ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

余話:清志郎と握手!

2006-11-20 18:41:31 | 余話
RC サクセション / THE DAY OF R&B

サム・ムーアのブルーノート最終公演。またその話かよ!って感じですが、かれこれ4回連続ですね。でもこれで最後だと思うので、しばしお付き合いを。

サム・ムーアのライブ佳境に登場した忌野清志郎。exciteのニュースにその日の経緯が詳しく載っていました。


『陣中見舞いのつもりだったが、ステージ途中でムーアが清志郎のいる2階席までやってきた。「あとで呼ぶからステージに出ないか?」。15歳も年上の“巨人”の誘いには断れず「OK!」。闘病中、しかも、のどのがんと分かってはいるけど、歌いたかった。』

『清志郎にとっては6月の米ナッシュビル公演以来のステージ。もう1曲歌おうとするのを関係者に止められたが「鳥肌が立った。新人時代に戻った気がしたよ。再起の第一声をムーアと一緒に歌えて幸せだ」と感無量の表情で振り返った。』


もちろんまだ闘病中ですが、抗がん剤の効果があり、がんもかなり小さくなっているとか、今は通院生活だそうです。

清志郎の胸中と闘病の爪あとを私の憶測で言葉に記すのもどうかと思い、控えていたのですが、ステージに現れた清志郎の頭はほとんど丸坊主でした。そしてなにやら不安げな表情にも見えました。

でも歌い始めたらそんな心配を振り払うほど元気な声とキヨシロー節になんだかこっちが勇気付けられました。

exciteのニュースにはそんな坊主頭や闘病に関するポジティブな言葉もあり、それもまたキヨシロー節!凄い人です。


またこの日のライブでは、最後にサムがビリー・プレストンをトリヴュートし、「You Are So Beautiful」をしっとりと歌いました。

ビリー・プレストンは今年の6月6日、闘病の末、惜しくも亡くなられました。ビートルズやストーンズとの共演でも知られる名キーボーディストで、名曲「You Are So Beautiful」の作者でもあります。

実は私は腎不全を患っておりまして、ビリーが腎臓を患い、人工透析~腎臓移植という経緯で亡くなられたのは、単なる大好きなアーティストの死、以上に私の心に重く響きました。とは言え私はまだ闘病中のビリーのように深刻な状態ではありません。透析もしていません。食事制限はしていますが気楽なものです。

ですが腎臓病が発覚してかれこれ18年。治る病気ではないので将来的には透析を覚悟しなくてはいけないのかもしれません。なので病気と戦っている人、特にあの日の清志郎さんみたいな、そんな人には勇気を与えられます。

終演後、たまたま出口近くで、帰る清志郎さんの後姿を見つけ、「握手してください」と声をかけてみたら、振り返って笑顔で、思いのほか強く私の手を握ってくれました。

清志郎さん、ありがとうございます。そして頑張ってください!


*写真のアルバムは82年に清志郎がサム・ムーアとチャック・ベリーを日本に招いて行われた記念すべきイベント「THE DAY OF R&B」の模様を収めたもの。サム・ムーアは3曲収められていますが、まだ若々しく、パワー溢れる高音ヴォイスが強烈です。もちろんRCもカッコ良い!サム、RC、チャックと並ぶと、RCはソウル・バンドなんだなと感じます。昨年初CD化されたものなのですが、どうせならもっと曲数を増やして欲しかった…。




~関連過去ブログ~ お茶のお供にどうぞ。

 06.11.18 サム・ムーア@ブルーノート東京 1
 06.11.19 サム・ムーア@ブルーノート東京 2

サム・ムーア@ブルーノート東京 2

2006-11-19 11:49:52 | ソウル、ファンク
SAM MOORE / OVERNIGHT SENSATIONAL

サム・ムーアのブルーノート東京最終公演レポートのつづきです。

さてここからは山場の連続です。まずスタックス時代のソウル・ブラザー、オーティス・レディングの「I Can't Turn You Loose」。嬉しい選曲ですね。ブルース・ブラザーズでも有名ですが、やっぱりその辺を意識しているんですかね?

この曲はエンディングにやられました。終わったと思っても「One More,One More」とか言ってまた始める。そして終わっては始め、終わっては始めの繰り返し。いったい何回やったんでしょう?その度に客席は大うけ!サムも上機嫌。こう言ったディープでコテコテな演出は、いかにもソウル!って感じで良いですね~。

盛り上がりの後、流石に疲れたような表情を見せたサム・ムーア。ヒート・アップしすぎた観客を一旦着席させ、静かに始まったのが名スロー「When Something's Wrong With My Baby」。この構成が素晴らしい。「落とす」と言うのはこういうことを言うんだな、という見本のように、ストーンっとバラードの世界に空間を引き込みます。そしてサムの歌がまた良い!ホントに良い!

