ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

"SAVE LIVE MUSIC" 上原ひろみ ~BALLADS~ ライヴ配信

2020-09-16 17:55:01 | ジャズ
ブルーノート東京長期公演の真っただ中の上原ひろみさん。9月11日に、その配信3回目が行われました。

この日のテーマは「BALLADS」。実は4つのプログラムの中で、私が最も気になっていたのがこれ。バラードですからね。恐らく1ステージ全てバラードでやるんだろうと。これは多分、上原ひろみさんとしても初めての試みなのではないでしょうか?上原さんと言えば、超絶的な早弾きや変拍子といった、激しい面がクローズアップされがちですが、実はバラードが絶品なんです。

さて、この日も上原さんの足元、靴のアップからスタート。ラバーにLIVE MUSIC AWAKENSと書かれている。ちなみに前回「PLACE TO BE」の時は、RETURN OF LIVE MUSICと書かれていました。そしてカメラは上原さんの全身を映しだす。大人っぽいお化粧に、髪形もいつもの爆発をエレガントに纏めた感じ。黒のワンピースで肩のあたりがレースになってる。バラードですからね、アダルトな雰囲気で、とても美しい。この上原さんの容姿を見てさらにバラードへの期待でワクワクしましたね。

ピアノの前へ座り、しばしの精神集中。そして柔らかいタッチが奏でる儚げな音色。美しいメロディーラインがしっとりと響いていく。1曲目は「Somewhere」。情感豊かなスロー・ナンバーに、まるで魂を引き抜かれるかのよう。そんな風に始まる上原さんのライヴ、極上です。

「Wake Up and Dream」、「Whiteout」、「Firefly」と、絶品バラードが続きます。上原さんって、ジャズピアニストとして語られがちですが、実はメロディー・メイカーとしても、とても魅力的な人。特に近年のスロー・ナンバーにおける抒情性は特筆されるべき。感情の移ろいをグラデーションのように紡いでいくメロディラインの美しさは、上原ひろみさんならでは。例えば「Wake Up and Dream」は、クラシックのような旋律を持ち、それをレイヤーのように重ねていくドラマチックな展開が感動的。「Firefly」は儚いメロディーが産まれては消え、産まれては消えゆくように流れていく。毎回聴くたびに儚すぎて泣きそうになります。

そして曲の良さと相まって、ピアノの音色が良いんですよ!配信で聴いてもその美しさは分かります。上原さんは、繊細なタッチとペダルで微妙に音色を変えていく。メロディーの移ろいを音色でも彩っていく。その流れるような美しさは、ただただ聞き惚れるしかありません。そしてもちろん上原さんですからね、バラードとは言え、即興パートもふんだんに。曲想に寄り添いながらも、時折リズミカルになったり、力強くなったり、瑞々しい感情表現を交えながら、上原さんらしい予測不能な世界へ引き込んでいく。また上原さんの表情が良いんですよ。めちゃくちゃエモーショナル。批判を恐れずに書きますけど、私は上原さんの顔ファンですから!!

矢野顕子さんとのコラボ作で披露された「月と太陽」。もちろんここでは上原さんが一人でやるんですけど、この曲も良かったですね~。上原さんが作った詩も素敵なんですけど、ピアノ曲としてインストで演奏されるこの曲も味わい深かったです。さらにこの日最も意外な選曲がベートーベンの「悲愴」ですね。ここにベートーベンいれるか?っていう。ですが、流れとして不思議と収まるところが上原さんの個性的たる所以なのです。

本編ラストは「Green Tea Farm」。ちょっと懐かしさのある和テイストなメロディー。この曲はいつ聞いても染みますね。途中、「Place To Be」になって、最後は「故郷」のメロディで。うさぎおいしかのやま。

それにしても、ピアノ1台で、バラードのみで、これだけ多彩な音色と、情感を表現できるもんなんですね。そしてどれもが上原ひろみ印っていう。あらためて上原さんに惚れ直しました。

そしてアンコールは「Sepia Effect」。全8曲、もちろん最後までスロー・ナンバーです。1曲目「Somewhere」の出だしの繊細さから、その音色の世界に引き込まれ、曲を重ねるごとに”上原ひろみのバラード”の美しさに没入していく。ただただ身も心も没入していく、そんな濃密ライヴ。まったく飽きることなく画面にかじりついたおよそ70分。唯一、気が抜けた瞬間と言えば、いつも1回だけあるMCの時間。今回は演奏がしっとりだったこともあり、おしゃべりはいつもより饒舌でした。「4つのプログラムの中でも最もマニア向けの公演、それが今日のBALLADSになります。」とか、「ここの会場と、オンライン配信の皆さんと、マニアが大集結。」とか、会場を笑わせていました。

