ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

2013年 ベスト・アルバム 1位~10位

2014-06-01 11:10:10 | 2013年総括
第1位

BEYONCÉ / BEYONCÉ
もう圧倒的な第1位。R&Bの女王として完全無欠の大傑作。低音を効かせたバウンシー且つ艶っぽいグルーヴでブラック・ミュージックの今を伺いつつ、ビヨンセのビヨンセにしかあり得ない王道を突き進むこの気持ち良さ!!しかも王道ゆえの大味感も感じさせず1枚の作品としての引き締まったトータル性は見事としか言いようがありません。ゲリラ的に配信リリースした手際とその即効性も圧巻でした。そして何よりもビヨンセの歌声。漲ってます!ありとあらゆる感情が漲ってます! これぞディーヴァの歌唱!やはりビヨンセ最強!!


第2位

JESSE HARRIS / BORNE AWAY
ジェシー・ハリスのソング・ライターとしての魅力、シンガーとしての魅力、それらを一つのアルバムとして聴かせる表現者としての魅力、そういったもの全てが静かに凝縮し結晶化されたような素晴らしい作品。アコギ弾き語り主体というシンプルな音像が、まるで別世界のような旅へと連れて行ってくれます。音楽という名のアート作品のようなアルバム。


第3位

BOBBY RUSH / DOWN IN LOUSIANA
チトリン・サーキットの体現者ボビー・ラッシュ。これは近年の充実振りが生んだ最高傑作。ローカル・ブルースならではのいかがわしい臭いに溢れた彼独特のファンクネスに脱帽です。ですが案外、これを現代に聴かせる彼のセンスというのは、かなりの新感覚なのかもしれない、と思ったり。どちらにしろ、相当なくせ者であり、くせ者ならではの現代最高のブルース。


第4位

GUY CLARK / MY FAVORITE PICTURE OF YOU
テキサスを代表するヴェテラン・シンガー・ソング・ライター、ガイ・クラークのソロ・アルバム。アコースティック・ギターを中心にしたシンプルなフォーク/カントリー。その円熟した音色は優しく、暖かく、そしてどこか寂し気である。そして70歳を超えたガイの、渋い歌声に酔いしれます。亡き奥様の写真を掲げるジャケットも良いですね。


第5位

NORTH MISSISSIPPI ALLSTARS / WORLD BOOGIE IS COMING
地元ベースの地道な活動がいよいよ実りを結んだかのような充実作。全17曲というアナログなら2枚組であろうヴォリュームが生むある種の整合性の無さに、かえってミシシッピ・ヒル・カントリーの裾野の広さを伝える説得力を感じさせられます。またそれらを現代の音として鳴らす実験結果のようでもある意欲的な楽曲とセッションの数々は、さすがジャムバンド気質が成せる技!!


第6位

PRISCILLA AHN / THIS IS WHERE WE ARE
エレクトロなサウンドがドリーミーに舞う新モードのプリシラ・アーン。一聴ポップなれど聴き進むにつれ陶酔感に誘われる、まるで白昼夢のようなサウンドが秀逸。また透明度に一滴、媚薬のような濁りを加えた、これまでとは違うニュアンスのプリシラの歌声にも注目です。


第7位

SARAH JAROSZ / BUILD ME UP FROM BONES
新世代のブルーグラス、サラ・ジャロス。バンジョー,ギター、マンドリンと、多彩な才能を聴かせてくれますが、シンガーとしてもソングライターとしても魅力的。穏やかな中にも研ぎ澄まされた感覚を感じさせる魅力的な1枚。


第8位

JOHN SMITHE / GREAT LAKES
英国フォークの新しき至宝と呼びたいジョン・スミス。1曲目から何処かに迷い込んだかのような錯覚に陥りそうな深いフォーク感。何かを語りかけてきそうなギターの音色と、深みのある歌声、そして楽曲、アレンジ、まったくもって素晴らしい。


第9位

CYRIL NEVILLE / MAGIC HONEY
シリル・ネヴィル流ブルース・ロック・アルバム。ウィリー・グリーンを中心にしたニューオーリンズなバック・バンドならではのグルーヴ感が最高。クラレンス・クレメンツ、マイク・ジト等ギタリストのプレイも強力なれど、シリルの熱くソウルフルなヴォーカルも未だ健在。