一言一言かみ締めるように、切なげに泣くようなテナーを聴かせます。後半は語りのようになり、英語がダメな私にはもちろんその内容は分かりませんでしたが、ゴスペル的でソウルフルな語り口に感動して思わず潤っときました。終わった後、着席していた観客もあらためてスタンディング・オベイション。感動的です。

そしてその感動覚めやらぬ内にサプライズが訪れます。サムの奥様かな?と思われる女性に紹介され、まさかの忌野清志郎が登場。しかもフラっと訪れただけの普段着のようないでたちでした。抗がん剤治療などもしているという話を聞いていただけに、心配と期待と複雑な気分で見守りました。あの場に居た多くの人は似たような気持ちだったと思います。

そしてサムと清志郎のデュエットが始まり、曲は「I Thank You」。サビを叫ぶ清志郎、あの声です。客席が沸きました。さらに途中歌を任されると、サムを讃える内容の、いかにも即席風な荒っぽい日本語詞を高らかに吠え、これがあまりにもキヨシロー節で嬉しくなりました。カッコ良かったです。

そう言えば清志郎は82年にサム・ムーアを日本へ招き「THE DAY OF R&B」というイベントを開催していましたね。そんな憧れのサム・ムーアからまた元気を貰ったことでしょう。

そして清志郎に代わって紹介されたのがゴスペラーズ。これはもうお祭り騒ぎ。サム&デイヴの代表曲「Soul Man」~スライの「Dance To The Music」、さらに「Soul Sister, Brown Sugar」と、ちょっとゴスペラーズのメンバー達がはしゃぎ過ぎな感じもしましたが、気持ちは分かります。

この大盛り上がり大会で大大円かと思いきや、またやってくれました。最後はしっとりと、今は亡きビリー・プレストンの「You Are So Beautiful」。サムとビリーは長く友人だったようで、この曲を歌うサムの表情はなんとも言えませんでした。もちろん歌も素晴らしかったです。参りました。

と同時にここにビリーが居たらどんなに素晴らしいだろう…、とか考えてしまいました。それは「Rainy Night In Georgia」でコンウェイ・トゥイッティを思い出さずには居られなかったり、もちろんサム&デイヴの名曲群ではデイヴ・プレイターとの熱いハモリを思い出したり。

色々な意味で感慨深いライブでした。サム・ムーア様、ありがとう!

でもただ一つ、サム・ムーアが1人で気合いたっぷりに歌う「Soul Man」も聴きたかった、なんて言ったら欲張り過ぎですかね? ではまたそれは次回に!お願いします。



ちなみに、Soul Searcher氏のブログにて、1曲目のインストはジミー・スミスの「Back At The Chicken Shack」。そして例の黒人女性シンガーは日本で活動するブレンダ・ヴォーンというシンガー、と言うことが判明しました。ブレンダ・ヴォーンはあらためてライブを見てみたいですね~。



~関連過去ブログ~ お茶のお供にどうぞ。

 06.11.18 サム・ムーア@ブルーノート東京 1
 06.11.17 サム・ムーアに大興奮!
 06.11.14 リズム・カントリー&ブルース
 06.10.25 サム・ムーア(SAM MOORE / OVERNIGHT SENSATIONAL)




サム・ムーア@ブルーノート東京

2006-11-18 15:21:51 | ソウル、ファンク
SAM & DAVE / THE BEST OF SAM & DAVE

サム・ムーアのライブ、ブルーノート東京最終日から一夜が開け、あのスペシャルな夜の興奮は、今では何やら現実離れした夢のようでもあり、脳裏に焼き付いたその断片を思い出すにつれ、甘味でトロっとした気分になります。

古き良きサザン・ソウルの息吹と、新作を引っさげての現役振り、さらには生ける伝説としての神々しさと、観客と肌で触れ合うような暖かさ、それらがもののみごとに見事に調和した極上のソウル・ショー。

そしてブルーノート東京というクラブ公演だからこそ実現した濃密な空気。あの場に居れたこと、あの場の空気を吸えたこと、それがこの上ない幸せに感じます。


夜8時頃、ほぼ定刻に客電が落ち、伝説のソウル・マンをサポートするバンドメンバー達がステージ場に表れました。まずは挨拶代わりにインストを演奏。(ゴメンナサイ、曲名分かりませんでした。)2曲目はバーケイズの「Soul Finger」。往年のスタックス・ナンバーに客席が湧きます。この時、このバック・バンドがホーン隊も含め、今夜のステージを素晴らしいものしてくれることを確信しました。3曲目は「Peter Gunn」。ブルース・ブラザーズで有名なあの曲です。嬉しい~。まさにソウル・レヴューの始まりを告げるかのような演奏。ここでサム・ムーアが登場するかと思いきや、まだ出てきません。