いやはや、本当に素晴らしいライヴでした。

あと、ちゃんと最後の音が消えるのを待って拍手するお客さん達も素晴らしかったです。やっぱりバラードは、最後の余韻まで浸らないと。

(やっぱり会場で観たかったな…。)


1. Somewhere(Place To Be)
2. Wake Up and Dream(Spark)
3. Whiteout(Spectrum)
4. Firefly(Alive)
5. 月と太陽(Get Together 〜LIVE IN TOKYO〜)
6. Beethoven's Piano Sonata No.8 - Pathetique(Voice)
7. Green Tea Farm(Brain)
EC. Sepia Effect(Spectrum)


欲を言わせていただければ、「Voice」収録の「Haze」、聴きたかったな~。私が上原さんのスロー・ナンバーで一番好きな曲。それだけが残念…。

"SAVE LIVE MUSIC" 上原ひろみ ~PLACE TO BE~ ライヴ配信

2020-09-10 23:32:21 | ジャズ
現在、ブルーノート東京にて、"SAVE LIVE MUSIC"と題して、4種のプログラムによる16日間32公演に渡る特別長期公演を行っている上原ひろみさん。現地へ行けないファンのために、各プログラムの配信も行ってくれるとのことで、基礎疾患的な持病のある私も、今回はブルーノートへは行かず、配信を選ぶことにしました。そして9月7日、その2日目の配信がありました。この日のタイトルは「~PLACE TO BE~」。

上原ひろみさんにとって初のソロ・ピアノ・アルバムとなった「PLACE TO BE」がリリースされたは2009年、もう10年以上前なんですね。私もあのアルバムを引っ提げての上原さんのソロ公演は何度か観に行きました。そして今、あのアルバムを振り返るというこの公演。2020年の「PLACE TO BE」です。

オープニングは上原さんの足元、靴のアップから始まります。おそらく旦那様の三原康裕さんによる靴なんでしょうね。前回もこの始まり方でしたが、これは全4回統一な感じですかね?こういう演出は配信ならではの楽しさ。そして拍手喝采のなか、ステージへ向かう上原さん。今回は黒を基調にしたワンピース。頭に白黒ストライプのバンダナかな?を巻いてるところにちょっぴりPLACE TO BEっぽさを感じたり。

1曲目は「BQE」。ブルックリンとクイーンズを結ぶハイウェイ。相変わらず”狂気”をはらんだ描写にゾクゾクしましたね。続いて「Sicilian Blue」。この曲は綺麗な曲ですよね。とてもメロウ。そしてジャジー。その深遠な表現力に上原さんの円熟味を感じさせられたり。しかし続く「Choux a la Creme」は若さ全開。全身で跳ねるように満面の笑みで弾きまくる上原さん。まるで大きなおもちゃを与えられた子供がはしゃいでいるかのよう。こういう上原さんは天下無敵ですよ!そしてリズムの展開のキレが素晴らしい!!!これは2020年最高のシュークリーム!!

「Pachelbel’s Canon」では鉄の定規のようなものを、ピアノの中へ、おそらく弦の上?に置くんです。するとシャンシャンとしたちょっとチェンバロっぽい音に変化するんです。今回はカメラがその置く瞬間も捉えてくれたんですけど、2本の定規のようなものを、かなり慎重に置いてるように見えたのも収穫でした。自分でもその音の変化を楽しむように弾く上原さんが印象的でした。そして後半のインプロは、以前に比べて饒舌な印象。ま、その日その日でニュアンスは違うんでしょうけどね?

そして「PLACE TO BE」のハイライトと言えばラスベガス組曲。お馴染みのルーレット(スロット?)が回りました!当たらないと先へ進まないというまさにギャンブラー。今回は途中から音が変わるという演出もありましたね。ハズレが続いてくると、本来なら観客達がやんやと騒ぎ始めるのですが、おそらくコロナ対策でしょうか?今回は手拍子のみで応援。そしてついに当たった後の怒涛の展開は相変わらず大興奮。ものすごい疾走感でグルーヴしまくる左手のリズムは圧巻でしたね。手先をカメラがアップで捉えてくれるので、その驚異的な指さばきもかぶり付きで堪能できました。いやはや、間違いなく強度増してます!もうホント最高!!!

「BQE」ではじまり、「The Gambler」で本編を終わるという、ある意味予想通りではありましたが、懐かしさだけではない、現在の上原ひろみを見せつけた「PLACE TO BE」であったことは間違いないでしょう。まあ、ジャズもピアノも素人の私には、どの辺が新しかったのかを言葉に出来ないのが口惜しいですが、驚くほど新鮮な感動に満ちた「PLACE TO BE」だったことは断言できます!!