第10位

HOT 8 BRASS BAND / TOMBSTONE
前作と対を成したアルバムであり、ニューオーリンズらしく鎮魂と祝福を合わせもったスピリチュアルな作品。とは言え重くなりすぎず、パーティ感溢れているのが、流石かの地のブラス・バンド。ヒップホップ世代ならではのドープなグルーヴも素晴らしい。(フジロックでメンバーからサインを頂き、ジャケがぐちゃぐちゃになってしまいました…。)

2013年 ベスト・アルバム 11位~20位

2014-05-31 11:37:17 | 2013年総括
第11位

EMMYLOU HARRIS & RODNEY CROWELL / OLD YELLOW MOON
エミルー・ハリスとロドニー・クロウェルの共演盤。これは円熟の味わい。雄大なカントリー・フレイバーとそれを包み込むような二人の歌声は相当滲みます。こんなの悪い訳がありませんよね。


第12位

THE HOWLIN' BROTHERS / HOWL
2013年、一番の収穫はこのグループだったかもしれません。ストリングス・トリオなのでオルタナ・ブルーグラス色が濃いですが、それだけではなく、ブルースやゴスペル、ニューオーリンズまでを野性味たっぷりな躍動感で料理するつわもの達です。とは言え正直、どういう人達なのか知らなかったり…。ナッシュビルのグループのようですが、新人バンドなんですかね?裏ジャケの写真は3人とも相当いなたい雰囲気で、それもまた堪りません!!


第13位

AARON NEVILLE / MY TRUE STORY
キース・リチャーズとドン・ウォズが共同プロデュースしたアーロン・ネヴィルのドゥ・ワップ集。そう聞いただけでワクワクしちゃいますよね。バックを固めたメンバー達もなかなか興味深い顔ぶれですが、何よりアーロンの歌声が素晴らしい!!


第14位

DUMPSTAPHUNK / DIRTY WORD
作品を重ねるごとにグルーヴに深みを増すようなダンプスタファンク。彼らのヘヴィ且つタイトなファンクネスこそ現行ニューオーリンズ・ファンクの最新型。ヴォーカルも披露する新加入のニッキー・グラスピー(ds)の存在感も頼もしい。


第15位

ZARA MCFARLANE / IF YOU KNEW HER
ジャイルズ・ピーターソンが絶賛する女性ジャズ・シンガーの2nd作。深いエモーションを内包しながら、ジャジーに揺れつつも芯のある歌声にただただ聴き惚れます。クールなサウンドも素敵。


第16位

BEN HARPER & CHARLIE MUSSELWHITE / GET UP !
これは技有りな共演作。ベン・ハーパーのスピリチュアルなオーガニック・グルーヴに、チャーリー・マッスルホワイトのハープがよりヴィンテージなブルース臭を染み込ませる。この組み合わせでのライヴが観たかった!


第17位

PATTY GRIFFIN / AMERICAN KID
バディ・ミラーと共にロバート・プラントのバンドにも参加していたパティ・グリフィン(って言いますかプラントと結婚したと噂になっていましたが、あれは本当だたのでしょうか?それとも単なる噂?)のソロ作。これぞアメリカーナ!いい声してますよ~。ちなみにゲストでプラントも参加。


第18位

PRESERVATION HALL JAZZ BAND / THAT'S IT!
聖地プリザ ヴェーション・ホールにて古き良きニューオーリンズ・ジャズを守り続けて50年を過ぎるプリザ ヴェーション・ホール・ジャズ・バンド。今作は彼らにとって初の全曲オリジナルとなる野心作。プロデュースはなんと、マイ・モーニング・ジャケットのジム・ジェームス!


第19位

ALESSI'S ARK / THE STILL LIFE
20代の若き英女性シンガー・ソング・ライター。ポップの奥に佇むフォーキーな魅力に惹かれます。何よりアレッシーズ・アークの歌声に参っています。来日も決まりましたからね。楽しみです。


第20位

JOSE JAMES / NO BEGINNING NO END
ロバート・グラスパー同様、ようやくホセ・ジェイムスの格好良さが解りかけてきました。90年代に初めてディアンジェロを聴いた時の感覚に似ているかも。あの時も初めはクール過ぎて理解出来なかったけど、数年かけてジワジワ来ましたからね。

2013年 ベスト・アルバム 21位~30位

2014-05-30 19:52:08 | 2013年総括
第21位

BUDDY GUY / RHYTHM & BLUES
奇跡の絶倫ブルース。もう、どんどん突っ走ってください!!