そしてサム&デイヴ時代の大ヒット曲「Hold On, I’m Coming」。沸き上がる観客。そして客席後方からいよいよ御代サム・ムーアの登場!観客と握手しながらゆっくりとステージに向かいます。おそらく観客のほとんどの人が「おー!本物だ…。」と思ったことでしょう。

ステージ場でのお茶目な振る舞いで客席を和ませながら「Knock On Wood」「Come On, Come Over」「Rainy Night In Georgia」と続きます。名曲オンパレードに涙ものですが、この辺はかなりあっさり味。正直私はこれらのナンバーを聴いている時、ちょっと元気がないかな、連日のショーで疲れているのかな、などと心配になったりしたのです。ですがこの後に続く強烈でディープなパフォーマンスにそんな思いは杞憂に終わりましたが…。

続いて「None Of Us Are Free」「I Can't Stand The Rain」「Blame It On The Rain」「Ain't No Love」と新作からの曲の連続攻撃。流石に気合いが感じられ、サム自信もノッてきたのか声の艶とハリ、そして勢いがどんどん増してきた感じです。もちろん客席もそれに答え熱気に包まれて行きます。

特に「Blame It On The Rain」ではサビの部分を観客に歌わせると言う、狭いクラブならではの趣向があり、指名されたお客さんがサムにリードされながら懸命に歌い沸せました。サムの人柄が表れる和やかな雰囲気に。しかも最後は黒人の女性が名乗りを上げ、とんでもない歌唱を披露しました。黒人というだけで、きっと上手いに違いないというその場の期待を完全に超越した歌唱力。あれはきっと本物のゴスペル・シンガーですよ。盛り上げ方を知っていました。っていうか誰? サムも最後にあきれ顔で「Oh My God」と呟いていました。

そしてステージを華やかに盛り上げ、サムをサポートしていた女性コーラス2名のソロ・コーナーを挟み、そのコーラスの一人Callowayとサムのデュエット「Don't Play That Song (You Lied)」。これが素晴らしかった。特にCallowayが大健闘。サムの新作ではベッカ・ブラムレットがソウルフルに歌っていますが、Callowayはまた違った魅力で、艶っぽくそして熱く、さらにキュートに魅せてくれました。

さらにいよいよこの後、ソウル・ショーは佳境を向かえ、更なる盛り上がりとサプライズが訪れるのですが、長くなってきたのでとりあえず。

つづく。


*写真のアルバムはサム&デイヴのスタックス/アトランティック時代のベスト盤。彼等全盛期のヒット曲や代表曲が年代順にまとめて聴ける好盤。私はサム&デイヴと言うとこれを聴いてしまいます。サム・ムーアのライブでも披露された「Hold On, I'm Coming」「When Something's Wrong With My Baby」「Soul Man」「I Thank You」「Soul Sister, Brown Sugar」を収録。


サム・ムーアに大興奮!

2006-11-17 23:52:19 | ソウル、ファンク
サム・ムーアのブルーノート東京最終日に行ってまいりました!
最高でした。素晴らしかったです。流石に若くはないかもしれません。ですがとんでもない声とソウルの持ち主でした。まだまだ元気です。やっぱりソウルは良いですね。

サザン・ソウル・クラシックと新作のナンバーを中心に緩急織りまぜた素晴らしいショーでした。バックのバンドも良いし、サムのステージ運びも流石で、彼の意外な程お茶目なキャラと相まってアットホーム且つ暖かい雰囲気で進み、でも目の前にいるのは正真正銘のあの、サム・ムーア!という極上の時間を過ごしました。

白眉はやっぱり「When Something Is Wrong With My Baby」ですね。これはホントに目が潤む程に素晴らしかったです。サム・ムーアは突き抜けるようなテナー・ヴォイスが魅力ですが、歌そのものにはずっしりとした重みを感じました。私の貧困な表現力では到底書き記すことが出来ない、心に響くソウルでした!

その他では観客に歌わせて沸せた「Blame It On The Rain」や女性ヴォーカリストとの熱いデュエット「Don't Play That Song (You Lied)」、なかなか終わらない「I Can’t Turn You Loose」辺りはとても楽しく、ライブならではの盛り上がりで印象に残りました。

そして終盤にはまさかの忌野清志郎さんの登場に場内騒然となり、その後サムと共に「I Thank You」を歌って盛り上げました。ちょっと可愛い雰囲気の清志郎さんでしたが、それでもキヨシローらしさを見せる元気な声を聴かせてくれました。

さらにゴスペラーズが乱入し大盛り上がりで終演と思ったら、最後は感動的な「You Are So Beautiful」。この曲でのサムの歌も神がかっていました。

とりあえず今日はこの辺で、明日にでももうちょっと詳しく書くつもりです。
それにしてもホットな夜でした。まだ興奮の余韻に包まれています。