ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

ルー・リード逝く

2013-10-29 21:39:45 | ルーツ・ロック
THE VELVET UNDERGROUND & NICO / THE VELVET UNDERGROUND & NICO

ルー・リードが10月27日に亡くなられました。71歳だったそうです。長年肝臓の病気を患い、今年5月には肝臓移植手術を受けていたそうです。

1967年にヴェルヴェット・アンダーグラウンド「THE VELVET UNDERGROUND & NICO」でデビューして以来、パンクやグラム・ロックはもちろん、近年のオルタナティヴ・ロックに至るまで絶大なる影響力を持ち続けてきたロック界の巨人。2011年にはメタリカとのコラボによる問題作「LULU」で物議を醸したのも記憶に新しいですね。私はあのアルバム大好きでしたけど。結局あれが遺作になってしまいましたね。あとそれより少し前ですが、名作「BERLIN」の全曲ライヴを追った映画「ベルリン」(08年公開)も印象的でしたし、「HARRY SMITH PROJECT」(06年リリース)でブラインド・レモン・ジェファソンの「See That My Grave Is Kept Clean」を歌うルー・リードも格好良かったですね。

思い病気を患っていたとは言え、突然の訃報にショックを隠しきれません。

ルー・リードさん、安らかに。


↓Lou Reed - See that my grave is kept clean
http://www.youtube.com/watch?v=hu6z4h2VYb4

フジロック・ベスト・ニューフェイス!

2013-10-24 17:20:25 | フジロック
SKINNY LISTER / FORGE & FLAGON

楽しかったフジロックから3ヶ月が経とうとしていますが、当ブログ恒例のベストアクト企画をぼちぼち進めていこうかと思います。え?いまさら?って感じですが、そこを敢えて、張り切ってまいりましょう!!

さて、例年通りベスト5を第5位から順に発表していきたいところですが、今年は既に第1位を発表しちゃってるんですよね~。それはもちろんビョークでした! 何故、早々に1位だけ発表してしまったかと申しますと、ビョークはフジ終了直後に単独公演があったんです! その前にフジのレポートを書いておかないと、単独公演に向けて心の整理が出来なかったんです…。

ちなみにそのフジロック・ベストアクト第1位の記事はこちら→フジロック:ベスト・アクト!!


さて、第1位がバレバレな状態でベスト5というのも流石に興醒めなので、今年は順位付けは置いといて、個人的に印象に残ったライヴをいくつかピックアップして、その興奮を書き残しておきたいと思います。

今回は題して「ベスト・ニューフェイス!」


毎年新しいヒーロー/ヒロインが誕生するフジロック。今年もブレイク直前のサヴェージズやハイム、トム・オデール等ロック勢から、ブルース界期待の大型新人ゲイリー・クラーク・ジュニア、極めつけはグラミー賞最優秀新人賞受賞のファンまで、強力なニュー・フェイスが目白押しでした。「ルーツな日記」的にはゲイリー・クラーク・ジュニアも捨て難いところですが、今回は圧倒的にこのグループ!

スキニー・リスターです!!

正直な話、フジロックにエントリーされるまで、このバンドの名前すら知りませんでした。で、YouTubeで動画を検索して、一発でファンになりましたね。英国トラディショナルに根ざしたフォーキーなサウンドながらダンサブルでパンキッシュ。そしてライヴを謳歌するかの如く楽し気に歌い踊る女性シンガーの存在にも惹かれました。これはフジにぴったりですし、旋風を巻き起こすに違いないと確信しました。


そしてフジロック当日、その前夜祭からいきなりクライマックスは訪れました。

当日発表のタイムテーブルにスキニーリスターの名を見つけた瞬間にガッツポーズでしたよ! 例年、前夜祭のレッドマーキーは異様に盛り上がる。もちろんスキニー・リスターも例外ではありませんでした。この時、日本ではおよそ1ヶ月前にデビュー・アルバム「FORGE & FLAGON」がリリースされたばかりのニュー・フェイスでありながら、レッド・マーキーはパンパンになる程のお客さん達が集まり、始まる前から熱気に包まれている。そしてライヴが始まるや否や堰を切ったかのようにお祭り騒ぎ!!