第22位

CEDRIC BURNSIDE PROJECT / HEAR ME WHEN I SAY
RLバーンサイドの血を受け継ぐ北ミシシッピの次世代が放つ快作。

第23位

MAVIS STAPLES / ONE TRUE VINE
流石の歌声!! プロデュースは前作に引き続きウィルコのジェフ・トゥイーディー。

第24位

TEDESCHI TRUCKS BAND / MADE UP MIND
デレク・トラックスのスライド・ギターは別格ながら、バンドとしての纏まりも素晴らしい。ライヴに行き損ねたのが悔やまれます。

第25位

ALLEN TOUSSAINT / SONGBOOK
トゥーサンの魅力がしっかり閉じ込められたソング・ブック。新曲も良い!

第26位

WILLIE NELSON / TO ALL THE GIRLS
ウィリー・ネルソンが女性シンガーをゲストに招いてのデュエット集。

第27位

CARRIE RODRIGUEZ / GIVE ME ALL YOU GOT
チップ・テイラーとのデュオ作で知られる才女キャリー・ロドリゲス。ちょっぴり舌ったらずな歌声は相変わらずスウィート・カントリーな魅力。

第28位

ROBERT GLASPER EXPERIMENT / BLACK RADIO 2
グラスパーの格好良さがようやく分りかけてきました。

第29位

TIN MEN / AVOCADO WOO WOO
ギター、ウォッシュボード、そしてスーザフォン。ニューオーリンズの凄腕トリオによる楽しくも愛らしい、哀愁たっぷりなごった煮音楽。

第30位

BIRDLEGG / GOOD TIME BLUES
ダイアルトーンが送り出すテキサス印のローカル・ブルース。いぶし銀な味わいが堪りません!



という訳で、もう5月末ですが昨年の総決算、『「ルーツな日記」的ベストアルバム30』です。やっと辿り着きました~。ま、1位はまだ先ですが…。

2013年 ベスト・アルバム リイシュー編

2014-05-15 18:23:36 | 2013年総括
さて、ようやく2013年総括企画も佳境に入ってまいりました。今回は、ストレート・リイシュー、発掘音源、コンピ盤等の中から「ルーツな日記」的ベスト10を選んでみました。とは言え、本当に聴きたかった音源は高価過ぎて手が出なかったりしてるんですけどね…。

第1位

VA / GUMBO YA YA : THE COSIMO MATASSA STORY VOLUME 2
単純に、2013年に手に入れた作品の中で最も嬉しかったのがこの4枚組。ニューオーリンズR&B草創期における陰の功労者コジモ・マタッサ、及び彼が設立しエンジニアも務めたJ&Mスタジオ、コジモ・スタジオのアンソロジーの第2集です。第1集「THE COSIMO MATASSA STORY」がリリースされたのは2007年でしたでしょうか?これで終わりじゃないでしょう?と思いながら、はや数年。忘れかけていたところに続編の登場!!第1集ではデイヴ・バーソロミューと彼の楽団による 愛すべきニューオーリンズ・クラシックをたっぷり楽しめましたが、今作ではアラン・トゥーサンが頭角を現し始めます。ワクワクしますね~。ニューオーリンズR&Bの傑作の数々と、それらに果たしたコジモ・マタッサの影響力。バック・メンバーも詳細に記録したライナーも嬉しい!そして安い!!


第2位

DONNY HATHAWAY / NEVER MY LOVE : THE ANTHOLOGY
ダニー・ハサウェイの未発表曲も織り込んだ4枚組アンソロジー。ライヴ音源もさることながら、スタジオ録音の蔵出しは嬉しいですね。やはりダニー・ハサウェイは全てのソウル・ファンにとって特別な存在ですよね。至高のアンソロジー。お値段も良心的。


第3位

MAGIC SAM / LIVE AT THE AVANT GARDE JUNE 22, 1968
ブルース・ファン狂喜乱舞のライヴ音源。ギターの生々しいサウンドからブルース衝動が溢れ出るかのよう。この躍動感は素晴らしい!!


第4位

BOB DYLAN / ANOTHER SELF PORTRAIT (1969-1971)
ブートレッグ・シリーズの第10弾。素晴らしいの一言。でも出来ればワイト島ライヴはシリーズ第11弾として単独リリースして欲しかった…。もちろんこちらは通常盤です。


第5位

VA / BLUSIN' BY THE BAYOU
マニアックな選曲で話題の英ACEによるバイユー・シリーズ。そのシリーズを代表してブルースに焦点を当てたこちらを。ルイジアナ・フィーリングたっぷりです。もちろん他のバイユーシリーズも面白いですよ!


