ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

ビヨンセ@埼玉スーパー・アリーナ 2Days その3

2009-10-27 08:44:11 | R&B、HIPHOP
ビヨンセの埼玉スーパーアリーナ公演レポートの最終回です。

Bステージでのビヨンセはギンギラギンのミニスカート。ビヨンセはギラギラが良く似合うんです! で、感動の「Irreplaceable」の後は、「Check On It」をチラッとやって「Edge Of Seventeen」のギターリフが、もちろん「Bootylicious」です。待ってましたのデスチャ・メドレー。狭いステージにダンサー達が合流し華やかさを増します。17日のスタンディングエリアでは私の周りで一緒に歌っている女の子が結構居ましたし、18日のVIPエリアではビヨンセの真似をしながら踊ってキャーキャー騒いでる娘達がいたりで、いい雰囲気で盛り上がってました。みんなデスチャが好きなんですね~。「Bug A Boo」とか「Jumpin' Jumpin」とかやったかな。で、切れ目無く「Upgrade U」に続く。もうデスチャもソロも関係ない感じのメドレー攻勢でした。

そして「Video Phone」。この曲はダンスのみでビヨンセは歌ってなかったような…。ダンサーの一人がハンディのカメラを持っていてその臨場感溢れる映像をスクリーンに映してたようですね。Bステージ最後は再びデスチャ・ナンバー。18日は観客の男性に日本語で「ナマエハ?」「ワタシノナマエハ?」と聞いても「ユウキ!!」と自分の名前を答えられてしまい苦戦していましたが、何度目かでやっと「ビヨンセー!」と叫んでもらって「Say My Name」がスタート! このビヨンセの手こずってる感とたどたどしい日本語になんか親近感が沸きましたね。そして曲が始まるや否や節をつけて「ユウキ~、ユウキ~、ユウキ~」と何度も連呼するサービス振りでした。そして本ステージに帰還。

ダンサー達によるデスチャ曲を中心にしたダンス・タイムの後、ゴージャスなドレスに着替えたビヨンセが登場。歌うは映画「キャデラックレコード」から「At Last」。ここでぐっと大人な雰囲気になる。ゆったりとした極上の歌声でした。そして「Listen」。最初の部分をショートカットしていきなりサビへいくパターンですが、個人的にこのヴァージョンはどうしても違和感を感じるんですよね…。前半は「At Last」の雰囲気を引き継いだおおらかな感じでしたが、後半に入って徐々に気合いが増していきグイグイ引き込まれていきます。ステージ終盤になっても衰え知らずな脅威の喉です。高音部分もほとんどカットすることなく、ビヨンセならではのドラマチック且つ感動的な歌声でした。この曲を間近にビヨンセの表情を観ながら聴けた私は幸せ者です。

そしていよいよクライマックス。Bステージで惜しげも無く「Irreplaceable」をやれたのも、ちゃんと新作からの切り札があるからなのです。そうです、「Singles Ladies」です。スクリーンには素人さん達があのPVのビヨンセの踊りを真似た映像が次から次へと流れます。その中にはオバマ大統領やジャスティン・ティンバーレイクまで混じっている。サマソニ含めて3回観ましたけど、ジャスティンが出てくる瞬間はいつも盛り上がりますね。そして2人のダンサーを従えPVのレオタードを豪華にしたような衣装でビヨンセが登場。そしてあの踊りを踊りながら歌うんです! あたりまえですけど、本物による生「Singles Ladies」です! これが異様に格好良い! 歌もダンスもハネまくるリズムも最高です。観客も一体になって盛り上がる、ライヴ会場という特異な磁場を最大限に引き出した高揚感。さらに後半は観客とのコール&レスポンスで盛り上がる。頭の中では「オッオッオー」がぐるぐる回る。ビヨンセは東京にちなんで「トキオッオッオー」と歌ってる。そして盛り上がりも最高潮のなか、パッと終わってしまう。会場は真っ暗。サマソニではこれが最後の曲でした。え~、もう終わりと思っていると、本当に最後の曲「Halo」が始まる。

この曲は最新作の中でも印象に残っている曲ではありますが、比較的スローな曲ですし、まさかライヴの最後の曲としてこんなにも映える曲だとは思っていませんでした。パーティ気分全快な「Singles Ladies」とはまた違う、もっと根源的なエネルギーが会場を包み込みます。そしてビヨンセはステージを降り、観客席の前をゆっくり歩き始めます。VIP席最前列に居た私はもうドキドキですよ。ビヨンセがもうすぐそこまで来てるんです! 4、5人となりの人達と握手してるんです! と思ったら急に歩みを早めて私の前をサッと通り過ぎ、また私の4、5人先の人と握手し始める…。え~?なんで?