YouTubeで見た通り、いやそれ以上にエネルギッシュ!! アコースティック・ギター、ダブルベース、マンドリン、アコーディオンなど、フォーキーな楽器編成も良い! そしてドラムレスとは思えない躍動感溢れるリズム。いや~、最高ですよ!! ライヴを引っ張るのはギター&ヴォーカルのダニエル・ヘプティンストール。よく見えませんでしたが、彼はギターを弾きながらStomp Boxを踏んでリズムをとっていたらしいですね。彼やアコーディオンのマックスウェル・トーマスは割りとパンキッシュ、いやパンクと言うより、彼らの場合はトラッドやアイリッシュもロックン・ロールの一種みたいなつもりでやっているのかもしれませんね。そういったところにヒップな感覚が感じられてまた格好良い! マイケル・カミーノがウッドベースを弾く姿にもそんな臭いを感じさせられました。

そしてやっぱり紅一点の女性シンガー、ローナ・トーマスに目が釘付け。彼女のフォーキーが爆発したような弾けっぷりもある意味R&R的。観客達を煽り、歌い、踊る彼女は本当にライヴが楽しくて楽しくて仕方が無いという感じ。見ているこっちもつい笑顔になる。そして一緒に歌い、踊りたくなる。いや、この熱気にはもう踊る他ありません!!

選曲はデビュー・アルバム「FORGE & FLAGON」からを中心に、知らない曲もあったかな? 「If The Gaff Don't Let Us Down」、「Trawlerman」、「Rollin' Over」、などアップテンポで踊れる曲が最高なのはもちろん、英国の幻想的な風景が目に浮かぶような美曲「Colours」も秀逸でした。でも何と言っても印象的だったのは、ほぼアカペラで歌われる「John Kanaka」。これはトラディショナル曲。どんな歌詞なのかは知りませんが、スキニー・リスターが歌うとほとんど“酔いどれ讃歌”のよう。その讃歌が観客達の大合唱を呼び込み、レッドマーキーを飲み込んでいく。私も一緒に歌いましたよ!歌詞なんて解らなくても全然OKな感じの一体感!!

そしてハイライトは「Forty Pound Wedding」。ステージにはサンディーのフラチームが合流し、エキゾチックな雰囲気をムンムンに巻き散らす。イギリス&日本、いやアイリッシュ&ポリネシアンか?とにかくちょっと普通じゃない混沌としたお祭り騒ぎ。スキニー・リスターのメンバー達もそれまで以上のはしゃぎっぷり。いやはや、前夜祭からこのテンションはヤバいでしょ!と思いつつ、私も楽しくて仕方が無い!

いや~、参りましたね。前夜祭から異様な盛り上がり。ベーシストのマイケル・カミーノなんて大きなウッドベースを弾きながら観客にダイブしちゃいましたからね。ま、ダイブと言うより観客達の頭上に倒れ込み、そのままクラウドサーフィン状態でベースを引き続ける感じ。そんな無茶なベーシスト初めて見ましたよ! 最後はローナ・トーマスが大きな画用紙をめくりながら、この後岩盤スクエアでライヴ&サイン会がある旨をしっかり宣伝。最後に添えられた赤いハートマークが彼女のキャラに合ってて思わず笑ってしまいました。っていうか岩盤でライヴあるの? それは行かねば!!って感じでスキニー・リスターのフジ初見参は終了。

ちなみにこの時のセットリストは以下のような感じだったようです。(スキニーリスターを日本で発売するレーベル、UNCLEOWENさんのブログより。)

1. If The Gaff Don't Let Us Down
2. Trawlerman
3. Colours
4. 10,000 Voices (新曲)
5. John Kanaka
6. Rollin' Over
7. Polkas
8. Seventeen Summers
9. Forty Pound Wedding



で、レッドマーキー後に向かった岩盤スクエア、ここで繰り広げられたスキニーレスターの第2ラウンドが、先のレッドマーキーに輪をかけて凄かった!! 普段はサイン会やMTVの収録などサブ・イベントが行われる岩盤スクエア。もちろん巨大なレッドマーキーとは比べようも無い小さなステージ。だからと言って手を抜くことなんて一切無い。逆にその小ささをメンバー自身が楽しんでいる様子でしたし、それ故に観客達も盛り上がる!何せステージの下はすぐ観客フィールドですからね。その親密感が半端ない!もう歌え!踊れ!の大騒ぎ。