そしてアンコールはタイトル曲「Place To Be」。さすがにこの曲は、10年前、上原さんを必死に追いかけていた頃を思い出し、なんかしみじみしましたね。ま、今でも追いかけてますけど。そういう意味では私、今回の4プログラム、ブルーノート東京へ行けないことが、本当に悔しいです。ま、自分でそう決めたんですけどね。

ですが、MCで上原さんが「配信をご覧の皆さん、こんばんは。初めての方も2回目の方も、元気ですか?」と笑顔で声を掛けてくれたので、満足です!!

さて、前回が「Spectrum」、今回が「PLACE TO BE」と、2枚のソロピアノ作をライヴで聴ける貴重な体験、画面越しとは言え、さすがは上原さん、緊張感と楽しさに溢れる、極上のライヴでした。そして残すところ2プログラムですね。上原さんのピアノソロと言えば、そのハイライトはいつだってラプソディ・イン・ブルーかラスベガス組曲でした。ですが、その2つは既にやってしまいました。そういう意味では、残る2プログラム、「~BALLADS~」、「~Since 2003~」こそ、上原ひろみの新境地が見えるかもしれません。楽しみです!!

 

"SAVE LIVE MUSIC" 上原ひろみ ~Spectrum~ ライヴ配信

2020-09-03 20:53:43 | ジャズ
上原ひろみさんが、現在ブルーノート東京にて、"SAVE LIVE MUSIC"と題して、4種のプログラムによる16日間32公演に渡る特別長期公演を行っております。これはコロナ禍に苦しむライヴ業界の救済に向けて行われているとのこと。

これまで世界中をツアーで飛び回ってきた上原ひろみさん、「今日この日、この場所でしか生まれない音楽」を信条に、誰よりもライブの場を大切に活動してきたアーティストの一人でした。おそらくこのコロナ禍の元、思うように演奏活動が出来ずに苦しんでこられたことでしょう。そんな中でもインスタグラムで、スティーヴ・スミス、サイモン・フィリップス、アドリアン・フェロー、ロバート・トゥルージロ、エドマール・カスタネーダ、アヴィシャイ・コーエン達と、それぞれ1分の書下ろし曲をリモート共演する、「One Minute Portrait」という企画を立ち上げ、我々ファンを楽しませてくれました。新しい共演が投稿されるためにワクワクして1分間の至福を味わったものです。メタリカのロバート・トゥルージロが出てきたときはびっくりしましたけどね。でもやはり生のライヴが見たい!! 上原さんも一日でも早くファンに生演奏を届けたいと思っていたに違いありません。

そして現在、まだ続くこのコロナ過の中、各所で徐々に、模索しながらではありますが、ライヴ活動が再開されてきました。そして上原さんも立ち上がりました。ブルーノート東京です!! しかも4種のプログラムで、16日間32公演ですよ! さすがは上原ひろみさん!! そのスケジュールは以下の通り。

・8.25 tue. - 8.29 sat. ~Spectrum~ 
・9.4 fri. - 9.7 mon. ~PLACE TO BE~
・9.10 thu. - 9.11 fri. ~BALLADS~ 
・9.12 sat. - 9.16 wed. ~Since 2003~

このサブタイトルを見ただけで、ワクワクしてきますよね。当然私も4プログラム全てブルーノートに駆け付けますよ!!って言いたいところですが、残念ながら私は基礎疾患的な持病があるので、今回は泣く泣く自粛させていただきました。いやはや無念であります。

しかしですね、こういう私のような人たちも救ってくれるのが上原ひろみさん。そうです、この公演はライヴストリーミングによる生配信があるのです。有料ですけどね。もちろん私は4プログラム配信のセット券を購入いたしました。そして去る8月28日、その第1回目の配信が行われました。

いやもう、パソコンにかぶり付きでしたよ。この日のために新しいヘッドフォンも買いましたしね。やっぱり有料の生配信は緊張しますね。日常的にパソコンでライヴ動画を見ていますけど、それとは気持ち的な臨場感がまるで違う。上原さんが登場し、ピアノの前に座り、そして弾き始める。その一挙手一投足を見逃すまいと画面に食い入る私。「Kaleidoscope」の印象的なイントロから”ひろみワールド”へと惹き込まれ、そして没入する。激しく、速く、美しく、軽やかに、熱く、穏やかに、まるで鍵盤が生命を得たかのように躍動する。その色彩豊かな音の広がりはまさに万華鏡のよう。そして得意の低音のミュートから始まる「Yellow Wurlitzer Blues」。音楽の楽しさを伝えてくれる曲調こそ上原さんの真骨頂。ブギウギっぽさを感じさせる左手のグルーヴと、跳ねまくる右手のメロディに思わず体が揺れる。上原さんの楽し気な表情につられてこちらもニヤけてしまう。ライヴ会場に居なくても、生配信なら演者と繋がることが確かに出来る、そう感じた瞬間。