でも良いんです。贅沢は言いません。ビヨンセと握手出来なくてもこんなに素晴らしいライヴを最前列で観れたのですから。ビヨンセがステージに戻るとマイケル・ジャクソンの姿がスクリーンに映し出される。ビヨンセが情感たっぷりに「Forever Young」の一節を歌う。80年代に活躍したドイツのバンド、ALPHAVILLlのヒット曲ですが、ジェイZが自身の最新作で「Young Forever」として拝借している曲ですね。そしてもう一度「Halo」にもどる。最後は膝を付きながら、これが最後と言わんばかりの圧倒的な声と驚異的な筋回しで高らかに、そしてディープに歌い上げる。痺れました。そして客席に向かって「今日、誕生日の人はいない?」みたいなことを聞いて、“ハッピー・バースデイ”を歌う。最後は女性のコンサートらしく幸せな気分で終わります。バックの演奏に合わせて楽しげに踊るビヨンセをカーテンが隠し、夢のようなコンサートもついに終了。アンコールは無し。ま、ビヨンセのライヴは東京ドームの時もサマソニもアンコールはありませんでしたからね。


それにしても約2時間、最強ビヨンセの魅力をたっぷりと見せつけられました。惚れ直しましたね。もちろんステージ構成も見事でした。別にはっきりとしたストーリーがあるわけではないのですが、バラードセクションやダンスセクションなど、静と動のコントラストや、素のビヨンセとステージ上でのサーシャという二重人格のイメージが、ショー全体を立体的に見せてくれましたね。そして巨大スクリーンやBステージもインパクトありました。新作からの曲中心のセットリストも流石という他ありません。でもやっぱり、なによりもビヨンセそのものの凄みにやられました。彼女のパフォーマンスを間近に観て、ビヨンセというシンガーの全盛期を体験出来たということに、この上ない幸せを感じました。

ちなみに個人的なハイライトは、「Crazy In Love」、「Ave Maria」、「Irreplaceable」、「Singles Ladies」です。


*上写真はVIP席に付いて来るおまけグッズが入ったバッグです。私のは金色ですが、赤とか数種類の色があったようです。ま、どれも派手目な色合いでした。そして中身は下の写真です。


光る棒と、首から提げるカードと、マグです。光る棒には、赤、青、白の3色があったようです。コンサートの間中、VIP席の人達はみんなこれを振る訳です。なかなか壮観でしたよ。カードやマグにもヴァージョン違いがあるのかどうかは分かりません…。

ビヨンセ@埼玉スーパー・アリーナ 2Days その2

2009-10-24 17:12:32 | R&B、HIPHOP
ビヨンセのライブレポート続き(パート2)です。

いや~「If I Were A Boy」から「You Oughta Know」の気合いの入りっぷりは凄まじかった。ああいうビヨンセには本当に痺れます!!やっぱり声がね~。声量やその艶はもちろんなのですが、発声の勢いと言うか、空間への突き抜け具合が半端無いんですよ! もちろんリズムに対してのキレも抜群ですし。そして何より濃い!肉体も表情も含めて色んな意味で。そしてステージは中盤へ向け、そんな“濃い”ビヨンセ・ワールドの奥地へと進んでいきます。今日はそんな中盤戦をレポート。

さて、今回のツアーでは、衣装やステージ・セットをフランスの巨匠デザイナー、ティエリー・ミュグレーが手がけていることが話題になっていますね。巨匠と言われてもファッションに全く興味のない私には初めて耳にする名前でしたが、そんなファッション音痴な私にも楽しめる流石な衣装の数々でした。ステージ衣装としての派手な存在感を振りまきながらも、あくまでもビヨンセの美しくも迫力満点の肉体を魅せてくれる、そんな衣装達でした。ステージセットはもっと派手なものかと思っていたのですが、いたってシンプルでしたね。その分、背後の巨大スクリーンの存在感が凄まじい。バンド・メンバーのひな壇や、ビヨンセが登場する中央の階段なんかもそのスクリーンを邪魔しないような透明っぽい素材で作られているようで、そのコンセプトにはシャープに洗練されたイメージを感じさせられましたね。あくまでもビヨンセを中心にしたの歌とダンスと肉体美で魅せるステージ。そんな感じでした。そしてスクリーンは歌っているビヨンセの姿を大映しにするだけではなく、ビヨンセの衣装チェンジによるコンセプトの変化などをイメージ・ビデオによって映し出していきます。

中盤にさしかかったビヨンセのステージ。この辺りから、私の記憶の中のセットリストがかなり曖昧になってきます。しっかり歌ってくれる曲の合間に、イメージ・ビデオだけの曲や、ダンサーが踊るだけの曲、メドレーになっている曲、イントロしか聴かせない曲など、様々な断片が入り込んできます。クリスタル・カイザーのCMでお馴染みの「Sweet Dreams」はビデオのみでしたね。そのビデオ後に登場したビヨンセはジャガー&サイボーグみたいな、常人には意味がよく分からない衣装でしたが、流石にビヨンセは常人じゃ無いので良く似合うんです! 格好良い!意味は分からなくても説得力はあるみたいな。分かってもらえますか?この感じ。

「Diva」、「Radio」と新作からのダンス・ナンバーが続きます。特にちょっとレトロ・ディスコな「Radio」には上がりましたね~。ビヨンセを中心にダンサー達がトライアングルを組むダンスが格好良かったです。で、この曲の直前にはスクリーンに子供時代の幼いビヨンセの映像が流されて盛り上がりましたね。あと「Ego」もやったかな? 「Hello」もやりましたね。もう新作からのオン・パレードな感じですが、この辺りがビヨンセの強いところですよね。

