックス出身のフォークシンガー、John Smithが、米ブルーグラス、フォーク・シーンの才女Sarah Jaroszとコラボ。3月26日にはニューアルバムもリリース予定。

謹賀新年

2021-01-01 12:43:49 | 余話
明けましておめでとうございます。

昨年はコロナの猛威で、大変な一年でした。
今年は良い方向へ向かうよう、願っています。
それには、私たち一人一人が頑張らなければいけませんね。

さて、昨年、当ブログを訪れて頂いた皆様、本当にありがとうございました。
日に日に更新頻度が落ちていく傾向にありますが、まだまだ書きますよ!

だいたい、ブログは家で書けるんですから、こういうご時世にもってこいなんですよね。

という訳で、当ブログをご贔屓にしてくださっている、心優しき方々、今年も宜しくお願い致します。


2020年 年間ベスト・アルバム 30選

2020-12-29 18:22:11 | 余話
1位 Maria Mckee / La Vita Nuova
SSW
2020年は辛い1年でした。そんな中、私が最も聴き、最も感銘を受けたのがこのマリア・マッキーの最新作「La Vita Nuova」。新録としては実に13年ぶりのソロ作。私はローン・ジャスティスの頃からマリア・マッキーの大ファンですが、前作「Late December」があまり好きになれず、待ちに待った今新作もゴシック調との噂があったりで、正直それほど期待していなかったのです。ところが、これが良いんですよ!確かにアメリカーナではありません。でもゴシックでもない。その中間といったところでしょうか。とにかく、年を重ねても瑞々しい彼女の歌唱に、マリア・マッキー以外ありえないその歌声に、ただただ身も心も奪われました。そしてまたメランコリックなメロディに溢れる楽曲が良いんです。彼女のソロキャリアの中でも最高傑作に数えられると断言できる素晴らしい一枚。





2位 Lianne La Havas / Lianne La Havas
R&B
UKソウルの才女による自身の名を冠した3作目。ブラックフィーリング溢れる繊細かつ豊かな歌声に痺れます。間違いなくモダン・ジャジー・ソウルの傑作。




3位 Logan Ledger / Logan Ledger
Country
カリフォルニア出身のカントリー・シンガー、ローガン・レジャー のデビュー・アルバム。Tボーン・バーネットのプロデュース。




4位 Shabaka & The Ancestors / We Are Sent Here By History
JAZZ
UK新世代ジャズ・シーンの旗手シャバカ・ハッチングスによるアフロ・プロジェクトの2作目。スペイシー且スピリチュアルでトリップ必至の危険盤。




5位 The Northern Bell / We Writher, We Bloom
Americana, Pop
カントリースタイルの楽器編成を持つノルウェーのバンドによる会心作。心が躍るようなグッド・メロディが詰まっています。北欧らしい透明感と、ドリーミーな歌声が嫌なことすべてを忘れさせてくれるよう。




6位 Chloe×Halle / Ungoldy Haour
R&B
アトランタ生まれの姉妹による新感覚のR&Bデュオ。2作目にして早くも艶めかしさを増しつつ、ハーモニーとリズムの妙が相まって異次元の魅力に。




7位 Jonathan Wilson / Dixie Blur
SSW, Americana
ファーザー・ジョン・ミスティのコラボレータ―としても知られるジョナサン・ウィルソンによるソロ4作目のフル・アルバム。独特のサイケデリアにカントリーテイスト。




8位 Brother Theotis Taylor / Brother Theotis Taylor
Gospel
92歳の知られざるスピリチュアル・シンガー。ジョージア州フィッツジェラルドの自宅で録りためた録音集。ピアノ、ギターの弾き語りによるその歌声は、優しくも気高く、生活に根付いた生の音楽を伝えてくれる。




9位 Sam Amidon / Sam Amidon
Fork, Americana
USネオ・フォーク・シンガー、サム・アミドンによる新作。トラディショナルを中心に新たな命を吹き込んだ、彼ならではの世界観が広がる逸品。妻ベス・オートンも参加。




10位 The Secret Sisters / Saturn Return
Americana
マッスル・ショールズ出身の姉妹による4作目。南部の香り立つ極上の楽曲に、極上のハーモニー。




11位 Bobby Rush / Rawer Than Raw
Blues
ルイジアナ出身の現87歳、まさに生きる伝説、ボビー・ラッシュ。今作はカントリー・スタイルのブルース。とは言え’枯れ’とは無縁の濃密なブルース臭をまき散らす。そしてジワジワとファンクを感じさせる。




12位 Rufus Wainwright / Unfollow the Rules
SSW
オペラ的な作品が続いたルーファス・ウェインライトが、久しぶりにポップ・シンガーとしての姿を刻んでくれた最新作。




13位 The Jayhawks / Xoxo
Rock
80年代から活躍するオルタナ・カントリー・バンド、ザ・ジェイホークスによる通算11枚目になるスタジオ作。




14位 Sarah Jarosz / World On The Ground
Country, SSW
I'm With Her での活動も知られるブルーグラスの才女による、5作目のソロ・アルバム。これまでに培ったSSW的な側面が実った快作。




15位 Moses Boyd / Dark Matter
Jazz
新世代UKジャズのビート・マスター、モーゼス・ボイドによる最新ソロ作。ビートを含めカオスな音像の中にもソウルフルなフィーリングが滲む刺激的な一枚。




16位 Sonny Landreth / Blacktop Run
Blues
現行スライド・ギターの巨人による5年ぶりのスタジオ作。冒頭3曲のルイジアナ・グルーヴにノックアウト!!