MCでも上原さんは、「ライヴストリーミングをご覧の皆さん、こんばんは。お元気ですか。」と声を掛けてくれて、私も思わず画面に手を振ってしまいましたよ。そして「今日はここにいる皆さんと、そして配信をご覧の皆さんと一緒に、今日この日、この場所でしか生まれない音楽を探していきたいと思います!」って、この時、画面越しに不思議な一体感が生まれました!!って思ったのは私だけ?いやいや、配信見ている人達、みんなそう思ったんじゃないですか?!

さて、再びピアノの前に座る上原さん。幻想的なイントロから、フリーキーなインプロに雪崩れ込む「Once In A Blue Moon」。まるで青い月明かりの元を彷徨うかのように音が紡がれていく。感情の赴くまま何かに抗うように。そしてトンネルを抜けたように穏やかな、美しいメロディで静かに終わる。上原さんはこの曲について、アルバム「Spectrum」のライナーに「強く願い、闘い続ければ、奇跡は起こる。」という言葉を寄せています。この日の演奏から、なんとなくコロナ禍におけるメッセージを頂いたような気がしたり。これぞ生演奏のカタルシス。素晴らしかった!!

そしてただただ美しかったビートルズのカヴァー「Blackbird」。この曲については、先のライナーに「暗い夜も、翼が折れても、その鳥は飛び続ける。」とあり、そういう思いで聴くと、コロナ禍の中、とても勇気が湧いてきましたね。もちろんこの曲の元々のメッセージから、今アメリカで起きていることを考えての選曲かもしれませんけど、私はとても勇気づけられました。上原さんのライヴは、いつも元気を貰います。生配信でも同じです。

さらに全身全霊の「Rhapsody In Various Shades Of Blue」。20分強に渡るドラマチックなジェットコースター。後半ちょっとコミカルになるところがあって、そこが凄く良いんですよね~。そして最高のエンディングパートへ。ホント最近の上原さんの「Rhapsody in Blue」の終盤は、力尽きて崩れちゃうんじゃないかと心配になるぐらい凄まじい熱量なんです。この日も凄かった!画面からでもビンビンに伝わってきましたね。まるでピアノに挑みかかるかの如く、全身を振り回すように鍵盤と対峙し、持てる力をすべて出し切る情熱の塊のような「Rhapsody In Various Shades Of Blue」。圧巻でした!!

そしてアンコール。この日の上原さんの衣装は、黒と緑の縞々。黄色も入ってたかな?なんとなくブラジル・カラー的な雰囲気でしたが、アンコールではその上から今回のSAVE LIVE MUSIC公演記念Tシャツを着て満面の笑みで登場。なんだか楽しそう!! 最後の曲は「Spectrum」。最新アルバムのタイトル曲にして、この日のライヴのタイトル曲でもある。もちろんこの日のセットリストは全てアルバム「Spectrum」収録曲から選ばれていました。アルバムの世界観から、”この日この場所”でしか生まれない飛躍と深化を遂げた、まさに今、生きている「Spectrum」の生ライヴ。画面越しでも最高でした!!



まあね、もちろん、会場で観たかったですよ。そりゃそうですよ。でも、生配信も悪くないです。カメラワークが優れているので、手元から表情まで、見たいものをばっちり見えますからね。そして翌日24時まで見れるので、繰り返し見ることで、より深く堪能することもできます。ただ、会場の熱気みたいなものは伝わりづらいかな?なんて思いました。って言うかそもそも静かでしたよね?上原さんのライヴはいつも熱狂的に盛り上がるんですけど、この日の観客はおとなしかったかな?と。感染防止のため声を上げたりしないようにというお達しがあったんですかね?もちろん客席数も通常より大分少なく見えましたし、そういうことを徹底してライヴが行われているのであれば、それはすごく良いことだと思います。まだ3プログラムありますからね。どうか無事に走り抜けて頂けることを祈っています。

さて、次は「PLACE TO BE」ですね。懐かしのルーレット、やるかな~?(スロットマシンでしたっけ?)
 