そしてバンド・メンバーの紹介もありました。何故か全員ではありませんでしたが…。そんななかベーシストは結構長いソロを弾きまして、ベースを背中に持ち上げて後ろ引きでマイケル・ジャクソンの「Billie Jean」なんかを弾いたり。でも一番目立ってたのは日本人キーボーディストのリエさんでしょう! ここに日本人の方がいるというのは嬉しいやら、誇らしいやら、羨ましいやら、って感じでなんかドキドキしましたね。ここのソロではエレガント且つバカテクな演奏で沸かしてくれましたが、個人的には何処かのスロー・ナンバーでビヨンセと彼女の鍵盤のみになった時、ビヨンセの自由自在なタメにぴったりと付いて来る心地よいプレイが印象的でした。あとはやっぱり三人の重量級女性コーラス隊ですかね。彼女達がステージ中央に並ぶと、ビヨンセとはまた違う迫力があります。素晴らしいコーラス・ワークでダイアナ・ロスの「Love Hangeover」をどっぷりと聴かせてくれました。

スクリーンにはビヨンセがコインを持っている映像。そのコインにはビヨンセの顔が掘られている。そしてそのコインを投げると、その裏側にはビヨンセの別人格サーシャの顔が…。そのコインを受け取るサーシャ。ビヨンセとサーシャが向かい合わせになる。そんなビデオによってサーシャの存在を匂わせつついよいよBステージへ。アリーナ席の中央近くに設けられたもう一つの小さなステージです。今回のステージ演出で巨大スクリーンと並ぶ大仕掛けがこのBステージ。「Baby Boy」を歌いながら中央の花道をゆっくり歩いていくビヨンセ。ちなみに海外ではここで空を飛んで回転なんかしながら空中散歩よろしくBステージに向かうと言うアクロバティックな大技が用意されたりもしていたようですが、残念ながら埼玉では飛びませんでした。でも花道近くにいた人達にとってはビヨンセが間近を通る訳ですからこっちの方が良かったかも。ここでVIPエリアは阿鼻叫喚の大騒ぎですよ。

私の場合、Bステージというとローリング・ストーンズを思い出すんですが、ストーンズの場合はファン・サービスっぽいレアな曲や、ライヴ映えするバンドっぽい曲が選曲され、いかにも“B”な感じなんですが、ビヨンセはここに大ヒット曲「Irreplaceable 」を持って来る。サマソニで初めてこのBステージでのビヨンセを観た時、まさかの「Irreplaceable」に驚かされました。だってこの曲ハイライトじゃないですか?! Bステージですよ? 小さなステージにはビヨンセ一人しかいない。まるで周りの観客に語りかけるように歌う。その時の笑顔がビヨンセの優しい人柄を物語るようで素敵なんですよ。そしてBステージならではの親密感とこの曲のもつポジティヴなヴァイヴが極上に溶け合います。私はサマソニで本ステージの近くに陣取ったため、Bステージは後ろから見ることになってしまいました。なので今回の単独公演では、18日のVIP席の他、この「Irreplaceable」を正面から観たいがために17日のスタンディング・エリアも買ったのでした。

17日はスタンディング・エリアでぎゅうぎゅうになりながら“To the left, to the left”って歌いましたよ。感無量でしたね。もちろん18日も歌いましたよ。Bステージを後ろから見ると、まるで観客の海の中にビヨンセが浮いてるように見えるんです。さらにビヨンセの向こうには広大なスタンド席がぐるりと取り囲んでる。この壮観なスケール感が堪らないんです! しかもビヨンセはキラキラ輝いてるし。名曲だし。そしてこの曲は最後のタメが良いんです!ライヴならではのタメが! なんかタメにタメる感じで。感動的でした。ちょっと不覚にも目頭が熱くなっちゃいましたね~。

まだまだ興奮のBステージは続くのですが、今日はこの辺で。次回に続く。


上の写真は本ステージ最前列からBステージのビヨンセを撮った写真。今回はプロ仕様の機材の持ち込みは禁止でしたが、それ以外の写真撮影はOKだったみたいです。なのでみんなバシャバシャ撮ってましたね。でも私は写真に集中するのがいやなので、最前列で観た本ステージの写真は撮りませんでした。っていうか気持ちにそんな余裕は無かったのです。でもBステージは遠いいので、落ち着いて数枚チャレンジしましたが、このようなものしか撮れませんでした。ま、撮影OKだからと言ってブログにあげて良いのかどうかは分かりませんが、これだけピンボケなら問題ないかな?みたいな…。


ビヨンセ@埼玉スーパー・アリーナ 2Days その1

2009-10-21 10:28:33 | R&B、HIPHOP
10月17日、18日の2夜、埼玉スーパーアリーナにてビヨンセのライヴを観てまいりました! 17日はアリーナ後方のスタンディング・エリアから、18日はアリーナVIP席の最前列と言う夢のような席からの生ビヨンセでした。本来なら2日間それぞれのレポートを書きたいのですが、両日とも内容は最高でしたし、曲目等もほとんど変わってないと思われるので、今回は日本ツアー最終日の18日を中心にお届けいたします。

私の席はVIPエリアのEブロック最前列でした。どちらかというと端に近い席でしたが、開演と同時に最前列の人のみは前方柵前のエリアを自由に移動して良い(開演までは着席)と言う謎のルールでしたので、開演(つまり客電が落ちる)と同時に中央柵前にドドーっと人が押し寄せる感じで、私も無事に柵前(ステージ向かって右側辺り)をゲットし被りつきでビヨンセを拝むことが出来ました。

ステージ上のカーテンが開きビヨンセが登場! もう立ってるだけでオーラ出しまくり。階段を降りて一声歌う。声量たっぷりで、艶やかに伸びながらもやたらキレのある歌声が会場中に響き渡る。もうここで鳥肌立ちまくり。サマソニの時は気が動転しててここで何を歌っているのか意識の外で、後になって「Deja Vu」だったと知り、え?そうだったの?と半信半疑だったのですが、たしかに「Deja Vu」でした。ゆっくりとしたテンポで「Deja Vu」の一節をまるで挨拶代わりのように歌い、突然「Crazy In Love」が始まります!