第6位

VA / JUKEBOX MAMBO
こちらはJAZZMANが編んだ、マンボやルンバなどアフロ・ラテンなヴィンテージR&Bコンピ。これも面白かった!!


第7位

TOWNES VAN ZANDT / SUNSHINE BOY: THE UNHEARD STUDIO SESSIONS & DEMOS 1971-1972
タウンズ・ヴァン・ザント、71年~72年の発掘音源集。バンド&弾き語りの2枚組に感涙!


第8位

SAM DEES / THE SHOW MUST GO ON
サム・ディーズ、75年の名作にボーナストラックを追加した待望盤。少し前にアトランティックのボックスの中の1枚という形でリイシューされていた作品ですが、ボックスに手が出ない私などには嬉しい単独CD化でした!


第9位

JAMES GOVAN / WANTED THE FAME RECORDINGS
サザン・ソウル・シンガー、ジェイムズ・ゴヴァンのフェイム録音集。凄いシンガーの凄い音源が残っていたものです。恐るべしフェイム。


第10位

VA / THE HISTORY OF NEW ORLEANS RYTHM & BLUES VOLUME 1
ジャズから始まるニューオーリンズR&Bの歴史を紐解くコンピ盤がめでたく国内リリース。こちらは戦前録音を中心にした第1集。ジャズの名演からR&Bへの萌芽が伺えるようなとても興味深い労作。第2集と合わせてアーリー・ニューオーリンズにどっぷりです。そしてここから「COSIMO MATASSA STORY」へと繋げば、ニューオーリンズR&Bの歴史が全て分る!!





こんな感じですが、いかがでしょうか?第1位はおそらく未発表曲など貴重音源等は入っていないと思われますが、そんなレア度を無視した私の趣味だけで選びました。しかも本当は2012年の暮れ頃にリリースされたものなんですけどね。でも私が知ったのが2013年に入ってからと言うか、本格的に日本に入ってきたのは年が明けてからだったのではないでしょうか? これと第2位のダニー・ハサウェイは4枚組ながらお手頃な価格で嬉しかったですね。

さて、冒頭で匂わせた「本当に聴きたかった音源」とは、ボブ・ディランの「1969年ワイト島ライヴ」とザ・バンドの「1971年ニュー・イヤー・イヴ・コンサート」。どちらも超高額なお宝ボックスを買わないと聴けない代物。こういうのはホント参っちゃいますよね~。いつか単独リリースされるのを待ちます…。あとデュアン・オールマンのボックスも欲しかったですが…。

2013年 ブライテストホープ

2014-05-13 16:47:17 | 2013年総括
2014年も早いもので半年が過ぎようとしている今日この頃。当ブログはでまだまだ昨年の話を引きずってまいります。という訳で、大変遅くなりましたが、2013年「ルーツな日記」的新人賞です。今回は5組。(特に厳密なデビュー年には拘っていないので、すいません。)



SKINNY LISTER / FORGE & FLAGON
まずは昨年のフジロックで大旋風を巻き起こしたスキニー・リスター。ロンドンで結成されたトラディショナル且つパンキッシュなアイリッシュ・フォーク・バンド。写真のアルバムは日本でのデビュー盤となった彼らの初フル・アルバム「FORGE & FLAGON」。アルバムも良いですが、彼らはライヴが最高!!また来日してくれないですかね~。




VALERIE JUNE / PUSHIN' AGAINST A STONE
ミシェル・ンデゲオチェロの2012年作「POUR UNE AME SOUVERAINE A DEDICATION TO NINA SIMONE」の中で、印象的な歌声を披露していたヴァレリー・ジューン。あの歌声を聴いて私も彼女の本格デビューを楽しみにしていたのですが、昨年リリースされたアルバム「PUSHIN' AGAINST A STONE」は、そんな期待をはるかに上回る素晴らしいものでした。彼女のプリミティヴな歌声には、ブルース、ソウル、フォークの未知なる可能性が秘められてるような気さえします。





KIAH VICTORIA / GRAVITATE - EP
最新の流行でもある「R&B+アンヴィエント」な感覚横溢な女性R&Bシンガー、キア・ヴィクトリア。実は2012年にも既に1枚EPをリリースしていまして、これが2作目のようなんですどね。中毒性の高い耽美なトラックにスイートなキア・ヴィクトリアの歌声、引き込まれます。あとこのEPには未収録ですが、この少し前に発表されたフランク・オーシャン「Thinkin Bout You 」のカヴァーも絶品。早くフル・アルバムが聴きたいです!!