セットリスト
1. Kaleidoscope
2. Yellow Wurlitzer Blues
3. Once In A Blue Moon
4. Blackbird
5. Rhapsody In Various Shades Of Blue
EC. Spectrum

The Lagerphones @東京コーヒーフェスティヴァル

2018-10-01 23:26:47 | ジャズ
9月29日、30日の2日間、青山の国連大学中庭にて開催された東京コーヒーフェスティヴァルにて、The Lagerphones のライヴがあるとのことで見に行ってまいりました。

The Lagerphones は、メルボルンを拠点に活動しているトラディショナル・ジャズ・バンドで、9月14日から半月かけて、4回目となる日本ツアー中でした。


私は29日と30日、両日とも1ステージづつ見れたんですけど、どちらもステージ前には沢山の観客が集まり、皆様コーヒー片手に熱心に、楽し気に聴いてらっしゃいました。しかも29日は小雨が降りしきるあいにくの天気だったんですけどね。そんな逆境もなんのそのな楽しい演奏でした。バンドはトランペット、トロンボーン、クラリネッ ト、バンジョー、コントラバス、ドラムスの6人編成。クラリネットやバンジョー奏者がいるあたりに、本格的なトラディショナル・ジャズを感じさせてくれる一方で、服装などはいたってカジュアルだったり、ドラムスのバスドラムがスーツケースだったりと、モダンなレトロ感みたいな雰囲気も横溢で、なかなか一筋縄ではいかない感じ。

ステージごとに曲目は変えていましたが、両日とも1曲目は「When I grow Too Old To Dream」で、ニューオーリンズなトラッド感が最高でしたね。あとジェリー・ロール・モートンとか。管楽器の絡みやドラムスを含めたソロ回しも楽しい。あと面白かったのはクレージーキャッツの「スーダラ節」。日本語で歌って、振り付けもあったり。アレンジはトラッドジャズ風で、コロコロとリズムのニュアンスを変えていく展開が見事でしたね。日本語といえば「上を向いて歩こう」もやってました。これは観客もみんなで歌いましたね。もちろんカヴァーばかりではなくオリジナル曲もとても印象的。トランペットの哀愁溢れるソロが素敵だったメロウな曲や、「酔っぱらい酔っぱらい」というサビが印象的なポップな酩酊ソングなど、ヴァラエティに富んだ曲で楽しませてくれました。

今回のツアーでは、カフェなど14カ所を回ったそうです。私ももっと早く知っていればもう少し追っかけたかったな〜なんて思ったり。次に来日してくれたらぜひ、また観に行きたいです。



青山のオシャレなコーヒー・イベントで聴く、ユーモアセンスも楽しいレトロモダンなトラディショナル・ジャズ。素敵な時間を過ごさせて頂きました〜。

FUNK OFF @大手町プレイス

2018-09-25 22:09:22 | ジャズ
大手町プレイスのショップやレストランが本日9月25日グランドオープンということで、そのオープニングイベントにて、イタリアのマーチングバンド、FUNK OFF のライヴを見て参りました!マーチングバンドと言っても、名前の通り、めっちゃファンキー!YouTube で検索すると、ストリートをパレードしながら演奏する映像がいくつも出てくるんですけど、この日のライヴもフロア後方の入り口から演奏しながら登場しました。

トランペットが3人、サックスがアルト、テナー、バリトンなど合わせて7人ぐらい居たかな?スーザフォンが1人、シンバル含めた太鼓隊が4人。総勢15人ですかね。とにかく大所帯。彼らが多彩なフォーメーションで動き回りつつ、高らかにブラスファンクを響かせる。管楽器セクションが一列に並んで足を蹴り上げるような振り付けで盛り上げたり、リズム隊が前へ出てのパーカッシヴな響宴やスーザフォンのソロがあったり、メンバーがぞろぞろと客席へ降りてきて練り歩いたり、短い時間ながら盛り沢山に魅せてくれました。まあ、大所帯が一丸となって煽ってきますから、そりゃあ盛り上がりますよ。もちろん私もノリノリでした〜。ニューオーリンズのブラスバンドのようなリズムを感じさせてくれる曲もありましたしね。

会場は地下1階ですけど、外へ吹き抜けになっているので、夕方のビジネス街にブラス・ファンクが鳴り響き、会社帰りのサラリーマンやOLさん達も、音に吸い寄せられてきたのではないでしょうか。沢山のお客さんで賑わっていました。


ちなみにこのオープニングイベントは、ここの1階にオープンンした、ブルーノート系列の新店舗「レディ・ブルー」が手掛けたイベントで、明日もあるそうです。明日は黒田卓也さんや、近藤房之助さんが出演するので、こちらも楽しみですね。

そしてFUNK OFFは、9月27日、ブルーノート東京に出演予定です。

エドマール・カスタネーダ at JAZZ AUDITORIA

2018-05-01 19:13:54 | ジャズ
4月29日、お茶の水で開催されたジャズ・イベント「JAZZ AUDITORIA」にて、南米コロンビア出身のジャズ・ハープ奏者、エドマール・カスタネーダのライヴを観てまいりました。