ステージ前方をダンサーと共に動き回りながら歌うビヨンセ! 近い! 眩しい! 声にも表情にも気合いが漲っています。そして力強くしなやかな肉体美に目が釘付けです。バックには既にお馴染みにの女性バンドが、さらにその後ろには巨大なスクリーンがいくつものライトを派手に映し出しています。このスクリーンがやたらデカくて脅威的に鮮明なんです。私はこれをサマソニで初めて見たとき、映し出された巨大なライトは、てっきり本物かと思ってました。ステージ後方に本物の巨大なライトが積み上げられているのだと、そういうステージセットなのだと…。ですがある瞬間にそのライトがビヨンセのドアップに変わるのです! ぶったまげました。恐ろしくハイヴィジョンなビヨンセの映像に何かサイヴァーなエフェクトが掛かっていて格好良いんですよ!! このスクリーンにビヨンセが映し出される瞬間、客席から歓喜と驚きのどよめきが巻き起こるのですが、分かっていても快感なんですよね~。「Crazy In Love」は中盤にホーン・セクションをフューチャーしたJB風なファンキーな展開を挟み、終盤は紙吹雪がブワブワと吹き荒れるなか、ビヨンセは天にも舞い上がるがごとく驚異的にこぶしを回し、「ハ!」だの「ボン!ボン!」だの気合いのかけ声でリズムを鼓舞する。とにかく凄い声です! 声の持つ瑞々しい躍動感が半端無い! もう、これが1曲目ですか?っていう異様なテンション。

2曲目は「Naughty Girl」。確かサマソニではやらなかったのではないでしょうか? 赤を基調にしたライティングのなかオリエンタルなムードで妖艶に踊り歌うビヨンセ。続く「Freakum Dress」ではアフロのギタリストがステージ中央へ進みでる。そして弾きまくる彼女の隣で煽るように背中を仰け反らしていくビヨンセが凄まじかった。私の大好きな「Get Me Bodied」ではPVで見せたようなムカデダンス的な演出もあってダンサブルに楽しませてくれました。ここまで金ピカでギラギラなレオタード風衣装で攻めまくったビヨンセでしたがここで純白の衣装に衣替え。そしてスロー・ナンバーを連発します。

まずは「Smash Into You」。ここで初めて最新作「I AM... SASHA FIERCE」からの曲が登場。ピュアな質感がじわじわと力強さを増していく感動的な曲です。巨大スクリーンには大海原が映し出され、まるで巨大な波に飲み込まれるような錯覚を覚えるなか、気がつけばビヨンセの大きな歌に飲み込まれていく。アルバム「I AM... SASHA FIERCE」ではクールで完璧なサウンドの中から垣間みれたパーソナルな感情が、ライヴではもっと直接的な“歌”として響いてきます。それは続く「Ave Maria」でさらに顕著。有名なシューベルトの曲を下敷きにしたオリジナル曲で、この曲は最新作のなかでも個人的にもっとも好きな曲だったのでもう感無量でしたね。透明感のある素晴らしい歌声でした。そしてウェディング・ドレスのようなふわっとしたスカートとベールを纏い、サラ・マクラクランの「In The Arms Of an Angel」の一節を挟んで、シューベルトのオリジナル「Ave Maria」です! これが素晴らしかった! 特別な個性を振りかざす訳でもなく、技巧に走る訳でもなく、ただただ“まっすぐ”に歌うビヨンセの歌唱は本当に感動的。力強く凛としていながらどこか脆さを感じさせる、祈るような歌声でした。サマソニと合わせて3回聴きましたが、毎回感動の嵐でした! そしてこのセクションのラストは「Broken-Hearted Girl」。これも新作からで、ヴァイオリンの音色が印象的な力強いスロー・ナンバーですね。これらの曲はスローと言っても泣きのメロディーで聴かせるバラードとは違い、もっと普遍的な美しさを持った曲調なので、ビヨンセの芯の通った歌声には何かピュアなエネルギーを感じましたね。

純白の衣装から打って変わって黒のミニスカートにサングラスで歌う「If I Were A Boy」。これもがっつり歌ってくれましたね。正直、曲自体はどうってことない曲のように思えるんですが、ビヨンセのディープすぎる歌唱で否が応にもドラマチックに聴かされてしまう感じです。特に後半の切れっぷりは天晴れ!そしてこの曲の中盤に挿入されたのがアラニス・モリセットの「You Oughta Know」。サマソニでこれを初めて聴いたとき、なんでアラニス?って思いましたが、この曲での気合の入り具合はもう怖いほどでしたね。痺れました。

私のいたVIPエリアよりさらに前方、ステージの両サイド辺りにはそれぞれ僅か20名程の観客が入った小さなエリアがあり、そこはもう柵すら無い本当にステージに被りつきな超VIPエリアでした。そう言えば、私にもソニーから海外サイト経由でスペシャルなチケットが発売されるみたいなメールが来てたので、それかな~、なんて思いながら羨ましい気持ちで見ていたのですが、相当にVIPなようで、ビヨンセはことあるごとにステージ端のそのエリアへアピール及びサービスに来るのです。手を伸ばせば届きそうな位置で激しくダンスしたり、しゃがみ込んでまるで睨むように熱唱したり、握手はもちろん、汗を拭いたタオルを投げたり、サングラスを投げたり…。私の立ち位置は中央より端に近かったので、おかげでしょっちゅうビヨンセが近くに来てくれてラッキーでしたけどね。