紅一点ローナ・トーマスはひたすらライヴを享楽するようなはしゃぎっぷり。花柄のワンピースをひるがえしながら踊る彼女は、“セクシー”と言うより“度の過ぎたおてんば”って感じでキュートこの上ない! 彼女は歌っているより踊ってる時間の方が長いぐらいでしたからね~。途中、壷のような大きな瓶(ジャグバンドが使うジャグのような瓶)を持ち出し、中にはラム酒が入ってるらしいんですが、それを瓶ごと観客に振る舞ったりもしていましたね。そんな海賊の時代を思わせる豪快さも英国流ですかね?

もちろん彼女だけではなくメンバー5人全員ノリノリ。狭いステージ故の一体感がまた最高でしたね。そしてやっぱりトラディショナルに根ざしたリズムやメロディが良いんですよ!選曲は概ねレッドマーキの時と似たような感じだったと思います。「John Kanaka」も大合唱で盛り上がりましたし、「Rollin' Over」の楽しさっていったらもうね! そしてマイケル・カミーノはやっぱりベースを弾きながらダイブしちゃいましたしね。

岩盤スクエアという場だからこその濃密なライヴ。前夜祭にして早くも今年のベストアクトか!?ってぐらいな興奮度。しかもライヴの後はサイン会。上の写真はその時メンバー全員からサインを頂いたCDジャケ。ローナ・トーマスはサインを書きながらも歌ったり踊ったり、賑やかで可愛い人でした。まさに一夜にしてフジロッカーズの心をガッツリ掴んだスキニー・リスターでした。


↓こちらはQeticというサイトがYouTubeにアップしてくれた岩盤スクエアにおけるスキニーリスターの「Rollin' Over」。まさにあの日の興奮を見事に捉えた映像です。これ見ると思い出しちゃうんですよね~。↓
http://www.youtube.com/watch?v=OzxXOsIbz3g


さて、一夜明けていよいよフジロック初日。この日はインターFMの生収録にスキニー・リスターがゲストで登場。「If The Gaff Don't Let Us Down」「Rollin' Over」など4曲も生演奏してくれました。ラジオの収録だけあって、ハメを外さずにちゃんとやってました。ですがスキニー・リスターらしい、フォーキーで躍動感溢れる演奏でした。私はかぶり付きで見ていたのですが、後ろを振り返ると、もの凄い人が集まっていました!

で、この日はフジロック再奥の地、カフェドパリでもスキニー・リスターのライヴがあったのですが、残念ながら私は見逃してしまいました。ヘヴンでのエディー・ロバーツ・ウェスト・コースト・サウンズと被ってたんですよね~。ま、仕方ないです…。



そして2日目、この日はオフィシャルでのフジロック出演最後となるフィールド・オブ・ヘブン。雨の中、素晴らしいステージを披露してくれました。もうこの頃になるとすっかり“お馴染みのバンド”的な親近感すら沸いてきて、彼らが登場するや、待ってました!!って感じの歓迎ぶり。「John Kanaka」、「Rollin' Over」、「Forty Pound Wedding」などが鉄板な盛り上がりを見せたのはもちろんですが、森の中のステージゆえに、「Wild As The Wind Blows」や「Polkas (Jenny Lind/Girl In A Blue Dress)」、「Seventeen Summers」のような牧歌的な味わいのある曲がまた良かったですね。ローナ・トーマスの美しい歌声が印象的だったのは「Bonny Away」だったかな?

まあ、とにかく前夜祭から2日目にかけて、広いフジロックの至る所で楽しませてくれたスキニー・リスター。まさに前半の顔でした!!



http://uncleowen.exblog.jp/i99/
↑こちらはUNCLEOWENさんのブログ。今回のフジロックを含むスキニー・リスターの来日を全て追いかけていて非常に面白いです。フジロックでは大小のステージはもちろんメディア等の収録も含めて、計8回の演奏をこなしたようですね。さらに終了後の7月29日(月)は「おかえりなさい」と題したゲリラライヴ&サイン会をタワーレコード東京駅八重洲口店で敢行したそうです。29日(月)の東京駅と言えば、フジロッカーズ達が新幹線で帰ってくるその日ですよね。運良くスキニーリスターのライヴに遭遇したら歓喜ですよね~。かく言う私もその日、東京駅に帰京したんですけど、そんなライヴが行われているとは知りませんでした…。観たかったな~!!