LADY LAMB THE BEEKEEPER / RIPELY PINE
NY 在住の女性シンガー・ソング・ライター、レディ・ラム・ザ・ビーキーパー。「ルーツな日記」で紹介するにはあまりにもオルタナ・ロック寄りかもしれませんが、フォーク、カントリーと言ったアメリカーナや、チェンバー・ポップ的な粋を飲み込みつつ、インディーらしい衝動とローファイ感に満ちたサウンド及び楽曲はやはり魅力的。そして感傷的ながら何処か虚ろな雰囲気を醸す彼女の歌声にも惹かれます。あどけなくもふてぶてしいルックスも含め、荒削りではありますが相当なポテンシャルを秘めているでしょう。




ABIAH / LIFE AS A BALLAD
女性シンガーが続いたので最後は男性R&Bシンガー、ABIAHです。実はベテラン・シンガーであるらしいこの人なのですが、ABIAHとしての本格デビューが昨年リリースの「LIFE AS A BALLAD」。ロバート・グラスパーの全面参加も話題になった作品ですね。私はどうも昨今の男性R&Bシンガーが好きになれないですが(これみよがしにセクシーな歌唱がどうも…)、このABIAHの歌声は素晴らしい! やはりR&Bよりはジャズ寄りなのかもしれません。ストレートな歌声に、ストレートな感情表現。ジャジーな憂いを感じさせながらも、その突き抜けた歌唱力は爽快感すら感じさせてくれます。

2013年 天に召された偉人達

2014-04-26 19:18:59 | 2013年総括
昨年2013年も、数々の偉大なるミュージシャン達が天に召されました。ボビー "ブルー" ブランド、マジック・スリム、ジョージ・ジャクソン、アルヴィン・リー、J・J・ケイル、ルー・リード…。ここに振り返ってみたいと思います。



THE TEMPTATIONS / ALL DIRECTIONS
2013年2月18日 - デーモン・ハリス
2013年2月27日 - リチャード・ストリート
同時期のテンプテーションズで活躍していた2人のシンガー。デイモン・ハリスは62歳でした。前立腺癌だったそうです。そしてその数日後にリチャード・ストリートまで。享年70歳。肺血栓を患っていたそうです。2人は70年代初頭にテンプスへ加入し、サイケ時代の黄金期をその美声で彩りました。写真は名曲「Papa Was a Rollin' Stone」を収録した72年の「ALL DIRECTIONS」。


MAGIC SLIM & THE TEARDROPS / GRAND SLAM
2013年2月21日 - マジック・スリム
シカゴ・ブルースの重鎮マジック・スリム。フィラデルフィアの病院にて、享年75歳。09年に青森のブルース・フェスのため来日してたんですが、私は流石に青森までは観に行けませんでした…。写真は傑作の誉れ高い82年作「GRAND SLAM」。



THE STAPLE SINGERS / BE ALTITUDE: RESPECT YOURSELF
2013年2月21日 - クレオサ・ステイプルズ
ステイプル・シンガーズの長女、クレオサ・ステイプルズ。シカゴの自宅にて、78歳でした。10年ほど前からアルツハイマー病を患っていたそうです。ファンキーなSTAX時代も最高ですが、写真のアルバムはそれ以前、ヴィー・ジェイ時代の音源集。彼ら独自のゴスペル・スタイルを確立していたこの時代も素晴らしい。50年代後半から60年代始めの録音です。



TEN YEARS AFTER / UNDEAD
2013年3月6日 - アルヴィン・リー
元テン・イヤーズ・アフターのギタリスト、アルヴィン・リー。手術後の合併症とのことです。享年68歳。ウッドストックでの「I'm Going Home」は伝説ですね。彼の荒々しいスウィング感を持った速弾きは唯一無比でした。また2012年にリリースされたソロ・アルバムも好評だっただけに、とても残念です。写真は彼の勢い溢れるギターがたっぷり楽しめるテン・イヤーズ・アフターのライヴ盤。