おっと、長くなったので続きはまた次回。でもこのペースだと2回じゃ終わらないな…。

ビヨンセ@最前列

2009-10-18 16:13:26 | R&B、HIPHOP
という訳で今日も埼玉スーパーアリーナに来ています。もちろんビヨンセです。VIP席の最前列です!!目の前は冊です。位置的には真ん中より端に近いですが、かなり見やすいです。でも昨日見た感じだとステージと客席の間に冊なんて無かったように感じたのですが、ひょっとしたらVIPエリアより前にファンクラブ関係の超VIPエリアがあるのかも?と思ったり。ま、始まってみないと分かりませんが…。

とりあえずお土産の光る棒です。昨日スタンディングエリアからVIP席の人達がみんなこれ振ってるのが見えて羨ましかったんですよね~。

あ~楽しみ!



帰宅後追記:
んも~最高でした!!やっぱ最前列で観るビヨンセは迫力が違う!!しかも最前列の人は柵まで移動してもいいということで、文字通り被りつきで観てまいりました。こんな夢みたいなことはもう2度とないでしょうから、そのありえない喜びを噛みしめながら、ビヨンセの一挙手一投足全てを見逃すまいと、まばたきすらもったいない気持ちで見てまいりました!

近くで観るビヨンセはとにかく迫力満点でした。声はもちろん、肉体も、表情も、何から何まで全てが物凄い迫力で迫ってくるんです。気合の入った表情は時に怖さすら感じさせられる程でしたし、弾けるようなダンスの圧倒的な躍動感には身も心も躍らされました。スローな曲ではエモーショナルが溢れ出るようであり、アップ・テンポの曲ではエネルギーが爆発するかのようでした。そして何より笑顔が輝いてました。

それにしても凄いシンガーです。何度も言いますが、最強ですし、化け物です!こんな凄いシンガーの全盛期のライヴを、しかも被りつきで観れたなんて、私は本当に本当に幸せです。そもそもアリーナ・クラスのライヴを最前列で見たのは生まれて初めてですしね。こんなに運の良いことはもうないだろうと思います。ビヨンセに感謝です!


ちなみにやはり柵の内側にも小さな超VIPエリアらしきスペースがありました。ステージの両サイドにそれぞれ20人ほどの小スペースでした。ビヨンセはしょっちゅうそのエリアの間近に行ってはファン・サービスしてましたから、そうとうなVIPなんでしょうね。ちょっと羨ましかったです。

これを書きながらいまだに頭の中では「Single Ladies (Put A Ring On It)」が「オッオッオー!」と鳴り続けています。あ~楽しかったな~。と言う訳で詳しいレポートはまた後日ということで…。

@埼玉スーパーアリーナ

2009-10-17 16:43:11 | R&B、HIPHOP
ついにこの日が来ました。もちろんビヨンセです! 今、開演待ちです。アリーナのスタンディング・エリアにいます。スタンディング特有のざわついた雰囲気が良いです。でもいつも私が行くようなコンサートと客層がまるで違うので、なんか居心地悪いです…。前方のVIPエリアが案外広いので、ステージは若干遠めですが、お目当てのBステージはかなり近いです。サマソニ同様、ここであの曲を歌ってくれることを祈ります。とりあえず期待値が高すぎて心臓バクバクです。



帰宅後追記:
ビヨンセ、最高でした。ですがスタンディング・エリアは遠かった…。2ヶ月前にサマソニでかなり近くで観たせいか、想像以上にビヨンセが遠く感じましたね。そして見ずらい…。私の身長は172センチですが、背伸びしてやっと全身が見えるかな~?って感じでした。客電が落ちて、カーテンが開き、初めてビヨンセにスポットライトが当たった瞬間、大歓声が起こりつつも、私の周りでは女の子達の「どこ?どこ?全然見えな~い!」という悲鳴のような声があちこちから聞こえましたから。そしてぎゅうぎゅう。サマソニより“ぎゅうぎゅう”だったかも。スタンディングを愛する私は、“ぎゅうぎゅう”もコンサートの醍醐味の一つと思っていましたが、ステージから遠い位置での“ぎゅうぎゅう”はちょっと辛いということが今日分かりました…。でもBステージは結構近かったです。サマソニでは後ろから観たBステージを、今回はしっかり前向きに見ることが出来ました! 私が聴きたかったあの曲もしっかり歌ってくれました! どの曲かは、まだ明日観に行く方もいらっしゃると思うので今は書きませんけどね。

全体的な内容としては、もちろん最高でした! そして最強でした! やっぱり声が凄い! もう痺れまくりです! サマソニより曲数も格段に増え、たっぷりとビヨンセのパフォーマンスを堪能できました。ステージセットはもっと派手なものを期待していたのですが、サマソニとほぼ同じで、シンプルでしたね。でもね、アレが凄いから。ま、詳しいレポートはまた後日。と言ってもメモとかまったくとっていないので、たいしたことは書けそうもありませんが…。

さて、明日はいよいよVIP席です。Eブロックなので結構端っこっぽいんですけど。どうでしょう?