ALLEN TOUSSAINT / SONGBOOK

2013-10-23 19:14:22 | ニューオーリンズ
ALLEN TOUSSAINT / SONGBOOK

今年9月にリリースされたアラン・トゥーサンのライヴ盤(こちらはDVD付きのデラックス盤)。09年にニューヨークのJOE'S PUBで収録されたものですが、おそらく正式なライヴ・アルバムとしては初めての作品ではないでしょうか。しかもバンドではなくピアノ・ソロです。題名からもわかる通り、代表曲のセルフカヴァーを中心にした選曲ですが、ピアノソロという形により新たな命が吹き込まれたような、単なるライヴ盤とは違う、新作として魅力あふれる作品に仕上がっています。

まず、古き良きニューオーリンズR&B好きといたしましては、「Who's Gonna Help Brother Get Further」「Lipstick Traces」「Get Out Of My Life, Woman」、そして「Certain Girl」から始まるメドレーなど、お馴染みのトゥーサン作ニューオーリンズ・クラシックの数々にニンマリですよ。中には普段ライヴではあまりやらなそうな曲も含まれているのがまた魅力的。例えばオープニングを飾る「It's Raining」とか。ご存知アーマ・トーマスが歌った名曲ですが、トゥーサンがピアノで弾き語るこの曲も素晴らしい。あとアート・ネヴィルの「All These Things」。これもピアノでのアレンジが美しすぎてため息もん。もちろんトゥーサンの歌声にもうっとり。またリー・ドーシー提供曲は今ライヴでも数曲取り上げられていますが、作者自身が歌う「Holy Cow」なんて私は初めて聞いたかも? やはりトゥーサン作の名曲の多さですよね。何度かライヴを観に行ってはいても、まだまだ聴けてない曲が結構あったりする…。一方で定番の名曲「Yes We Can」なんかはピアノソロならではの素敵なアレンジで新たな輝きを放っていますしね。この曲は冒頭に「We Are America」という曲が歌われますが、このれもトゥーサン作の曲でしょうか?

「Brickyard Blues」、「With You In Mind」、「Soul Sister」など、70年代のソウルフルな曲も素晴らしい。特に人気曲でありながら、必ずしもライヴでやるとは限らない「Brickyard Blues」が収録されているのは嬉しいですね。トゥーサンと言えば、柔らかく深みのある歌声が魅力的ですが、この曲ではハリのある若々しい歌声を聴かせてくれて、それがまた良いんですよ。また最後に「フランキー・ミラー」と一言添えるところもグッときます。82年のソロ作「MOTION」収録の「The Optimism Blues」やアーマ・トーマスが88年作「THE WAY I FEEL」で歌った「Old Records」なんかは結構レアな選曲ですよね~。

さらに「Shrimp Po-Boy, Dressed」、「It's A New Orleans Thing」、「I Could Eat Crawfish Everyday」、「There's No Place Like New York」の4曲は新曲でしょうか? よく分らないのですが…。ニューオーリンズ・スタイルのピアノが印象的な「It's A New Orleans Thing」や、トゥーサン流のハネともっちゃり感が味わえる「I Could Eat Crawfish Everyday」なんか良いですね~。「Shrimp Po-Boy, Dressed」と「There's No Place Like New York」もトゥーサンらしいポップ・センスの中にブルージな感覚やセンチメンタルなメロディが息づいてて、どれもこれも流石に良い曲です。で、またピアノのアレンジが良いんですよ!

そしてラストを締める大名曲「Southern Nights」の素晴らしさたるや!!

このアルバムを聴いてあらためてアラン・トゥーサンのピアニストとしての魅力を再認識させられましたね。優しくエレガントな響きの中に脈打つニューオーリンズならではのファンクネス。大衆的なR&Bに南部の神秘性が溶け込むような、トゥーサンのタッチにはそんな不思議な魅力があります。もちろん歌声も素晴らしい。愛らしいフィーリングを感じさせる高音も魅力的ですが、深いコクのある低音がまた良いんですよね~。ここ近年、明らかに新たな全盛期を迎えていますよ!!