SPINNERS / YESTERDAY, TODAY & TOMORROW
2013年3月16日 - ボビー・スミス
モータウンからフィリー・ソウルで活躍したスピナーズで、リード・ヴォーカルもとっていたボビー・スミス。インフルエンザと肺炎の合併症のためとのことですが、肺がんも患っていたそうです。享年76歳。写真のアルバムはアトランティックからリリースされたフィリー時代の作品。真ん中に写っているのがボビー・スミスです。



JIMMY DAWKINS / ALL FOR BUSINESS
2013年4月10日 - ジミー・ドーキンス
シカゴ・ブルース・ギタリストのジミー・ドーキンス。シカゴの自宅にて、享年76歳。写真はデルマークからの2nd作で71年の録音。これぞシカゴ!な黒光りしたブルース・ギターが格好良い! オーティス・ラッシュも全面参加。そう、オーティス・ラッシュと言えば、オーティスが75年の「第3回ブルース・フェスティバル」で初来日した際に、そのバック・メンバーとしてジミー・ドーキンスも来日していたそうですね。凄い時代でした…。



MFSB / MFSB
2013年4月13日 - ヴィンセント・モンタナ
フィリー・ソウルを彩ったヴィブラフォン/パーカッション奏者ヴィンセント・モンタナ。享年85歳。フィリー・ソウルの代名詞フィラデルフィア・インターナショナル・レコーズを支えた職人集団MFSBのオリジナル・メンバーであり、その後のサルソウル・オーケストラにおける中心人物として活躍しました。演奏のみならずアレンジャー及びプロデューサーとしても偉大でした。90年代に入ってからのルイ・ヴェガ&ケニー・ドープとのコラボレーションも印象的でしたね。写真はMFSBの1st作。73年(72年?)のリリース。



GEORGE JACKSON / DON'T COUNT ME OUT: THE FAME RECORDINGS VOLUME 1
2013年4月14日 - ジョージ・ジャクソン
サザン・ソウル界に数々の名曲を残したソング・ライター/シンガーのジョージ・ジャクソン。ミシシッピ州の自宅にて、68歳でした。癌を患っていたそうです。最近再評価著しかっただけに残念でなりません。写真はその再評価に拍車をかけたFAME音源集。ソング・ライターとしてのいわゆるデモ音源な訳ですが、これが素晴らしい味わい! あらためて彼の作る楽曲の良さを再認識させられると同時に、柔らかい歌声が胸に沁みます。



RICHIE HAVENS / THE MILLENNIUM COLLECTION
2013年4月22日 - リッチー・ヘヴンス
ウッドストック・フェスのオープニングを飾った名演で知られる黒人フォーク・シンガーのリッチー・ヘヴンス。ニュージャージー州の自宅で心臓発作のため亡くなられました。享年72歳。深くスピリチュアルな歌声と、パーカッシヴに弾くアコースティック・ギターが印象的でした。写真はベスト盤。残念ながらウッドストックでの「Freedom」は入ってませんが、オリジナル曲の他、ボブ・ディランの「Just Like A Woman」やジョン・レノンの「Strawberry Fields Forever」などのカヴァーも秀逸。



BOB BROZMAN & JEF LANG WITH ANGUS DIGGS / ROLLING THROUGH THIS WORLD
2013年4月23日 - ボブ・ブロズマン
リゾネーター・ギターの魔術師、ボブ・ブロズマン。カリフォルニアの自宅にて、59歳。まだ若かったですね…。一度生で見てみたいと思っていたのですが、なんと死の直前、昨年の4月13~20日の日程で来日ツアーをしていたそうなんです。知りませんでした…。おそらくそれが最後のライヴになったと思われますが、とても素晴らしいステージだったようです。写真はオーストラリアが誇るジェフ・ラングとの魔術師共演盤。88年作。



GEORGE JONES / SEVEN CLASSIC ALBUMS PLUS BONUS TRACKS & SINGLES
2013年4月26日 - ジョージ・ジョーンズ
カントリー界の巨人ジョージ・ジョーンズ。ナッシュヴィルの大学病院にて、81歳。その数日前から発熱と血圧異常により入院していたそうです。写真のアルバムは50年代後半から60年代初頭にリリースされたジョージ・ジョーンズのアルバム7枚分+ボーナス・トラックを詰め込んだCD4枚組。