ビヨンセは見逃せない!

2009-10-16 17:28:51 | R&B、HIPHOP
BEYONCE / I AM... SASHA FIERCE

ビヨンセの埼玉スーパーアリーナ公演が迫ってまいりました。私は17日、18日の両日とも行く予定です。本当は18日のVIP席のみのつもりだったのですが、やっぱりBステージを前から観たいので17日のスタンディング席も買ってしまいました。

とにかく楽しみです! 私は声を大にして言います! ビヨンセこそ最強だと!! サマソニで観たビヨンセはそれを確信させる程に圧倒的でした。特に今年のビヨンセは凄い! 声量とか歌唱力が素晴らしいのはあたりまえですが、何より声そのものの存在感が凄いのです。勢いと言うか、ハリと言うか、キレと言うか、その声は一昨年の東京ドーム公演やその前のデスチャ武道館公演より格段に突き抜けていました。さらにその歌声のテンションが最初から最後まで落ちないのです。例えばグラミー賞やVMAでの気合いの入った1曲入魂のパフォーマンスが、ショーのオープニングからエンディングまで続くと思ってください。“最強”を通り越して“化け物”です。そこに鍛えられた肉体からくり出される強力なダンスが加わります。声も凄ければその肉体も凄い。体全体からディーヴァのオーラが溢れんばかりでした。サマソニを見ながら私は、今、間違いなくこの人はピークにいる!そしてR&Bシンガーの頂点にいる!と確信しました。もちろんこの後もピークと頂点を更新していってくれることと思いますが、まず今年のビヨンセを見逃す訳にはいかないのです!! もちろん、ビヨンセのショーを彩るダンサー達や、安定感を増した女性バック・バンド、さらに見たことも無いようなステージセット、そしてめくるめくステージ衣装、全てが楽しみです!!


先日、録画しておいたMTVヴィデオ・ミュージック・アウォード(VMA)をようやく見ました。ビヨンセは『Video of the Year』を含む最多9部門にノミネートされていまして、多くの部門で被っていた同じく9部門ノミネートのレディ・ガガとの一騎打ちが注目されていましたが、終わってみればビヨンセとテイラー・スウィフトの事件で持ち切りな感じでしたね。その事件を引き起した張本人はカニエ・ウェスト。今年のVMAで一番最初に発表された賞は『Best Female Video』でしたが、果たしてビヨンセか?レディ・ガガか?と注目されるなか、受賞したのは大人気の若手女性カントリー歌手、テイラー・スウィフトでした。本人も驚きを隠せない表情で壇上に上がり喜びのスピーチを始めると、何所からかカニエ・ウェストらしき人物が乱入し、テイラーからマイクを預かると彼女に「俺も嬉しいが続きは後で」と言ったうえで「だがこの賞はビヨンセがとるべきだ、史上最高のビデオだぞ!」と叫んだのです。そしてすぐにマイクをテイラーに返し、去っていくカニエ。驚くことしか出来ないビヨンセ。表情を曇らせ立ち尽くすテイラー。場内からはテイラー・コールが巻き起こる。ですがテイラーはスピーチを続けることは出来なかったようです。

カニエ・ウェストも懲りないと言うか、相変わらずな感じで…。ま、私もビヨンセの「Single Ladies (Put A Ring On It)」のPVは最高だと思いますけどね。でもあまりにもテイラー・スウィフトが可哀想でした。受賞レースはビヨンセとレディ・ガガが仲良く3部門ずつ受賞。VMA大賞とも言うべく『Video of the Year』はめでたくビヨンセの「Single Ladies (Put A Ring On It)」が受賞しました。ビヨンセにとってこの『Video of the Year』の受賞はデスチャ時代を含めても初めてとのことですので、念願の受賞と言ったところでしょうか。そして喜びのスピーチでドラマが。デスチャ時代に17歳で初めてVMAの賞を貰ったときの喜びを語り、「だからテイラーにスピーチさせてあげたい」と、もう一度テイラーを壇上に呼び戻したのです。拍手喝采のなかステージ上に現れたテイラーはビヨンセに促されてスピーチの続きをしました。なんか感動的でしたね。その後をビヨンセのスピーチが締めるのかと思いきや、そのままテイラーと二人してステージを去っていきました。大人過ぎるよビヨンセ~!

このVMAでビヨンセは「Single Ladies (Put A Ring On It)」をパフォーマンスしたんですけど。これがまた凄かった。特別な仕掛けなしでただ歌とダンスだけで聴かせ魅せる。観客とのコール&レスポンスを交えてグイグイとビヨンセ・ワールドへ引き込んでいきます。サマソニの時もこの曲がハイライトでしたが、今回の来日でもこの曲が沸点のピークとなるでしょう。ビヨンセの強さは、リアル・タイムの曲をコンサートの核に置けるということでもあります。「Crazy In Love」という特大の代表曲がありながら、例えば前回東京ドームでのハイライトは「Irreplaceable」でしたし、今回なら「Single Ladies (Put A Ring On It)」なのです。常にリアルタイムな自分を表現し続ける強さです。

ちなみにVMA以外でもここ最近ビヨンセは各賞を受賞しているようですね。例えば米BET Awardsで『Best Female R&B Artist』と『Video Of The Year -"If I Were A Boy"』、英MOBO Awardsでは『Best Video -"Single Ladies (Put A Ring On It)"』と『Best International Act』のそれぞれで2部門を受賞していますし、米ビルボード誌の『Woman Of The Year』に選ばれたり、さらに結果はまだですがVMAのヨーロッパ版、MTV EMAで4部門にノミネートされてますし、オバマ大統領のために歌った「At Last」でエミー賞にまでノミネートされているようです。まさにノリにノッてる感じで、今回の来日はこれ以上にないタイミングと言えるのではないでしょうか。

さあ、楽しみです! 2日間で3万円払ったんですから、頼みますよ!ビヨンセさん!!!!!