私はこれまで何度かエドマール・カスタネーダのライヴを観ているんですが、それはゴンサロ・ルバルカバや、上原ひろみといったピアニストとのデュオだったので、エドマールのリーダー公演となると、今回が初めてでした。なのでとても楽しみにしていた今回のステージ、ミーハー魂を炸裂させて、最前列ど真ん中で堪能させて頂きました。

さて、ほぼ定刻、ステージに上がるバンドメンバー達。ドラムスのロドリゴ・ヴィラロン、ソプラノ・サックスのシュロミ・コーエン、そしてハープのエドマール・カスタネーダというトリオ編成。オープニングは「Cuarto de Colores」。相変わらず高音から低音まで縦横無尽に旋律を紡ぐエドマール・カスタネーダ。メロディー、コード、ベースラインを同時に弾いてるような超絶テクニック。それはクラシックで使われる流麗なハープとは全く違う、パーカッシヴでエッジの効いた音色。何度聴いても、何度観ても圧倒されてしまいます。

しかもピアノとのデュオと違い、ドラムスが入るとリズム面が強化される分、ラテンのグルーヴがより鮮明になる印象で、ハープの躍動感に思わず身体が揺れてしまいました。さらにソプラノ・サックスのフリーキーなソロもスリリングで、ハープとの対比も面白かったです。

エドマールの扱うハープは、カスタマイズされているそうで、弦の上部にセットされたレバーによって半音の上げ下げができるようになっているそう。つまり、通常はピアノで言う白鍵の音しかだせないハープに、黒鍵の音を出せるようにしてあるとのこと。あと、弦の付け根にも何か仕掛けがあるようで、演奏中、弦を高速で弾きながらも、その上下を忙しく調整していました。ただそれはあまりに早業なので、私のような素人には、聴いていてもどう音が変化しているのかは実感出来ないんですけどね…。

ですが2曲目「Entre cuerdas」のイントロでは、明らかに同じフレーズを繰り返し弾き続けながら、上部のレバーを下ろして転調する、なんて技を見せてくれていました。まあ、そんなことも含めて彼のハープ奏法には「いったいどうなってるの?」っていう感じの連続で、まさに超絶テクニックでしたね。しかも技術だけではなくて、とても感情的。溜め息が出るほど美しいのです。圧巻は彼がソロで披露した「Jesus de Nazareth」。スピリチュアル且つエモーショナル。本当に素晴らしかったです!!

あと今回はエドマールのリーダー公演ということもあり、ピアノとの異種コラボのような緊張感とはまた違う、リラックスした雰囲気も感じられました。演奏中に客席へ向かって戯けてみせたり、バンドメンバーと笑い合ったり。そんな豊かな表情から、彼の楽しい人柄が滲み出ていました。

さて、本編ラストは上原ひろみさんとのデュオでもお馴染みの「For Jaco」。これはファンキーでしたね~! そしてアンコールの「Colibri」を含め、およそ1時間のステージは拍手喝采のなか終了。最後にはイベントらしく、短いインタビューもあり、ハープの解説や、ラーメンが好きなこと、昨日も上原ひろみさんとラーメンを食べたこと、などを楽しげに話していました。

そして終演後はサイン会もありまして、私もしっかり頂いて参りました。



この日のセットリストは以下のような感じだったと思いますが、間違っていたらごめんなさいね。全部インストなので、難しいんですよ…。

Cuarto de Colores
Entre cuerdas
Jesus de Nazareth
For Jaco
Colibri



上原ひろみ×熊谷和徳 TOUR 2017 発表!

2017-04-20 19:09:17 | ジャズ
矢野顕子さんとの「ラーメンな女たち」ツアーが盛り上がっている最中の上原ひろみさんですが、さらに「上原ひろみ×熊谷和徳 TOUR 2017」が発表になりました。12月16日のNHK大阪ホールを皮切りに、12月28日の倉敷市芸文館まで、各地を廻るツアー。詳しくは、上原ひろみさんのオフィシャルサイトをチェックして頂くといたしまして、東京は以下の2公演です。


12月20日(水) 渋谷 Bunkamuraオーチャードホール
12月21日(木) 渋谷 Bunkamuraオーチャードホール

チケットはどちらも、S席7,100円、A席6,070円(各税込・全席指定)とのことですが、発売の詳細は5月13日に上原ひろみさんのオフィシャルサイトにて発表されるそうです。



これは行きたいですね〜。何せ昨年のサマソニ、ガーデンステージで観たお二人のステージは、ホント素晴らしかったですからね。あれは私の年間ベストアクトの一つでした。しかもあの時は、本来、上原ひろみ トリオ・プロジェクトが出演するはずだったところ、メンバーのアンソニー ・ジャクソンとサイモン・フィリップスが健康上の理由で出演キャンセルとなり、急遽、上原ひろみ×熊谷和徳 としての出演になったんですよね。ある意味、急ごしらえだった訳ですけど、それであれだけ素晴らしかったんですから! いやはや、上原さんと熊谷さんのソウルの交歓の神々しさときたら! そして今回は、しっかりと準備してのツアーですから、さらなる高みに達してくることでしょう。これは楽しみですね!