さて、そんなアラン・トゥーサンは現在来日中です。東京公演は今日10月23日までですが、大阪は明日24日です。場所はもちろんビルボードライヴ。今回は息子さんのクレアレンス・レジナルド・トゥーサン(Percussions)との親子デュオと言うことですが、雰囲気的には今アルバムのようなピアノソロに近い演奏になるのではないでしょうか? これまでのバンドを従えた来日公演とは一味違うステージを見せてくれることでしょう。

10月22日(火)ビルボードライヴ東京
10月23日(水)ビルボードライヴ東京
10月24日(木)ビルボードライヴ大阪


*デラックス盤のDVDにつきましては、カメラアングルがやや単調ですが、一音一音を愛でるように弾き、歌うトゥーサンの表情が凄く良いです。インタビューも収録されていますが、輸入盤なので日本語字幕はありません…。

ダブルフェイマス@恵比寿文化祭2013

2013-10-16 00:52:53 | 邦アーティスト
10月12日、恵比寿ガーデンプレイスにてダブルフェイマスを観てまいりました!!

こちらは「恵比寿文化祭2013」というイベントの一コマで、センター広場で行われたフリー・ライヴでした。前列にホーンとアコーディオンを操る3人、後列にキーボード、ドラムス、パーカッションという6人編成。フジロックの常連としても知られる彼らですが、私としては、恵比寿カチャトラ周辺のバンドというイメージの方が強かったり。マウントシュガーのヘルプとしてもお馴染みの藤堂正寛さんが参加しているバンドでもあるので、一度ライヴを観てみたいと思っていたのですが、ここに念願叶いました。

メンバーそれぞれの佇まいが格好良かったですね~。スタイリッシュでありながら何処か尖っている。もちろん演奏も素敵!! クールなヴァイヴに溢れた、無国籍且つエキゾティックなグルーヴが格好良かったです! 藤堂さんのキーボードも良かった!最後の方ではアコーディオンを持って前の方へ出てきてましたしね。あと観客としてマウントシュガーの山里アリサさんも観にいらしてて、少しお話し出来たのも嬉しかったです!





サッチモ祭@ヱビスビール記念館

2013-10-10 18:58:47 | フェス、イベント
9月29日、恵比寿ガーデンプレイスにあるヱビスビール記念館にて開催されました「サッチモ祭」に行ってまいりました。1981年に始まり、今年で33回目を数える伝統のフェスティヴァル。文字通り、“サッチモ”ことルイ・アームストロング大好きなミュージシャン及び観客達が集まるニューオーリンズ・ジャズの祭典です。私は今回初めて観に行ったのですが、想像以上に盛大で、日本におけるニューオーリンズ・ジャズ/デキシーランド・ジャズの根強い人気に驚かされました。もちろん観る方も演る方も年齢層高めですが、それがまた味わい深いのです。

次から次へと熟練のジャズメン達が渋くも朗らかなジャズを聴かせてくれて、古き良き時代の香りを肌で感じさせてくれるような演奏に思わず顔がほころびました。そんななか溌剌と登場した若手グループがハロバンド。ハチャトゥリアン楽団でもお馴染みの菊池ハルカさん(トロンボーン)と丸山朝光さん(バンジョー)がやっているもう一つのニューオーリンズ・ジャズ・バンドです。二人の他にトランペット、ピアノ、ドラムス、ウッドベースからなる一体感は、溌剌としていながらも心地良いスウィング感に溢れ、ニューオーリンズらしい躍動感を存分に味合わせて頂きました。丸山さんが味のある歌声を聴かせてくれたのは「I'm Confessin'」、若々しい華やかな演奏で、場内を盛り上げたのは「Original Dixieland One Step」だったかな? 菊地さんのMCと、音楽への愛情溢れる楽しそうな表情も印象的でした。

“サッチモ祭”というだっけあって、トランペットを中心にしたブラス・アンサンブルが目立つ中、バンジョー奏者が7人?も並んだバンジョー・ストンパーズも異色でしたが、異色と言えば古川奈津子ソウルフード・カフェでしょう。トラディショナルなジャズが続く中、ピアノを弾きながらゴスペル曲「His Eye On The Sparrow」を浪々と歌う古川さんの存在感は抜群でしたね。あの歌声には痺れました! そしてルイ・ジョーダンのブギウギ名曲「Caldonia」も最高でした! それまでニューオーリンズ・ジャズって良いな~、なんてしみじみと思っていましたが、やっぱりこういうR&Bな演奏を聴かされると、また違った血が騒いじゃいますよね~。