ラウル・ミドン@新宿タワーレコード

2009-10-09 18:50:11 | ソウル、ファンク
今日はラウル・ミドンのインストアライヴを観に新宿タワーレコードに来ています。今、開演待ちです。先程サウンドチェックが終わりましたが、ギターのカッティングが凄い!やっぱりリズムに黒人ならではのアタックとバネがありましたね。生で聴くのは初めてですし、本番が楽しみです。


帰宅後追記:
最新作となる3rdアルバム「SYNTHESIS」が10月7日に発売となったばかりのラウル・ミドン、格好良かったです! 正直、 CDで聴くより全然良いですね。特に2nd以降の作品は滑らかで聴きやすい歌物ソウル作品としての完成度が高い分、逆に洗練されすぎていると言うか、1枚目のような野生的な感覚が押さえ気味で少々物足りなくも感じていたのですが、生の弾き語りはやはり違います。もっとゴツゴツしています。フォーキーですがディープです。特にギターのリズム感が凄い。まるでフラメンコのようにバシバシと弦を弾き、そして叩く。確か最新作からのメロウ・ナンバー「When You Call My Name」を演ったと思うのですが、CDでは柔らかいサウンドで纏められているのに、弾き語りで聴くとギターは案外ファンキーなバッキングをしていたり。その独特にハネたカッティングは荒々しくもあり、そしてそれら隙間から哀愁が滲み出てくるような。そんな細かいニュアンスを味わえるのも生ならではですね。盲目でギターを弾きながら歌う黒人と言う意味で、私なんかはどうしてもスヌークス・イーグリンが頭に浮かんでしまうのですが、そのスタイルや音楽性こそ違えど、指弾きによる肉感的なタイム感や、独特のミクスチャー感覚、そしてここぞとばかりにギターを掻き鳴らす感性など、どこか通じるものがあるかな、と思ったり。

インストアということでわずか3曲だけだったのが残念ですが、最後の「Next Generation」では得意のマウス・トランペットも披露してくれましたし、暖かくソウルフルな歌声も素晴らしかったです。





ドニー・フリッツ@渋谷O-EAST その2

2009-10-01 14:26:24 | ルーツ・ロック
DONNIE FRITTS / EVERYBODY'S GOT A SONG

9月28日、ドニー・フリッツ&ザ・デコイズの渋谷O-EAST公演。前回からの続きです。

*以下、完全なネタバレになりますので、これからライヴを観に行かれる方は読まないことをお勧めいたします。


いよいよ本日の主役、ドニー・フリッツの登場。上下黒のスーツにサングラスできめています。1曲目は「Sumpin' Funky Going On」。74年の1st作にして名盤の誉れ高き「PLONE TO LEAN」に収録されたドニーとトニー・ジョー・ホワイトによる共作ナンバー。ドニーの泥臭くヨレた歌声とトニー・ジョー絡みの曲調により一気にスワンプ色が強くなります。やはりドニーの存在感は絶大です。最新作の「Nothing But The Blues」もそのやさぐれた味わいはブルースとはまたちょっと違うダウンホームさ。続く、マスルショールズのご当地ソングみたいな、“~down in Muscle Shoals~" って感じに歌っていたような曲は、私には出所が分からなかったのですが、なんか聴いたこと有るような、無いような…、誰の曲ですかね?でもこのバンドにはぴったりの曲でした!そして待ってましたの名曲「We Had It All」。

この曲はダン・ペンとの共作ですが、ドニー・フリッツの書くスロー・ナンバーは格別ですよね。色々な人がカヴァーし歌い継がれている名曲ですが、ドニーはレイ・チャールに取り上げられたことを喜んでいたようですね。MCでもそんな雰囲気で語っていました。この曲はステージ中央に据えられたキーボードを弾きながら歌ったのですが、その仕草がレイ・チャールズのように見える瞬間もあったりしたような。

さらに最新作から「Waking Up In Reno」、2nd作から「Short End of the Stick」を披露。3枚のソロ・アルバムから良い案配に散らして来る選曲ですね。ステージはこの辺りから後半戦に入ります。前半は「We Had It All」以外は立って歌に専念していたドニー・フリッツでしたが、後半はキーボードの前に座りながら歌うスタイルが多かったです。まずは最新作からのブルージーなスロー・ナンバー「Across The Pontchartrain」。キーボーディストのN.C.サーマンはそこかしこにアーシーな鍵盤捌きで南部フィーリングをステージに注入していましたが、この曲では鄙びたハープを吹くんです。これがまた良いんですよ~! 美しくもブルーなメロディーにドニーの感傷的な歌声、そしてハープ、最高でした。この曲もトニー・ジョーとの共作ですね。