またあの2人のパフォーマンスが観れると思うだけで、ワクワクしてきます!! と言っても、まだ半年以上も先の話なんですけどね…。




*写真は2011年のブルーノート公演の時のもの。古い写真ですいません…。しかも今回はブルーノートは無いんですけどね…。




~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 2016年 サマソニ ベストアクト!

アラン・ホールズワース R.I.P.

2017-04-17 19:58:21 | ジャズ
ALLAN HOLDSWORTH GROUP / THEN!

プレグレ、ジャズ、フュージョン界において、唯一無比の個性とテクニックで、その名を轟かしてきたアラン・ホールズワースが亡くなられたそうです。享年70歳。

1946年、イギリス・ウェスト・ヨークシャーの生まれ。70年代にテンペスト、ソフト・マシーン、ゴング、UK などを渡り歩き、80年代以降はソロ・アーティストとしても活躍しつつ、数々のプロジェクトに招かれてきました。その個性と、技巧において、間違いなく世界ナンバーワン・ギタリストの一人です。


私は若かりし頃(80年代半ばくらいかな)、ハードロック/ヘヴィメタルが大好きで、ほぼそれ以外の音楽は認めない!というほど偏狭な聴き方をしていました。当然、音楽界において最も上手いギタリストはヘヴィメタのギタリストであると信じ込んでいたんです。リッチー・ブラックモアとか、マイケル・シェンカーとか、イングヴェイ・マルムスティーンとか、スティーヴ・ヴァイとか。そしてエディ・ヴァン.ヘイレンです。まあ、中学生の頃の話ですよ。そしてどんなに上手いジャズ・ギタリストがいたとしても、聞く耳持たなかったのです。ですが、アラン・ホールズワースだけは別でした。

何故かというと、エディ・ヴァン・ヘイレンがアラン・ホールズワースに対して多大なリスペクトを示していまして、そもそもエディが有名なライトハンド奏法を生み出したきっかけと言うのが、アラン・ホールズワースをコピーする際に、弦を押さえる左手の指が届かなかったため、右手の指でタッチしたということらしいのです。これは当時の私にとってとてつもなくインパクトのある話でした。なにしろアラン・ホールズワースはエディ・ヴァン・ヘイレンが出来ないことをやっている訳で、しかもとんでもなくテクニカルなギタリストだというじゃないですか!

そんないきさつで、当時のハードロック系のギター専門誌等にも、長髪ギラギラなギタリストに交じってアラン・ホールズワースが紹介されていたように記憶しています。中学生の私にとっては、ジャズ・フュージョンという未知なる世界にいるスーパー・ギタリストというイメージで、強い畏敬の念を抱いていました。その思いは今でも変わりません。


アラン・ホールズワースさん、安らかに。



写真は、1990年5月の東京公演を収録したライヴ盤。メンバーはアラン・ホールズワース(g)、スティーヴ・ハント(key)、ゲイリー・ハズバンド(ds)、ジミー・ジョンソン(b)の4人。アラン・ホールズワースのユニーク且つ超絶的なギターをたっぷり堪能出来ますし、メンバーそれぞれのプレイや、そのケミストリーも素晴らしい!!

ノラ・ジョーンズ探検隊 その11

2017-04-11 18:06:27 | ジャズ
JOEL HARRISON / FREE COUNTRY

ノラ・ジョーンズ来日中と言うことで、超久々に「ノラ・ジョーンズ探検隊」を更新してみたいと思います。

冒険心旺盛なプログレッシヴなジャズで現行シーンにおいても異彩を放つギタリスト、ジョエル・ハリソンの初期の作品になる03年作「FREE COUNTRY」。そのタイトル通り、カントリー・ミュージックのフリー解釈と言えそうな、ジャズ meets アメリカーナな逸品。ジョニー・キャッシュ、ウディ・ガスリー、ジョージ・ジョーンズ、マール・ハガード、その他トラディショナル等を取り上げ、アリソン・ミラー(ds)、デヴィッド・ビニー(sax)、ロブ・トーマス(Violin)、といったニューヨーク界隈の精鋭達と共に、ユニークな解釈による斬新なルーツ・ミュージックを作り上げています。

ノラ・ジョーンズがゲスト参加しているのは2曲。ジョニー・キャッシュの「I Walk The Line」と、パティ・ペイジのヒットで知られるカントリー/ポピュラーのスタンダード「Tennessee Waltz」。これが2曲ともに、ジャズ・シンガーとしてのノラのビターな側面という点で屈指の名歌唱なのです!!