そして最後を締めた外山喜雄とデキシー・セインツ。やっぱりね、これはちょっと格が違うな、という印象でしたね。“日本のサッチモ”と言われる外山さんは、とてもリラックスして、余裕綽々ながら、トランペットの音色はもちろん、歌声にもどこか親しみやすい風格があって、ニューオーリンズ・ジャズらしい、愛嬌たっぷりの演奏には引き込まれずにいられませんでした。途中、セクシーなダンサーを引き連れて登場したゲスト・シンガーの水森亜土さんの個性も強烈でした。


この「サッチモ祭」の主催は外山喜雄さんが会長を務める日本ルイ・アームストロング協会。この日本ルイ・アームストロング協会は、サッチモの精神のもと、ニューオーリンズの子供達へ長年に渡り楽器の寄贈を行ってきているそうです。90年代にニューオーリンズを再訪した外山夫妻は、若い頃にジャズを学んだこの町の、あちこちにドラッグが溢れ、若者が拳銃を持っているような危険な町に変貌した姿にショックを受け、「銃に代えて楽器を」というスローガンの下、楽器の寄贈を始めたそうです。それから18年間で寄贈された楽器はおよそ800台にもなると言います。なんと、今をときめくトロンボーン・ショーティーも中学3年生の時にこの日本ルイ・アームストロング協会からトロンボーンを寄贈されたとか。ニューオーリンズにおけるジャズやブラスバンドの文化を、陰ながら日本から支えている方々がいらっしゃるというのは、なんとも嬉しい驚きであります。


この日の「サッチモ祭」でもライヴの合間に被災地支援パレードが行われ、外山さんを先頭に、ミュージシャンやスタッフさん達が募金を募りながら客席を練り歩き、ニューオーリンズのセカンド・ライン・スタイルな楽しいパレードを披露してくれました。私も少しですが募金させて頂きました。



ハロバンド↑

ブルーノート東京のニューイヤーライヴに上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト!!

2013-10-07 22:22:10 | ジャズ
HIROMI THE TORIO PROJECT FEATURING ANTHONY JACKSON & SIMON PHILLIPS / MOVE

なんと、今年のブルーノート東京のカウントダウン&ニューイヤーライヴは上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクトだそうです!! これは堪りませんね~。

まだ詳細は発表されてませんが、日程は、2013年12月28日(土)~2014年1月3日(金) 全日一日2公演、とのことです。一週間ぶっ続けの14公演でしょうか? 凄いですね~!!

これはぜひぜひ、カウントダウンに参加したいところ。


ですが今年は、11月から12月にかけて毎年のように行われていた上原さん関連のジャパン・ツアーもどうやら無いようですし、今のところ日本での公演として発表されているのはこのブルーノート東京のみ。当然のごとく、上原さんファンはこの1週間、特に31日の2ndショーに照準を合わせてくるでしょうからね~。

チケット取れますかね~?? (お値段も気になるところ…)。


インフォメーション→ブルーノート東京


*写真はもちろん上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクトの傑作「MOVE」。最強トリオ、上原ひろみ、アンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスが帰ってきます。これらと一緒に年明けを迎えられたら最高ですね!!