17位 渥美幸裕 / 花鳥風月
邦楽, Jazz
ギタリスト渥美幸裕による、新しい日本の音楽。伝統的な尺八、三味線、箏とギターの織り成す世界。邦楽ってこんなに格好良かったのか!?と目から鱗の作品。




18位 Khruangbin / Mordechai
Funk
テキサス産スリーピース・バンド、クルアンビンの3作目。レトロなオリエント・ムードが醸す異国ファンク。歌を入れてポップになるかと思いきや、よりミステリアスな境地へと旅立っている。




19位 Yazmin Lacey / Morning Matters
R&B
UKのネオソウル系シンガー、ヤスミン・レイシー。ジャジーな揺れと、浮遊感漂うソウルフィーリング。フル・アルバムが待たれますが、まだEPで我慢です。




20位 Watkins Family Hour / Brother Sister
Country
4年前の1st作は、フィオナ・アップルまで参加したバンド編成でしたが、2作目となる今作は、シンプルにSara&Seanのワトキンス兄弟によるデュオ作品。




Swamp Rock, Soul
21位 Dan Penn / Living on Mercy
サザン・ソウル、スワンプ・ロックの伝説、ダン・ペンによる26年ぶりの新録ソロアルバム。ナッシュヴィル&マッスルショールズ録音による滋味あふれる南部フィーリング。




22位 Jhené Aiko / Chilombo
R&B
祖父から日本の地を引くR&Bシンガー、ジェネイ・アイコによる3作目。ゲストも豪華ながら、彼女の真摯な歌声が魅力的。




23位 The Wood Brothers / Kingdom In My Mind
Blues, Rock
Medeski Martin & Wood のクリス・ウッド率いるウッド・ブラザーズによる8枚目。




24位 Kamasi Wahington / Becoming
Jazz
NETFLIXオリジナルによる、ミシェル・オバマのドキュメンタリー映画。そのサントラを手掛けるのはカマシ・ワシントン。メロウな小品が並ぶ、暖かくも美しい作品。




25位 Lucinda williams / Good Souls Better Angels
SSW, Americana
アメリカーナのベテランが、60代後半にしてパンキッシュなほど力強く歌う一枚。この痛快さたるや!!




26位 Katie Pruitt / Expectations
SSW, Country
アトランタ出身、ナッシュビルをベースに活動しているというケイティー・プルーイットのデビュー作。麗しの歌声が響く。




27位 Philip Sayce / Spirit Rising
Blues, Rock
カナダ、トロント出身のギタリストによる最新作。痛快この上ないブルース・ロック。




28位 Robert Cray Band / That's What I Heard
Blues
ベテラン・ブルースマン、ロバート・クレイの2年振り新作。脂の乗り切ったブルースの数々にニヤニヤが止まりません。




29位 Alicia Keys / Alicia
R&B
アリシア・キーズ通算7作目のスタジオ作。サンファ、ミゲル、カリード、ジル・スコットなど、豪華なゲストを招きつつ、とても聴きやすい作品に仕上がっています。バラード「Good Job」は名曲。




30位 Ben Harper / Winter Is for Lovers
instrumental
ブルース・ロック、ジャム・バンドの雄ベン・ハーパーによる、彼が愛するラップ・スティール・ギターだけで録音された作品。




いかがでしたか?ルーツな日記の年間ベストアルバム。例によって趣味と気分で選んだ30枚ですが、楽しんでいただけたら幸いです。色々と大変な毎日ですが、皆様が、どうか楽しい音楽ライフを送れますように。

という訳で、来年も宜しくお願い致します。

近況報告

2020-11-26 18:08:05 | 余話
随分と長い間、放置してしまいましてすみません。

コロナの猛威がまた増してきている今日この頃ですが、私は何とか元気にしています。

ま、ブログの更新にムラがあるのはいつものことなので、ご容赦ください。


さて、グラミー賞のノミネートも発表されたことですし、そろそろブログ復帰をしようかと思ったり。

なにせ、ビヨンセが最多の9部門でノミネートですからね。俄然やる気出てきましたよ!!


という訳で、また鋭意、執筆するかも、しないかも…。

そんな感じですので、よろしくお願いいたします。