ノラのスモーキー且つスウィートな吐息のような歌声で始まる「I Walk The Line」。もうこの冒頭だけで心を鷲掴みにされます。そしてジャジーでクールなアレンジ。ジョニー・キャッシュがこうなるか?というジョエル・ハリソンの解釈もさることながら、その前衛掛かったアレンジにしっとり溶け込むノラのフィーリングがまた素晴らしい!! デビューしたばかりの頃とは思えない、アダルトなビター・フィーリング。

そして「Tennessee Waltz」。この曲はいくつかライヴ録音も残しているので、きっとノラの好きな曲なんでしょうね。寄せては引く波のように、移ろうフィーリングをしとっりと歌うノラ。ノラ・ジョーンズらしい歌声ながら、やはりここでは一味違う。より感傷的と言いますか、より芸術的に聴こえます。ゲストの南アフリカのアコーディオン奏者、トニー・セドラス(カサンドラ・ウィルソンやポール・サイモンのバックでも知られる人)の音色も滲みます。


個人的な趣味ながら、私は数あるノラのゲスト参加曲の中でも、この2曲こそ、最高峰の味わいと信じております。近年のノラは、あまりこういう歌唱を聴かせてくれないので、ちょっぴり寂しくもありますが、それがノラ・ジョーンズの良いところでもあるんですよね!!

来日公演で「Tennessee Waltz」とか、歌ってくれないですかね〜。




~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 12.11.08 ノラ・ジョーンズ@日本武道館(2012年の来日公演レポ)

 12.10.15 ノラ・ジョーンズ探検隊 その1(RAY CHARLES / GENIOUS LOVES COMPANY)
 12.10.16 ノラ・ジョーンズ探検隊 その2(THE DIRTY DOZEN BRASS BAND / MEDICATED MAGIC)
 12.10.21 ノラ・ジョーンズ探検隊 その3(VA / LIVE FROM BONNAROO)
 12.10.23 ノラ・ジョーンズ探検隊 その4(CHARLIE HUNTER / SONGS FROM THE ANALOG PLAYGROUND 他)
 12.10.31 ノラ・ジョーンズ探検隊 その5(RODNEY CROWELL / KIN: SONGS BY MARY KARR & RODNEY CROWELL)
 12.11.08 ノラ・ジョーンズ探検隊 その6(VA / THE LOST NOTEBOOKS OF HANK WILLIAMS)
 12.11.14 ノラ・ジョーンズ探検隊 その7(JIM CAMPILLONGO / AMERICAN HIPS 他)
 12.12.25 ノラ・ジョーンズ探検隊 その8(VA / A VERY SPECIAL ACOUSTIC CHRISTMAS 他)
 13.06.06 ノラ・ジョーンズ探検隊 その9(JESSE'S BOX / JESSE HARRIS AND THE FERDINANDOS 他)
 13.11.09 ノラ・ジョーンズ探検隊 その10(VINICIUS CANTUARIA / INDIO DE APARTAMENTO)

トミー・リピューマ R.I.P.

2017-03-14 23:57:52 | ジャズ
PAUL McCARTNEY / KISSES ON THE BOTTOM

3月13日、音楽プロデューサーのトミー・リピューマがなくなられたそうです。80歳でした。

デイヴ・メイソン、ダン・ヒックス、フィル・アップチャーチ、ニック・デカロ、アル・ジャロウ、マイケル・フランクス、ジョージ・ベンソン、イエロージャケッツ、ランディ・クロフォード、ジョー・サンプル、ドクター・ジョン、マイルス・デイヴィス、ナタリー・コール、ダイアナ・クラール、などなど。挙げていったら切りがない、巨匠中の巨匠でした。

特に70年代半ば以降、アル・ジャロウ、ジョージ・ベンソン、イエロージャケッツ、スタッフ、ジョー・サンプルなど、クロスオーバーなフュージョンサウンドで一時代を築きました。またナタリー・コールやダイアナ・クラール等、女性ジャズシンガーからの信頼も厚く、さらに近年はポール・マッカートニーやウィリー・ネルソン、グラディス・ナイトなどのスタンダード作で、円熟の手腕を発揮していました。


*写真は、ポール・マッカートニー、2012年のスタンダード作品「KISSES ON THE BOTTOM」。ダイアナ・クラールが全面協力し、エリック・クラプトンやスティーヴィー・ワンダーもゲスト参加。トミー・リピューマにとっては最晩年の1枚ですね。


トミー・リピューマさん、安らかに。