そそるライヴ 10月編

2013-10-05 16:40:48 | そそるライヴ
関東近辺にて10月に行われるライヴ、フェス、イベントのなかで、気になるものをピックアップしてみました。


10/02(水)Madeleine Peyroux @ビルボードライヴ東京
10/05(土)Richie Furay @ビルボードライヴ東京
10/06(日)三鷹の森フェスティバル2013 @井の頭恩賜公園 西園 グラウンド
10/06(日)MOUNT SUGAR @日曜音楽バー「アサノラ」(阿佐ヶ谷 barトリアエズ)
10/08(火)ANA POPOVIC BAND @丸の内コットンクラブ
10/09(水)Myron & E with The Soul Investigators @ビルボードライヴ東京
10/10(木)ASIAN DUB FOUNDATION(Aktarv8r & Nathan"Flutebox"Lee) @タワーレコード渋谷店(インストア・イベント)
10/10(木)STEVE GADD BAND @ブルーノート東京
10/10(木)The Jessica Stuart Few @代官山 Weekend Garage Tokyo
10/11(金)MALA IN CUBA LIVE! @代官山UNIT
10/12(土)Double Famous @恵比寿ガーデンプレイス 観覧無料!
10/12(土)Carlos Nunez @すみだトリフォニーホール
10/12(土)朝霧JAM  @富士宮市 朝霧アリーナ
10/13(日)朝霧JAM  @富士宮市 朝霧アリーナ
10/13(日)Petteri Sariola @タワーレコード渋谷店(インストア・イベント)
10/15(火)BETH ORTON @Shibuya CLUB QUATTRO
10/17(木)ED MOTTA with special guest DAVID T. WALKER @ブルーノート東京
10/18(金)THE TROJANS @Shibuya CLUB QUATTRO
10/19(土)The Rockin' Baritones @タワーレコード新宿店(インストア・イベント)
10/20(日)JOHN SCOFIELD “Uberjam” @ブルーノート東京
10/21(月)BENJAMIN HERMAN TRIO @丸の内コットンクラブ
10/22(火)Allen Toussaint @ビルボードライヴ東京
10/24(木)CODY CHESNUTT @ブルーノート東京
10/26(土)earthgarden“秋” @代々木公園 入場フリー!
10/27(日)earthgarden“秋” @代々木公園 入場フリー!
10/26(土)BOSSA AOYAMA 2013 @外苑前駅、表参道駅周辺施設 入場フリー!
10/27(日)BOSSA AOYAMA 2013 @外苑前駅、表参道駅周辺施設 入場フリー!
10/28(月)BOOKER T. JONES introducing KORI WITHERS @ブルーノート東京



お出かけの際は事前のご確認をお願いいたしま~す!

Kitchen Table Music Hour vol.1@白山 映画館

2013-10-04 01:05:38 | 邦アーティスト
9月28日、白山にある「映画館」というジャズ喫茶に行ってまいりました。

実はこの「映画館」、以前に雑誌かなにかで見てちょっと気になっていたんです。そして今日はそこでノラオンナさんのライヴがあるとのことで、これは良い機会!と思い、おジャマしてまいりました。

地下鉄「白山」駅を降りてすぐの小径を入ったところにひっそりと佇むジャズ喫茶「映画館」。中に入ると、狭く薄暗い店内の至る所にジャズや映画の香りが立ちこめ、その雑然とした空気はまるで昭和時代辺りのアングラを感じさせる独特な雰囲気。壁にかけられた数個の振り子時計がコチコチコチコチという音を刻む。決して多くはない席数ながらほぼ満席。私は椅子と椅子の間を分け入り、ポツンと空いていたカウンター席に座りました。

この日は詩人のカワグチタケさんによる「Kitchen Table Music Hour vol.1」というイベント。出演は、まえかわとも子さん、そしてノラオンナさんの2組。まずは、まえかわとも子さんからスタート。

なんの前知識もなく拝見させて頂いたまえかわとも子さんでしたが、その声の良さに引き込まれました。ボサノバ・タッチのアコギ弾き語りで、和声フォークな情緒にも溢れてる。ジャズ喫茶の雰囲気にもぴったりで、彼女の歌声がしっとりと空気に溶け込んでいました。MCで、普段はシャンゴーズというグループで歌っているとおっしゃっていましたが、もしかしたら前に一度ライヴを観たことがあったかもしれません。そんな懐かしさを覚える素敵な歌声でした。

そしてこの日のお目当て、ノラオンナさん。以前にマウントシュガーのライヴを観に行った際、一度お会いしたことがあったのですが、ライヴを観るのはこの日が初めて。ウクレレ弾き語りという親しみやすい雰囲気ながら、低く湿った歌声にはトロリとした甘さがあって、大人っぽい魅力が心地良かったです。でもコミカルな “ふなっしー” の歌を歌ったりとか可愛らしい一面もあったり、なんだか不思議な感じ。ポップでありながら陰があるような、そんな雰囲気が素敵でした。


初めて訪れるジャズ喫茶で、初めて聴く2組の女性アーティスト。とても良い午後のひと時を過ごさせて頂きました!