THE DELLS / ON THEIR CORNER THE BEST OF THE DELLS
2013年5月29日 - マーヴィン・ジュニア
シカゴが誇るヴォーカル・グループ、デルズ、そのリード・ヴォーカリストだったマーヴィン・ジュニア。シカゴの自宅にて、享年77歳。 写真は60年代前半から70年代後半のカデット(チェス)時代を纏めたベスト盤。マーヴィンのタフなバリトン・ヴォイスに痺れます。コーラス・グループ界屈指のヴァリトン・シンガーでした。



BOBBY BLAND / THE VOICE
2013年6月23日 - ボビー・ブランド
B.B.キングと並び賞されるブルース界の巨人ボビー "ブルー" ブランド。この年の3月に体調をくずし療養していたそうですが、6月23日、メンフィスの自宅にて家族に看取られながら亡くなられたそうです。享年83歳。世界中のブルース・ファンが彼の死を悼み悲しんだことでしょう。何度か来日もされていますが、私は一度も観たことがないので悔やまれます。写真は彼の全盛期デューク録音から、「I'll Take Care Of You」、「I Pity The Fool」などヒットを連発していた59年~69年の楽曲を纏めたベスト盤。



T-MODEL FORD / THE LADIES MAN
2013年7月16日 - T・モデル・フォード
90年代、RLバーンサイドやジュニア・キンブロウを世に出したファットポッサムが、まるで轟音ブルースの最終兵器のように送り出した怪物T・モデル・フォード。あの衝撃はいまだに忘れられません。来日公演ではどんなに荒くれた爺さんが出てくるのかと思いきや、どこにでもいそうな田舎のおじさん風情で、それががかえって印象的でした。近年も素晴らしい作品をリリースしていただけに残念でなりません。写真は2010年リリースのアコースティック・ブルース作。まさに最後のミシシッピブルース!



JJ CALE & ERIC CLAPTON / THE ROAD TO ESCONDIDO
2013年7月26日 - J・J・ケイル
エリック・クラプトンで有名な「Cocaine」や「After Midnight」の作者としても知られ、そのクラプトンを始め多くのアーティストに影響を与えた、オクラホマ出身のシンガー・ソング・ライター、 J・J・ケイル。 カリフォルニア 州ラホヤの病院で心臓発作のため亡くなられました。74歳でした。写真は2006年にクラプトンと共作で発表し、グラミー賞も受賞した「THE ROAD TO ESCONDIDO」。



AL JOHNSON / PEACEFUL
2013年10月26日 - アル・ジョンソン
「Court Of Love」などのヒットを出したワシントンDCのコーラス・グループ、ユニフィクスのリード・シンガーを務めていたアル・ジョンソン。ソロ転向後も「BACK FOR MORE」等の名盤を残し、テリー・ハフの「THE LONLY ONE」などプロデューサーとしても手腕を発揮しました。2013年10月26日、地元ワシントンDCで死去。65歳だったそうです。写真は彼の1stソロ作「PEACEFUL」。アダルト・オリエンテッドな極上ソウルを聴かせてくれます。ギターにミーターズのレオ・ノッセンテリが参加。



LOW REED / NEW YORK
2013年10月27日 - ルー・リード
説明不要のロック界の巨人。肝臓疾患にて、享年71歳。



CHICK WILLIS / THE DON OF THE BLUES
2013年12月7日 - チック・ウィリス
愛すべき下ネタ曲「Stoop Down Baby」などでマニアックな人気を誇るチック・ウィリス。癌のために亡くなられました。79歳でした。ちなみに「It's Too Late」などのヒットで知られるチャック・ウィリスはチックの従兄弟です。写真は08年の作品「THE DON OF THE BLUES」。ホーン隊も入ったアダルトなブールス・ソウルなサウンドなれど、濃厚に漂うローカル臭が良い案配です。



2013年12月16日 - レイ・プライス
50年代から活躍し、「Crazy Arms」「City Lights」「For the Good Times」など数多のヒット曲を持つ、カントリー界を代表する巨人の一人、レイ・プライス。膵臓がんのためテキサスの自宅にて。享年87歳。写真はウィリー・ネルソン、マール・ハガード、そしてレイ・プライスという、カントリー・レジェンド3人による共演ライヴ盤。07年作。ゲストにクリス・クリストファーソンも参加。


