ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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ノラ・ジョーンズ @武道館

2017-04-18 18:37:20 | SSW
4月13日、日本武道館にて、ノラ・ジョーンズを観て参りました。武道館3Daysの初日、1階西スタンド。良い席とは言えませんでしたが、それでもノラの魅力をたっぷり堪能して参りました。

オープニングアクトのAloysius 3 は、ピート・レム(organ)、グレッグ・ヴィツォレク(ds)、ダン・リード(g)の3人によるバンドで、ピート・レムとグレッグ・ヴィツォレクの2人はザ・キャンドルズのメンバーでもあり、ノラ・ジョーンズのバックも務めるであろう人達。オルガンを前面に出したルーツ指向のインディー・ロックといった風情でなかなか良かったです。ダン・リードのエレキ・ギターやスティール・ギターにも光るものがありましたが、やはりピート・レムのオルガンでしょう! インスト主体なこともあり、オルガン・ジャズ的な雰囲気も濃厚に感じられました。ある意味、新作でジャズ回帰に舵を切ったノラの趣向にも、充分対応出来るジャズ・フィーリングを見せつけたような、そんなステージでもありました。

しばしの休憩を挟み、バンドメンバーと共にいよいよ主役、ノラ・ジョーンズの登場。ピアノの前に座り、1曲目は「I’ve Got to See You Again」。いきなりデビュー・アルバム「COME AWAY WITH ME」収録曲に静かに胸躍りましたね。その歌声の、若かりし頃とはまた違う、芳醇な味わいにうっとりでした。最新作「DAY BRAKE」より「Tragedy」、「LITTLE BROKEN HEARTS」から「Out on the Road」、「THE FALL」から「Waiting」、アルバム未収録の初期曲「Something Is Calling You」、再び「DAY BRAKE」よりニール・ヤングのカヴァー「Don’t Be Denied」と、各時代からヴァラエティ豊かな曲が並びながらも、現在のノラ・ジョーンズの魅力に統一されている印象。5年振りに生で聴くノラの歌声と、飾りすぎない卓越したアレンジをさりげなく聴かせるバンドの演奏も良い。そのバンド・メンバーは、おそらく、ザ・キャンドルズから、ジェイソン・ロバーツ(g)、ピート・レム(organ)、ジョシュ・ラタンジ(b)、グレッグ・ヴィツォレク(ds)という面々か? 「LITTLE BROKEN HEARTS」のツアーからノラのバック・バンドを務めている彼ら、ノラとの親和性は増々高くなっているようです。

ちなみに「Something Is Calling You」はジェシー・ハリスの01年作「CROOKED LINES」でノラがピアノを弾いていた曲で、「COME AWAY WITH ME」のデモ録音ではノラのヴァージョンも録音されていたものの、アルバムからは外されていた曲。当時もライヴでは歌っていたようですが、そんなレア曲が聴けるとは!!少々驚きました!

「Chasing Pirates」からはさらに表情豊かな楽曲が並びます。プスンブーツのロックンロール「Don’t Know What It Means」で弾け、「NOT TOO LATE」からフォーキーな「Wake Me Up」でチルアウト。そのチル感を引き継ぎながらジワジワと高揚感を上げていく「Nightingale」は、デビュー作リリース時のオーガニックな浮遊感を残しつつ、よりロックなエモ感を増したアレンジが格好良かった!終盤のギタリストさんによる長尺ギター・ソロも圧巻でした。そして待ってましたの「Don’t Know Why」という、そんな緩急付けた展開も見事でしたね。ノラはステージ中央のキーボードを弾いたり、エレキ・ギターやアコースティック・ギターを弾いたり、またピアノに戻ったりと、頻繁に楽器を持ち替えながら、ノラらしい、柔らかくも深遠な世界を作りあげていきます。

ほぼピアノ弾き語りのような雰囲気で披露された「Don’t Know Why」が素晴らしかったのはもちろん、ここから数曲は、ドラムやベースが入ったりしながらのアコースティック・セクションな感じで、一層ノラの繊細な歌声が滲みるようでした。特に「FEELS LIKE HOME」収録ヴァージョンより静けさを増したような「Humble Me」の素晴らしかったこと!ノラの消え入りそうな歌声に見も心も奪われましたね。Aloysius 3からダン・リードのスティール・ギターも良い塩梅でした。またピアノ弾き語りによる「Little Broken Hearts」も味わい深かったですし、デビュー作からの「Painter Song」も良かった!!

それにしてもノラ・ジョーンズの歌声、じっくりと聴くと、1曲の中でも、柔らかかったり、ブルージーだったり、ちょっと毒気が入ったり、様々に移ろっていくような、その繊細な表現力は、やはり生歌ならでは。ノラは来日中に風邪を引いてしまわれたとのことで、体調や、歌声への影響が心配されましたが、私はまったく気になりませんでしたね。CDで聴く以上に濃密な歌声でした!もちろんピアノも味わい深かった!


さて、再びバンドが戻っての最新作から「Flipside」と「Carry On」。最後は「The Fall」から「Stuck」。私は案外、ノラの弾くエレキ・ギター、特に独特のタイム感で紡がれるリフが好きなのですが、ようやくそれが聴ける曲の登場。ノラがイントロをやり直す場面もあったりしましたが、それもご愛嬌。良い演奏でした。もちろん歌も。最後はギタリストさんによる鋭角的なギターソロが炸裂し終了。

アンコールはメンバーがそれぞれ楽器を持ってステージ前に集まり、1本のマイクを囲ってのアコースティック・セッション。と言っても、ピート・レムはピアノを弾いてましたけどね。曲は「Sunrise」、「Creeping’ In」、「Come Away with Me」の3曲。このアンコールは前回の来日の時もやっていた趣向でしたが、その時は本編でバンドスタイルでやっていた「Creeping’ In」が、今回はここで聴けたのは嬉しかったですね!


いやはや、さすがノラ・ジョーンズ。ただただその歌声に聴き惚れた1時間30分強。もちろん、ひとつのショーとして極上でした。バンドの演奏も良かった!単独来日も決まったザ・キャンドルズは、今後注目されるでしょうね。




この日のセットリストはこんな感じ↓

01. I’ve Got to See You Again
02. Tragedy
03. Out on the Road
04. Waiting
05. Something Is Calling You
06. Don’t Be Denied
07. Chasing Pirates
08. Don’t Know What It Means
09. Wake Me Up
10. Nightingale
11. Don’t Know Why
12. It’s A Wonderful Time For Love
13. Humble Me
14. Little Broken Hearts
15. Painter Song
16. Flipside
17. Carry On
18. Stuck
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19. Sunrise
20. Creeping’ In
21. Come Away with Me



ノラ・ジョーンズの来日ツアーも、終わりが近づいてきて、各公演のセットリストも上がってきてますが、結構、その日、その日で変えてきてるんですよね。1曲目から「Peace」だったり、「Carry On」だったり、「Burn」だったりと様々。いやはや、面白いですね~


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