そして待ってましたの「Three Hundred Pounds Of Hongry」。名作「PLONE TO LEAN」の冒頭を飾ったナンバーですね。やっぱりこの曲を演ってくれないと始まらない感じはありますよね。今は亡きマスル・ショールズ・レジェンドの一人、エディ・ヒントンとの共作です。そして最新作のタイトルナンバー「One Foot In The Groove」とスワンピーなナンバーが続きます。こういう曲でのドニーのヴォーカルは南部のバーでとぐろを巻いてるような荒くれ感があって痺れます。

続く「Huevos Rancheros」は珍しいテックス・メックス調で、最新作の中でもその朗らかな空気感が印象的な曲ですが、ライヴでもドニーならではの優しい歌声に、なんだか幸せな気分になりました。今回の来日公演ではドニーの歌声の予想以上の力強さに嬉しくなりましたが、こういった暖かい歌声にはなんかホッとさせられると言うか、個人的にはこの夜のハイライトの一つでしたね。リラックスした幸福感の中にドニー・フリッツのシンガーとしての魅力が詰まっていたように思います。

さらに最新作から「Jesus Was All I Had」に続き、驚きのカヴァーはミーターズの「Jungle Man」!! ミーターズと言えばニューオーリンズ・ファンクの箱バンですから、そんな彼らの名曲をマスル・ショールズ勢の演奏で聴くと言う贅沢。ミーターズのポリリズミックな粘着グルーヴとはまた違う、デコイズならではの低重心のサザン・グルーヴが格好良かったです。ヴォーカルはほとんどスコット・ボイヤーがとっていたようでした。この曲はメンバー紹介を挟んだりして、後半の見せ場でしたね。

意外なカヴァーで盛り上げつつ、バンドの演奏力を見せつけたデコイズのメンバーがステージを去っていきます。「あ~、終わりか…」と思ったら、ドニー・フリッツだけキーボードの前に残り、弾き語りタイム。ここで掟破りの「Rainbow Road」、「My Friend」の2蓮ちゃん!! これには参りましたね~。ドニーの歌声は70年代のまろやかな味わいから年輪を重ね、ソウルフルながらどこか頼りなげで、その節々から哀愁を漂わせる。あの味はそうは出せませんよね~。南部の土と空気が育んだ味わいなんでしょうね。そしてもちろん曲が良い!!前者はダン・ペンと、そして後者はスプーナー・オールダムとの共作ですね。鉄板です!

「ブルース銀座」さんのブログによりますと、この2曲は初め演る予定にはなかったのですが「リクエストに応えて」演ってくれたとか。いやいやこの2曲は演らなくちゃだめでしょう!でも確かに、弾き語りとは言え、ちょっととって付けたような印象は有ったんですよね。特に出だしや終わり方などが、何て言うか、雑と言うか…。せっかく名曲なんですから、もっとしっかりとドラマチックに聴かせてくれても…、みたいな感じはありました。でもそんなリラックスした雰囲気だからこそ、ドニーの人柄が滲み出るような歌声を堪能出来たのかもしれませんね。リクエストしてくれた方、ありがとうございます!

再びバンド・メンバーが戻って繰り出されたのはなんと「Iko Iko」。またもニューオーリンズ。なんだかんだでニューオーリンズが好きなんですかね?って言うか、スワンプの故郷はルイジアナに有り!って感じですかね。ここで初めて観客が総立ちに。彼らのライヴで一番盛り上がるのが「Iko Iko」というのもどうなんだろう?と思いながらも、盛り上がったもの勝ちって感じで。この曲もスコット・ボイヤーがヴォーカル。そして本編最後の曲は「Memphis Women and Fried Chicken」。先日のタワレコでも最後に演奏された曲ですね。やはり「Iko Iko」の派手なセカンド・ラインに比べると、なんとなく大人しく感じてしまいますし、個人的にはニューオーリンズ大好きな私ですが、今夜はこちらのスワンパーズ・リズムの方が心に染みるのでした。

アンコールは「Why Is My Day So Long?」。この曲もニューオーリンズ的ですが、ルイジアナ・スワンプを感じさせる最高の曲ですよね。場内も最後ならではの高揚感で満たされました。日本に居ながらにして本物のマスル・ショールズ産南部フィーリングを味わえた奇跡に拍手喝采を送る観客達、それに最高の演奏と笑顔で答えるメンバー達。こうしてマスル・ショールズからやって来たスワンパーズ達の夜は更けたのでした。


終演後はお楽しみのサイン会。メンバー全員がサインしてくれるということで、長蛇の列が出来ました。写真撮影もOKだったようで、みなさん思い思いに懇親されていたようです。なので長い列が遅々として進まない…。私の後ろにもさらに長蛇の列が。メンバーも疲れたでしょうね。でもファンにとっては最高の思い出ができましたね。私ももちろんサインを頂きました。デコイズの面々からは前回紹介したデコイズのアルバムに、ドニーには彼の2nd作にサインして頂きました。ドニーには正しく名前を入れて貰うという、タワレコでの失敗のリベンジも果たしました!

ぜひ、また来てほしいですね。ドニー・フリッツは数年前に病が重くなり、腎臓移植をして生死の境から生還したとか。私は20年程前から腎臓病を患っていまして、これからもその病と付き合っていかなければならないのですが、ドニー・フリッツの元気な姿には勇気づけられましたね。日本に来てくれてありがとうございました!

そしてトムス・キャビンさん、こういうのまた続けてください!


~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 09.09.29 ドニー・フリッツ@渋谷O-EAST その1
 09.09.27 ドニー・フリッツ@渋谷タワレコ