他にも、ハンブルグ時代のビートルズと活動を共にしたトニー・シェリダン、ドアーズのキーボード奏者レイ・マンザレク、ザ・ポーグスのギタリストだったフィル・シェヴロン、レゲエ・シンガーのジュニア・マーヴィン、ビリー・ジョエル等を手掛けた名プロデューサーとして知られるフィル・ラモーン、ニューヨークのセッション・ギタリストの筆頭ヒュー・マクラッケン、など。そしてジャズ界では、ジョージ・デューク、チコ・ハミルトン、ジム・ホールと言った大物達が。そして日本からも、大瀧詠一、山口冨士夫…。


こうして振り返ると、私が多少でも思い入れのある方達だけとは言え、2013年も本当に沢山のアーティストが亡くなられましたね。仕方の無いことではありますが、残念でなりません。

みなさま、安らかに。



2012年 天に召された偉人達 
2011年 天に召された偉人達 
2010年 天に召された偉人達 

2013年ベストライヴ

2014-01-11 14:45:22 | 2013年総括
Björk / Biophilia

年が明けて10日が過ぎてしまいましたが、2013年総括特集をボチボチ書き始めようかと思っています。まずはライヴから。
2013年も、貧乏なりに色々なライヴを観ました。その中でも印象的だったのは以下のような感じ。



パティ・スミス・アンド・ハー・バンド@SHIBUYA-AX 1/23
ミーターズExperience@ビルボードライヴ東京 1/31
メイシオ・パーカー@ビルボードライヴ東京 2/1
ナタリー・ダンカン@ビルボードライヴ東京 2/18
マリア・マッキー@ビルボードライヴ東京 3/2
上原ひろみ@ブルーノート東京 3/24
ジム・クエスキン・ジャグ・バンド@日本橋三井ホール 4/12
ルーマー@ビルボードライヴ東京 5/16
ジェシー・ハリス&ヴィニシウス・カントゥアリア@青山スパイラル 5/25
アーマ・トーマス@ビルボードライヴ東京  5/30
カサンドラ・ウィルソン@ブルーノート東京 5/31
ディッキー・ベッツ & グレイト・サザン@ビルボードライヴ東京 6/28
ザ・ピー・ウィー・エリス・ファンク・アセンブリー@丸の内コットンクラブ  7/6
ガブリエル・アプリン@タワーレコード渋谷店 7/7
FUJI ROCK FESTIVAL@苗場スキー場 7/25~28
ビョーク@日本科学未来館 8/6
ジョヴァンカ@タワーレコード渋谷店 8/26
カルロス・ヌニェス@タワーレコード渋谷店 9/7
トリクシー・ウィートリー@六本木ヒルズ ベルギービールウィークエンド東京2013 9/7
ニュー・クール・コレクティヴ@東京国際フォーラム地上広場 東京JAZZ 9/8
マウントシュガー@阿佐ヶ谷 barトリアエズ 日曜音楽バー「アサノラ」 10/6
ヴェロニカ・フェリアーニ@青山 オラクルスカイロビー 10/27
アリシア・キーズ@横浜アリーナ 11/18
ポール・マッカートニー@東京ドーム 11/19
CSS@EXシアター六本木 12/14
上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト カウントダウン・ライヴ@ブルーノート東京 12/31


ベストライブは文句無しにビョークの単独公演です!! これはホント素晴らしかった! まるで我々観客がビヨークの描く世界の一部となったかのような親密感で体感する彼女の最新モード。感動と驚きの連続でした。まさに一生に一度味わえるか味わえないかの特別なライヴでした。特別と言えば、上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクトのカウントダウン・ライヴも忘れられませんし、個人的に大好きなマリア・マッキーが来日してくれたのも嬉しかった!!あと奇跡のリユニオン、ジム・クエスキン・ジャグ・バンドも貴重なライヴでしたね。あとレオ・ノッセンテリの凄さを再確認させられたミーターズExperience!! もちろんフジロックも最高でしたよ!メインのビョークは言わずもがなですが、ホット8ブラス・バンドとかスキニー・リスターなんかにもやられましたね~。

ジェシー・ハリス、トリクシー・ウィートリー、ニュー・クール・コレクティヴ、ジョヴァンカ、ヴェロニカ・フェリアーニなど、無料ライヴも充実してましたね。ホント楽しい一年でした。でも欲を言えば、ロバート・グラスパーも観たかったですし、コディ・チェスナットも観たかった。クラレンス・カーターも観たかった。アラバマ・シェイクスも観たかった…。いや、こんなこと言い始めたら切りがないですね…。

2014年も沢山ライヴを観に行きたいですけど、なかなか悩ましいところ。